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	<title>ヨットを楽しむ ～MALU SAILING～</title>
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		<title>ヨットのダニ対策</title>
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		<pubDate>Sun, 04 Oct 2026 20:09:59 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[ヨットライフ]]></category>
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										<content:encoded><![CDATA[<p>夏のヨットは、とにかく暑い。一昔前なら、ヨットは海の上だから、意外に風が吹いて快適でなんとかなるなんて言われていましたが、最近は気候変動の影響もあり、日本でも気温が40℃近くまで上がる日があります。これだけ暑い日に閉め切ったヨットのキャビンは、いったい何度になっているのでしょうか。</p>
<p>炎天下に駐車した車だと、車内温度が50℃を超えることもあります。ヨットも同じように強い日射を受けていれば、キャビンの中はかなり暑くなっています。</p>
<p>そこで、ふと思うのが、夏になると増える「ダニ」です。</p>
<p>ダニは高温多湿の時期に増えるといわれますが、これほど暑くなるヨットの中でも、ダニは増えるのでしょうか。</p>
<p>車だと夏場の高温でダニはほとんど死滅する、なんて話を聞いたことがあります。では、ヨットのキャビンでも、それを期待できるのでしょうか。</p>
<p>ヨットにはマットレスやクッション、寝具、船内に置いている衣類など、ダニが潜みそうな場所がいくつもあります。</p>
<p>今回は、ヨットの中で人に害を与えるダニについて、どんな環境で増えるのか、真夏の暑さで死滅するのかを確認しながら、ダニ対策について考えてみたいと思います。</p>
<p><img fetchpriority="high" decoding="async" class="aligncenter size-full wp-image-8992" src="https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/10/IMG_0607.png" alt="" width="300" height="300" srcset="https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/10/IMG_0607.png 300w, https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/10/IMG_0607-150x150.png 150w" sizes="(max-width: 300px) 100vw, 300px" /></p>

<h2>ダニが増えるのはいつごろ</h2>
<p>ダニが増えやすくなるのは、梅雨から夏にかけてです。日本の住宅を調査した研究でも、ダニの数は多くの部屋で7〜9月にピークを迎えています。</p>
<p>では、暑ければ暑いほどダニが増えるのかというと、そう単純ではありません。</p>
<p>ダニが増えるためには、温度とともに「湿度」が大きく関係しています。代表的な屋内のダニは、温度が上がっても乾燥した環境では増えにくく、湿度の高い環境では活発に増殖します。</p>
<p>実際に、室内の相対湿度を50％未満に維持した住宅では、ダニの数とダニ由来のアレルゲンが大きく減少した研究があります。逆に65〜75％程度の湿度では、代表的なヒョウヒダニ類が大きく増殖した実験結果があります。</p>
<p>ここはヨットで気になるところです。</p>
<p>ヨットは海の上にあるから湿度が高い、と単純には言えませんが、濡れた衣類やタオルを持ち込んだり、寝具やマットが人の汗を吸ったりします。さらに、使用後はハッチを閉めて長期間無人になることもあります。</p>
<p>つまり、夏のヨットで気にしたいのは「暑さ」だけではありません。ダニが増えやすい季節に、マットや寝具の周辺で高い湿度が長く続いていないか。ここが、ヨットのダニ対策を考えるうえで重要になります。</p>
<h2>ダニは何℃で死滅するのか</h2>
<p>夏に増えるダニですが、もちろん高温になれば死滅します。では、何℃まで上がれば死ぬのでしょうか。</p>
<p>ダニの種類や成長段階、温度にさらされる時間によって違うため、「何℃になれば瞬間的にすべて死ぬ」と単純に決めることはできません。</p>
<p>実験では、50℃程度でも短時間では生き残るダニが確認されています。ヤケヒョウヒダニでは、53℃で完全に死滅するまでに12分を要したという実験結果があります。</p>
<p>寝具を使った別の研究では、55℃以上の温水でダニがすべて死滅しています。また、卵についても50℃の乾熱では完全に孵化を防ぐまで長い時間が必要だったのに対し、60℃以上になると短時間で高い効果が確認されています。</p>
<p>つまり、ダニを熱で駆除するなら、単に「暑くする」のではなく、ダニがいる場所そのものを十分な温度まで上げ、それを一定時間維持する必要があります。実用上は、55〜60℃以上が熱によるダニ駆除を考える一つの目安になります。</p>
<p>ここで気になるのが、真夏のヨットです。</p>
<h2>真夏のキャビンでダニは自然に死滅するのか？</h2>
<p>炎天下に置かれた車の中が、非常に高温になることはよく知られています。JAFが行った実験では、外気温35℃の炎天下に駐車した車で、車内温度は最高57℃、ダッシュボードは79℃に達しました。</p>
<p>これなら、先ほど説明したダニが死滅する温度に達しています。実際、夏の車内の高温を利用してダニを駆除するという話があるのも、このためです。</p>
<p>では、ヨットも同じなのでしょうか。</p>
<p>ヨットも車と同じように、閉め切った状態で強い日射を受けます。真夏にハッチを開けた瞬間の熱気を経験すると、キャビンもかなりの高温になっていることは想像できます。</p>
<p>ただし、車とヨットには大きな違いがあります。</p>
<p>ヨットは水に浮かんでいて、船体の一部は常に海水に接しています。日射を直接受けるデッキやキャビントップと、海水に接している船体では、温度の上がり方が異なります。</p>
<p>さらに、ダニが潜んでいるのはキャビンの空気中ではなく、マットやクッション、寝具などです。</p>
<p>仮にキャビンの空気が非常に高温になっていても、厚みのあるマットの内部まで同じ温度になっているとは限りません。特にバースは船体に近く、その上に厚いマットが載っています。</p>
<p>つまり、真夏のヨットがどれほど暑くなっても、マットやクッションの内部までダニが死滅する温度に達し、それが十分な時間続いているのかはわかりません。</p>
<p>夏の暑さだけで、船内のダニが自然に駆除されると期待しない方がよさそうです。</p>
<h2>ダニを増やさないための予防</h2>
<p>ダニ対策でまず考えたいのは、発生してから駆除することより、船内で増えにくい環境をつくっておくことです。</p>
<p>特に<strong>意識したいのが湿度</strong>です。ダニは乾燥した環境では増えにくく、室内の相対湿度を50％前後以下に保つことは、ダニの増殖を抑える有効な方法のひとつです。</p>
<p>ヨットでは、まず小さな湿度計を船内に置いてみると、実際の状態が分かります。できれば最高・最低値や履歴を記録できるタイプなら、艇を離れている間にどの程度まで湿度が上がっているのかも確認できます。</p>
<p>次に気をつけたいのが、<strong>バースのマットやクッション</strong>です。</p>
<p>泊まったあとのマットや寝具には、人の汗などによる湿気が残っています。下船するときにマットをそのまま寝かせておくより、可能なら立てたり浮かせたりして、表だけではなく裏側にも空気が通るようにしておきます。</p>
<p>マットの下に通気性のあるメッシュなどを入れ、バース板と直接密着させない方法もあります。これはダニだけではなく、ヨットで起こりやすいマット下の湿気や結露対策としても有効です。</p>
<p>シーツ、枕カバー、毛布など、簡単に持ち帰れるものは定期的に船から降ろして洗濯します。濡れたタオルや衣類を船内に残さないことも基本です。</p>
<p>掃除も重要です。ダニは人から落ちる皮膚片などを餌にするので、バースやクッションの隙間、マットの下など、普段あまり掃除しない場所にも掃除機をかけます。</p>
<p>さらに、手間をかけずにできる予防として、マットの下などにダニ対策用のシートを入れておく方法があります。</p>
<p>例えば、アース製薬の「ダニがホイホイ ダニ捕りシート」は、ダニを誘引して粘着面で捕獲するタイプです。布団やベッドの下などに置くだけで、交換の目安は約3カ月。殺虫成分を使用しないので、バースのマット下などにも比較的取り入れやすい方法です。</p>

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<p>もうひとつは「防虫力 ダニよけ どでかシート」のような忌避タイプです。こちらはダニを殺すのではなく、寄せ付けにくくするためのもので、メーカー表示では効果は約6カ月。大判のシートを必要な大きさに切って使えるので、形が特殊なヨットのバースにも合わせやすいでしょう。</p>

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<p>捕獲するもの、寄せ付けにくくするもの、どちらもダニを完全に駆除するものではありません。</p>
<p>湿度を抑える、マットや寝具を乾燥させる、定期的に洗濯・清掃する。こうした基本的な管理に加えて使う予防策と考えるのがよさそうです。</p>
<h2>ダニがいることに気づいたら</h2>
<p>ヨットに泊まっていて、ダニに刺されたような痒みが出た。そんなときは、できるだけ早く対策したいところです。</p>
<p>しかし、ヨットに泊まるのは夜だったり、近くに店がなかったりして、すぐに殺ダニ剤を買いに行けるとは限りません。</p>
<p>まず、その場でできることから始めます。</p>
<p>掃除機があれば、バースやキャビンのマットの表面だけではなく、縫い目や側面、裏側、クッション、バース板まで丁寧に吸い取ります。掃除機だけですべてのダニを駆除できるわけではありませんが、ダニや糞、死骸、餌になる埃などを減らすことができます。</p>
<p>マットやクッションは立てて裏側まで風を通し、湿った寝具やタオル、衣類などはバースから離します。エアコンの除湿運転が使える艇なら、船内の湿度を下げるのも効果があります。</p>
<p>予備のシーツや寝具があれば、直接肌に触れるものは清潔なものに交換します。ダニが付いている可能性のある寝具はほかのものと分け、後で洗濯できるようにしておきます。</p>
<p>翌日などにドラッグストアへ行けるなら、ダニ用の殺虫剤を用意します。ヨットで扱いやすいのは、マットやクッションへ直接使用できるスプレータイプです。</p>
<p>例えば「ダニアーススプレー」は、屋内塵性ダニ類の駆除と増殖抑制に加えて、イエダニなどの駆除にも対応しています。布団、枕、布製ソファ、クッションなどへの使用がメーカーから示されているので、バースマットやクッションにも使いやすいタイプです。</p>

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<p>KINCHOの「ダニがいなくなるスプレー」も、屋内塵性ダニ類の駆除と増殖抑制に対応し、マットレス、布団、枕、クッションなどへの使用が示されています。</p>

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<p>使用するときは、必ず製品に表示されている使用量や使用方法を守り、処理後は十分に乾燥させます。</p>
<p>薬剤を使ったら、それで終わりではありません。</p>
<p>殺虫剤でダニを殺しても、死骸や糞は残っています。これらもアレルギーの原因になるので、処理後はもう一度掃除機をかけ、マットの表裏、縫い目、クッション、バース板などを清掃します。</p>
<p>さらに、駆除した後にはダニ捕りシートなどをマットの下に設置しておけば、その後の対策にもなります。</p>
<p>つまり、ダニに気づいたときは、掃除する → 乾燥させる → 殺ダニ剤で駆除する → もう一度掃除する → 再発を予防する という順番で考えると分かりやすいでしょう。</p>
<p>なお、痒みや赤い痕があるからといって、原因が必ずダニとは限りません。こうした対策をしても被害が続く場合には、ほかの虫などが原因になっている可能性も考える必要があります。</p>
<h2>ヨットで殺ダニ剤を使うときの注意</h2>
<p>ダニを一気に駆除するなら、部屋を閉め切って使う燻煙タイプや全量噴射タイプの殺虫剤を思い浮かべる人もいると思います。住宅では広く使われている方法ですが、ヨットで使う場合には少し注意が必要です。</p>
<p>こうした製品には、使用する部屋の広さが指定されています。例えば、ダニ用として販売されている全量噴射タイプには6〜8畳用などがあり、メーカーが規定より狭い部屋や隙間などの狭小空間では使用しないよう指定している製品もあります。</p>
<p>ヨットのキャビンは、住宅の一室よりかなり狭い場合があります。狭いから少ない量で使えばいい、というものでもありません。</p>
<p>もうひとつ注意したいのが火気です。</p>
<p>全量噴射タイプには可燃性ガスを使用している製品があり、メーカーは裸火だけではなく、電気スイッチなどから発生する火花にも注意するよう表示しています。</p>
<p>ヨットにはバッテリーや各種電装品があり、艇によってはLPGなどのガス設備もあります。燃料を積んでいることも住宅とは違うところです。</p>
<p>また、航海計器や無線機などの電子機器がキャビン内にあるため、薬剤が直接かからないよう保護が必要になる製品もあります。</p>
<p>住宅用として普通に販売されている製品だからといって、ヨットでも同じように使えるとは限らないわけです。</p>
<p>燻煙タイプや全量噴射タイプを使用したい場合には、対象となるダニだけではなく、使用できる空間の広さ、火気、電装品、使用後の換気など、製品に記載されている使用条件を確認してから使う必要があります。</p>
<h2>最後に…</h2>
<p>MALU号でも、ずっと以前からダニ対策はやり続けてます。特に我が家の場合には、ヨットは別荘代わりでもあるので、最初からヨットでの宿泊率が高いので、初年度からダニ対策に追われました。</p>
<p>やったことは、やっぱり先ずは掃除です。最初は車用のクリーナーとかを使ってましたが、家で使っていたダイソン掃除機を船に持って行って使ってみたら、白く細かな粉が埃と共にどっさり…。</p>
<p>怖くなってしまいました。</p>
<p>そこから、マット類の掃除や天気の良い日にデッキに出して天日干し。バースの寝具も出来るだけ外干し乾燥を心掛ける…と言った感じです。</p>
<p>本文では夏場に増え始めると書いていますが、今では防ダニシートやダニ取りシートの有効期限が過ぎるあたりで暖かくなったりすると、やっぱりダニが増えるようです。なので、有効期限を切らさないようにすれば、防ぐことが出来てるようです。</p>
<p>更に、予防用のスプレーが最近は出始めたので、これも買って定期的にワンプッシュ。</p>

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<p>防ダニ対策と殺ダニ、そしてダニシートを敷いて、定期的に交換すると言った繰り返しです。</p>

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<p>お陰で割と快適なヨットライフをこれまで送ることが出来ています。</p>
<p>&nbsp;</p>
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		<title>8.  ペットが考えた英国版ヨット</title>
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		<dc:creator><![CDATA[malusailing]]></dc:creator>
		<pubDate>Sat, 03 Oct 2026 18:30:30 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[ヨットはどう変わってきた]]></category>
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		<category><![CDATA[ヨットの歴史]]></category>
		<category><![CDATA[ヨットはどう変わったか]]></category>
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					<description><![CDATA[前回は、造船家のピーター・ペット（Peter Pett）が英国で造る初のヨットの Model を作り、チャールズ2世がそれを承認して建造が始まるところまでを追いました。 では、その Model から実際にはどのような船が [&#8230;]]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>前回は、造船<span style="-webkit-tap-highlight-color: rgba(0, 0, 0, 0);">家の</span>ピーター・ペット（Peter Pett）が英国で造る初のヨットの Model を作り、チャールズ2世がそれを承認して建造が始まるところまでを追いました。</p>
<p>では、その Model から実際にはどのような船が生まれたのでしょう。</p>
<p>ペットはオランダに渡り自らの目でヤハトを見ています。しかし彼は、それまで英国でさまざまな船の建造に携わり、英国海軍で当時求められていた速く走る船についても、研究や経験を積んできた造船家でした。</p>
<p>そんなペットは、チャールズが求める「ヨット」という船に何が必要だと考えたのでしょうか。そして、オランダで見たヤハトと、それまで自らが培ってきた造船の経験をどのように結びつけ、一隻の船として完成させたのでしょうか。</p>
<p>今回は、出来上がった船の姿と残された記録を手掛かりに、ペットがどのように考え、どのような船を造ろうとしたのかを読み解いてゆきたいと思います。</p>

<h2>ペットが造った英国初のヨット</h2>
<p>1661年、デプトフォード王立造船所で、ピーター・ペットがチャールズ2世のために計画したヨットが完成しました。</p>
<p>キール長49フィート（約14.9m）、幅19フィート（約5.8m）、ホールドの深さ（17世紀英国の船舶計測では、一般に船体中央付近で、キール上面付近から上部の甲板までの船内深さを測った値）7フィート（約2.1m）、94トン。8門の砲を備え、乗員は30人とされています。</p>
<p><img decoding="async" class="aligncenter size-full wp-image-8969" src="https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0566.png" alt="" width="300" height="300" srcset="https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0566.png 300w, https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0566-150x150.png 150w" sizes="(max-width: 300px) 100vw, 300px" /></p>
<p>現在の感覚では、国王の船としてはずいぶん小さく感じますが、この船には王や貴族を乗せるための船室があり、それでいてチャールズ自身が舵を取って帆走を楽しめる船として造られていました。</p>
<p>実際、1661年1月15日には、建造中の船を見るためチャールズ自身が造船所を訪れています。英国海軍官僚であるピープス（Samuel Pepys）もその様子を記録し、この船を「とても美しい船になるだろう」と記しています。</p>
<p>そして完成した船の姿も残っています。ウィレム・ファン・デ・フェルデ（Willem van de Velde the Younger）が描いた船体画を見ると、大型の王室船をそのまま小さくしたような姿ではなく、船首から船尾まで低く長く見える船体に、船尾には王室ヨットらしい装飾と船室が設けられています。Royal Museums Greenwichには、この船を右舷側から描いた詳細な素描が残されています。</p>
<p><img decoding="async" class="aligncenter size-full wp-image-8966" src="https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0563.png" alt="" width="381" height="257" /></p>
<p>この船を見た英国の地主階級ジェントルマンで、王政復古後はチャールズ2世のもとで公職も務めたジョン・イヴリン（John Evelyn）が詳細に綴った日記で面白い言葉を残しています。</p>
<p>1661年10月1日、チャールズとともにヨットに乗ったイヴリンは、国王が新しく造らせたもう一隻のプレジャーボートについて、<strong>“built frigate-like” 「フリゲートのように造られた」</strong>と記しています。</p>
<p>当時のフリゲートと呼ばれる船は、速力や運動性を重視して発達していた軍艦でした。果たしてペットは、どんなヨットを造ろうとしたのでしょうか。</p>
<h2>ヨットに何が求められていたのか</h2>
<p>ペットがどのようなヨットを造ろうとしたのかを考えるには、まずチャールズがオランダで出会ったヤハトが、どのように使われていたのかを見る必要があります。</p>
<p>これまでの連載で見てきたヤハトは、単に小さくて速い船ではありませんでした。</p>
<p>チャールズはオランダ滞在中にヤハトに乗り、自ら舵を取って操船しています。船で目的地まで移動するだけではなく、船を走らせることそのものを楽しんでいました。</p>
<p>オランダから英国へ贈られた Mary でも、その性格は変わりません。</p>
<p>チャールズは自ら操船し、弟のヨーク公ジェームズをはじめとする人々を乗せて走らせています。船内では食事をすることもできました。</p>
<p>大型の王室船とは異なり、必要なときに気軽に乗り、自分で操船して楽しみ、人を乗せて移動し、船内で過ごすこともできる。ヤハトには、そうした使い勝手の良さがありました。</p>
<p>そして、Mary に実際に乗ったサミュエル・ピープス（Samuel Pepys）は、もう一つ興味深いことを日記に残しています。</p>
<p>1660年8月15日、ピープスは早朝にMaryを見に行き、船内を見て、以下のような日記を残しています。</p>
<p>“In the afternoon Commissioner Pett and I went on board the yacht, which indeed is one of the finest things that ever I saw for neatness and room in so small a vessel.”</p>
<p>「午後、ペット長官と私はヨットに乗った。それは実に、これほど小さな船でありながら、その整然とした造りと広さという点で、私がこれまで見た中でも最も素晴らしいものの一つだった。」</p>
<p>彼が印象に残したのは、単に豪華だったということではありません。<strong>小さな船なのに、船内は思った以上に広かった。</strong>ここは、ヨットという船を考えるうえで重要なポイントだったのではないかと思います。</p>
<p>小さければ扱いやすくなります。しかし、人を乗せ、船内で食事をしたり、ある程度の時間を快適に過ごしたりするには、それなりの空間が必要です。速く走ることだけを考え、大勢を運ぶために大きくすればよいというわけでもない、これまでに考えられなかったコンセプトを持った船だと言うことだったのでしょう。</p>
<p>このように、残された記録を辿って重ね合わせていくと、当時のヤハトに求められていたものが少しずつ見えてきます。</p>
<p>小さく、軽快で、自ら操船を楽しめること。人を乗せて移動でき、必要な船内空間があり、快適に過ごせること。</p>
<p>ペットは、オランダで実際のヤハトを目にし、チャールズがその船をどのように楽しんでいたのかも知っていたことでしょう。</p>
<p>英国でヨットを造ることになったペットが考えなければならなかったのは、単に「ヤハトと同じ形の船を英国でどう造るか」ではなく、チャールズが求めているものを理解し、それを自らの造船経験を使って、どのような「ヨット」として形にするかということだったはずです。</p>
<h2>何故、同じくらいのサイズだったのか</h2>
<p>ペットが造った国王のヨットは、94トンでした。</p>
<p>オランダから贈られたヤハトの Mary は100トンと記録されています。細かな測定方法や史料による数字の違いには注意が必要ですが、少なくとも両船がほぼ同じ規模だったことは確かです。Royal Museums GreenwichもMaryを100 tons burden（樽が100個分の容積）、幅18フィートとしています。</p>
<p>何故、ペットがこの大きさを選んだのか。それを直接説明した記録はないのですが、</p>
<p>ただ、チャールズがMaryを含んだヤハトのどこに魅力を感じ、実際にどのようにこの船を楽しんでいたのかを考えると、この100トン前後という大きさには意味があったように思えます。</p>
<p>Maryは、チャールズ自身が操船を楽しめるほどの小さな船でした。同時に、人を乗せて移動することができ、船内で食事をしたり、ある程度の時間を過ごしたりする空間もありました。</p>
<p>ピープスがMaryに乗って驚いたのも、まさにそこでした。これほど小さな船なのに、よく整えられ、十分な空間がある。しかも、そのMaryをペット自身もピープスと一緒に見ています。</p>
<p>船を大きくすれば、船内空間を確保するのは容易になります。しかし、それでは小さな船を自ら操り、軽快に走らせるという魅力から離れてしまいます。逆に小さくし過ぎれば、王やゲストを乗せて快適に過ごすための空間を確保することが難しくなります。小さく軽快でありながら、船内には人が快適に過ごせる空間を持つ。Maryは、その二つを100トンほどの船体で実現していました。</p>
<p>ペットが94トンというよく似たサイズを選んだ理由は、どこにも記されていません。ただ、出来上がった船がMaryとほぼ同じ規模だったことから、100トン前後という大きさには、ペットが考えたヨットにとって何らかの意味があったと考えることはできます。</p>
<p>ところが、ほぼ同じ大きさで造られた二隻を見比べると、その船の造りには大きな違いがありました。</p>
<h2>2隻の決定的な違い</h2>
<p>ほぼ100トンというよく似た大きさで造られた二隻ですが、その船の造りには大きな違いがありました。</p>
<p>Maryは、オランダの水域で発達してきた純粋のヤハトです。オランダには運河や湖、沼などの非常に浅い水域が多く、そこで使われる船にはできるだけ喫水を浅くすることが求められました。Maryも比較的浅く平らな船体を持ち、船体の両側には大きなリーボード（leeboard）が取り付けられていました。リーボードは、船が風により横方向へ流されるのを抑えるための板で、現代のヨットだとフィンキールやダガーボードに相当します。</p>
<p>しかし、浅い水域を走るために船底を深くできないオランダの船では、船体の外側に大きな板を下ろし、水中で横流れを抑える方法が発達しました。これがリーボードです。</p>
<p>Maryを描いた同時代の絵を見ると、このリーボードが船体の側面にはっきり確認できます。ところが、ペットが造った英国のヨットには、それが見当たりません。</p>
<p>この船についても、ウィレム・ファン・デ・フェルデ（Willem van de Velde）が船体を詳細に描いた素描が残っています。右舷側を描いたものだけでなく、反対側の姿を確認できる資料もありますが、どちらの舷側にもMaryにあるようなリーボードは確認できません。</p>
<p>少なくとも、Maryと同じようなリーボードを備えたオランダ型の浅底船を、そのまま再現した船ではなかったことが分かります。</p>
<p>これは英国で使う船であることを考えれば、不思議なことではありません。</p>
<p>オランダのヤハトが浅い船体とリーボードを必要としたのは、浅い水域を航行するという事情があったからです。英国で国王が使うヨットに、同じ条件がそのまま求められるわけではありません。</p>
<p>そして、もう一つ手掛かりがあります。</p>
<p>以前に紹介したジョン・イヴリンは、ペットが造ったこのヨットを、<strong>“built frigate-like”――「フリゲートのように造られた」</strong>と記しています。</p>
<p>つまり、ペットが造った船には、同時代の英国人が見てフリゲートを思い浮かべるような特徴があったことになります。</p>
<p>では、なぜペットは英国最初のヨットを、フリゲート（快速艦）のような船にしたのでしょうか。</p>
<p>その理由を考えるには、ペットがこのヨットを造る以前に、どのような船を造っていたのかを見る必要があります。</p>
<h2>ペットは以前から「速い船」を造っていた</h2>
<p>ペットが造ったヨットを、ジョン・イヴリンはなぜ「フリゲートのように造られた」と表現したのでしょうか。</p>
<p>その手掛かりになる船が、ヨットの建造より15年ほど前にありました。</p>
<p>コンスタント・ウォリック（Constant Warwick ）という船です。1640年代の英国では、海上で敵船を追跡し、素早く行動できる船が求められていました。ペットは、その時代に速力を重視した新しい船の建造に関わっています。</p>
<p>後年、英国を代表する造船家となったアンソニー・ディーン（Anthony Deane）が、この船について興味深い話を残しています。</p>
<p>1690年3月7日、ディーンはサミュエル・ピープスやジョン・イヴリンと食事をしながら、英国のフリゲートについて語りました。その内容をイヴリンが日記に記録しています。</p>
<p>ディーンによれば、コンスタント・ウォリックはペットが造った船で、その目的は、“for a trial of making a vessel which would sail swiftly” 「速く帆走する船を造る試み」だったというのです。</p>
<p>この船は甲板を低くし、砲も水面に近い位置に置かれ、イヴリンの日記では “light and swift of sailing”「軽快で、帆走の速い船」と記されています。</p>
<p>コンスタント・ウォリックはキール長約85フィート、幅約26フィート、300トンを超える船で、後に国王のために造るヨットとは大きさも用途もまったく違い、軍用船です。</p>
<p>重要なのは、同じ船を小さくしてヨットにしたということではありません。ペットはヨットを造るずっと以前から、「どうすれば船を速く走らせることができるのか」という課題に取り組んでいた造船家だったということです。</p>
<p>さらに、サミュエル・ピープスが残した海軍関係の記録には、ペットがテムズ川で見たフランスのフリゲートを参考にした、という話も伝えられています。外国の速い船を見て、その特徴を自分の造船に取り込もうとしていたことになります。ただし、この記録には建造年など後世の史料間で食い違いがあるため、細部は不明です。</p>
<p>つまりペットにとって、船の速さはヨットを造ることになって初めて向き合った問題ではありませんでした。</p>
<p>速い船とはどのような船なのか。船体をどう造れば、より軽快に走らせることができるのか。ペットはすでに、それを実際の船を造りながら考えてきた経験を持っていました。</p>
<p>そのペットが約15年後、今度は国王のために100トンの小さなヨットを造ります。</p>
<p>そして出来上がった船を、同時代のイヴリンは“built frigate-like”――「フリゲートのように造られた」と記しました。</p>
<p>この二つの記録を重ねると、ペットが英国で最初のヨットをどのように考えたのか、その輪郭が少しずつ見えてきます。</p>
<h2>小さな船に広い船内をつくる</h2>
<p>速く、軽快に走ることだけが、ヨットに求められていたわけではありません。ペットがMaryに乗った1660年11月8日、同行していたピープスは、その船についてこう記しています。</p>
<p>“one of the finest things that ever I saw for neatness and room in so small a vessel.”</p>
<p>「これほど小さな船でありながら、その整った造りと広さは、これまで見た中でも最も素晴らしいものの一つだった。」</p>
<p>ピープスが驚いたのは、小さな船体の中に十分な空間があったことでした。そして、その場にはペットもいました。</p>
<p>これは、これから国王のヨットを造るペットにとっても、実際に目にしたMaryの大きな特徴の一つだったはずです。しかし、小さな帆船の船内を広くするのは簡単ではありません。</p>
<p>帆を張って走る船には、風によって船体が傾こうとする力に抵抗するための復原力が必要です。Maryのような浅く幅の広いオランダのヤハトと、より深い船体を持つ英国の船では、その確保の仕方も同じではありません。</p>
<p>ここで問題になるのがバラストです。</p>
<p>当時の帆船では、船底部に石などの重量物を積んで船を安定させる方法が一般的に使われていました。しかし、小さなヨットに大量の石を積めば、それだけ船内の低い部分が占有されます。</p>
<p>実際、ペット一族が後にヨットを建造した際には、この問題が記録に現れています。</p>
<p>石のバラストではキャビンの空間を大きく占めてしまうため、より小さな体積で同じ重量を確保できる鉛のバラストを使いたいという話が出てきます。これは単なる材料選びの話ではありません。</p>
<p>同じ重さなら、鉛は石よりはるかに小さな体積で済みます。限られた大きさのヨットでは、その違いが船内に使える空間の違いになります。</p>
<p>Maryを見たピープスが「これほど小さいのに広い」と驚いたこと。そして英国でヨットを造る際には、バラストがキャビンを狭くしてしまうことまで問題になっていたこと。</p>
<p>この二つの記録を重ねると、初期のヨットで求められていた「快適さ」が、単に豪華な家具や装飾の話ではなかったことが見えてきます。</p>
<p>小さく軽快な船でありながら、人が過ごすための空間も確保する。</p>
<p>それもまた、ヨットを造るうえで考えなければならない大切な条件だったのです。</p>
<h2>ペットが考えたヨット</h2>
<p>ここまで見てきたことを重ねると、ペットがどのようなヨットを造ろうとしていたのかが、少しずつ見えてきます。</p>
<p>チャールズがオランダで気に入ったヤハトは、小さく軽快で、自ら舵を取って操船を楽しめる船でした。人を乗せて移動することができ、船内で食事をしたり、くつろいだりする空間もありました。</p>
<p>英国へ贈られたMaryは約100トン。ペットが造った国王のヨットも94トンと、ほぼ同じ規模でした。</p>
<p>しかし、出来上がった船はMaryと同じ造りではありませんでした。</p>
<p>Maryには、浅いオランダの水域を走るための平たく浅い船体と、大きなリーボードがありました。ペットが造ったヨットには、そのリーボードが見当たりません。</p>
<p>そして、完成した船を見たジョン・イヴリンは、“built frigate-like”「フリゲートのように造られた」と記しています。</p>
<p>ここで、ペットがそれまでどのような船を造ってきたのかが意味を持ってきます。</p>
<p>ペットはヨットを造る約15年前、コンスタント・ウォリック（Constant Warwick）の建造に携わっていました。後に「速く帆走する船を造る試み」だったと語られ、「軽快で、帆走の速い船」と評された船です。</p>
<p>ペットには、ヨットを造る以前から、速く走る船をどのように造るかを実際の建造を通じて考えてきた経験がありました。</p>
<p>オランダのヤハトが浅い船体とリーボードを必要としたのには、浅い水域を走るという理由がありました。英国で使うヨットに、その条件をそのまま持ち込む必要はありません。</p>
<p>そこでペットが、自分がすでに知っていた英国の快速船の造船技術を使ってヨットを造ろうと考えたとしても、不思議ではありません。</p>
<p>もちろん、ペット自身が「オランダ型の船底は使わず、フリゲートの船型を採用した」と書き残した記録は見つかっていませんし、完成した船の水線下を正確に示す線図も残されていないので、実際にどのような船底だったのかまではわかりません。それでも、残されたものを並べてみることはできます。</p>
<p>ほぼ100トンというMaryに近い大きさ。<br />
リーボードを持たない船体。<br />
イヴリンの残した「フリゲートのように造られた」という言葉。<br />
そして、ペット自身がそれ以前から速い船の建造に携わっていたという事実。</p>
<p>さらに、ヨットには速さだけではなく、小さな船体の中に人が快適に過ごせる空間も必要でした。後のヨット建造では、石のバラストがキャビンを狭くしてしまうことまで問題になっています。</p>
<p>こうして見ていくと、ペットがオランダで見たヤハトの形そのものを英国へ持ち帰ろうとしたのではなかった可能性が見えてきます。</p>
<p>彼が理解しようとしたのは、もっと別のものだったのではないでしょうか。</p>
<p><strong>小さく、軽快に走り、自ら操船を楽しめる。それでいて、人を乗せて快適に過ごすことができる。</strong>そうしたオランダのヤハトの魅力を、ペットはそれまで自分が培ってきた英国の造船技術を使って、一隻のヨットとして形にしたのです。</p>
<p>残された船と記録からは、そんなペットの考え方を読み取ることができます。</p>
<h2>もう一隻造られたヨット</h2>
<p>ペットがチャールズ2世のためのヨットを造っていた頃、英国ではもう一隻のヨットが造られていました。</p>
<p>造っていたのは、ピーター・ペットの弟クリストファー・ペット（Christopher Pett）です。こちらはチャールズの弟、ヨーク公ジェームズ（James, Duke of York）のためのヨットでした。</p>
<p>こちらもどうぞ約100トンとされ、国王のために造られた94トンのヨットと、ほとんど同じ規模でした。</p>
<p>つまり、当時の英国にはオランダから贈られたMaryが約100トン、国王のために造られたヨットが94トン、そしてヨーク公のために造られたヨットも約100トンと、最初期のヨットがいずれもよく似た大きさで揃うことになります。</p>
<p>ただし、ヨーク公のヨットについては、国王のヨットほど船の姿が分かっていません。主要寸法などの記録は残されていますが、今回確認した範囲では、船体の特徴を詳しく読み取れる確実な同時代の図像は見つかっていません。更に、なぜ国王とヨーク公のためにほぼ同時に二隻を造ることになったのか、なぜピーターとクリストファーがそれぞれ一隻ずつ担当したのか、それを直接説明する記録も見つけることはできませんでした。</p>
<p>重要なのは、英国で始まったヨット造りが、国王のための一隻だけではなかったことです。</p>
<p>チャールズとヨーク公。それぞれのために、ほぼ同じ100トン前後のヨットが、ペット一族の二人の造船家によって造られていました。</p>
<p>英国で「ヨット」という新しい船を造る試みは、最初から一隻だけで始まったわけではなかったのです。</p>
<h2>最後に…</h2>
<p>ここまで「国王のために造られたヨット」について調べてきましたが、この最初のヨット建造コンセプトは、現代のものまで一貫して言えることは、<strong>小さく、軽快に走り、自ら操船を楽しめる。それでいて、人を乗せて快適に過ごすことができる。</strong>ということで、現代ヨットの幕開けはこの2隻であったと言って過言ではないわけです。</p>
<p>ところで、このチャールズ2世の為に建造された英国最初のヨットにはKatherine（キャサリン）という船前が付けられました。</p>
<p>この名前は、チャールズ2世の妻となるキャサリン・オブ・ブラガンザ（Catherine of Braganza）にちなんだものとされています。後世のヨット史にも、『この船はピーター・ペットが国王のためにデプトフォードで建造し、王妃にちなんで名付けられた』と記されています。</p>
<p>ただ、ここには少し気になることがあります。</p>
<p>このヨットが造られた1661年、キャサリンはまだ英国に来ていませんでした。チャールズとの婚姻交渉が進んでいた時期で、実際に英国へ渡って結婚するのは翌1662年です。</p>
<p>つまり、英国で造られた最初の国王のヨットには、まだ英国へやって来ていない、これから王妃となるかもしれない女性の名前が付けられたことになります。</p>
<p>誰がKatherineという名前を選び、いつ正式にそう呼ばれるようになったのか。それを示す記録は、今回調べた範囲では見つけることができませんでした。</p>
<p>そして、もう一隻、クリストファー・ペットがヨーク公のために造ったヨットにも名前が付けられています。Anne（アン）。</p>
<p>こちらはヨーク公の妻アン・ハイド（Anne Hyde）にちなんだ名前とされています。つまり、英国でほぼ同時に造られた最初の2隻の王室ヨットには、それぞれ兄チャールズと弟ジェームズの伴侶となる女性の名前が付けられていたことになります。</p>
<p>けれど、チャールズ2世がオランダで出会ったヤハトをきっかけに英国で始まったヨット造り。その最初の一隻が、これから英国に迎える女性の名前を先に掲げていたというのは、なにか訳アリな感じがしますね。</p>
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		<title>ヨット用語に戸惑う　〜ギャレー編〜</title>
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		<pubDate>Fri, 02 Oct 2026 19:46:48 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[ヨット用語]]></category>
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					<description><![CDATA[ヨットでは、料理をする場所を「キッチン」とは呼ばず、「ギャレー（Galley）」と呼びます。ヨットに乗っている人のみならず、船乗りなら当たり前のように使っている言葉ですが、考えてみれば少し不思議です。 家ならキッチン、レ [&#8230;]]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>ヨットでは、料理をする場所を「キッチン」とは呼ばず、「ギャレー（Galley）」と呼びます。ヨットに乗っている人のみならず、船乗りなら当たり前のように使っている言葉ですが、考えてみれば少し不思議です。</p>
<p>家ならキッチン、レストランなら厨房。それが船だと、なぜ「ギャレー」というまったく違う名前になるのでしょうか。</p>
<p>Galleyという言葉を調べてみると、現在の「船の厨房」とはまったく関係のない意味も出てきます。さらに時代を遡ってみると、昔の船では現在とは違う呼び方が使われていたことも分かりました。</p>
<p>では、いつから船のキッチンを「ギャレー」と呼ぶようになったのか。そして、なぜその名前が使われるようになったのでしょうか。</p>
<p>今回は、普段何気なくヨット乗りが使っている「ギャレー」という言葉について、深掘りしてみたいと思います。</p>
<p><img decoding="async" class="aligncenter size-full wp-image-8962" src="https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0553.png" alt="" width="300" height="300" srcset="https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0553.png 300w, https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0553-150x150.png 150w" sizes="(max-width: 300px) 100vw, 300px" /></p>

<h2>もともと船を表す言葉だった</h2>
<p>英語の「galley」は、帆だけではなく、多くの櫂を使って進む細長い船「ガレー船」を表す言葉として、厨房という意味で使われるようになる何百年も前から使われている言葉です。</p>
<p>ガレー船は古代から地中海で使われてきた船で、船体は細長く、左右に多くの櫂を並べ、大勢の漕ぎ手によって進みました。風があれば帆も使いますが、風向きに左右されず、人の力で走らせることができるのが大きな特徴です。特に軍船としては、相手との距離を詰めたり、港への出入りをする際に、風を待たずに動けることが大きな利点でした。</p>
<p>英語の「galley」は、古フランス語の「galie」「galee」、中世ラテン語の「galea」、さらに後期ギリシャ語の「galea」へ遡るとされています。</p>
<p>古代ギリシャ語には γαλέη / γαλῆ（galéē / galê）という、イタチなどの小動物を意味する言葉があります。イタチの細長い体つきと船の細長い船体が似ていることから、このように呼ばれるようになったという説もあります。</p>
<p>英語では13世紀頃には、すでにこの種の船を指す言葉として「galley」が使われていました。</p>
<p>「ガレー船」と聞くと、鎖につながれた奴隷や囚人が櫂を漕いでいる姿を思い浮かべるかもしれません。実際、近世ヨーロッパでは囚人や奴隷を漕役に使ったガレー船が存在し、「galley slave」という言葉も生まれました。しかし、古代からすべてのガレー船を奴隷や囚人が漕いでいたわけではありません。時代や地域によっては、自由民や賃金を受け取る漕ぎ手も使われています。</p>
<p>つまり「Galley」という言葉には、現在の「船の厨房」という意味よりはるかに長い、ある種類の船を表す言葉としての歴史があります。</p>
<p>そうなると、なぜ船の厨房をGalley（ギャレー）と呼ぶようになったのかを考える時、最初に思いつくのは単純に「ガレー船に厨房があったからではないか」ということです。</p>
<p>実際に「Galley＝船の厨房」の由来を調べると、ガレー船との関係で説明されているものもあります。</p>
<p>では、当時のガレー船では、料理をする場所を何と呼んでいたのでしょうか。</p>
<p>ガレー船にも、多くの乗員の食事を作るために火を使う場所がありました。それを船の種類と同じ「Galley」と呼んでいたのでしょうか。</p>
<p>実際の記録を調べてみると、そう単純ではありません。</p>
<p>地中海のガレー船では、火を使って調理する場所を「フォウゴン（fougon）」や「フォゴン（fogon）」、イタリア語では「フォコーネ（focone）」などと呼んでいました。18世紀フランスの『百科全書（Encyclopédie）』にも「FOUGON」という海事用語が掲載されています。</p>
<p>1757年の記述では、船員がこの言葉を小型船で料理をする場所の意味に使うと説明したうえで、「ガレー船のfougonは、漕ぎ手のベンチの中央にある」と書かれています。</p>
<p>さらに古い記録にも、この言葉は登場します。</p>
<p>15世紀のヴェネツィアの船乗りマイケル・オブ・ローズ（Michael of Rhodes）が残した航海・造船関係の記録にも「fogon」が登場し、船上の調理用火床を表す言葉として使われています。</p>
<p>ガレー船のfougonは、現代のヨットにあるようなシンクや収納、調理台までを備えた「キッチン」ではありません。火を安全に使うための火床を設け、その上に鍋などを掛けて調理するだけの場所でした。</p>
<p>つまり、少なくとも確認できる地中海のガレー船の記録では、調理場所を「Galley」と呼んでいたわけではなく、「fougon」「fogon」「focone」といった別の言葉が使われています。</p>
<p>ここまで調べると、一つの疑問が生まれます。</p>
<p>もし現在の船の厨房をGalleyと呼ぶ理由が、単純に「ガレー船の調理場をGalleyと呼んでいたから」なのであれば、当時のガレー船で調理場所を指す言葉としてGalleyが使われていてもよさそうです。</p>
<p>もちろん、これだけで現在の厨房を意味するGalleyとガレー船との関係を否定することはできません。ガレー船そのものを意味するGalleyという言葉から、後になって船の調理場所を意味するようになった可能性もありますか、しかし「ガレー船の厨房をGalleyと呼んでいた。それが現在まで残った」という単純な説明ではないように思うのです。</p>
<h2>英国船ではCook-roomと呼ばれていた</h2>
<p>現代では船の厨房のことを「Galley」と呼びますが、昔の英国船では「Cook-room（クックルーム）」という、かなり分かりやすい言葉が使われていました。</p>
<p>Cook-roomという言葉の歴史を遡ると、少なくとも16世紀まで確認することができます。</p>
<p>1553年、英国から北東航路を探すために出航した ヒュー・ウィロビー（Hugh Willoughby）と リチャード・チャンセラー（Richard Chancellor）の航海に関する規則には、「Cook-roomやその他の場所を清潔に保つこと」という指示が残されています。</p>
<p>さらに17世紀に入っても、この呼び方は使われています。</p>
<p>船乗りで探検家でもあった ジョン・スミス（John Smith）は、1627年の『A Sea Grammar』で、船内で食事を調理する場所を「Cooke-roome」と呼んでいます。</p>
<p>当時のCook-roomは、現代のキッチンとはかなり違うものでした。</p>
<p>電気もガスもありませんから、実際に火を焚かなければ料理はできません。古い英国船では、レンガなどで造られた火床や炉を設け、薪などを燃やして調理していました。大人数が乗る軍艦では、一度に大量の食事を用意しなければなりません。そこで問題になるのが、その火を船のどこで使うかです。</p>
<p>木造船の中で火を焚くのですから、場所を間違えれば火災につながります。また、Cook-roomから出る熱は、周囲に積まれた食料にも影響しました。</p>
<p>ジョン・スミスは、Cook-roomを船倉に置くと、その熱によって食料を傷めることがあると書いています。商船では船倉を貨物に使いたいという事情もあり、フォアキャッスルにCook-roomを設ける例もありました。</p>
<p>当時の船で料理をするには、単にCook-roomの場所を決めればよいわけではありません。木造船の中で毎日火を使う以上、火災を防ぎ、熱や煙を逃がしながら、安全に調理できる設備をどう設けるかという問題がありました。</p>
<p>そして重要なのは、この時代の英国船では、その場所を「Galley」ではなく「Cook-room」と呼んでいたことです。</p>
<p>16世紀はCook-room。17世紀もCook-room。ところが18世紀になると、それまでとは違う言葉が海事用語の記録に突然現れます。</p>
<h2>1750年に現れた「Gally」</h2>
<p>1750年、英国でトーマス・ライリー・ブランクリー（Thomas Riley Blanckley）が『A Naval Expositor』という海事用語集を出版しました。この本には、船の構造、艤装、装備、船員の役職など、当時の英国船で使われていたさまざまな海事用語が収録されています。</p>
<p>その中に「Gally」という見出しがあります。（現在の「Galley」とは綴りが少し違います。）ブランクリーはGallyを、次のように説明していす。</p>
<p>Gally is a Place in the Cook-Room, where the Grates are set up, and in which they make Fires, for boyling or roasting the Victuals.</p>
<p>日本語にすると、「Gallyとは、Cook-roomの中でGrates（グレイツ／火格子）を設置し、そこで火を焚いて食料を煮たり焼いたりする場所」となります。</p>
<p>ここで注目すべきなのは、ブランクリーが「Gallyとは船の厨房である」とは書いていないことです。同書には「Cook-room」という項目が別にあり、船によってフォアキャッスル、ミドルデッキ、デッキ下のプラットフォームなど、設置場所が異なるとも説明されています。</p>
<p>つまり1750年の段階では、Cook-room＝料理をする部屋、Gally＝Cook-roomの中で実際に火を使う場所として、二つの言葉が区別されています。</p>
<p>では、Gallyにあった「Grates」とは、どんなものだったのでしょうか。</p>
<p>Grateは火格子です。鉄の格子の上に薪などの燃料を置いて燃やすことで、格子の隙間から空気が入り、燃えた後の灰が下へ落ちます。ブランクリーは「Grates」という項目も設け、「Cook-roomに設置し、食料を調理するために火を焚くもの」と説明しています。</p>
<p>Cook-roomには、鍋を吊るすための金具、火を扱うフォーク、シャベル、トング、肉を焼くための串を載せるラック、オーブンの鉄製の蓋などもありました。さらに煙を外へ逃がす煙突があり、ブランクリーはこれを銅製で、フォアキャッスルに設けられていたと説明しています。</p>
<p>こうして見ると、当時のGallyがどんな場所だったのか、かなり具体的に想像できます。</p>
<p>現代のヨットでいうシンクや冷蔵庫、収納までを含めた「ギャレー」とはかなり違います。</p>
<p>1750年にGallyと呼ばれていたのは、Cook-roomの中でも、火格子を据え、実際に火を焚き、鍋を扱い、肉を焼く場所でした。いわば、Cook-roomの中の「加熱調理をする場所」です。</p>
<p>そして、ここに大きな疑問が残ります。</p>
<p>英国船では、それ以前から料理をする部屋をCook-roomと呼んでいました。それなら、何故その中の火を使う場所だけを、わざわざ「Gally」と呼ぶようになったのでしょうか。</p>
<p>ブランクリーは Gally が何であるかは説明しています。しかし、何故それをGallyと呼ぶのかについては説明が無いのです。</p>
<h2>なぜ「Gally」と呼ばれるようになったのか</h2>
<p>最初に考えられるのは、やはり「ガレー船（Galley）」との関係です。</p>
<p>Galley という言葉は13世紀頃にはガレー船を表す言葉として英語で使われていました。それが18世紀になると、船の調理場所という別の意味でも使われるようになります。</p>
<p>現在の語源辞典でも、「船上の調理炉、または調理室」という意味の Galley は1750年頃から確認されると書かれています。</p>
<p>それなら、ガレー船にあった調理場所が由来なのではないかと、そう考えたくなります。しかし、ここまで見てきたように、ガレー船の調理場所には別の呼び名があり、英国船には以前からCook-roomという言葉もありました。</p>
<p>では、ガレー船にあった火床と似ていたため、英国の船員がGallyと呼ぶようになったのでしょうか。これも考えられる説明ではありますが「ガレー船の火床に似ているのでGallyと呼んだ」と説明する当時の記録を探してみましたが確認できません。</p>
<p>もう一つ、18世紀に船の調理設備が変化したことで、新しい調理設備をGallyと呼ぶようになったという説明もあります。船内で火を扱う設備は、鉄を多く使い、火を囲い込み、鍋を安定させ、煙を煙突から外へ出す構造へと発達していきました。しかし、1750年のブランクリーが説明するGallyは、調理器具そのものの名称ではありません。火格子であるGratesは、別項目として説明されていますが、Gallyはあくまで、それを設置して火を使う「Place（場所）」を指す言葉です。ここでも「新しい調理設備が登場したので、それをGallyと呼んだ」という説明だけでは、辻褄が合いません。</p>
<p>結局、1750年の記録から確実に分かるのは、それまで英国船では料理をする部屋をCook-roomと呼んでいたこと。そして、そのCook-roomの中で実際に火を使う場所を、遅くとも1750年にはGallyと呼んでいたことです。</p>
<p>ところが、なぜその場所をGallyと呼んだのかについて、ブランクリーは何も説明していません。</p>
<p>もしかすると、「Galley」という綴りを見たことで、最初からガレー船との関係ばかりを考えていたのかもしれません。</p>
<h2>もう一つの「gally」という言葉</h2>
<p>ここで「Gally」という言葉そのものを、もう少し調べてみます。</p>
<p>1750年にブランクリーが記録した「Gally」は、現在使われている「Galley」とは綴りが違います。当時は英語の綴りが現在ほど完全に統一されていなかったため、Gallyを単にGalleyの異なる綴りと考えることもできます。実際にGallyがガレー船を意味するGalleyの異綴りとして使われた例もあります。</p>
<p>ところが当時の英語には、ガレー船とは語源の異なる「gally」という言葉も存在していました。</p>
<p>一つは「苦い」という意味です。<br />
胆汁を意味する「gall」に由来する言葉で、「胆汁のような」「苦い」という意味を持つ古英語です。1665年、ロバート・フック（Robert Hooke）は『Micrographia』の中で「gally poisonous liquor（胆汁のように苦い毒液）」という表現を使っています。</p>
<p>さらに別の意味の「gally」もあります。<br />
動詞で「怖がらせる」「怯えさせる」「悩ませる」といった意味を持つ言葉です。1700年には英国の作家トム・ブラウン（Tom Brown）が、人々が怯えている様子を「gallied」と表現した実例が残っています。1787年にフランシス・グロース（Francis Grose）が出版した『A Provincial Glossary』にも、GALLIED ― Frightened　つまり「Gallied＝怖がった、怯えた」と記されています。</p>
<p>ここで注意しなければならないことがあります。「苦い」というgallyと、「怖がらせる」というgallyは、同じように綴りますが、語源まで辿ると同じ言葉ではありません。そしてもちろん、これらが1750年に記録されたCook-roomのGallyの語源だったという証拠もありません。</p>
<p>しかし、ここで分かることがあります。</p>
<p>1750年前後の英国で「gally」という音を持つ言葉は、ガレー船だけを意味していたわけではなかったと言うことです。</p>
<p>ガレー船を表すGally。「苦い」というgally。「怖がらせる、怯えさせる」というgally。綴りや発音が近い、異なる由来の言葉が同じ時代に存在していたことは確かな事実です。</p>
<h2>当時の船員たちだけに通じる言葉</h2>
<p>船には、そこで働く船員たちの間で使われる独特の言葉が数多くありました。</p>
<p>帆や索具、操船などに関する専門用語だけではありません。</p>
<p>仲間同士で使う俗語や、皮肉を込めた言い回し、陸上の人には意味が分からないような言葉も使われていました。</p>
<p>こうした船員言葉がどれほど独特だったのかを知ることができる資料があります。</p>
<p>1867年に出版されたウィリアム・ヘンリー・スミス（William Henry Smyth）の『The Sailor’s Word-Book』です。スミスは英国海軍の軍人で、長年にわたって集めた海事用語をこの辞典にまとめました。その序文で、スミスは船員が使う俗語を「galley-slang」と呼び、こうした言葉については、士官でさえ意味が分からなくなることがあるため、説明する必要があるとしています。</p>
<p>実際に軍法会議で、上官に無礼な言葉を使ったとして船員が裁かれた際、その船員が使った言葉は、言い方によって敬意とも無礼とも受け取ることができ、意味の曖昧さが船員側に有利に扱われたという例まで紹介しています。</p>
<p>つまり船の上には、一般的な英語とは少し違う、船員たち独特の言葉の世界があったのです。</p>
<p>そして『The Sailor’s Word-Book』で「Galley」の周辺を見ると、興味深い言葉が並んでいます。</p>
<p>Galley-growlers：仕事をせず、不平ばかり言っている者たち。<br />
Galley-packet：根拠のない噂。<br />
Galley-pepper：調理中に食べ物の中へ偶然落ちる煤や灰。<br />
Galley-stoker：仕事を避ける怠け者。<br />
Galley-slang：新しく船員言葉に持ち込まれた俗語や、一般的な英語から見れば奇妙に聞こえる言葉。</p>
<p>こうして並べてみると、Galley-〇〇 という言葉を使った船員独特の表現がいくつも存在したことが分かります。</p>
<p>不平を言う者。仕事から逃げる者。根拠のない噂。料理に落ちる煤や灰。</p>
<p>少なくともGalleyを使った船員俗語には、上品で格式のある言葉とはかなり異なる、皮肉や不満を感じさせるものが目立ちます。</p>
<p>もちろん、これだけを理由に「Galleyという言葉そのものに悪い意味があった」と考えることはできません。<br />
これらの言葉が記録されたのも、GallyがCook-roomの火を扱う場所として記録された1750年より後の時代です。</p>
<p>ただし、ここで重要なのは個々の言葉の語源ではありません。船員たちは、自分たちが毎日働く船の中で、一般社会とは少し違う言葉を作り、それを仲間同士で使っていました。時には士官でさえ、その言葉が何を意味するのか判断できないことがあったほどです。</p>
<p>だとすれば、1750年に海事用語集へ記録された「Gally」についても、最初から正式な設備名称として生まれた言葉だと考える必要はないのかもしれないという推論です。</p>
<p>それ以前から船員たちの間で使われていた現場言葉的な呼び名を、ブランクリーが海事用語として記録した可能性も否めないわけです。</p>
<h2>Gallyはどんな場所だったのか</h2>
<p>1750年に「Gally」と呼ばれていた場所へ、もう一度戻ってみましょう。</p>
<p>ブランクリーの説明では、そこはCook-roomの中でもGratesを据え、実際に火を焚いて食料を煮たり焼いたりする場所でした。</p>
<p>ここで陸上の厨房との大きな違いがあります。</p>
<p>船は動きます。</p>
<p>波があれば船体は左右にロールし、前後にピッチします。突然大きく傾くこともあります。その中で火を焚き、鍋を扱わなければなりません。鍋の中に入っているのは熱湯や熱々のスープ、煮汁など、熱い液体を大量に扱うこともあります。船が大きく揺れれば、鍋が揺れ動く。中身がこぼれる。熱い液体が人にかかる可能性もある。火格子から燃えている燃料や火の粉が飛ぶことも考えられます。</p>
<p>実際、17世紀の木造船では火災を非常に警戒していました。</p>
<p>当時の船員エドワード・バーロウ（Edward Barlow）は、料理人が夜に火を十分に消さなかったことが原因となった船内火災について記録しています。</p>
<p>1668年には、別の作業で加熱していたロジンと獣脂が鍋から吹きこぼれて火の中へ入り、炎となって甲板へ広がり、船が火災になりかけた出来事も記録しています。</p>
<p>船の上で火を使うということ自体が、慎重さを必要とする作業だったことが分かります。</p>
<p>17世紀のスウェーデン軍艦ヴァーサ（Vasa）の調理設備を調査した研究でも、木造部分から火を隔離するために大量のレンガが使われ、大きな鍋を吊り下げて使用していた構造が復元されています。</p>
<p>そして、もう一つ忘れてはいけないのが「熱」です。</p>
<p>火を焚けば、その周囲は当然熱くなります。煙は煙突から逃がせても、火の熱までなくなるわけではありません。煤や灰も出ます。</p>
<p>後世の船員が、料理の中へ偶然落ちる煤や灰を「Galley-pepper」と呼んでいたことからも、Galleyが煤や灰と無縁な場所ではなかったことが分かります。</p>
<p>火を焚く。鍋を扱う。肉を焼く。煤や灰が出る。しかも、その足元にある船そのものが揺れ動いている。現在のヨットでも、コンロをジンバルで支持したり、鍋が滑ったり落ちたりしないようにポットホルダーを使ったりします。それでも荒れた海での調理は大変な仕事です。まして18世紀の木造船です。</p>
<p>1750年にGallyと呼ばれていた場所は、単に「料理をする場所」というだけではありません。Cook-roomの中でも特に熱く、火を扱い、揺れる船の上では火傷や火災にも注意しなければならない、危険と隣り合わせの作業場所だったと考えるのが自然です。</p>
<p>では、そんな場所を、なぜ船員たちは「Gally」と呼んでいたのでしょうか。</p>
<p>ここまで見てきた記録を重ねてみると、一つの可能性が見えてきます。</p>
<h2>最後に… Gallyは船員から生まれた言葉では？</h2>
<p>ここからは、記録に残された事実ではなく、これまで調べてきた様々な角度からの検討結果による、MALU SAILING的な推論です。</p>
<p>現代でも、厳しい仕事をする人たちの間では、その職場や作業を皮肉たっぷりに独特の呼び方で表すことがあります。</p>
<p>つらい仕事を皮肉たっぷりの言葉で呼んだり、仲間内にしか分からない言葉で不満を言ったり、嫌な仕事を笑いに変えたりする。</p>
<p>辛い仕事をする船員たちにも、このような似たような言葉の使い方があったとしても不思議ではありません。</p>
<p>実際に、後世の記録には船員独特の俗語が数多く残り、士官でさえ意味を理解できない場合があったと記録されています。</p>
<p>そして当時の英語には、ガレー船としての意味とは関係のない「gally」という言葉も存在していました。「胆汁のように苦い」というgally。「怖がらせる」「怯えさせる」といった意味のgally。</p>
<p>これらの言葉がCook-roomのGallyの直接の語源ではないのか？</p>
<p>船員たちが言葉を考え作るときに、辞書に書かれた語源を考えて名付けたり、呼んだり、使ったりするわけではありません。音が似ている言葉を掛けたり、皮肉を込めたり、仲間同士で独自の意味を持たせたりすることがあります。</p>
<p>もしかすると Gally も、そうして生まれた船員たちの現場ことば、いわゆる 隠語やスラングのようなものがはじまりだったのではないか？</p>
<p>そして、もともとはCook-room全体を表す正式な名前ではなく、その中でも火を扱う、熱く、汚れ、危険も伴う持ち場を、そこで働く船員たちが皮肉を込めて「Gally」と呼んでいた。そこで働かなくても、あそこは「最悪だ」的な言葉として、船員たちの間でgallyという言葉が、いろんなところにも派生するようになった。</p>
<p>「Gally」と言えば仲間には分かる。</p>
<p>それが船から船へ伝わり、いつの間にか船員なら誰でも知っているスタンダードな言葉になった。</p>
<p>そして1750年、ブランクリーが海事用語を集めた時には、用語集に載せるほど、船乗りの間ではスタンダードな船員言葉になっていた。</p>
<p>そう考えれば、Gallyという言葉について「誰が名付けた」「何を語源とした」という記録が見つからないことも、これならそれほど不思議ではありません。</p>
<p>さらに時代が進むと、辛く熱い苦しい場所であるGallyは様々な工夫や改良を経て、いつしか火を使いながらも安全で、それほどは辛い場所でもないものとなり、やがて調理場全体を表す言葉「Galley」へと意味を広げていったのではないかというストーリーです。</p>
<p>今回のテーマを深掘りする中で、ギャレーの語源についての諸説をそれぞれ細かく検証してみました。特に気をつけたことが、きちんと検証可能な記録がある事実であることかどうかです。しかし、どれひとつとして、腑に落ちるところまでの結果を得ることができない。何かこじつけ的な無理を感じる説ばかりなのです。そして、考えられる仮定を片っ端から検証作業をして、ようやく辿り着いたのが、Galleyとは、そこで働いていた船員たちの思いや苦悩を現し使い始めた言葉から由来したのかもしれないと言うことだったのです。因みにこの説は、これまでに誰も発表したことの無い MALU SAILINGオリジナルの仮説であることを最後に記しておきます。</p>
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		<title>ヨットのプロペラ 「トラブルシュート編」</title>
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		<dc:creator><![CDATA[malusailing]]></dc:creator>
		<pubDate>Thu, 01 Oct 2026 17:00:45 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[ヨットのメンテナンス]]></category>
		<category><![CDATA[エンジン回転数]]></category>
		<category><![CDATA[オーバープロップ]]></category>
		<category><![CDATA[トラブルシュート]]></category>
		<category><![CDATA[フェザリングプロペラ]]></category>
		<category><![CDATA[フォールディングプロペラ]]></category>
		<category><![CDATA[プロペラ]]></category>
		<category><![CDATA[メンテナンス]]></category>
		<category><![CDATA[ヨット]]></category>
		<category><![CDATA[ヨットエンジン]]></category>
		<category><![CDATA[振動]]></category>
		<category><![CDATA[船速]]></category>
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					<description><![CDATA[ヨットで機走中に、「以前と何か違う」と感じたことはないでしょうか。 いつものようにスロットルを開けても、何となく走りが重い。以前にはなかった振動を感じる。エンジンは普通に動いているようなのに、どうもしっくりこない。 長く [&#8230;]]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>ヨットで機走中に、「以前と何か違う」と感じたことはないでしょうか。</p>
<p>いつものようにスロットルを開けても、何となく走りが重い。以前にはなかった振動を感じる。エンジンは普通に動いているようなのに、どうもしっくりこない。</p>
<p>長く乗っているヨットなら、オーナーには「いつもの感じ」があります。</p>
<p>何回転くらいで、どのくらいの船速になるのか。スロットルを開けたときに、どんな感じで回転数が上がっていくのか。機走中に船体へ伝わってくる振動や、エンジンの音も含めて、毎回数字を記録していなくても身体で覚えているものがあります。</p>
<p>だからこそ、ほんの少しの変化でも「何か違う」と感じることがあります。</p>
<p>ところが、ヨットのプロペラは船尾の水中にあります。エンジンなら、音を聞くこともできます。回転数や水温などを計器で確認することもできます。エンジンルームを開ければ、目で見ることもできます。</p>
<p>プロペラはそうはいきません。機走中に直接その状態を見ることはできないのに、プロペラに何か起これば、その変化は回転数や船速、振動など、別の形になって現れます。</p>
<p>では、「何かおかしい」と感じたとき、どこを見ればよいのでしょうか。</p>
<p>そして、その違和感がプロペラに関係するものなのか、それとも別のところに原因があるのか、どうやって切り分けていけばよいのでしょうか。</p>
<p>今回は、機走中に現れるいくつかの症状を手掛かりに、見えない水中にあるプロペラのトラブルシュートについて考えてみたいと思います。</p>
<p><img decoding="async" class="aligncenter size-full wp-image-8934" src="https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0481.png" alt="" width="300" height="300" srcset="https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0481.png 300w, https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0481-150x150.png 150w" sizes="(max-width: 300px) 100vw, 300px" /></p>

<h2>その違和感、いつから？</h2>
<p>プロペラに関係していそうな違和感を感じたとき、最初に考えたいのは、その症状がいつから始まったのかです。</p>
<p>それまで問題なく機走していたヨットなら、現在のプロペラのダイヤメーターやピッチが、ある日突然そのヨットに合わなくなることは通常では考えられません。</p>
<p>何か別の変化が起きたと考えるほうが自然です。</p>
<p>ここで思い出したいのが、違和感を感じるようになる直前に何かなかったかです。</p>
<p>例えば、上架して船底やプロペラを整備した。プロペラを脱着した。エンジンや減速機、セイルドライブを整備した。海中の浮遊物などに接触した。ロープや釣り糸を巻き込んだなどなど…。</p>
<p>はっきりした出来事を自覚していない場合もあります。</p>
<p>重要なのは、「プロペラがおかしいのではないか」と考えるだけではなく、正常だったときと現在との間で、何か変わったことが起きなかったのかを探すことです。</p>
<p>例えば、上架整備の後から振動が出るようになったのであれば、「整備したばかりだからプロペラは問題ない」と考えるのではなく、整備の前後で何が変わったのかを考えてみる必要があります。</p>
<p>プロペラを交換した後から回転数や船速が変わったのであれば、交換したプロペラの仕様を確認します。</p>
<p>エンジンを載せ替えた後から最高回転数が以前と違うのであれば、エンジンだけではなく、現在の減速比とプロペラとの組み合わせも確認する必要があります。</p>
<p>プロペラは単独で働いているわけではなく、エンジンや減速機と組み合わされていることは、マッチング編で説明しているとおりです。</p>

<a href="https://malu-sailing.com/archives/8886" title="ヨットのプロペラ「マッチング編」" class="blogcard-wrap internal-blogcard-wrap a-wrap cf"><div class="blogcard internal-blogcard ib-left cf"><div class="blogcard-label internal-blogcard-label"><span class="fa"></span></div><figure class="blogcard-thumbnail internal-blogcard-thumbnail"><img decoding="async" width="200" height="180" src="https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0426-200x180.png" class="blogcard-thumb-image internal-blogcard-thumb-image wp-post-image" alt="" /></figure><div class="blogcard-content internal-blogcard-content"><div class="blogcard-title internal-blogcard-title">ヨットのプロペラ「マッチング編」</div><div class="blogcard-snippet internal-blogcard-snippet">前回の「基礎知識編」では、プロペラそのものについて書いてきました。では、自分のヨットに付いているプロペラは、なぜそのダイヤメーターとピッチなのでしょうか。同じくらいの大きさのヨットを見ても、付いているプロペラが同じとは限りません。船が大きけ...</div></div><div class="blogcard-footer internal-blogcard-footer cf"><div class="blogcard-site internal-blogcard-site"><div class="blogcard-favicon internal-blogcard-favicon"><img decoding="async" src="https://www.google.com/s2/favicons?domain=https://malu-sailing.com" alt="" class="blogcard-favicon-image internal-blogcard-favicon-image" width="16" height="16" /></div><div class="blogcard-domain internal-blogcard-domain">malu-sailing.com</div></div><div class="blogcard-date internal-blogcard-date"><div class="blogcard-post-date internal-blogcard-post-date">2026.09.23</div></div></div></div></a>
<p>つまり、症状だけを見るのではなく、「いつから」「何をした後から」という時間の流れを一緒に考えることが、原因を探す大きな手掛かりになります。</p>
<h3>エンジンの回転数が上がらない</h3>
<p>スロットルを開けても、エンジンの回転数が思ったように上がらない。</p>
<p>プロペラのマッチングを考えるうえで、これは重要な症状のひとつです。ただし、回転数が上がらないからといって、すぐにプロペラが原因だと判断することはできません。</p>
<p>最初に確認したいのは、ニュートラルでは回転数が上がるのか、前進に入れて負荷をかけたときだけ上がらないのかという違いです。</p>
<p>ニュートラルでも本来の回転数まで上がらないのであれば、プロペラは駆動されていないので、燃料供給、吸気、排気、エンジン制御など、まずエンジン側を調べる必要があります。</p>
<p>ニュートラルでは問題なく回るのに、前進に入れて機走すると回転数が上がらない。</p>
<p>この場合は、プロペラを回すことでエンジンに大きな負荷がかかっている可能性が出てきます。</p>
<h3>プロペラが重すぎる可能性</h3>
<p>エンジンや駆動系に異常がなく、船底やプロペラもきれいな状態なのに、負荷をかけるとメーカーが想定する回転域まで上がらない。</p>
<p>このような場合には、現在のプロペラがエンジンに対してオーバープロップ（Over-propped）になっていないかを確認します。</p>
<p>オーバープロップについては、マッチング編で詳しく説明しています。</p>

<a href="https://malu-sailing.com/archives/8886" title="ヨットのプロペラ「マッチング編」" class="blogcard-wrap internal-blogcard-wrap a-wrap cf"><div class="blogcard internal-blogcard ib-left cf"><div class="blogcard-label internal-blogcard-label"><span class="fa"></span></div><figure class="blogcard-thumbnail internal-blogcard-thumbnail"><img decoding="async" width="200" height="180" src="https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0426-200x180.png" class="blogcard-thumb-image internal-blogcard-thumb-image wp-post-image" alt="" /></figure><div class="blogcard-content internal-blogcard-content"><div class="blogcard-title internal-blogcard-title">ヨットのプロペラ「マッチング編」</div><div class="blogcard-snippet internal-blogcard-snippet">前回の「基礎知識編」では、プロペラそのものについて書いてきました。では、自分のヨットに付いているプロペラは、なぜそのダイヤメーターとピッチなのでしょうか。同じくらいの大きさのヨットを見ても、付いているプロペラが同じとは限りません。船が大きけ...</div></div><div class="blogcard-footer internal-blogcard-footer cf"><div class="blogcard-site internal-blogcard-site"><div class="blogcard-favicon internal-blogcard-favicon"><img decoding="async" src="https://www.google.com/s2/favicons?domain=https://malu-sailing.com" alt="" class="blogcard-favicon-image internal-blogcard-favicon-image" width="16" height="16" /></div><div class="blogcard-domain internal-blogcard-domain">malu-sailing.com</div></div><div class="blogcard-date internal-blogcard-date"><div class="blogcard-post-date internal-blogcard-post-date">2026.09.23</div></div></div></div></a>
<p>ピッチが大きすぎる、ダイヤメーターが大きすぎる、ブレード枚数や面積が多いなど、現在のエンジンに対してプロペラの負荷が大き過ぎれば、スロットルを開けてもエンジンは本来の回転域まで上がれません。</p>
<p>ここで、「ではピッチを小さくすればよい」とすぐに変更するのは早すぎます。</p>
<p>それまで同じプロペラで正常に回っていたのであれば、まず、現在の負荷が増えた原因を探します。</p>
<p>プロペラへの海藻やフジツボなどの付着、ロープや釣り糸の巻き付き、ブレードの損傷、船底の汚れなどがないかを確認します。</p>
<p>プロペラを交換した直後から回転数が上がらなくなったのであれば、交換したプロペラの仕様が重要な手掛かりになります。</p>
<p>エンジンや減速機、セイルドライブを交換した後から症状が出たのであれば、新しい組み合わせに対してプロペラが適切なのかを確認します。</p>
<h3>プロペラが原因ならどうするのか</h3>
<p>エンジンが正常に出力を発生していることを確認し、船底やプロペラの汚れ、巻き付き、駆動系などにも問題がない。それでも負荷時の回転数が適正な範囲まで上がらず、プロペラ負荷が大き過ぎると判断されたのであれば、プロペラのセッティングを見直します。</p>
<p>確認するのは、現在のダイヤメーター、ピッチ、ブレード枚数、プロペラ形式です。</p>
<p>ダイヤメーターとピッチの意味については、基礎知識編で説明しています。</p>

<a href="https://malu-sailing.com/archives/8870" title="ヨットのプロペラ「基礎知識編」" class="blogcard-wrap internal-blogcard-wrap a-wrap cf"><div class="blogcard internal-blogcard ib-left cf"><div class="blogcard-label internal-blogcard-label"><span class="fa"></span></div><figure class="blogcard-thumbnail internal-blogcard-thumbnail"><img decoding="async" width="200" height="180" src="https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0418-200x180.png" class="blogcard-thumb-image internal-blogcard-thumb-image wp-post-image" alt="" /></figure><div class="blogcard-content internal-blogcard-content"><div class="blogcard-title internal-blogcard-title">ヨットのプロペラ「基礎知識編」</div><div class="blogcard-snippet internal-blogcard-snippet">ヨットに乗っていて、プロペラについて考えることはどのくらいあるでしょうか。上架したときに状態を確認したり、貝などが付着していないかを見たりすることはあっても、普段からプロペラについて考える機会は、あまり多くないかもしれません。けれども、機走...</div></div><div class="blogcard-footer internal-blogcard-footer cf"><div class="blogcard-site internal-blogcard-site"><div class="blogcard-favicon internal-blogcard-favicon"><img decoding="async" src="https://www.google.com/s2/favicons?domain=https://malu-sailing.com" alt="" class="blogcard-favicon-image internal-blogcard-favicon-image" width="16" height="16" /></div><div class="blogcard-domain internal-blogcard-domain">malu-sailing.com</div></div><div class="blogcard-date internal-blogcard-date"><div class="blogcard-post-date internal-blogcard-post-date">2026.09.21</div></div></div></div></a>
<p>固定プロペラであれば、プロペラ専門業者にピッチ修正が可能か相談する方法があります。プロペラそのものを適切な仕様の物へ交換する方法もあります。</p>
<p>ピッチ調整が可能なフェザリングプロペラなら、メーカーが指定する方法と範囲でピッチを変更できる製品もあります。</p>
<p>ここで必要なのは、単に「回らないからピッチを小さくする」という判断ではありません。</p>
<p>エンジンの型式、メーカーが指定する回転域、減速比、現在のプロペラ仕様、実際の負荷時最高回転数を揃えたうえで、プロペラメーカーや専門業者に適切な仕様を確認します。</p>
<p>プロペラを軽くすれば回転数は上がります。しかし、回転数を上げること自体が目的ではなく、エンジンとプロペラを適切な負荷で組み合わせることが目的です。</p>
<h2>回転数は上がるのに船速が出ない</h2>
<p>エンジンの回転数はいつもと同じところまで上がる。それなのに、以前ほど船速が出ない。この症状では、「エンジンが回っているのだからプロペラも正常」とは限りません。</p>
<p>まず確認したいのは、本当に船速が落ちているのかということです。</p>
<p>GPSに表示されるSOG（Speed Over Ground／対地速力）は、潮流の影響を受けます。同じ回転数で同じように機走していても、向かい潮ならSOGは低くなり、追い潮なら高くなります。風や波によっても船速は変わります。</p>
<p>一度だけの数字ではなく、条件を変えて何度か確認しても以前より明らかに遅いのであれば、船側に何か変化が起きている可能性を考えます。</p>
<h3>最初に確認したいのは船底</h3>
<p>船底に海藻やフジツボなどが付着すれば抵抗が増えます。プロペラ自体に付着物があれば、ブレード周囲の水の流れも変わります。</p>
<p>ここで重要なのは、エンジン回転数が上がっているから、船底やプロペラはきれいだとは判断できないことです。</p>
<p>船底抵抗が増えていれば、プロペラが推力を発生していても、その力の一部は増えた抵抗に使われ、船速として現れにくくなります。</p>
<p>船底やプロペラを確認して問題がなく、それでも船速が以前より低いのであれば、プロペラそのものを確認していきます。</p>
<h3>プロペラに何か変化はないか</h3>
<p>固定プロペラなら、ブレードの曲がりや欠け、損傷がないかを確認します。</p>
<p>大きな損傷なら見れば分かりますが、ブレードがわずかに変形している場合には、上架して見ただけでは判断しにくいこともあります。</p>
<p>フォールディングプロペラでは、すべてのブレードが正常な位置まで開いているかも重要です。</p>
<p>フェザリングプロペラなら、ブレードが設定された角度になっているか、可動部分が正常に動いているかを確認します。</p>
<p>こうしたプロペラでは、見た目にブレードが付いているだけでは、正常に働いているとは判断できません。</p>
<h3>回転数と船速の関係を見る</h3>
<p>船底もきれいで、プロペラにも明らかな損傷や作動不良がない。</p>
<p>それでも回転数に対して船速が出ていない場合には、プロペラのピッチと回転数から求められる理論上の速度と、実際の船速との差も手掛かりになります。</p>
<p>これは前回の「水中編」で説明したプロペラスリップです。</p>
<p>［水中編URL］</p>
<p>ただし、スリップ率が大きいからといって、それだけで「プロペラが悪い」と判断することはできません。</p>
<p>同じ艇で、同じプロペラ、同じような積載と海況で測った過去の数字があれば、以前との変化を見る材料になります。</p>
<h3>プロペラが原因ならどうするのか</h3>
<p>ここでも、いきなりプロペラを交換するのではなく、何が原因で推力を十分に得られていないのかを確認します。</p>
<p>付着物なら清掃します。ブレードが曲がったり欠けたりしているのであれば、プロペラ専門業者に依頼し、修正や補修が可能か、または交換が必要かを判断してもらいます。</p>
<p>フォールディングプロペラの展開不良やフェザリングプロペラの作動不良であれば、メーカーの整備方法に従ってオーバーホールします。そこで摩耗した部品があれば交換します。</p>
<p>プロペラに損傷や作動不良がなく、現在の仕様そのものが艇に合っていないと考えられるのであれば、エンジン出力、減速比、ダイヤメーターやピッチ、ブレード枚数、プロペラ形式まで含めてマッチングを見直します。</p>

<a href="https://malu-sailing.com/archives/8886" title="ヨットのプロペラ「マッチング編」" class="blogcard-wrap internal-blogcard-wrap a-wrap cf"><div class="blogcard internal-blogcard ib-left cf"><div class="blogcard-label internal-blogcard-label"><span class="fa"></span></div><figure class="blogcard-thumbnail internal-blogcard-thumbnail"><img decoding="async" width="200" height="180" src="https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0426-200x180.png" class="blogcard-thumb-image internal-blogcard-thumb-image wp-post-image" alt="" /></figure><div class="blogcard-content internal-blogcard-content"><div class="blogcard-title internal-blogcard-title">ヨットのプロペラ「マッチング編」</div><div class="blogcard-snippet internal-blogcard-snippet">前回の「基礎知識編」では、プロペラそのものについて書いてきました。では、自分のヨットに付いているプロペラは、なぜそのダイヤメーターとピッチなのでしょうか。同じくらいの大きさのヨットを見ても、付いているプロペラが同じとは限りません。船が大きけ...</div></div><div class="blogcard-footer internal-blogcard-footer cf"><div class="blogcard-site internal-blogcard-site"><div class="blogcard-favicon internal-blogcard-favicon"><img decoding="async" src="https://www.google.com/s2/favicons?domain=https://malu-sailing.com" alt="" class="blogcard-favicon-image internal-blogcard-favicon-image" width="16" height="16" /></div><div class="blogcard-domain internal-blogcard-domain">malu-sailing.com</div></div><div class="blogcard-date internal-blogcard-date"><div class="blogcard-post-date internal-blogcard-post-date">2026.09.23</div></div></div></div></a>
<p>ここで注意したいのは、「船速が出ないからピッチを大きくする」と単純に考えないことです。</p>
<p>ピッチを大きくすれば、1回転あたりの理論上の前進距離は大きくなりますが、同時にエンジンにかかる負荷も大きくなります。船速だけを見てプロペラを変更すると、今度はエンジンが適正な回転域まで回らなくなることがあります。</p>
<p>現在の回転数と船速だけでなく、エンジン、減速比、プロペラの仕様を一緒に見ながら判断する必要があります。</p>
<h2>突然、回転数だけが上がって推進力が抜ける</h2>
<p>機走中、それまで普通に走っていたのに、突然エンジンの回転数だけが上がり、船を前へ押す力が抜けたように感じることがあります。</p>
<p>これは、前の項目で取り上げた「いつもの回転数まで上がるのに、以前ほど船速が出ない」という症状とは少し異なります。</p>
<p>それまでプロペラにかかっていた負荷が急に軽くなったことで、エンジンの回転数が上がっている可能性があります。</p>
<p>まず確認したいのは、どのような状況でこれが起きたのかです。</p>
<h3>波があるときだけ起きる</h3>
<p>平水では問題なく機走できるのに、波が高くなり、船尾が大きく上下したときだけ回転数が急に上がる。</p>
<p>このような場合には、プロペラ周辺へ空気が入り込むベンチレーション（Ventilation）が起きている可能性があります。</p>
<p>セーリングヨットでは、ヒールによってプロペラが水面に近づいた場合にも起こることがあります。</p>
<p>ベンチレーションについては「水中編」で詳しく説明しています。</p>
<p>［水中編URL］</p>
<p>この場合、回転数が上がったからといって、プロペラのピッチが小さすぎると考えるのは適切ではありません。</p>
<p>平水では正常で、船尾が大きく上下したときや強くヒールしたときだけ発生するのであれば、まず発生したときの船の姿勢や海況との関係を見ます。</p>
<h3>海況に関係なく突然起きた</h3>
<p>平水を普通に機走しているときに突然回転数が上がり、推進力が失われたのであれば、別の原因を考える必要があります。</p>
<p>フォールディングプロペラやフェザリングプロペラでは、ブレードや可動部分が正常な位置で働いているかが重要です。</p>
<p>また、エンジンからプロペラまでの間で回転が正常に伝わっていなければ、エンジンだけが回ってプロペラが十分に回らないという症状も起こり得ます。</p>
<p>ここでは、エンジンの回転数が上がったという事実だけで、プロペラそのものが原因だと決めつけないことが重要です。</p>
<h3>プロペラが原因ならどうするのか</h3>
<p>フォールディングプロペラやフェザリングプロペラが疑われる場合は、上架時などにブレードを実際に動かし、メーカーが指定する範囲で正常に作動するかを、まず確認します。</p>
<p>全てのブレードが同じように動くか、途中で引っ掛かりはないか、ガタが大きくなっていないか確認します。</p>
<p>ギア、ピン、ブッシュなどの摩耗部品についても、使用しているプロペラのメーカーが指定する点検方法と交換基準に従います。</p>
<p>固定プロペラで、海況に関係なく突然推進力が失われたのであれば、プロペラだけでなく、プロペラシャフトやセイルドライブなどを含めた駆動系に回転が正常に伝わっているかを確認する必要があります。</p>
<p>また、特定の海況やヒール角でベンチレーションが繰り返し発生するのであれば、プロペラの没水状態や取り付け位置なども確認の対象になります。</p>
<p>ここで重要なのは、「回転数が急に上がった」という症状と、「以前から回転数が高すぎる」という症状を同じものとして考えないことです。</p>
<p>それまで普通に走っていたのに突然回転数が上がったのであれば、プロペラが水を捉えて推力を発生していた状態から、何らかの理由で十分な推力を発生できない状態へ変化した可能性があります。</p>
<p>つまり、この場合に探すべきなのは「なぜエンジンの回転数が上がったのか」だけではなく、その瞬間に、プロペラや駆動系で何が変わったのかを突き止めることが必要です。</p>
<h2>以前にはなかった振動が出る</h2>
<p>それまで滑らかに機走していたヨットに、ある時から振動を感じるようになった。この場合も、振動があるというだけでプロペラが原因だと判断することはできません。</p>
<p>まず確認したいのは、どのようなときに振動が出るのかです。</p>
<h3>ニュートラルでも振動するか</h3>
<p>エンジンをニュートラルにして、プロペラを回していない状態でも同じような振動が出るのであれば、少なくともプロペラの回転によって発生している振動とは考えにくくなります。</p>
<p>エンジン本体、エンジンマウントなど、プロペラ以外の原因を調べる必要があります。</p>
<p>ニュートラルでは気にならないのに、前進に入れてプロペラを回すと振動が出る。</p>
<p>この場合には、プロペラからシャフトやセイルドライブを含む駆動系まで、実際に負荷がかかったときに回転する部分を確認していきます。</p>
<h3>プロペラのバランスが崩れると振動が起きる</h3>
<p>プロペラは、それぞれのブレードの形状やピッチ、重量などが揃った状態で回転するように作られています。</p>
<p>例えば、3枚のブレードのうち1枚だけが曲がっていたり、欠けていたり、大きな付着物が付いていたりすれば、回転時のバランスが崩れます。</p>
<p>ロープや釣り糸などを巻き込んだ場合も、正常な回転を妨げる原因になります。</p>
<p>フォールディングプロペラでは、複数のブレードが同じ位置まで開いていなければ、正常な状態とはいえません。</p>
<p>こうした状態でプロペラを回転させると、回転する位置によって力のかかり方に偏りが生じ、それが周期的な振動としてシャフトやセイルドライブから船体へ伝わることがあります。</p>
<h2>負荷をかけると黒煙が増える</h2>
<p>ニュートラルではエンジンがきれいに回るのに、前進に入れてスロットルを開けていくと黒煙が増える。この症状も、プロペラとエンジンの関係を考える手掛かりになることがあります。</p>
<p>ディーゼルエンジンの黒煙は、シリンダーへ噴射された燃料を十分に燃焼させるだけの空気が不足したときなどに発生します。</p>
<p>ただし、黒煙が出たからといって、プロペラが原因とは限りません。</p>
<p>吸気系の詰まり、排気系の抵抗、燃料噴射系の異常、ターボチャージャーを備えたエンジンなら過給系の不具合などでも黒煙は発生します。</p>
<p>ここで注目したいのは、黒煙と同時にエンジンの回転数がどうなっているかです。</p>
<h3>回転数が上がらず、黒煙が増える</h3>
<p>前進に入れてスロットルを開ける。燃料は供給されているのに回転数が上がらず、黒煙が増えていく。</p>
<p>エンジン側に異常がなく、船底やプロペラにも大きな付着物がないのであれば、プロペラによる負荷が大きすぎないかを確認する必要があります。</p>
<p>例えば、ピッチやダイヤメーターが現在のエンジンとの組み合わせに対して大きすぎれば、エンジンはプロペラを十分な回転数まで回せなくなることがあります。</p>
<p>これはマッチング編で説明したオーバープロップの状態です。</p>

<a href="https://malu-sailing.com/archives/8886" title="ヨットのプロペラ「マッチング編」" class="blogcard-wrap internal-blogcard-wrap a-wrap cf"><div class="blogcard internal-blogcard ib-left cf"><div class="blogcard-label internal-blogcard-label"><span class="fa"></span></div><figure class="blogcard-thumbnail internal-blogcard-thumbnail"><img decoding="async" width="200" height="180" src="https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0426-200x180.png" class="blogcard-thumb-image internal-blogcard-thumb-image wp-post-image" alt="" /></figure><div class="blogcard-content internal-blogcard-content"><div class="blogcard-title internal-blogcard-title">ヨットのプロペラ「マッチング編」</div><div class="blogcard-snippet internal-blogcard-snippet">前回の「基礎知識編」では、プロペラそのものについて書いてきました。では、自分のヨットに付いているプロペラは、なぜそのダイヤメーターとピッチなのでしょうか。同じくらいの大きさのヨットを見ても、付いているプロペラが同じとは限りません。船が大きけ...</div></div><div class="blogcard-footer internal-blogcard-footer cf"><div class="blogcard-site internal-blogcard-site"><div class="blogcard-favicon internal-blogcard-favicon"><img decoding="async" src="https://www.google.com/s2/favicons?domain=https://malu-sailing.com" alt="" class="blogcard-favicon-image internal-blogcard-favicon-image" width="16" height="16" /></div><div class="blogcard-domain internal-blogcard-domain">malu-sailing.com</div></div><div class="blogcard-date internal-blogcard-date"><div class="blogcard-post-date internal-blogcard-post-date">2026.09.23</div></div></div></div></a>
<p>ただし、「黒煙が出て回転数が上がらない＝オーバープロップ」と安易に判断することはできません。</p>
<p>エンジンが本来の出力を発生できていない場合にも、負荷をかけたときに同じような症状が現れることがあるからです。</p>
<h3>いつから黒煙が出るようになったのか</h3>
<p>ここでも、症状が始まった時期が重要な手掛かりになります。</p>
<p>それまで同じエンジンとプロペラの組み合わせで正常に機走できていたのに、ある時から回転数が上がらなくなり、同時に黒煙も増えたのであれば、まず新たに何が起きたのかを調べます。</p>
<p>プロペラや船底への付着物、ロープなどの巻き付きによって負荷が増えていないか、エンジン側に本来の出力を発生できなくなる原因が生じていないかを確認します。</p>
<p>エンジンを換装した後から黒煙が出るようになった。プロペラを交換した後から出るようになった。</p>
<p>こうした場合には、その変更によってエンジンにかかる負荷が変わっていないかを確認します。</p>
<p>エンジン、減速比、プロペラの組み合わせが適切なのかというところまで戻って調べる必要があります。</p>
<h2>最後に…</h2>
<p>ヨットに長く乗っていると、計器の数字を見るより先に「今日は何か違う」と感じることがあります。</p>
<p>その違和感は、原因を探すための最初の手掛かりになります。</p>
<p>大切なのは、その時点で「プロペラが悪い」と決めてしまわないことです。</p>
<p>それまで普通に走っていたのであれば、何かが変わったから、走り方にも変化が現れた可能性があります。</p>
<p>いつから変わったのか。直前に何があったのか。どのような条件で症状が現れるのか。</p>
<p>ニュートラルではどうなのか。前進に入れるとどうなるのか。海況によって変わるのか。特定の回転域だけで起きるのか。</p>
<p>こうして一つずつ切り分けていけば、水中にあって直接見ることのできないプロペラでも、何が起きているのかを探ることができます。</p>
<p>そして、原因がプロペラにあると分かったときに初めて、清掃や整備で直るのか、損傷を修理するのか、ピッチを変更するのか、それともプロペラそのものを見直すのかを考えればよいと言うことになります。</p>
]]></content:encoded>
					
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		<title>7. 英国版ヨットのはじまり</title>
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					<comments>https://malu-sailing.com/archives/8945#respond</comments>
		
		<dc:creator><![CDATA[malusailing]]></dc:creator>
		<pubDate>Wed, 30 Sep 2026 18:00:08 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[ヨットはどう変わってきた]]></category>
		<category><![CDATA[17世紀]]></category>
		<category><![CDATA[Mary]]></category>
		<category><![CDATA[サミュエル・ピープス]]></category>
		<category><![CDATA[セーリングヨット]]></category>
		<category><![CDATA[チャールズ2世]]></category>
		<category><![CDATA[ピーター・ペット]]></category>
		<category><![CDATA[メアリー]]></category>
		<category><![CDATA[ヤハト]]></category>
		<category><![CDATA[ヨットの歴史]]></category>
		<category><![CDATA[ヨット文化]]></category>
		<category><![CDATA[ヨーク公ジェームズ]]></category>
		<category><![CDATA[王室ヨット]]></category>
		<category><![CDATA[王政復古]]></category>
		<category><![CDATA[王立造船所]]></category>
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		<category><![CDATA[英国王室]]></category>
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					<description><![CDATA[オランダ滞在中に「ヤハト（jacht）」に乗ったチャールズ2世は、その快適さを大変気に入り、英国へ戻ったらテムズ川でも同じような船を使いたいと周囲に話すほど、ヤハトに強い関心を持つようになりました。 その話を聞いたアムス [&#8230;]]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>オランダ滞在中に「ヤハト（jacht）」に乗ったチャールズ2世は、その快適さを大変気に入り、英国へ戻ったらテムズ川でも同じような船を使いたいと周囲に話すほど、ヤハトに強い関心を持つようになりました。</p>
<p>その話を聞いたアムステルダム市から、後に帰国途中に乗ったプリンセンヤハトと同じようなヤハトが贈られ、チャールズはこの船を「Mary（メアリー）」と名付け乗り始めたことは、これまでに紹介してきた通りです。</p>

<a href="https://malu-sailing.com/archives/8921" title="6. 英国へ渡ったヤハト" class="blogcard-wrap internal-blogcard-wrap a-wrap cf"><div class="blogcard internal-blogcard ib-left cf"><div class="blogcard-label internal-blogcard-label"><span class="fa"></span></div><figure class="blogcard-thumbnail internal-blogcard-thumbnail"><img decoding="async" width="200" height="180" src="https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0476-200x180.png" class="blogcard-thumb-image internal-blogcard-thumb-image wp-post-image" alt="" /></figure><div class="blogcard-content internal-blogcard-content"><div class="blogcard-title internal-blogcard-title">6. 英国へ渡ったヤハト</div><div class="blogcard-snippet internal-blogcard-snippet">1660年、約14年にわたる長い亡命生活を終えたチャールズ2世は、英国へ戻りました。帰国を前にオランダに滞在していたチャールズは、そこで「ヤハト（jacht）」と呼ばれる船に乗り、その快適さを大変気に入って、自分も英国で造らせたいと口にする...</div></div><div class="blogcard-footer internal-blogcard-footer cf"><div class="blogcard-site internal-blogcard-site"><div class="blogcard-favicon internal-blogcard-favicon"><img decoding="async" src="https://www.google.com/s2/favicons?domain=https://malu-sailing.com" alt="" class="blogcard-favicon-image internal-blogcard-favicon-image" width="16" height="16" /></div><div class="blogcard-domain internal-blogcard-domain">malu-sailing.com</div></div><div class="blogcard-date internal-blogcard-date"><div class="blogcard-post-date internal-blogcard-post-date">2026.09.27</div></div></div></div></a>
<p>しかし、チャールズと船との関わりは、オランダでヤハトに出会ったことから始まったわけではありません。亡命生活が始まった1646年、まだ16歳だったチャールズは、サー・ヘンリー・メインウェアリング（Sir Henry Mainwaring）から航海術や操船術の基礎を学び、自ら長時間舵を握り、やがて自分専用の小さな帆走艇まで持つようになりました。</p>

<a href="https://malu-sailing.com/archives/8827" title="2. ヨット文化の種" class="blogcard-wrap internal-blogcard-wrap a-wrap cf"><div class="blogcard internal-blogcard ib-left cf"><div class="blogcard-label internal-blogcard-label"><span class="fa"></span></div><figure class="blogcard-thumbnail internal-blogcard-thumbnail"><img decoding="async" width="200" height="180" src="https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0428-200x180.png" class="blogcard-thumb-image internal-blogcard-thumb-image wp-post-image" alt="" /></figure><div class="blogcard-content internal-blogcard-content"><div class="blogcard-title internal-blogcard-title">2. ヨット文化の種</div><div class="blogcard-snippet internal-blogcard-snippet">前回は、ヨット（yacht）の語源となったオランダ語の ヤハト（jacht）について、その歴史を辿り、オランダには現在のヨット文化につながるようなプレジャーボートの文化が、すでに存在していたことがわかりました。では、そのヤハトが、どのように...</div></div><div class="blogcard-footer internal-blogcard-footer cf"><div class="blogcard-site internal-blogcard-site"><div class="blogcard-favicon internal-blogcard-favicon"><img decoding="async" src="https://www.google.com/s2/favicons?domain=https://malu-sailing.com" alt="" class="blogcard-favicon-image internal-blogcard-favicon-image" width="16" height="16" /></div><div class="blogcard-domain internal-blogcard-domain">malu-sailing.com</div></div><div class="blogcard-date internal-blogcard-date"><div class="blogcard-post-date internal-blogcard-post-date">2026.09.19</div></div></div></div></a>
<p>それから14年の時が過ぎ、30歳になったチャールズはオランダ滞在中に何度かヤハトに乗り、今度は「英国でもこのような船を使いたい」と考えるようになります。</p>
<p>ヨットを楽しむ人の多くは、最初は誰かのヨットに乗せてもらい、扱い方や操船を覚え、経験を重ねるうちに自分の欲しいヨットのかたちが見えてきて、いつか自分のヨットを手に入れる。そんな過程をたどった人も少なくないと思います。</p>
<p>チャールズが歩んできた過程も、どこかそれと似通ったものがあります。</p>
<p>16歳の頃には、亡命生活の中で船に乗り、船を操ることに興味を持ち、シーマンシップを学び、操船そのものを楽しむようになった少年が、30歳になる頃には、それまでの経験から自分がどのような船に乗りたいのかを考えるようになっていました。</p>
<p>しかも今度は、16歳の亡命中の王子ではありません。英国へ戻るチャールズは国王です。自分が乗りたいと思った船を、実際に造らせることのできる立場になっていました。</p>
<p>そして、この頃のチャールズの近くには、船についてまったく別の立場から深く知る人物がいました。</p>
<p><strong>船を造る人です。</strong></p>
<p>英国でオリジナルのヨットを造ろうとする動きが、ここから始まります。</p>
<p><img decoding="async" class="aligncenter size-full wp-image-8946" src="https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0502.png" alt="" width="300" height="300" srcset="https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0502.png 300w, https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0502-150x150.png 150w" sizes="(max-width: 300px) 100vw, 300px" /></p>

<h2>チャールズの近くにいた造船家</h2>
<p>チャールズ2世とヨットとの関わりを辿っていくと、その節目には船について深い知識を持った人物が現れます。</p>
<p>16歳のチャールズに航海術や操船術の基礎を教えたのが、サー・ヘンリー・メインウェアリング（Sir Henry Mainwaring）でした。</p>
<p>そして30歳になったチャールズの近くには、今度は船を造ることを専門とする人物がいました。</p>
<p>ピーター・ペット（Peter Pett）です。</p>
<p>ペットは、英国で代々王室や海軍の船造りに携わってきた造船家一族の出身でした。父のフィニアス・ペット（Phineas Pett）も王室の船を手掛けた著名な造船家で、ピーター自身も若い頃から父のもとで造船に携わっています。1647年には、チャタム（Chatham）の王立造船所を監督する海軍の上級職、Commissioner（コミッショナー）の職に就きました。</p>
<p>チャールズが英国へ戻る1660年、ペットは50歳でした。</p>
<p>興味深いのは、二人の接点がチャールズの英国帰国前から確認できることです。1660年、王政復古が決まり、オランダにいたチャールズを英国へ迎えるための準備が進められていた頃、ペットもオランダへ渡っていました。</p>
<p>王政復古直前、ペットはスヘフェニンゲン（Scheveningen）へ赴き、チャールズへの謁見を許されています。さらに、チャールズの弟でロード・ハイ・アドミラル（Lord High Admiral＝海軍卿）だったヨーク公ジェームズ（James, Duke of York）と、チャールズを迎えに来ていた英国艦隊との連絡役も務めていました。</p>
<p>ちょうどこの頃、チャールズはオランダでヤハトに乗り、「英国へ戻ったらテムズ川でも同じような船を使いたい」と話しています。</p>
<p>この話はアムステルダム市側にも伝わり、それが後にMaryとなるヤハトを贈る話へとつながりました。つまり、チャールズがヤハトを気に入り、英国でも使いたいと考えていることは、すでに周囲にも知られていたことになります。</p>
<p>チャールズ本人に謁見し、ヨーク公や英国艦隊との連絡にも携わっていたペットにも、この話を知る機会は十分にあったと考えられます。</p>
<p>ただし、ペットが実際にいつ、誰からその話を聞いたのか、あるいは、この時すでにチャールズとヤハトについて話をしていたのかを示す記録は、現在のところ見つかっていません。</p>
<p>後にチャールズのためのヨットを造ることになるペットは、チャールズがオランダのヤハトに強く惹かれていたこの時期に、すでに本人と接点を持っていたのです。</p>
<h2>英国版ヨットの計画はいつ始まったのか</h2>
<p>1660年5月、チャールズ2世はオランダを離れ、英国へ帰国しました。</p>
<p>オランダでチャールズに謁見していたピーター・ペットも英国へ戻り、チャタム王立造船所でコミッショナーの職を続けます。チャールズとペットの接点は、英国へ戻った後にも確認できます。</p>
<p>チャールズは帰国後にチャタム王立造船所を訪れ、造船所内部やそこに停泊していた艦船を見ています。この時、国王を迎えたのがペットでした。さらに同じ年の8月にもチャールズは再び訪れ、ペットのもてなしを受けています。オランダで謁見してから数か月の間に、二人は英国でも何度か顔を合わせていたことになります。</p>
<p>では、チャールズがオランダで乗ったようなヤハトを英国でも造ろうという話は、いつ具体的な計画になったのでしょうか。</p>
<p>実は、ここには記録の空白があります。</p>
<p>チャールズがペットに対して、いつ最初にヤハトの建造を指示したのかを示す記録は、現在のところ確認できません。そもそも、チャールズ本人からペットへ直接指示が出たのかも分かっていません。チャールズの弟で、海軍を統括するロード・ハイ・アドミラルだったヨーク公ジェームズを通じて話が進められた可能性もあります。あるいは、国王がオランダのヤハトを気に入り、英国でも同じような船を使いたいと考えていることを知った海軍や王立造船所側で、具体的な検討が始まった可能性も考えられます。</p>
<p>ただ、いつまでも計画の姿が見えないわけではありません。</p>
<p>1660年8月15日、オランダからMaryが英国へ到着し、それから2か月も経たない10月には、英国側で造ろうとしていたヤハトの姿が、記録の中にはっきりと現れます。</p>
<p>ピーター・ペットがヤハトの「Model」を作り、それをチャールズ本人に提示していたのです。しかも、チャールズはそのModelを見て、すでに承認していました。</p>
<p>（当時の造船では、船の設計や船型を示すために「Model」が使われていました。ただし、この記録にある「Model of a Yacht」が、どのような形で作られたものだったのかまでは分かっていません。）</p>
<p>10月12日、ヨーク公からペットへ出された命令書には、チャールズがペットから提示された「Model of a Yacht」を承認したことが記されています。つまり10月12日以前より、どのような船を造るのかが検討され、ペットによってModelが作られ、それをチャールズ自身が確認するところまで計画が進んでいたことになります。</p>
<p>ここで、もう一つ気になることがあります。</p>
<p>8月に英国へやって来たMaryと、ペットがチャールズに見せたModelとの関係です。ペットがMaryを見てからModelを作ったのか。Maryが英国へ到着する以前から、すでにModelの製作を進めていたのか。あるいは、計画自体は先に始まっていて、Maryの到着後にその実物を見ながらModelを仕上げたのか。</p>
<p>現在確認できる記録からは、そこまでは分かりません。確かなことは、チャールズが英国へ戻ってからわずか5か月ほどの間に、英国で造るヤハトはModelとしてチャールズの前に置かれるところまで具体化していたということです。</p>
<h2>「国の名誉のために」</h2>
<p>チャールズ2世が ピーター・ペットのModelを確認した後、英国で造られる新しいヨットは、いよいよ実際の建造へと進んでいきます。</p>
<p>1660年10月12日、ロード・ハイ・アドミラルだったヨーク公ジェームズからペットへ、ヨットを建造するよう正式な命令が出されました。</p>
<p>この命令書で興味深いのは、単に「ヨットを一隻造れ」と命じているのではなく、チャールズがすでにペットから提示された「Model of a Yacht」を承認していることを前提としている点です。つまり、ペットが考えた船をチャールズが確認し、その承認を受けて実際の船を造る段階へ進んだことになります。</p>
<p>さらに11月3日には、建造するヨットについて具体的な数字が記録に現れます。</p>
<p>予定されていた大きさは80 tons。建造費は1,335ポンドと見積もられました。この80 tonsという数字は興味深いものです。オランダから贈られたMaryは100 tons burdenと記録されています。トン数の算定方法や史料上の数字を単純に比較することには注意が必要ですが、少なくとも英国側がMaryとまったく同じ規模の船を造ろうとしていたわけではないことがここから分かります。</p>
<p>そして11月8日。ペットはサミュエル・ピープス（Samuel Pepys）とともにMaryに乗船しました。前回の記事でも紹介したように、ピープスはMaryの船内を見て、その小さな船体に対する造りの良さと広さに驚いています。</p>
<p>しかし今回注目したいのは、その後にピープスが日記へ残した言葉です。ピープスは、ペットがこのMaryを上回る船を造ることになっていると記しています。</p>
<p>そして、その理由を、</p>
<p>「for the honour of his country」（国の名誉のために）</p>
<p>と書きました。</p>
<p>この言葉をペット本人が実際に口にしたのか、それともペットとの会話を受けてピープス自身がそう表現したのかまでは、この日記だけでは分かりません。それでも、11月8日の時点で、英国で造られる新しいヨットがMaryと比較され、「それを上回るもの」として意識されていたことは非常に興味深いところです。</p>
<p>わずか半年前、チャールズがオランダでヤハトに乗った時には、「英国でもこのような船を使いたい」というところから始まった話でした。それが英国へ戻り、ペットによるModelが作られ、チャールズ自身が確認し、正式な建造命令が出る。</p>
<p>そして実際のMaryが英国へやって来ると、英国側には「この船を上回るものを」という意識まで現れてきます。</p>
<p>英国で始まったヨット造りは、この頃からチャールズが楽しむための船を造るだけではなく、英国の造船家たちが自らの技術を試し、その力量を示す場にもなっていったようです。</p>
<h2>最後に…</h2>
<p>オランダでヤハトに出会ったチャールズは、「英国でもこのような船を使いたい」と周囲に伝えました。</p>
<p>その希望を知ったアムステルダム市からMaryが贈られ、チャールズは英国でもヤハトに乗るようになります。</p>
<p>しかし、それだけでは終わりませんでした。</p>
<p>英国ではピーター・ペットによって新しいヨットの計画が進められ、Model がチャールズに示され、正式な建造命令が出ます。</p>
<p>そして、 Mary がオランダから英国へやって来てわずか数か月後には、ピープスの日記に「この船を上回るものを」という言葉まで現れます。</p>
<p>オランダでヤハトに乗り、「英国でもこんな船に乗りたい」と話し始まったチャールズの関心は、英国で自分たちのヨットを造り始めるところまで進みました。</p>
<p>英国でのヨット造りが、いよいよ始まります。</p>
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		<title>スタンディングリギン 交換の判断</title>
		<link>https://malu-sailing.com/archives/8940</link>
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		<dc:creator><![CDATA[malusailing]]></dc:creator>
		<pubDate>Tue, 29 Sep 2026 17:00:53 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[ヨットのメンテナンス]]></category>
		<category><![CDATA[シュラウド]]></category>
		<category><![CDATA[スタンディングリギン]]></category>
		<category><![CDATA[ステイ]]></category>
		<category><![CDATA[セーリングヨット]]></category>
		<category><![CDATA[ターンバックル]]></category>
		<category><![CDATA[ヨットオーナー]]></category>
		<category><![CDATA[ヨットメンテナンス]]></category>
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		<category><![CDATA[リギン]]></category>
		<category><![CDATA[リギン交換]]></category>
		<category><![CDATA[リギン点検]]></category>
		<category><![CDATA[中古ヨット]]></category>
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					<description><![CDATA[MALU号も船齢29年に入り、来年で購入してから10年目となります。これまでも、いろいろなところを修理し、メンテナンスしてきましたが、一度も交換を考えたことがなかったのがスタンディングリギンです。それでも船齢29年となる [&#8230;]]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>MALU号も船齢29年に入り、来年で購入してから10年目となります。これまでも、いろいろなところを修理し、メンテナンスしてきましたが、一度も交換を考えたことがなかったのがスタンディングリギンです。それでも船齢29年となると、さすがに気になってきます。</p>
<p>スタンディングリギンは、マストを支え続けている重要な艤装です。ワイヤーが破断している、素線が切れている、端末部品などにクラックがある。そんな明らかな異常が見つかれば、迷わず交換を考えるべきですが、見たところ何も問題がなければ、どう判断すればよいのか迷うところです。</p>
<p>ワイヤーはきれいで、素線切れも見当たらない。端末にも目立った異常はなく、サビなども見当たらない。そして、これまで普通にセーリングしてきた。それでも、使い始めてからかなりの年月が経っている。中古艇として購入して、以前にいつ交換されたものなのか分からないなんてこともあります。</p>
<p>こうしたスタンディングリギンを、何を根拠に「まだ使える」「そろそろ交換した方がいい」と判断すればよいのでしょうか。</p>
<p>そこで今回は、スタンディングリギンの交換を考えるとき、その判断材料になるものを見ていきたいと思います。</p>
<p><img decoding="async" class="aligncenter size-full wp-image-8941" src="https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0492.png" alt="" width="300" height="300" srcset="https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0492.png 300w, https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0492-150x150.png 150w" sizes="(max-width: 300px) 100vw, 300px" /></p>

<h2>スタンディングリギンに交換時期はあるのか？</h2>
<p>スタンディングリギンの交換時期について調べてみると、「10年くらいで交換した方がいい」という話を目にすることがあります。もし、10年が交換時期だとすれば、判断は簡単です。新艇から10年、中古艇なら前回の交換から10年を目安に交換すればいいことになります。</p>
<p>ところが、実際にメーカーなどが示している考え方を調べてみると、必ずしも「何年経ったら交換」という単純なものではありません。</p>
<p>例えば、マストやリギンを製造するスウェーデンの Seldén（セルデン）は、ワイヤー式のスタンディングリギンについて、20,000海里を「期待寿命」として、これを超えたらすべてのスタンディングリギンを交換することを推奨しています。</p>
<p>20,000海里というと約37,000kmです。</p>
<p>ここでは「10年」や「15年」といった年数ではなく、どれだけ航海に使われたかという距離が基準になっています。</p>
<p>また、ヨットの保険事故を数多く扱う欧州のパンテニウス（Pantaenius）では、毎年の目視点検に加えて、少なくとも4〜5年ごとに専門家による点検を受け、8〜10年ごとにリギン全体をオーバーホールし、摩耗した部品を交換することを勧めています。ただし、パンテニウスも8〜10年でスタンディングリギンを必ずすべて交換しなければならない、としているわけではありません。点検や交換の間隔は、そのヨットがどのように、どの程度使われているかによって変わるとしています。</p>
<p>つまり、「10年」という数字だけを取り出して、すべてのヨットに共通する交換期限と考えるのは少し違うようです。</p>
<p>年間数千海里を航海するヨットと、年間数百海里しか航海しないヨットでは、10年間に受ける負荷は同じではありません。レースで頻繁に強い荷重を受ける艇と、穏やかな日にクルージングを楽しむ艇でも条件は違います。</p>
<p>だからといって、ほとんど乗らなければ何十年でも使えると考えることもできません。</p>
<p>ヨットがマリーナに係留されている間も、マストやスタンディングリギンには風や波による荷重が掛かり続けています。塩分や湿気にもさらされています。</p>
<p>実際、パンテニウスもスタンディングリギンやその端末金具は港に停泊している間にも繰り返し荷重を受けていることを指摘しています。</p>
<p>こうして見ていくと、スタンディングリギンの交換時期は、「10年だから交換」「20,000海里に達していないから大丈夫」と、どちらか一つの数字だけで決められるものではなさそうです。</p>
<p>年数、航海距離、使われ方、置かれてきた環境、そして現在の状態。少なくとも、これらを合わせて考える必要があるように思います。</p>
<h2>見た目が綺麗なら、まだ使える？</h2>
<p>スタンディングリギンを点検するとき、まず目につくのはワイヤーです。</p>
<p>素線切れ、錆、折れ、変形などは重要な確認箇所です。セルデン（Seldén）も、ワイヤーを布で拭きながら素線切れがないか確認し、1本でも見つかった場合は、そのステイやシュラウドとともに、同じような荷重を受けてきた反対側も同時に交換するよう推奨しています。</p>
<p>ただし、スタンディングリギンの点検はワイヤーだけでは終わりません。</p>
<p>ワイヤーの両端にはターミナルがあり、その先にはターンバックル、トグル、クレビスピンなどがあります。セルデンも、これらについて摩耗、変形、クラックがないか確認するよう求めています。</p>
<p>特に確認したいのが、ワイヤーとターミナルの接続部分です。</p>
<p>パンテニウスが紹介している点検資料でも、ワイヤーとターミナルの境目には摩耗や腐食による損傷が発生することがあり、ターミナル自体にもヘアクラックや変形がないか確認するよう示されています。</p>
<p>もう一つ、外から確認しにくいのがフォアステイです。ファーリングジブを使用している艇では、フォアステイの大部分がファーラーの内部にあります。外から見える部分に異常がなくても、内部のワイヤーや端末部分まで確認できているわけではありません。状態を確認するには、ファーラーの分解が必要になる場合もあります。</p>
<p>つまり、「見た目がきれい」というときに、実際にはスタンディングリギンのどこまでを見れているのかということです。</p>
<p>デッキから見えるワイヤーだけなのか。端末やターンバックルまで確認したのか。マスト上部やファーラー内部まで確認できているのか。スタンディングリギンの状態を判断するには、まず「見えていない部分がある」ということです。</p>
<h2>乗らなければ劣化しない？</h2>
<p>スタンディングリギンの交換時期を航海距離で考えると、あまり乗らないヨットなら長く使えるようにも思えます。</p>
<p>例えば、年間300海里しか航海しない艇なら、10年間でも3,000海里です。セルデン（Seldén）が期待寿命として示している20,000海里には遠く及びません。</p>
<p>日本のクルージングヨットでは、年間の航海距離がそれほど多くない艇も珍しくないと思います。では、年間数百海里しか走らない艇なら、20年、30年と使っても問題ないのかということになりますが、ここで忘れてはいけないのが、スタンディングリギンは航海しているときだけ働いているわけではないということです。</p>
<p>マストを立てたまま係留していれば、スタンディングリギンには常に張力が掛かっています。風を受ければマストは動き、波や引き波で艇が揺れればリグにも荷重の変化が生じます。</p>
<p>パンテニウスも、ステイやシュラウド、ターミナルなどは港に停泊している間にも繰り返し荷重を受けていると説明しています。</p>
<p>リギンの張り具合も関係します。張力が不足していると、風や波によってマストやリギンが余計に動きやすくなります。リギン専門会社 Allsparsは、緩すぎるリギンは疲労を早め、反対に張りすぎれば艇体側に過大な負担を掛けると説明しています。</p>
<p>また、海上で使用する以上、塩分や湿気の影響も無視できません。特に異種金属が接する部分や、水分が残りやすい部分では腐食も問題になります。</p>
<p>こう考えると、航海距離が少ないことはリギンが受けてきた負荷を考える材料にはなりますが、それだけで寿命を判断することはできません。</p>
<p>「ほとんど乗っていないから大丈夫」とも、「20年経ったからもう使えない」とも、単純には言えないということです。</p>
<h2>何をきっかけに交換するか？</h2>
<p>では実際に、スタンディングリギンはどんなときに交換されているのでしょうか。</p>
<p>破断や素線切れ、端末部品のクラックなど、明らかな異常が見つかった場合は別として、まだ普通に使えているスタンディングリギンを交換するには、何かきっかけが必要になりそうです。</p>
<p>国内のヨットオーナーの記録を調べてみると、船齢16〜17年ほどで、まだ破断していないスタンディングリギンを交換した例がありました。</p>
<p>このオーナーは以前所有していた艇でも、船齢約17年のときにマストを倒してスタンディングリギンを総交換しています。その後所有した艇でも、船齢16年でマストを倒し、スタンディングリギンを交換しています。</p>
<p>興味深いのは、どちらもリギンが破断したから交換したわけではないことです。</p>
<p>また、マストを倒す機会に合わせて、マスト灯などの整備とスタンディングリギンの交換をまとめて行っています。</p>
<p><strong>「マストを倒す」</strong>というのは、一つの大きなきっかけになりそうです。</p>
<p>普段は確認しにくいマストヘッドやスプレッダー、シーブ、配線などを点検でき、スタンディングリギンそのものも取り外して確認できます。マストを立てたまま交換するより、ほかの整備と合わせて作業しやすくなります。</p>
<p><strong>「中古艇を購入したとき」</strong>も、交換を考えるきっかけになります。問題になるのは、前回いつ交換されたのか分からない場合です。</p>
<p>新艇から所有していれば使用年数も航海履歴も把握できますが、中古艇では前オーナー以前の航海及び整備記録が残っていないことがあります。見た目に異常がなくても、「このリギンは5年前のものなのか、それとも20年以上使われているものなのか」「どのんな航海をしてきたのか」が分かりません。</p>
<p>国内には、かなり長期間使用されたあとに実際に不具合が出た例もあります。</p>
<p>約35年間交換されていなかったとみられるスタンディングリギンで、ロワーサイドステーのターンバックル下部が破断した事例です。</p>
<p>この艇では、破断する以前にターンバックルのロックナットが電食によって割れているのが見つかり、オーナーはリギン全交換の必要性を考えていました。その後、実際に端末側で破断が起き、マストを倒してスタンディングリギンを全交換しています。</p>
<p>もちろん、この一例だけから「35年使えば破断する」と考えることはできません。</p>
<p>ただ、スタンディングリギンの交換は、必ずしもワイヤーが切れたことをきっかけに行われているわけではありません。</p>
<p>使用年数が長くなった。中古艇を購入して履歴が分からない。マストを倒す機会ができた。点検で気になる箇所が見つかった。こうしたことが、まだ使えているスタンディングリギンを交換するきっかけになっています。</p>
<p><strong>交換するとき、どこまで交換する？</strong></p>
<p>スタンディングリギンを交換するといっても、どこまでを交換するのでしょうか。</p>
<p>対象になるのは、フォアステイ、バックステイ、アッパーシュラウド、ロワーシュラウドなどのワイヤーです。ただし、ワイヤーの両端にはマストや船体と接続するためのターミナルがあります。一般的なスエージ式では、このターミナルはワイヤーに圧着されているので、ワイヤーを新しくすればターミナルも新しくなります。</p>
<p>迷うのは、その先にある部品です。</p>
<p>デッキ側を見ると、ターンバックル、トグル、クレビスピンなどを介してチェーンプレートにつながっています。</p>
<p>これらをすべて新品にするのか、それとも状態を確認して再使用するのかは、部品の種類や状態によって変わります。</p>
<p>セルデン（Seldén）も、スタンディングリギンの点検ではワイヤーだけではなく、ターミナル、トグル、ターンバックル、リンク、クレビスピンなどについて、摩耗、変形、クラックがないか確認するよう求めています。</p>
<p>つまり、ワイヤーを交換する機会には、その周辺部品も同時に点検することになります。</p>
<p>さらに忘れてはいけないのがチェーンプレートです。せっかくワイヤーや端末部品を新しくしても、それを受けるチェーンプレートや船体への取付部分に問題があれば、スタンディングリギン全体として健全になったとはいえません。</p>
<p>フォアステイの場合は、ファーラーも関係します。フォアステイを交換するためにはファーラーを取り外す必要があり、その機会にドラムやベアリング、フォイルなどを点検することもできます。</p>
<p>こうして見ると、スタンディングリギンの交換は、単純に「古いワイヤーを新しいワイヤーに張り替える」という作業ではありません。</p>
<p>どこまで交換するかは艇ごとに違いますが、少なくともワイヤーを交換する機会に、その両端からマスト側、船体側までの接続部分を一緒に確認しておく必要があります。</p>
<h2>交換にはいくらかかる？</h2>
<p>スタンディングリギンの交換を考えたとき、やはり気になるのが費用です。</p>
<p>残念ながら、日本国内では「35ftならいくら」「40ftならいくら」といった料金を公開している業者は殆どなく、一般的な相場を示すのは難しいのが現状です。</p>
<p>スタンディングリギンの交換費用は、単純に艇の大きさだけでは決まりません。</p>
<p>ステイやシュラウドの本数と長さ、ワイヤー径、ターミナルの種類、ターンバックルなどをどこまで交換するかによって部品代が変わります。さらに、マストを倒して作業する場合には、クレーンやマストの脱着、作業後のリグ調整などの費用も必要になります。</p>
<p>海外の例を見ると、35〜45ft程度のクルージングヨットでスタンディングリギンを一式交換した場合、6,000〜15,000ドル程度という目安が紹介されています。</p>
<p>実際の例では、34ftの Catalina 34 で、マストを倒し、スタンディングリギンを交換して、再びマストを立ててリグを調整するところまで業者に依頼した見積りが 15,000ドルを超えたケースもあります。</p>
<p>このオーナーは最終的に自分で交換する方法を選び、ワイヤーや端末部品など一式を購入した費用は、送料や税を含めて約4,000ドルでした。</p>
<p>同じ艇でも、部品を購入して自分で作業する場合と、マストの脱着から交換、調整まで専門業者に任せる場合では、これだけ大きな差が出ることがあります。</p>
<p>もう一つ考えておきたいのが、マストを倒したことで見えてくる整備です。</p>
<p>普段は簡単に手を入れられないマストヘッドのシーブ、スプレッダー、マスト灯、VHFアンテナや同軸ケーブル、電気配線などを間近で確認できます。ファーラーも取り外すのであれば、その整備も同時に行う機会になります。</p>
<p>「せっかくマストを倒したのだから」と整備範囲を広げれば、当然ながら費用も増えていきます。</p>
<p>つまり、スタンディングリギンの交換費用を考えるときには、ワイヤー一式の価格だけを見てもあまり意味がありません。</p>
<p>どこまで部品を交換するのか。マストを倒すのか。誰が作業するのか。そして、同時にどこまで整備するのか。まず交換する範囲を決めなければ、必要な費用も決まらないということです。</p>
<h2>最後に… 何を見て判断する？</h2>
<p>ここまで見てきたように、スタンディングリギンには、すべてのヨットに共通する「何年経ったら交換」という期限があるわけではありません。</p>
<p>では、自分の艇ではどう判断すればよいのか。</p>
<p>まず、破断、素線切れ、端末部品のクラック、著しい腐食や変形など、明らかな異常が見つかった場合は話が別です。これは「そろそろ交換した方がいいだろうか」と考える段階ではありません。使用を続けず、必要な範囲を交換すべき状態です。</p>
<p>難しいのは、そうした異常が見つからない場合です。</p>
<p>ここで最初に確認したいのが、現在のスタンディングリギンがいつ取り付けられたものなのかです。</p>
<p>次に、そのリギンがどのように使われてきたのか。</p>
<p>そして、現在の状態の詳細な確認です。</p>
<p>ワイヤーだけではなく、ターミナル、ターンバックル、トグル、ピンなども含めて見る必要があります。ファーラー内部のフォアステイやマスト上部など、普段の目視では確認できない場所もあります。</p>
<p>問題は、ここまで確認しても「あと何年使える」と正確に判断することは難しいということです。</p>
<p>セルデン（Seldén）が示す20,000海里という期待寿命も、他で示されている年数の目安も、個々の艇のリギンがその数字まで必ず使えることを保証するものではありません。</p>
<p>反対に、ある年数を超えた瞬間に使えなくなるという意味でもありません。</p>
<p>だからこそ、交換履歴が分からない、かなり長期間使われている、あるいは自分で確認できない部分が多いという場合には、一度、専門家にリグ全体を見てもらうことが、交換するかどうかを決めるための大きな判断材料になると思います。</p>
<p>スタンディングリギンの交換を考えるときに必要なのは、「何年経ったか」という数字だけではありません。</p>
<p><strong>いつから使っているのか。どのように使われてきたのか。そして、今どのような状態なのか。</strong></p>
<p>この三つを把握することが、交換するかどうかを考える出発点になるということのようです。</p>
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		<title>セイラーが発明したドーナツの穴</title>
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		<dc:creator><![CDATA[malusailing]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 28 Sep 2026 18:19:44 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[ヨットよもやま話 | “HOLO PE’A MALU”]]></category>
		<category><![CDATA[スクーナー]]></category>
		<category><![CDATA[セイラー]]></category>
		<category><![CDATA[ドーナツ]]></category>
		<category><![CDATA[ドーナツの穴]]></category>
		<category><![CDATA[ハンソン・グレゴリー]]></category>
		<category><![CDATA[帆船]]></category>
		<category><![CDATA[船乗り]]></category>
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					<description><![CDATA[昨日、たまたまテレビをつけたら、NHKの番組『有吉のお金発見 突撃！カネオくん』で「ドーナツの穴ってどうしてあるの？」というクイズから、その発明者が船乗り（セイラー）だという話が紹介されてました。 ん？ ドーナツ、船乗り [&#8230;]]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>昨日、たまたまテレビをつけたら、NHKの番組『有吉のお金発見 突撃！カネオくん』で「ドーナツの穴ってどうしてあるの？」というクイズから、その発明者が船乗り（セイラー）だという話が紹介されてました。</p>
<p>ん？ ドーナツ、船乗り = セイラー</p>
<p>僕はドーナツ好きで、今風のバエ系（派手ないろいろなトッピングやクリーム入った）じゃない、真ん中に穴のあいたトラディショナルなドーナツが好きで、スタバとかに行くとついつい買っちゃったり、MALU号にも持っていってコーヒーと一緒に食べたりしてます。</p>
<p>この真ん中の穴にもちゃんと理由がある、という話は以前から何処かで聞いたことがあったんですが、その穴を発明した人物がセイラーだったというのは初耳です。</p>
<p>その人物が、ハンソン・グレゴリー（Hanson Gregory）というセイラー。19世紀、帆船が海を行き交っていた時代に海へ出て、後に大型貨物帆船の船長にまでなった人物です。</p>
<p>ドーナツとセイラーなんて、まったく関係がなさそうな二つのワード。セイラーが登場する話なので、ついついスマホでネット検索なんぞをしてしまったので、ここは MALU SAILING的 にちょっと深掘りしてみることにします。</p>
<p><img decoding="async" class="aligncenter size-full wp-image-8954" src="https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0506.png" alt="" width="300" height="300" srcset="https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0506.png 300w, https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0506-150x150.png 150w" sizes="(max-width: 300px) 100vw, 300px" /></p>

<h2>ネタ元はワシントンポスト</h2>
<p><span class="Apple-converted-space">この話、実は</span>1916年3月26日のワシントンポスト誌に掲載された記事、</p>
<p><strong>‘OLD SALT’ DOUGHNUT HOLE INVENTOR TELLS JUST HOW DISCOVERY WAS MADE AND STOMACH OF EARTHS SAVED</strong><br />
（「ドーナツの穴」の発明者、“老練なセイラー”が、その発見がどのようになされ、世界の人々の胃を救ったのかを語る）</p>
<p>によってドーナツの穴の発明者がセイラーのハンソン・グレゴリーだということが世に広められたのです。</p>
<p>この記事、割と読み応えがあって、面白いので、全文をオリジナルの英文とその後に和訳で紹介しておきたいと思います。</p>
<h2>記事全文（英語版）</h2>
<p>‘OLD SALT’ DOUGHNUT HOLE INVENTOR TELLS JUST HOW DISCOVERY WAS MADE AND STOMACH OF EARTHS SAVED</p>
<p>Special to The Washington Post.</p>
<p>Boston, March 25.–The man who invented the hole in the doughnut has been found. He is Capt. Hanson Gregory, at present an inmate in Sailor’s Snug Harbor, at Quincy, Mass. Doughnut cutters have made fortunes for men; millions eat doughnuts for breakfast and feel satisfied. Doctors do not assail the doughnut. And all of this owes its being to Capt. Gregory, who made the doughnut a safe, sane and hygienic food.</p>
<p>It’s a long story, mates; but as the 85-year-old chap relates it, it’s only too short. Outside the fact that Capt. Gregory is a bit hard of hearing, he’s as sound as new timber.</p>
<p>He’s a product of Maine; and so Maine can lay claim to the discoverer of the hole in the doughnut, along with the discoverer of new ways to evade the prohibition laws. But Capt. Gregory’s discovery is of real use in the world; millions have risen, and millions more shall rise up, and call him blessed.</p>
<p>’Bout ’47 Was the Date.</p>
<p>“It was way back–oh, I don’t know just what year–let me see–born in ’31, shipped when I was 13–well, I guess it was about ’47, when I was 16, that I was aboard ship and discovered the hole which was later to revolutionize the doughnut industry.</p>
<p>“I first shipped aboard the Isaac Achorn, three-masted schooner, Capt. Rhodes, in the lime trade. Later I joined other crews and other captains, and it was on one of these cruises that I was mawing doughnuts.</p>
<p>“Now in them days we used to cut the doughnuts into diamond shapes, and also into long strips, bent in half, and then twisted. I don’t think we called them doughnuts then–they was just ‘fried cakes’ and ‘twisters.’</p>
<p>“Well, sir, they used to fry all right around the edges, but when you had the edges done the insides was all raw dough. And the twisters used to sop up all the grease just where they bent, and they were tough on the digestion.”</p>
<p>“Pretty d–d tough, too!” profanely agreed one of the dozen pipe-smoking fellows who were all eyes and ears, taking in their comrade’s interview by The Post reporter.</p>
<p>With a glance at the perfervid interrupter, the discoverer continued:</p>
<p>“Well, I says to myself, ‘Why wouldn’t a space inside solve the difficulty?’ I thought at first I’d take one of the strips (Col. 2–ed.) and roll it around, then I got an inspiration, a great inspiration.</p>
<p>“I took the cover off the ship’s tin pepper box, and–I cut into the middle of that doughnut the first hole ever seen by mortal eyes!”</p>
<p>“Were you pleased?”</p>
<p>“Was Columbus pleased? Well, sir, them doughnuts was the finest I ever tasted. No more indigestion–no more greasy sinkers–but just well-done, fried-through doughnuts.</p>
<p>“That cruise over, I went home to my old mother and father in Camden, Me., where I was born. My father, Hanson Gregory, sr., lived to be 93, and my mother lived to be 79. She was a pretty old lady then. I saw her making doughnuts in the kitchen–I can see her now, and as fine a woman as ever-lived, was my mother.</p>
<p>Taught Trick to Mother.</p>
<p>“I says to her: ‘Let me make some doughnuts for you.’ She says all right, so I made her one or two and then showed her how.</p>
<p>“She then made several panfuls and sent them down to Rockland, just outside Camden. Everybody was delighted and they never made doughnuts any other way except the way I showed my mother.</p>
<p>“Well, I never took out a patent on it; I don’t suppose any one can patent anything he discovers; I don’t suppose Peary could patent the north pole or Columbus patent America. But I thought I’d get out a doughnut cutter–but somebody got in ahead of me.</p>
<p>Hole “Cut Out,” His Joke.</p>
<p>“Of course a hole ain’t so much; but it’s the best part of the doughnut–you’d think so if you had ever tasted the doughnuts we used to eat in ‘31. Of course, lots of people joke about the hole in the doughnut. I’ve got a joke myself: Whenever anybody says to me: ‘Where’s the hole in the doughnut?’ I always answer: ‘It’s been cut out!’” and the old chap laughed loud and longat his little sally, while the rest joined in.</p>
<p>So there he sits–in the Snug Harbor by the sea. And whenever there’s doughnuts on the day’s fare, Capt. Gregory takes a personal pride trying to do what nobody’s succeeded in doing yet–in trying to find the hole in the doughnut. And whenever the old salts rally him about it, he always springs his little joke:</p>
<p>“The hole’s been cut out, I guess!” to the delight of the whole shipful.</p>
<p>(Where would hungry mathematicians be without him?–ed.)</p>
<h2>記事全文（和訳版）</h2>
<p>「ドーナツの穴」の発明者、“老練なセーラー”が、その発見がどのようになされ、世界の人々の胃を救ったのかを語る</p>
<p>ワシントンポスト特派員</p>
<p>ボストン、3月25日――</p>
<h3>ドーナツの穴を発明した男が見つかった。</h3>
<p>その人物は、ハンソン・グレゴリー船長（Capt. Hanson Gregory）。現在はマサチューセッツ州クインシーにあるセイラーズ・スナッグ・ハーバー（Sailor’s Snug Harbor : 退職した船乗り専用の老人ホーム）で暮らしている。</p>
<p>ドーナツの抜き型によって財を成した者もいる。何百万人もの人々が朝食にドーナツを食べ、満足している。医者たちもドーナツを非難してはいない。</p>
<p>そして、そのすべてはグレゴリー船長のおかげなのだ。彼はドーナツを安全で、まともで、衛生的な食べ物にした人物である。</p>
<h3>「長い話になるよ、諸君。」</h3>
<p>しかし、85歳になる彼が語ると、その話はあまりにも短く感じられる。グレゴリー船長は少々耳が遠くなっていることを除けば、それ以外はまだまだ頑健だ。</p>
<p>彼はメイン州生まれだ。だから、メイン州は禁酒法をかいくぐる新しい方法を考え出した人々というだけでなく、「ドーナツの穴」を発見した人物 も自分たちの出身者だと誇ることができる。もっとも、グレゴリー船長の発見は、世の中で本当に役に立つものだ。何百万人もの人々がすでに彼に感謝し、これからもさらに何百万人もの人々が彼に感謝することだろう。</p>
<h3>「たしか1847年ごろだった」</h3>
<p>「ずっと昔のことだ。何年だったかな……ちょっと待ってくれ。私は1831年生まれで、13歳で船に乗った。そうだな、たしか1847年ごろ、16歳のときだったと思う。私は船に乗っていて、後にドーナツ業界を一変させることになる“穴”を発見したんだ。最初に乗ったのは、アイザック・エイコーン（Isaac Achorn）という3本マストのスクーナーだった。船長はロードス（Capt. Rhodes）。石灰を運ぶライム・トレード（lime trade : 石灰を帆船で運ぶ沿岸貨物輸送のこと。ここでいう lime は果物のライムではなく、建築材料などに使う石灰を樽に詰めたもののことです。）に従事していた船だ。その後、別の船や別の船長のもとでも働くようになった。</p>
<p>そして、そのうちのある航海で、私はドーナツをむしゃむしゃ食べていたんだ。</p>
<p>当時は、生地を菱形に切ったものや、細長く切った生地を半分に折り、それをねじったものを作っていた。もっとも、当時はそれをドーナツとは呼んでいなかったと思う。単に『フライド・ケーキ（fried cakes）』とか『ツイスター（twisters）』と呼んでいた。</p>
<p>ところがね、外側はちゃんと揚がるんだが、外側が揚がった頃になっても、中はまだ生の生地のままだった。ツイスターのほうも、折り曲げたところに油をたっぷり吸い込んでしまう。あれは消化にはかなりきつかったよ」</p>
<p>すると、周囲でインタビューを聞いていた十数人のパイプをくわえた仲間の一人が、汚い言葉を交えながら、</p>
<p>「本当に、とんでもなく胃にきつかったな！」</p>
<p>と同意した。 グレゴリーは、その熱心な割り込みにちらりと目をやると、話を続けた。</p>
<h3><strong>船の胡椒入れから生まれた穴</strong></h3>
<p>「そこで私は考えたんだ。『真ん中に空間を作れば、この問題は解決するんじゃないか？』最初は、細長い生地を一本取って、それを丸く輪にしようと思った。だが、そのときひらめいた。すごいひらめきだった。船にあったブリキ製の胡椒入れ（tin pepper box）の蓋を外して――その蓋でドーナツの真ん中をくり抜いたんだ。人間が初めて目にした、ドーナツの穴をね！」</p>
<p>記者が尋ねた。「うれしかったですか？」</p>
<p>「コロンブスはうれしかったと思うかい？そりゃあ、うれしかったさ。そのドーナツは、それまで食べた中で最高だった。もう消化不良になることもない。油を吸った重たい代物（greasy sinkers）でもない。中までちゃんと火の通った、きれいに揚がったドーナツになったんだ」</p>
<h3>航海を終えて母親のもとへ</h3>
<p>「その航海が終わると、私は生まれ故郷のメイン州カムデン（Camden）にいた父と母のもとへ帰った。父のハンソン・グレゴリー・シニアは93歳まで生きた。母は79歳まで生きた。あの頃の母も、もうかなり年を取っていた。あるとき、母が台所でドーナツを作っているのを見たんだ。今でもその姿が目に浮かぶ。本当にすばらしい女性だったよ、私の母は」</p>
<h3>母親に穴の開け方を教える</h3>
<p>「私は母に言った。『僕にドーナツを作らせてよ』母は『いいよ』と言った。そこで一つか二つ作って、それから母に作り方を教えた。母はその方法で何鍋分ものドーナツを作り、カムデンのすぐ近くにあるロックランド（Rockland）へ送った。みんな大喜びだった。それ以来、私が母に教えた方法以外では、ドーナツを作らなくなったんだ。</p>
<p>もっとも、私はこの方法の特許を取らなかった。</p>
<p>そもそも、自分が発見したものに特許なんて取れるものなのか、私には分からない。ピアリーだって北極点の特許は取れないだろうし、コロンブスだってアメリカの特許を取ることはできないだろう。でも、ドーナツの抜き型を作って売ろうとは思ったんだ。ところが、誰かに先を越されてしまった」</p>
<h3>「穴は切り取られたのさ」</h3>
<p>「もちろん、穴そのものは大したものじゃない。でも、あれこそドーナツで一番いい部分なんだ。1831年頃に私たちが食べていたようなドーナツを一度でも食べたことがあれば、きっとそう思うはずだよ。もちろん、ドーナツの穴については、みんなよく冗談を言う。</p>
<p>私にも一つ持ちネタがあるんだ。</p>
<p>誰かが私に、『ドーナツの穴はどこにあるんだ？』と聞くと、私はいつもこう答える。『切り取られちまったよ！』」</p>
<p>そう言って老人は、自分の冗談に大声で長々と笑った。周囲の仲間たちも一緒になって笑った。</p>
<p>こうして彼は今も、海辺のスナッグ・ハーバーで暮らしている。そして、その日の食事にドーナツが出るたび、グレゴリー船長は個人的な誇りを持って、いまだ誰も成功していないことに挑戦している。</p>
<p>ドーナツの（切り取られた）穴を見つけることだ。</p>
<p>古参の船乗り仲間たちがこの話で彼をからかうたび、彼は決まって、いつもの冗談を返す。</p>
<p>「穴は切り取られちまったんだろうよ！」</p>
<p>すると施設中の仲間たちが大喜びするのである。</p>
<p>（彼がいなかったら、腹を空かせた数学者たちはどうなっていただろう？――編集部）</p>
<h2><span class="Apple-converted-space">最後に…</span><span class="Apple-converted-space"> </span></h2>
<p>ドーナツの穴は、中央部が周りに比べて生揚げ状態になってしまう。ならば、真ん中をくり抜いてから揚げれば、生の部分はなくなり、全体が綺麗に揚がったドーナツになる。</p>
<p>今となってみれば、誰でも思いつきそうな話です。でも当時は、「揚げ菓子とはそんなもの」と、それが当たりまえだったのかもしれません。</p>
<p>もちろん、グレゴリー船長以外にも同じようなことを思いついた人がいたかもしれません。その人は大した工夫だとは思わず、誰にも話さなかっただけかもしれません。</p>
<p>なので、グレゴリー船長がたまたま新聞に取り上げられ、当時のアメリカで広く知られたことで、「ドーナツの穴を発明した人」として名前が残っただけなのかもしれません。</p>
<p>グレゴリー船長がドーナツに穴を開けたとされるのは1847年頃ですが、本当に彼が世界で最初だったのかは、今となっては誰にもわかりません。</p>
<p>しかし、このドーナツの穴を発明した人物として名前を残したのが、セイラーだったというのが面白い。</p>
<p>当時の船乗りにとって、航海そのものが工夫の積み重ねで、ひとたび海へ出れば、船上で何かが起きても、すぐに誰かが助けに来てくれるわけではありません。船にある物を使い、自分の知恵と発想で何とかする。</p>
<p>これは現代のセーリングヨットでも、どこか同じです。</p>
<p>どうすれば風をうまく使って船を走らせられるのか。何かが壊れたら、手元にある物でどう直すのか。セイラーは常に考え、工夫します。</p>
<p>グレゴリーがドーナツを食べながら、真ん中の生揚げ部分を「これは何とかならないのか」と考え、船にあった胡椒入れの蓋を使って穴を開けたという話。</p>
<p>本当に彼が最初に考えついたのかはわかりませんが、あたりまえになっていた不具合を「あたりまえ」で済ませることなく、船にある物を使って試してみた。</p>
<p>そう考えると、ドーナツの穴を発明した人物として歴史に名前を残したのがセイラーだったというのも、何となく納得できるような気がします。</p>
<p>そんなことを考えていたら、やっぱりMALU SAILINGで紹介しておきたくなった、というわけです。尚、冒頭「深掘りしてみたいと思います」と言っておきながら、何も深掘りはしませんでした。原文を全文見ていただくのが一番面白いかなって書きながら思った次第です。</p>
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		<title>ヨットの電気設備 どこを点検する？</title>
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		<dc:creator><![CDATA[malusailing]]></dc:creator>
		<pubDate>Sun, 27 Sep 2026 22:00:16 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[ヨットのメンテナンス]]></category>
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					<description><![CDATA[ヨットの電気設備は、艇によってまちまちです。シンプルな電装しか持たない艇もあれば、冷蔵庫やエアコン、インバーター、バウスラスターなど、多くの電気設備機器を搭載している艇もあります。 中古艇では、さらに事情は複雑です。 新 [&#8230;]]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>ヨットの電気設備は、艇によってまちまちです。シンプルな電装しか持たない艇もあれば、冷蔵庫やエアコン、インバーター、バウスラスターなど、多くの電気設備機器を搭載している艇もあります。</p>
<p>中古艇では、さらに事情は複雑です。</p>
<p>新艇として建造されたときの状態から、歴代のオーナーによって機器が追加されたり、交換されたり、配線が変更されたりしていることもあります。</p>
<p>普段ヨットに乗っていても、目にするのはスイッチや機器そのものが中心で、その先の配線がどこを通り、どのようにつながっているのかまで見る機会は、それほどありません。</p>
<p>自分のヨットの電気系統は、いまどのような状態になっているのでしょうか。</p>
<p>ということで今回は、普段あまり見ることのないヨットの電気系統について、少し目を向けてみたいと思います。</p>
<p><img decoding="async" class="aligncenter size-full wp-image-8918" src="https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/10/IMG_0468.png" alt="" width="300" height="300" srcset="https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/10/IMG_0468.png 300w, https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/10/IMG_0468-150x150.png 150w" sizes="(max-width: 300px) 100vw, 300px" /></p>

<h2>陸電（ショアパワー）には注意</h2>
<p>ヨットをマリーナに係留している間も、陸電を接続したままにしている艇は少なくありません。</p>
<p>バッテリーの充電をはじめ、冷蔵庫やエアコンなどを使うことができ、長期間係留するクルージングヨットにとって便利な設備です。</p>
<p>しかし、BoatUSの火災事故分析では、AC電源による火災について気になる傾向が報告されています。</p>
<p>AC電源による火災の多くは、艇内にある電気設備機器ではなく、マリーナの陸電ポストから艇側のショアパワー・インレット（陸電ケーブルの船側の差込口）までの間で発生しているというものです。</p>
<p>陸電は、マリーナの陸電ポスト → 陸電ケーブル（ショアパワーケーブル）→ プラグやコネクター → 艇側のショアパワー・インレット（陸電ケーブルの船側の差込口）という経路で艇内へ電気を取り込んでいます。</p>
<p>この中には、ケーブル同士をつないでいる部分や、金属端子同士が接触して電気を流している部分がいくつもあります。</p>
<p>ここで問題になるのが、接触不良による発熱です。</p>
<p>例えば、陸電（ショアパワー）のプラグが差込口（インレット）にしっかり差し込まれていなかったり、端子が腐食して接触状態が悪くなったりすると、その部分の電気抵抗が大きくなります。</p>
<p>それでも接続が完全に切れていなければ、艇内へ電気は供給され続け、冷蔵庫も動いている、バッテリーも充電されている、艇内のACコンセントも使える。オーナーから見れば、陸電（ショアパワー）は正常に使えているように見えます。</p>
<p>しかし、接触状態が悪くなった部分では、電気を流しながら発熱している可能性があります。</p>
<p>陸電（ショアパワー）では、エアコンや電気ヒーター、など消費電力の大きな機器を長時間使うこともあります。流れる電流が大きくなれば、接触抵抗のある部分で発生する熱も大きくなります。</p>
<p>発熱が続けば、プラグや差込口（インレット）周辺の樹脂が変色し、さらに温度が上がれば変形や炭化につながることもあります。</p>
<p>BoatUSは、陸電ケーブル（ショアパワーコード）に傷みがないか、特にコネクターの両端やプラグの接点に異常がないかを確認し、傷みが見つかった場合には交換することを勧めています。</p>
<p>さらに注意したい場所があります。艇側の陸電ケーブルの差込口（ショアパワー・インレット）の裏側です。外から見えているインレットの、その裏側には、艇内のAC配線を接続する端子があります。</p>
<p>BoatUSが火災保険事故を分析したところ、船齢10年以上の艇では、この差込口（インレット）裏側の配線接続部分も火災リスクの高い場所として確認されています。古い艇では、インレットが建造時から交換されていない場合、交換または接続状態の点検を検討するよう勧めています。</p>
<p>陸電（ショアパワー）による火災が怖い理由は、こうした発熱が係留中にも起こり得ることです。</p>
<p>エンジンを止めてキーを抜き、メインのDCスイッチを切って艇を離れたとしても、陸電（ショアパワー）を接続していれば、AC系統には通電が続き、接続されているAC機器も動作できる状態です。</p>
<p>人が乗っていない時間にも、陸電（ショアパワー）は何時間、場合によっては何日も接続されたままになります。</p>
<p>つまり、ヨットを離れたからといって、艇の電気がすべて止まっているわけではありません。ショアパワーを接続したまま艇を離れるのであれば、陸電ポストからケーブル、プラグ、艇側の差込口まで、長時間通電した状態になることを意識しておく必要があります。</p>
<h2>DC側で注意したい場所</h2>
<p>陸電（ショアパワー）を使用していないヨットでも、電気火災への注意は必要です。</p>
<p>ヨットには12Vや24VのDC電源があり、その中心にあるのがバッテリーです。エンジンを停止して陸電（ショアパワー）を外していても、バッテリーが接続されている限り、DC側には電気を供給できる状態が残っています。</p>
<p>まず確認したいのが、大きな電流が流れる回路です。</p>
<p>代表的なものは、バッテリー端子、バッテリースイッチ、スターターモーター、オルタネーター、ウインドラス、バウスラスター、インバーターなどです。</p>
<p>これらの機器には、航海計器やLED照明などとは比較にならない大きな電流が流れることがあります。</p>
<p>例えば、スターターモーターはエンジンを始動する短い時間だけですが、大きな電流を必要とします。ウインドラスやバウスラスターも同様で、太いケーブルでバッテリーと接続されています。</p>
<p>ここで注意したいのは、機器そのものだけではありません。バッテリーから機器までの途中にある接続部分です。</p>
<p>バッテリー端子から太いケーブルが延び、その途中にはバッテリースイッチやバスバー、ヒューズ、端子などがあります。接続箇所が増えれば、それだけ点検すべき場所も増えます。</p>
<p>BoatUSの保険事故分析でも、DC電装による火災では、緩んだバッテリー接続、擦れて損傷したバッテリーケーブル、古くなったバッテリースイッチなどが原因として挙げられています。</p>
<p>バッテリー周辺でもうひとつ注意したいのが、バッテリーから最初のヒューズまでの配線です。ヒューズは、その先の回路で過電流が発生したときに配線を保護するためにあります。しかし、バッテリーとヒューズの間にある配線は、そのヒューズでは保護されません。</p>
<p>例えば、バッテリーから離れた場所にメインヒューズがあり、その途中のプラスケーブルが擦れて損傷したとします。ヒューズよりバッテリー側で短絡すれば、そのヒューズでは電流を遮断できません。だからこそ、バッテリーに近い位置で適切に回路を保護することが重要になります。</p>
<p>また、ヨットではエンジンを止めたあともDC電源を使うことがあります。ビルジポンプやアラームなど、艇を離れている間にも動作させるため、メインのバッテリースイッチを切っても電源が残るように配線されている機器もあります。</p>
<p>つまり、「バッテリースイッチをOFFにしたから、艇内のDC配線すべてに電気が流れなくなった」とは限りません。自艇のどの回路がバッテリースイッチを通り、どの回路がバッテリーから常時給電されているのか。</p>
<p>DC側の火災を防ぐためには、まず自分のヨットの電気がどのようにつながっているのかを把握しておくことが重要です。</p>
<p>古いヨットでは「後付け」にも注意</p>
<p>船齢の長いヨットだからといって、それだけで電気火災が起こりやすいとは限りません。</p>
<p>注意したいのは、長く使われてきたヨットでは、建造されたときの電気系統がそのまま残っているとは限らないことです。</p>
<p>30年、40年と使われてきたクルージングヨットを考えてみると、その間にさまざまな電装品が追加されていることがあります。</p>
<p>GPS、チャートプロッター、AIS、VHF、オートパイロット、冷蔵庫、インバーター、USB電源、電動ウインドラスなど、現在では珍しくない装備でも、建造当時には搭載されていなかったものがあります。</p>
<p>こうした機器を追加するたびに、新しい配線も追加されます。</p>
<p>問題は、誰が、いつ、どのような方法で取り付けたのか分からない配線が残っていることがあることです。</p>
<p>例えば、新しい機器を取り付けるために既存の配線から電源を分岐したり、途中でケーブルを継ぎ足したりしていることがあります。</p>
<p>さらに機器を交換した際、以前使われていた配線だけが残っていることもあります。</p>
<p>配電盤を開けてみると、どこにつながっているのか分からない配線が何本もあるという古いヨットも珍しくありません。</p>
<p>ここで確認したいのは、単に配線が古いかどうかではありません。追加された機器に対して、配線そのものが適切なのかという点です。</p>
<p>消費電流に対してケーブルが細すぎれば、配線そのものが発熱する可能性があります。ヒューズの容量が大きすぎれば、配線が許容できる以上の電流が流れても、ヒューズが切れない可能性があります。端子の圧着が不十分なら、接触抵抗による発熱につながります。</p>
<p>さらにヨットでは、配線が船体の振動や動きにさらされます。配線が適切に固定されていなければ、隔壁や機器の角などに長期間擦れ続け、被覆が傷むこともあります。</p>
<p>BoatUSの火災事故分析でも、船齢25年以上の艇では、古いワイヤリングハーネスやスターターに関連する火災が目立つことが報告されています。</p>
<p>古いヨットの電気系統を見るときには、建造時の配線だけを見るのではなく、その後何十年にもわたって何が追加され、どのように変更されてきたのかを見る必要があります。</p>
<p>電装品を追加すること自体が問題なのではありません。新しい機器を取り付けたときに、配線の太さ、ヒューズ、端子、接続方法、配線の取り回しまで、その機器に合わせて適切に施工されているか。</p>
<p>船齢の長いヨットでは、こうした過去の電装工事も含めて確認することが大切です。</p>
<h2>まずどこを確認すべきか</h2>
<p>電気系統のすべてを点検しようとすると、配電盤を開けたり、配線を一本ずつ追ったりする必要があり、専門的な知識も必要になります。</p>
<p>ただ、オーナー自身で普段から簡単に確認できる場所はあります。</p>
<p>まず見ておきたいのが、陸電（ショアパワー）のプラグと艇側の差込口（インレット）です。</p>
<p>プラグや差込口の樹脂が茶色や黒っぽく変色していないか、溶けたり変形したりしていないかを確認します。焦げたような臭いがする場合も注意が必要です。</p>
<p>陸電（ショアパワー）を使用したあと、プラグや差込口が以前より熱く感じるようになった場合も、そのまま使い続けず、接続状態を確認する必要があります。</p>
<p>次に確認したいのがバッテリー周辺です。</p>
<p>ケーブル端子が緩んでいないか、白や緑色の腐食が発生していないか、ケーブル端子やバッテリースイッチに変色や熱による変形がないかを見ます。</p>
<p>特にスターター、ウインドラス、バウスラスター、インバーターなどへつながる太いケーブルは、大きな電流が流れます。ケーブルそのものだけでなく、その両端がどのように接続されているかを確認することが重要です。</p>
<p>配線については、被覆の状態も確認します。</p>
<p>隔壁を通過する場所、エンジン周辺、ロッカーの中などでは、配線が船体や金属部品に擦れていないか、無理に曲げられていないか、配線の固定が外れて動く状態になっていないかを見ます。</p>
<p>後から追加された電装品については、電源線をたどってみるのも有効です。</p>
<p>どこから電源を取っているのか。その回路にはヒューズがあるのか。途中で不自然に細い配線へ変わっていないか。家庭用の配線部品など、船内での使用に適さないものが使われていないか。</p>
<p>自分で取り付けた機器なら分かりますが、中古艇では以前のオーナーが行った電装工事がそのまま残っていることもあります。</p>
<p>また、目で見るだけではなく、触ったときの温度や臭いも異常を見つける手掛かりになります。</p>
<p>電気機器を使用したあとに、特定の端子やスイッチだけが異常に熱い。以前にはなかった焦げたような臭いがする。プラグを抜いてみると接点が変色している。こうした変化は、その場所で発熱が起きている可能性を示しています。</p>
<p>ただし、点検するために通電中の端子へ触れたり、AC配電盤やショアパワー・インレットを知識のないまま分解したりするのは危険です。特にAC100Vや200Vを扱う部分は、火災だけでなく感電の危険もあります。</p>
<p>オーナー自身でできるのは、まず「いつもと違う状態がないか」を見つけることです。</p>
<p>焦げ、変色、溶け、腐食、緩み、擦れ、異常な発熱、異臭。</p>
<p>こうした兆候が見つかった場合は、該当する電気設備の使用を中止し、原因を特定して必要な修理を行います。安全な状態に戻ったことを確認するまでは、通電して使い続けないことが重要です。</p>
<p>特に陸電（ショアパワー）やAC配線など、自分で安全に判断できない部分については、専門家に点検を依頼することをお勧めします。</p>
<h2>最後に…</h2>
<p>ヨットに長く乗っていると、少しずつ装備が増えていきます。</p>
<p>新しい航海計器を取り付けたり、USB電源を増設したり、冷蔵庫を交換したり。中古艇を購入すれば、自分が乗り始める前に取り付けられた機器もたくさんあります。</p>
<p>機器を取り付けたときには、その機器についてよく覚えています。しかし、5年、10年と時間が経つと、いつ取り付けたのか、どこから電源を取ったのかまで覚えていないこともあります。</p>
<p>ましてや中古艇なら、自分が知らないところで行われた電装工事があっても不思議ではありません。</p>
<p>ヨットは、購入したときの状態のまま何十年も使われるものではありません。オーナーが変わり、装備が変わり、そのたびに電気系統も少しずつ変わっていきます。</p>
<p>だからこそ、自分のヨットにどんな電装品があり、それがどのようにつながっているのかを知っておくことには意味があります。</p>
<p>すべてを自分で修理できる必要はありません。</p>
<p>「これは何の配線だろう」と思うものがない状態にしておく。それも、長くヨットと付き合っていくための大切な整備のひとつではないでしょうか。</p>
]]></content:encoded>
					
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		<title>6. 英国へ渡ったヤハト</title>
		<link>https://malu-sailing.com/archives/8921</link>
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		<dc:creator><![CDATA[malusailing]]></dc:creator>
		<pubDate>Sat, 26 Sep 2026 20:00:12 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[ヨットはどう変わってきた]]></category>
		<category><![CDATA[17世紀のヨット]]></category>
		<category><![CDATA[Mary]]></category>
		<category><![CDATA[サミュエル・ピープス]]></category>
		<category><![CDATA[チャールズ2世]]></category>
		<category><![CDATA[ピーター・ペット]]></category>
		<category><![CDATA[ヤハト]]></category>
		<category><![CDATA[ヨットの歴史]]></category>
		<category><![CDATA[ヨットの起源]]></category>
		<category><![CDATA[ロイヤルヨット]]></category>
		<category><![CDATA[英国ヨット史]]></category>
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					<description><![CDATA[1660年、約14年にわたる長い亡命生活を終えたチャールズ2世は、英国へ戻りました。 帰国を前にオランダに滞在していたチャールズは、そこで「ヤハト（jacht）」と呼ばれる船に乗り、その快適さを大変気に入って、自分も英国 [&#8230;]]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>1660年、約14年にわたる長い亡命生活を終えたチャールズ2世は、英国へ戻りました。</p>
<p>帰国を前にオランダに滞在していたチャールズは、そこで「ヤハト（jacht）」と呼ばれる船に乗り、その快適さを大変気に入って、自分も英国で造らせたいと口にするほど、ヤハトはチャールズの興味を引きました。</p>
<p>もっとも、彼が船に惹かれたのは、ヤハトが珍しかったからだけではなく、もともと船や航海への関心が強く、その興味は後の彼の行動にもたびたび現れます。</p>
<p>この頃のオランダでは、ヤハトはすでに特別な船ではありませんでした。要人の移動や公務に使われるだけでなく、船に乗ることそのものを楽しむ文化も既に生まれていました。港や水路にはさまざまなヤハトが行き交い、裕福な市民や有力者たちにとっても身近な存在になりつつありました。</p>
<p>海を隔てた英国では事情が異なります。英国にも小型の帆船はあり、船で遊ぶという行為がまったく存在しなかったわけではなかったようですが、オランダで「ヤハト」と呼ばれていた船と、その船を楽しむ文化のようなものは、まだ英国にはなかったようです。</p>
<p>そんな英国へ、オランダでヤハトに魅了された30歳のチャールズが国王として帰ってきます。</p>
<p>英国のヨット史の始まりともいえるこの時代に、チャールズとヤハトをめぐって何が起きたのか。ここから、その足跡を追っていきます。</p>
<p><img decoding="async" class="aligncenter size-full wp-image-8926" src="https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0475.png" alt="" width="300" height="300" srcset="https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0475.png 300w, https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0475-150x150.png 150w" sizes="(max-width: 300px) 100vw, 300px" /></p>

<h2>オランダの「ヤハト」が英国に</h2>
<p>1660年5月、チャールズ2世はオランダを離れ、英国へ帰国しました。その少し後を追うように、もう一隻、オランダから英国へ向かう船がありました。</p>
<p>アムステルダム市がチャールズ2世に贈ることを決めたヤハトです。</p>
<p>もともとこの船は、オランダ東インド会社（VOC）が建造していたものでした。それをアムステルダム市が購入し、新たに英国王となったチャールズへの贈り物としました。</p>
<p>ロイヤル・ミュージアムズ・グリニッジ（Royal Museums Greenwich）に残る資料では、このヤハトがオランダを出発したのは1660年8月とされています。</p>
<p>チャールズが英国へ帰ったのは5月ですから、約3か月遅れて、彼がオランダで気に入ったヤハトが海峡を渡ってきたことになります。</p>
<h3>オランダから届いたヤハト</h3>
<p>1660年5月、チャールズ2世はオランダを離れ、英国へ帰国しました。</p>
<p>その少し後を追うように、チャールズがオランダで気に入った「ヤハト（jacht）」も、英国へ向かう準備を進めていました。</p>
<p>このヤハトは、もともとオランダ東インド会社（VOC）のために建造されていた船でした。アムステルダム市はこの船を購入し、英国王となったチャールズへの贈り物とすることを決めます。</p>
<p>もちろん、建造途中だった船をそのまま贈ったわけではなく、国王への贈答品にふさわしい船にするため、帆装や装飾、船内装飾などに手が加えられました。6月にアムステルダムのアイ湾（IJ）で行われた水上祝典を描いたファン・デ・フェルデ（Willem van de Velde）のスケッチには、このヤハトと考えられる船がスプリット帆装で描かれていますが、英国へ向けて出航する頃にはガフ帆装へ変更されていたと考えられています。</p>
<p>こうして艤装を整えたヤハトは、8月、英国へ向けてオランダを出航しました。</p>
<h3>テムズ川に着いたヤハト</h3>
<p>1660年8月15日。オランダからやってきたヤハトがテムズ川へ到着すると、チャールズは早朝の5時から船を見に出かけています。</p>
<p>このときチャールズは30歳。王政復古によって英国へ戻ってから、まだ3か月ほどしか経っていません。</p>
<p>この日のことを記録していたのが、当時27歳のサミュエル・ピープス（Samuel Pepys）です。ピープスは王政復古と同じ1660年に海軍委員会の高官となり、後に英国海軍行政で大きな影響力を持つようになる人物です。彼は1660年から約9年間に渡って詳細な日記を残しており、チャールズ2世時代の船や海軍、宮廷の様子を知る貴重な記録となっています。</p>
<p>ピープスの日記によれば、国王は朝5時にはロンドン橋より下流にいた「Dutch pleasure-boat（オランダのプレジャーボート）」を見に出かけ、そこで食事をしています。さらにピープスは、「国王は帰国して以来、早起きで周囲の者たちを疲れさせている」とも書いています。早朝の5時から、届いたばかりのヤハトを見に出かけているのですから、チャールズがこの船に強い関心を持っていたことがうかがえます。</p>
<p>このように、オランダでヤハトに乗り、その快適さを気に入り、「英国でもこのような船を使いたい」と話していたチャールズのもとへ、実際にその船がやってきたのです。</p>
<h3>ヤハトは「Mary」と名付けられた</h3>
<p>英国へやってきたヤハトには、Mary（メアリー）という船名が付けられました。</p>
<p>この船名は、チャールズの1歳年下の妹、メアリー・ヘンリエッタ・ステュアート（Mary Henrietta Stuart）にちなんだものとされています。メアリーは以前の記事にも書いたように、オラニエ公ウィレム2世の妻です。</p>
<h3>Maryはどんなヤハトだったのか</h3>
<p>Maryは、全長66フィート（約20.1m）、最大幅18フィート（約5.5m）、100トン・バーデン（トン・バーデンは、当時使われた船の積載能力を基準とする大きさの表し方）と記録されています。さらに3ポンド砲を6門備えていました。</p>
<p>現代のヨット（セーリングクルーザー）と比べても決して小さな船ではありませんが、当時の大型軍艦などと比べれば、はるかに小型の船であることが言えます。</p>
<p>船体には、オランダで発達したヤハトらしい特徴が残されていました。喫水が浅く、船底は比較的平らで、船体の左右には「リーボード（leeboard）」を備えていました。</p>
<p>リーボードとは、船体の横から水中へ下ろす大きな板状の装置で、帆走するときに船が横へ流されるのを抑える役割を持っています。必要がなければ引き上げることができるため、運河や浅瀬の多いオランダには適した仕組みでした。</p>
<p>つまり Mary は、英国王への贈答品として豪華に仕立てられただけの船というだけではなく、オランダの水域で実際に使われていたヤハトの特徴を持った船が、そのまま英国へ渡ってきたことになります。</p>
<h3>「jacht」から「yacht」へ</h3>
<p>そして、この船とともに注目したいものが、もう一つあります。それが、その呼び方です。</p>
<p>「yacht」という言葉のもとになったのは、オランダ語の「jacht（ヤハト）」です。</p>
<p>もともとのヤハトは、現在のように遊びやレースを楽しむためだけの船ではありませんでした。速く走ることを求められた小型の帆船で、追跡や連絡、要人の移動などに使われていました。</p>
<p>実は、この「jacht」に由来する「yacht」という言葉は、Maryが英国へやって来る100年以上前から英国でも使われていました。1550年代にはすでに記録があり、その頃は軽くて速い帆船を指す言葉として使われています。</p>
<p>つまり、チャールズのMaryによって「yacht」という単語が初めて英国で使われ始めたわけではありません。</p>
<p>変わっていくのは、ここからです。</p>
<p>オランダでは、もともと速く走るために生まれたヤハトが、やがて要人の移動に使われ、さらに船に乗ることそのものを楽しむためにも使われるようになっていました。チャールズが気に入ったのも、このような使われ方のヤハトでした。</p>
<p>そして1660年、Maryが英国王室に贈られ、チャールズ自身がこの船に乗るようになります。</p>
<p>ロイヤル・ミュージアムズ・グリニッジ（Royal Museums Greenwich）は、Maryを英国の「first official royal yacht」、つまり最初の公式なロイヤル・ヨットとしています。</p>
<p>ここが、現在の「ヨット」へつながる大きな転換点です。</p>
<p>英国では以前から「yacht」という言葉は使われていました。Maryが英国に贈られたことで、オランダですでに始まっていた「船に乗ることそのものを楽しむ」というヤハトの使われ方が、英国王室にも持ち込まれました。</p>
<p>そして「yacht」という言葉も、速い小型帆船という従来の意味から、楽しむために乗る船という意味を次第に強く持つようになっていきます。</p>
<p>現在、私たちが「ヨット」と呼んでいる船につながる「yacht」は、ここから英国でその歴史を歩み始めることになります。</p>
<h2>Maryはどう使われたかのか</h2>
<p>Maryを手にしたチャールズは、このヤハトをどのように使ったのか。それについては、ロイヤル・ミュージアムズ・グリニッジ（Royal Museums Greenwich）によると、チャールズはMaryを「pleasure and visits to the fleet」、つまり「自ら楽しむためと、艦隊を訪問するために使っていた」との記録があります。</p>
<p>これは、当時のオランダで使われていたヤハトの姿とよく似ています。国王が艦隊を訪ねたり、水上を移動したりするための実用的な船でありながら、目的地へ行くためだけではなく、船に乗ることそのものを楽しむこともできる。オランダでヤハトに魅了されたチャールズは、その使い方まで英国で始めたことになります。</p>
<p>ただ、Maryが英国へやって来たことで刺激を受けたのは、チャールズだけではなかったようです。</p>
<h2>Maryに乗ったピープス</h2>
<p>1660年11月8日、Maryが英国に到着してから3か月ほどが経った頃、海軍行政官のサミュエル・ピープス（Samuel Pepys）がMaryに乗船しています。</p>
<p>ピープスは Mary について、「これほど小さな船でありながら、これほど整っていて広いものは見たことがない」というほど、その造りを高く評価しています。</p>
<p>全長約20mの Mary は、大型軍艦に比べればはるかに小さな船です。それでもピープスが驚くほど、船内には十分な広さが確保されていました。</p>
<p>そして、この日 Mary をピープスと一緒に見ていた人物がいました。</p>
<p>王室の造船に携わっていた、50歳のピーター・ペット（Peter Pett）です。</p>
<p>ペットは代々王室の造船に携わってきた一族の出身で、自身もチャールズ2世の時代に王室艦船の建造を担った造船家でした。</p>
<p>このとき Mary を一緒に見ていたピーター・ペットは、このあとの意外な展開で重要な人物の一人となります。</p>
<h2>最後に…</h2>
<p>何故、チャールズ2世は船にこれほど強い関心を向けることが可能だったのでしょうか。</p>
<p>王政復古直後の彼は、現在の英国王のような象徴的な存在だったわけではありません。国王として政治に関わる大きな権限を持っていました。しかし、父チャールズ1世と議会との対立が内戦と国王処刑にまで発展した記憶は、まだ十数年前のことです。復位したばかりの彼にとって、議会との関係を無視して政治を進めることのできる状況ではありませんでした。</p>
<p>さらに、約14年にわたる亡命生活を終えて英国へ戻ったばかりです。国内の政治や宗教には、王政が廃止されていた11年間に生まれたさまざまな問題が残っていました。彼には、王政そのものを英国社会の中へ再び定着させていかなければならないという事情もありました。</p>
<p>しかし、王政復古で英国へ戻ってきたのは、政治を行う国王だけではありませんでした。</p>
<p>国王を中心とする宮廷生活も戻ってきました。</p>
<p>彼は音楽や演劇、科学などさまざまなものに興味を示し、自ら楽しむ国王でもありました。船も、そうした彼の強い関心の一つでした。しかも船は、単なる国王の遊びで終わるものではありません。</p>
<p>英国にとって海軍や船は国の力そのものに深く関わる存在です。そして海軍を統括するロード・ハイ・アドミラルには、弟のヨーク公ジェームズが就いていました。その下には王立造船所があり、王室や海軍の船を造る造船家たちもいました。</p>
<p>つまりチャールズにとって船は、自分が好きだから楽しむことができ、それでいて国王が関心を持つことにも不自然さのない世界だったのです。国王としての立場と、自分自身の楽しみ。その二つが無理なく重なるところに、船がありました。そんな王政復古直後の英国へ、彼がオランダで気に入ったヤハト、Mary が贈られてきたのです。</p>
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		<title>ヨットのプロペラ 「水中現象編」</title>
		<link>https://malu-sailing.com/archives/8899</link>
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		<dc:creator><![CDATA[malusailing]]></dc:creator>
		<pubDate>Fri, 25 Sep 2026 22:00:12 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[ヨット雑学•雑記]]></category>
		<category><![CDATA[キャビテーション]]></category>
		<category><![CDATA[キャビテーション・エロージョン]]></category>
		<category><![CDATA[スラスト]]></category>
		<category><![CDATA[スリップ率]]></category>
		<category><![CDATA[プロペラスリップ]]></category>
		<category><![CDATA[ベンチレーション]]></category>
		<category><![CDATA[壊食]]></category>
		<category><![CDATA[推力]]></category>
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					<description><![CDATA[エンジンをかけ、ギアを前進に入れる。 プロペラが回り始めれば、ヨットは前へ進みます。 普段は当たり前のように使っていますが、船尾の水中では、プロペラが回ることで何が起きているのでしょうか。 プロペラは水の中で回り、水に力 [&#8230;]]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>エンジンをかけ、ギアを前進に入れる。</p>
<p>プロペラが回り始めれば、ヨットは前へ進みます。</p>
<p>普段は当たり前のように使っていますが、船尾の水中では、プロペラが回ることで何が起きているのでしょうか。</p>
<p>プロペラは水の中で回り、水に力を加えることでヨットを前へ進ませています。ここまでは、何となく想像できます。しかし、実際に回転しているプロペラを見ることはほとんどありません。</p>
<p>プロペラの周囲では水がどのように動いているのか。</p>
<p>プロペラは、回転する力をどのように船を前へ進める力に変えているのか。</p>
<p>そして、水の中で回転するからこそ起きる現象には、どのようなものがあるのでしょうか。</p>
<p>プロペラのダイヤメーターやピッチを知っていても、水中でどのように働いているのかを知らなければ、プロペラについて理解したことにはなりません。</p>
<p>そこで今回は、普段は見ることのできない船尾の水中へ目を向けて、回転するプロペラと水との間で何が起きているのかを見ていきたいと思います。</p>
<p><img decoding="async" class="aligncenter size-full wp-image-8903" src="https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0448.png" alt="" width="300" height="300" srcset="https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0448.png 300w, https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0448-150x150.png 150w" sizes="(max-width: 300px) 100vw, 300px" /></p>

<h2>推力を生み出す仕組み</h2>
<p>プロペラのブレードをよく見ると、平らではなく、ピッチとなる傾きが付けられ、表面も曲面になっています。</p>
<p>プロペラが回転すると、このブレードと水との相対的な流れによって、ブレードの船尾側では水圧が高くなり、船首側では水圧が低くなります。</p>
<p>この水圧差によって、ブレードには船首方向へ向かう力が働きます。</p>
<p>この力が<strong> 推力（Thrust／スラスト）</strong>です。</p>
<p>プロペラに生まれた推力は、プロペラシャフトやセイルドライブを介してエンジン側へ伝わり、エンジンが船体に固定されていることで、船体を前へ進める力になります。</p>
<p>飛行機の翼が空気の流れによって力を得るのと、基本的な考え方は似ています。</p>
<p>プロペラの場合は、それぞれのブレードが回転しながら水を後方へ動かし、その反作用によって船を前へ進める力を生み出しています。</p>
<p>つまり、プロペラの船尾側と船首側に生まれる水圧差によって推力が発生し、その結果として、プロペラを通過した水は船尾方向へ加速されていきます。</p>
<h2>ピッチどおりには船は進まない</h2>
<p>プロペラの基礎知識編では、ピッチ（Pitch）について、プロペラが1回転したときに理論上どれだけ前へ進むかを示す数字、と説明しました。</p>
<p>例えば、ピッチが12インチのプロペラなら、1回転で12インチ進むという意味です。</p>
<p>では、プロペラが1,000回転すれば、12インチ × 1,000回 ＝ 12,000インチ、1分間に12,000インチ、約305m進む計算になります。</p>
<p>これを時速にすると約18.3km/h、ノットに換算すると約9.9ノットです。</p>
<p>しかし、実際に12インチピッチのプロペラを毎分1,000回転させても、船が必ず9.9ノットで進むわけではありません。</p>
<h3>なぜ、計算どおりに進まないのか</h3>
<p>ピッチで示される前進距離は、プロペラが柔らかい水ではなく、固体の中をネジのように進むと仮定した場合の理論上の距離です。</p>
<p>実際のプロペラが回っているのは水の中です。</p>
<p>水はプロペラによって動かされ、プロペラの後方へ流れていきます。</p>
<p>プロペラが1回転する間にも水そのものが動いているので、ピッチで示された距離と同じだけ船が前へ進むことはありません。</p>
<p>例えば、12インチピッチのプロペラが1回転しても、実際に船が前へ進む距離は10インチかもしれません。</p>
<p>この場合、理論上は12インチ進むはずなのに、実際には10インチしか進んでいないという差が生まれています。</p>
<p>この「理論上の前進距離」と「実際の前進距離」の差を考えるときに出てくるのが、<strong>プロペラスリップ（Propeller Slip）</strong>です。</p>
<h2>プロペラスリップ</h2>
<p>前の項目で出てきた、理論上の前進距離と実際の前進距離との差がプロペラスリップ（Propeller Slip）であると説明しました。ここで注意したいのは、「スリップ」という言葉から、プロペラが水の中で空回りしているように考えないことです。</p>
<p>プロペラが正常に働いていても、スリップは発生します。</p>
<p>プロペラは固体を相手にしているのではなく、水を後方へ動かすことで推力を生み出しています。水そのものが動く以上、ピッチから計算した理論上の距離と、実際に船が進む距離には差が生まれます。</p>
<p>つまり、スリップがあること自体は異常ではありません。</p>
<h3>スリップ率</h3>
<p>スリップは通常、割合で表します。</p>
<p>例えば、ピッチとプロペラ回転数から求めた理論上の速度が10ノットで、実際の対水速力が8ノットだったとします。</p>
<p>この場合、（10 − 8）÷ 10 × 100 ＝ 20％　つまり、スリップ率は20％です。</p>
<p>この数字を見て、「20％も損をしている」と考えるのは適切ではありません。スリップ率は、そのままプロペラの効率を表している数字ではないからです。</p>
<h3>自艇の変化を見る手掛かりになる</h3>
<p>スリップ率を見るときに重要なのは、単純に数字の大小だけで良し悪しを決めないことです。船体の形状、プロペラの種類、回転数、船速などによってスリップ率は変化します。</p>
<p>自艇について同じような条件で測定しておけば、以前との違いを見る手掛かりにはなります。</p>
<p>計算には、エンジン回転数ではなく減速比を考慮したプロペラ回転数を使います。</p>
<p>船速についても、GPSに表示されるSOG（Speed Over Ground／対地速力）は潮流の影響を受けるため、本来は水に対する速度であるSTW（Speed Through Water／対水速力）を使います。</p>
<p>プロペラスリップを見る目的は、スリップをゼロにすることではありません。プロペラが水の中でどのように働いているのかを、回転数と船速の関係から見るためのひとつの指標なのです。</p>
<h2>キャビテーション</h2>
<p>プロペラについて調べていると、よく出てくる言葉に <strong>キャビテーション（Cavitation）</strong>があります。</p>
<p>キャビテーションというと、「プロペラが空気を巻き込んでいる状態」と思われることがありますが、実際には空気を吸い込んでいるわけではありません。</p>
<p>プロペラが回転すると、ブレードの船首側では水圧が低くなることを先ほど説明しました。この水圧がさらに低くなると、少し不思議なことが起きます。水は通常、約100℃で沸騰します。しかし、水が沸騰する温度は周囲の圧力によって変わり、圧力が低くなるほど低い温度でも水は気化します。</p>
<p>高速で回転するプロペラの周囲では、ブレードの一部で水圧が非常に低くなることがあります。すると、海水の温度が高くなくても、その部分の水が一瞬だけ気化して、水蒸気の泡が発生します。</p>
<p>この水蒸気の泡が発生する現象が、キャビテーションです。</p>
<h3>泡ができるだけでは終わらない</h3>
<p>発生した水蒸気の泡は、水の流れとともに圧力の高い場所へ移動します。</p>
<p>圧力が戻ると水蒸気の状態を維持できなくなり、泡は急激に潰れます。この現象を <strong>気泡の崩壊（Bubble Collapse）</strong>といいます。</p>
<p>ブレード表面の近くでこの崩壊が繰り返されると、非常に局所的ではありますが強い衝撃が加わり、長期間ではブレード表面を傷めることがあります。</p>
<p>表面に小さな穴が無数にできたように削れていく損傷を、<strong>キャビテーション・エロージョン（Cavitation Erosion／壊食）</strong>と呼びます。</p>
<h2>ベンチレーション</h2>
<p>キャビテーションとよく混同される現象に、<strong>ベンチレーション（Ventilation）</strong>があります。</p>
<p>どちらもプロペラの周囲に気泡のようなものが見えることがありますが、起きていることはまったく違います。</p>
<p>キャビテーションは、プロペラ周辺の水圧が非常に低くなることで、水そのものが気化して水蒸気の泡が発生する現象でした。</p>
<p>ベンチレーションでは、水が気化するわけではありません。水面にある空気がプロペラまで入り込んでしまう現象です。</p>
<p>なぜプロペラまで空気が入ってくるのか</p>
<p>通常、プロペラは水中にあり、周囲は水で満たされています。しかし、プロペラが水面に近かったり、波によってプロペラ付近の水面が大きく変化したりすると、水面から空気が引き込まれることがあります。</p>
<p>セーリングヨットでは、ヒールして船体が傾いたときに、プロペラの位置が水面に近くなる場合もあります。荒れた海面で船尾が大きく上下する場合も、プロペラが十分な深さを保てなくなることがあります。</p>
<p>こうした状況でプロペラ周辺まで空気が入り込むと、ブレードの一部が水ではなく空気を含んだ状態で回ることになります。</p>
<h3>空気が入ると何が起きるのか</h3>
<p>水と空気では密度が大きく違います。</p>
<p>プロペラが空気を巻き込むと、ブレードが水から受ける力が急激に小さくなり、十分な推力を発生できなくなることがあります。エンジンの回転数が急に上がったのに、船がそれほど前へ進まないという状態になることもあります。空気が抜けてプロペラ周辺が再び水で満たされれば、推力も戻ります。</p>
<p>ここがキャビテーションとの大きな違いです。</p>
<p>キャビテーションは水が気化して水蒸気の泡ができる現象。ベンチレーションは水面などから外部の空気がプロペラまで入り込む現象。</p>
<p>見た目や体感が似ていても、発生している原因は別のものです。</p>
<h2>似ていても起きていることは違う</h2>
<p>ここまで、プロペラスリップ、キャビテーション、ベンチレーションについて見てきました。</p>
<p>この3つは、どれもプロペラと水との間で起きる現象ですが、同じものではありません。</p>
<p>特にキャビテーションとベンチレーションは混同されることがあり、プロペラが十分な推力を発生していないように感じると、「キャビっている」と表現されることもあります。</p>
<p>しかし、実際に起きていることを分けて考えると、それぞれの違いは明確です。</p>
<p>プロペラスリップは、ピッチと回転数から計算される理論上の前進速度と、実際の前進速度との差です。正常にプロペラが働いていても発生します。</p>
<p>キャビテーションは、ブレード周辺の水圧が極端に低くなり、水そのものが気化して水蒸気の泡が発生する現象です。</p>
<p>ベンチレーションは、水面などから空気がプロペラ周辺へ入り込む現象です。</p>
<h3>船上で感じる現象だけでは判断できない</h3>
<p>例えば、エンジンの回転数が上がるのに、それに見合う推進力が得られない。</p>
<p>このような現象が起きたからといって、それだけでキャビテーションやベンチレーションと判断することはできません。</p>
<p>プロペラの状態だけでなく、船体やプロペラへの付着物、海況、エンジンや駆動系など、別の原因でも船速や回転数には変化が現れます。</p>
<p>大切なのは、似たような症状が現れても、水中で起きている現象まで同じとは限らないということです。</p>
<p>プロペラについて考えるとき、「回転数が上がった」「船速が出ない」「振動が出た」といった船上で感じる症状と、プロペラ周辺で実際に起きている現象を分けて考える必要があるのです。</p>
<h2>最後に…</h2>
<p>ヨットに乗っていると、エンジンの回転数はタコメーターで確認できますし、船速も計器を見れば分かります。しかし、その数字の間にあるプロペラの働きは、船上から直接見ることができません。</p>
<p>だからこそ、機走していて「いつもと少し違う」と感じたとき、その変化を数字だけで判断するのではなく、プロペラのある水中で何が起きているのかを考えることが大切になります。</p>
<p>エンジンはいつもと同じ回転数なのに船速が違う。スロットルを開けたときの回転数の上がり方がいつもと違う。船尾から聞こえる音や振動が変わった。</p>
<p>こうした変化には、必ず何かしらの理由があります。</p>
<p>普段から自艇の回転数と船速、そのときの音や振動などを意識しておくと「いつもの状態」が分かるようになります。そして、この「いつもと違う」に気づくことが、自艇の状態を知る最初の手掛かりになります。</p>
<p>次回は、これらの水中現象がどう言った不具合を発生させるかなどをまとめてみたいと思っています。</p>
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		<title>5. 新英国王に贈るヤハトの造船</title>
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		<dc:creator><![CDATA[malusailing]]></dc:creator>
		<pubDate>Thu, 24 Sep 2026 22:00:00 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[ヨットはどう変わってきた]]></category>
		<category><![CDATA[ガフリグ]]></category>
		<category><![CDATA[スプリットリグ]]></category>
		<category><![CDATA[チャールズ2世]]></category>
		<category><![CDATA[ヤハト]]></category>
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					<description><![CDATA[前回まで見てきたように、亡命生活を送っていたチャールズ（2世）は、オランダでヤハトという船に出会い、ヤハトに触れる機会やプリンセンヤハトに乗る機会を得ました。 1660年5月23日、チャールズはオランダのスヘフェニンゲン [&#8230;]]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>前回まで見てきたように、亡命生活を送っていたチャールズ（2世）は、オランダでヤハトという船に出会い、ヤハトに触れる機会やプリンセンヤハトに乗る機会を得ました。</p>
<p>1660年5月23日、チャールズはオランダのスヘフェニンゲン沖に停泊していた英国艦隊の旗艦「ネイズビー（Naseby）」に乗り込みました。そしてチャールズが乗り込むと、「ネイズビー」という船名が「ロイヤル・チャールズ（Royal Charles）」と改められたのです。</p>
<p>ネイズビーという船名は、1645年に起きた「ネイズビーの戦い（Battle of Naseby）」に由来し、この戦いでチャールズの父であるチャールズ1世率いる王党派は議会派に決定的な敗北を喫し、その後、王政は崩壊し、チャールズ1世は処刑され、息子のチャールズは長い亡命生活を送ることになったのです。その「ネイズビー」の名を持つ軍艦に、王政を復活させるため帰国するチャールズが乗ったわけです。</p>
<p>船名が変えられたのは、この一隻だけではありませんでした。英国艦隊ではほかの艦も改名され、王政復古を象徴する新しい名前が与えられていきます。そして「ネイズビー」は、自らが迎えに来た国王の名を冠した「ロイヤル・チャールズ」となって、英国へ向けて出航しました。</p>
<p>この帰国航海でも、チャールズは船に強い関心を示し、艦内や甲板を歩き回り、人々と話し、自らの過去について語った記録も残されています。</p>
<p>そして、1660年5月25日、チャールズはドーバーに上陸します。5月29日にはロンドンへ入り、チャールズ2世として王政復古の中心に立つことになります。</p>
<p>その頃オランダでは、チャールズがオランダを離れてわずか5日後の5月28日、アムステルダムで英国王となったチャールズへ贈るための一隻のヤハトを手配する話が動き始めます。</p>
<p>今回は、チャールズに贈られたヤハトとその後、つまりヨットの芽が英国で出始めるところを書いてみたいと思います。</p>

<h2>アムステルダム市が動き出す</h2>
<p>アムステルダム市がチャールズへ贈るために手配したヤハトは、既にアムステルダムで建造が進められていた一隻でした。</p>
<p>当時の記録によると、この船はオランダ東インド会社（VOC）からアムステルダム海軍本部に所有が移っていた船で、まだ完成していない建造途中の状態にありました。後にアムステルダム市公文書館の記録を調査したC.G. ’t Hooftによると、市が海軍本部から取得した「未完成のヤハト」の価格は、4,300ギルダーでした。</p>
<p>17世紀後半のオランダでは、非熟練労働者の年間賃金がおよそ300ギルダー程度だったとする研究があります。単純に比較すると、4,300ギルダーは約14年分の賃金に相当する金額です。また、当時のオランダ海軍の一般水兵の賃金は月10〜11ギルダーほどでした。仮に月11ギルダーとして計算すると、4,300ギルダーは一人の水兵の約32年半分の給与になります。</p>
<p>それでも、アムステルダム市が建造途中の一隻のヤハトを手配するために支払った4,300ギルダーが、決して小さな金額ではなかったことは分かります。</p>
<h2>新英国王に贈るヤハトの艤装</h2>
<p>アムステルダム市が手配したヤハトには、英国の新しい国王へ贈る船として、さらに豪華な装飾や艤装が施されていきます。</p>
<p>この船については、当時の会計記録が比較的詳しく残されており、どのような船に仕立てようとしていたのかをそこから知ることができます。</p>
<p>船の長さは72アムステルダム・フィート、船内の幅は19フィート10インチ、深さは8フィート。現在の単位にすると、およそ全長20.5m、幅5.7m、深さ2.3mほどの船でした。</p>
<p>船内には前後の客室があり、4つの寝台とベンチ、船長室、マスト付近には水先人のための区画、厨房、船員室と船員用の寝台なども設けられていました。</p>
<p>つまり、単に王を乗せて短い距離を移動するだけの小舟ではなく、王や随行者が船内で過ごすスペースと、それを操船する船員たちの生活空間を持ったヤハトとして造られていました。</p>
<p>そしてアムステルダム市は、この船を英国王への贈り物にふさわしい姿へ仕立てていきます。</p>
<p>船室の外側には金箔を使った装飾が施され、さらに当時の記録には、優れた画家たちに絵を描かせ、船を飾らせたことが記されています。</p>
<p>また、船尾には英国王室の紋章が大きく掲げられました。現在残されている絵を見ると、王室紋章と、それを左右から支えるサポーターが船尾上部の大きな部分を占めています。</p>
<p>船首に置かれたのは、ユニコーン（一角獣）の船首像でした。しかも、単に木を彫って造っただけではありません。艤装に関する会計記録には、船首像のために「鍛造した銅製の角」を用意したことまで残されています。</p>
<p>船尾には英国王室の紋章、船首にはユニコーン。英国へ到着してから王室の船らしく飾り直したのではなく、オランダにいる段階から、誰に贈られる船なのかが外観から分かる装飾が施されていたのです。</p>
<p><img decoding="async" class="aligncenter size-full wp-image-8893" src="https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0431.png" alt="" width="400" height="250" /></p>
<p>この船が造られていく様子を知るうえで、もう一つ興味深いものが残されています。オランダを代表する海洋画家ウィレム・ファン・デ・フェルデ（Willem van de Velde）が描いたスケッチです。そこには、英国王へ贈られるこのヤハトと考えられる船とともに、船上で作業する人々の姿まで描かれています。さらにオランダ語で「英国王へ」「アムステルダム市」と読み取れる書き込みも残されています。</p>
<p>しかし、残された会計記録と絵を合わせて見ると、一隻の建造途中だったヤハトに、アムステルダムの職人たちが手を加え、英国の新しい国王へ贈る特別な船へ仕立てていった様子が見えてきます。</p>
<h2>100隻超のヤハトが集まった日</h2>
<p>英国王へ贈るヤハトの艤装が進められていた1660年6月15日、アムステルダムでは大規模な水上祝典が開かれます。アムステルダムの港に広がるIJ（アイ）と呼ばれる海域には、100隻を超えるヤハトが集まりました。</p>
<p>この祝典の主役となったのは、チャールズの姉メアリー・ヘンリエッタ・ステュアートと、その息子で当時10歳だったオラニエ公ウィレムでした。</p>
<p>チャールズ2世が英国王として復帰したことで、メアリーは英国王の姉となり、ウィレムは英国王の甥となります。（このウィレムこそ、チャールズ2世の後に英国王となるウィリアム3世です。）</p>
<p>アムステルダム市は二人を迎えるためにさまざまな歓迎行事を催し、その一つとしてIJで大規模な水上行列が行われました。</p>
<p>ここで、アムステルダム市がチャールズへ贈るために艤装を進めていたヤハトが登場します。記録によると、当時10歳のウィレムはこのヤハトに乗り、100隻を超えるヤハトからなる船団の中心となりました。</p>
<p>つまり、英国王へ贈られる前のヤハトに、その英国王の甥であり、後に自らも英国王となる少年が乗っていたことになります。<a href="https://www.rmg.co.uk/collections/objects/rmgc-object-141784?utm_source=chatgpt.com">この日の様子は、ウィレム・ファン・デ・フェルデ2世によって描かれています。</a>現在、ロイヤル・ミュージアムズ・グリニッジに残されているスケッチには、大小さまざまなヤハトや船がIJを埋め尽くすように描かれ、その中央には英国のユニオン旗を掲げた大型のヤハトを見ることができます。ロイヤル・ミュージアムズ・グリニッジは、この中央の船について、アムステルダム市からチャールズへ贈られたヤハトである可能性が高いとしています。</p>
<p>さらに、この祝典を記録した別のスケッチも残されています。<a href="https://www.parismuseescollections.paris.fr/fr/petit-palais/oeuvres/fete-sur-l-ij-devant-amsterdam-lugt-82?utm_source=chatgpt.com">パリのプティ・パレ（Petit Palais）が所蔵するファン・デ・フェルデ2世のスケッチ</a>には、裏面に、この日のヤハトについての書き込みがあります。そこには、英国王へ贈られるヤハトに、王の姉であるメアリーと若いウィレムが乗っていたことを示す内容が記されています。</p>
<p>アムステルダム市が英国王へ贈るために手配し、職人たちが艤装を進めていた一隻のヤハトは英国へ渡る前に、100隻を超えるヤハトが集まるアムステルダムの大規模な水上祝典で、王族を乗せる船として使われていたのです。</p>
<p>しかし、この船が英国へ向かうのは、まだ約2か月先のことでした。</p>
<h2>英国へ向け出航</h2>
<p>6月15日の水上行列が終わっても、チャールズへ贈るヤハトの準備は続きました。</p>
<p>そして英国へ送り出されるまでの間に、この船にはもう一つ興味深い変化が起きています。帆装が、それまでのスプリットリグからガフリグへ変更されたのです。</p>
<p>スプリットリグは、マストの低い位置から帆の後方上部へ「スプリット（sprit）」と呼ばれる長い棒を斜めに伸ばし、それで帆を支える帆装です。17世紀のオランダでは非常によく使われており、当時のヤハトを描いた絵にも数多く登場します。これに対してガフリグでは、帆の上辺を「ガフ（gaff）」と呼ばれる桁で支えます。</p>
<p>では、なぜわざわざ帆装を変えたのでしょうか。</p>
<p>残念ながら、このヤハトをスプリットからガフへ変更した理由を直接説明した記録は見つかっていません。</p>
<p>スプリットリグの構造は比較的単純で、「ブレイル（brail）」と呼ばれるロープを使って帆をマスト側へたぐり寄せれば、帆を完全に降ろさなくても素早く風を抜き、帆面積を小さくすることができます。だからこそ、スプリットリグはオランダの内水面を走るさまざまな船で長く使われました。</p>
<p>ガフリグとの大きな違いは、長いスプリットが帆面を斜めに横切らないことです。帆の上辺をガフで支えるため、左右どちらから風を受けても、スプリットと帆の位置関係が変わるという問題がありません。さらにガフリグは、その後、ガフそのものをハリヤードで上げ下げし、帆を展開したり降ろしたり、リーフによって帆面積を減らしたりすることができる帆装へ発達していきます。</p>
<p><img decoding="async" class="aligncenter size-full wp-image-8894" src="https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0434.png" alt="" width="400" height="400" srcset="https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0434.png 400w, https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0434-150x150.png 150w, https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0434-300x300.png 300w" sizes="(max-width: 400px) 100vw, 400px" /></p>
<p>少ない人数で船を動かすこと、風が強くなったときに帆を減らすこと、必要なら帆そのものを降ろすこと。こうした「帆をどう扱うか」という操作性は、速さと同じくらい、ヨットにとって重要な要素になっていきます。</p>
<p>ただし、1660年のガフリグを現在のガフリグとまったく同じものとして考えることはできません。当時はスプリットとガフが並行して使われており、ガフにもさまざまな形式がありました。</p>
<p>興味深いのは、この変化が起きた時代です。</p>
<p>17世紀前半のオランダの小型帆船を描いた絵では、スプリットリグが圧倒的に多く見られます。ところが1650年代頃になると、ガフリグを備えた船も次第に描かれるようになります。</p>
<p>つまり、このヤハトが英国へ渡った1660年は、ちょうどオランダの小型帆船の帆装にも変化が現れ始めていた時代だったのです。</p>
<p>チャールズへ贈られるヤハトも、当初はスプリットリグでしたが、英国へ向けて出航する頃までにはガフリグへ変更されていました。</p>
<p>なぜ、この船にガフリグが選ばれたのか。</p>
<p>その理由を記した物は調べた限りではありませんが、オランダから英国へ、ヤハトという船が渡ろうとしていた、まさにその時に、その帆装にも変化が起きていたことは、「ヨットはどう変わってきたのか」を考えるうえで、とても興味深い出来事です。</p>
<p>そして1660年8月12日、艤装を終えたヤハトは、アムステルダムから英国へ向けて送り出されました。</p>
<h2>最後に…</h2>
<p>一隻のヤハトが、オランダを離れて英国へ向かいました。しかし、この船が英国へ渡ることの意味は、単に一隻の船が海を渡ったというだけではありません。</p>
<p>オランダでヤハトを実際に体験し、その魅力を知った人物が英国王となり、その後を追うように一隻のヤハトが英国へ渡る。</p>
<p>ここから、ヤハトと呼ばれていた船は英国でヨットと呼ばれ、そしてヨットの歴史の舞台が英国に移ります。</p>
<p>英国に着いたこの船をチャールズ2世はどう迎え、どう使ったのか。そして、オランダで育ってきたヤハトという船を、英国の人々はどのように受け入れていったのか。</p>
<p>ここから先、ヤハトからヨットへと新たな変化を始めます。</p>
<p>次回は、このヤハトが英国に着いてテムズ川へ入ってくるところから、その続きを追ってゆきたいと思います。</p>
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		<title>ヨットの火災原因トップは電気系統</title>
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		<dc:creator><![CDATA[malusailing]]></dc:creator>
		<pubDate>Wed, 23 Sep 2026 17:09:06 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[ヨット雑学•雑記]]></category>
		<category><![CDATA[12V]]></category>
		<category><![CDATA[BoatUS]]></category>
		<category><![CDATA[DC電源]]></category>
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		<category><![CDATA[ヨット]]></category>
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		<category><![CDATA[ヨット火災]]></category>
		<category><![CDATA[接触不良]]></category>
		<category><![CDATA[電気火災]]></category>
		<category><![CDATA[電気系統]]></category>
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					<description><![CDATA[ヨットで火災が起きたと聞くと、航海中の事故を思い浮かべる人が多いかもしれません。 もちろん、海の上で火災が発生すれば重大な事故につながります。しかし、ヨットは航海している時間よりも、マリーナなどに係留されている時間の方が [&#8230;]]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>ヨットで火災が起きたと聞くと、航海中の事故を思い浮かべる人が多いかもしれません。</p>
<p>もちろん、海の上で火災が発生すれば重大な事故につながります。しかし、ヨットは航海している時間よりも、マリーナなどに係留されている時間の方がはるかに長い船です。</p>
<p>実際には、人が乗っていないヨットから出火し、発見されたときには大きな火災になっていたという事故も起きています。</p>
<p>では、ヨットは何が原因で燃えるのでしょうか。</p>
<p>燃料を積み、エンジンがあり、艇内では火を使うこともあります。火災の原因になりそうなものはいくつも思い浮かびます。ところが、プレジャーボートの火災事故を調べてみると、最も大きな割合を占めているのは電気系統でした。</p>
<p>なぜ電気系統からの火災が多いのでしょうか。</p>
<p>今回は、実際に起きた火災事故のデータから、その理由を見ていきます。</p>
<p><img decoding="async" class="aligncenter size-full wp-image-8915" src="https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0465.png" alt="" width="300" height="300" srcset="https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0465.png 300w, https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0465-150x150.png 150w" sizes="(max-width: 300px) 100vw, 300px" /></p>

<h2>ヨットの火災原因</h2>
<p>ヨットには、燃料やエンジン、調理器具、電気設備など、火災につながる可能性のあるものがいくつもあります。</p>
<p>実際に発生した火災事故では、どのような原因が多いのでしょうか。</p>
<p>米国のボートオーナー向け組織で、保険事故のデータも蓄積している BoatUS（Boat Owners Association of The United States）は、ヨットを含むプレジャーボート全体で発生した火災事故を原因別に分析しています。</p>
<p>その内訳を見ると、</p>
<p>艇外からの延焼　26％<br />
エンジン電装　20％<br />
その他のDC電装　15％<br />
AC電装　12％<br />
エンジン関連　9％<br />
船外機の電装　8％</p>
<p>となっています。</p>
<p>単独の項目では、隣の艇やマリーナ施設などからの「艇外からの延焼」が26％で最も多くなっていますが、ここで注目したいのが電気に関係する項目です。</p>
<p>エンジン電装が20％、その他のDC電装が15％、AC電装が12％。この3つを合わせると47％になります。</p>
<p>さらに船外機の電装8％も電気に関係しますが、ここではエンジン電装、DC電装、AC電装の3項目だけを見ても、火災事故の半数近くを占めており、発生した場所や設備によって別々の項目に分類されてはいますが、電気に関係する火災という括りで見ると、火災の中で最も大きな原因になっていることが分かります。</p>
<p>BoatUSが別に行った保険事故の分析でも、緩んだバッテリー接続、擦れて損傷したバッテリーケーブル、古くなったバッテリースイッチなど、電気系統に関係する箇所から実際に火災が発生していることが報告されています。</p>
<p>プレジャーボートの火災というと、燃料やエンジンルームからの出火を想像しがちですが、事故のデータから見えてくるのは、電気にまつわる火災の多さです。</p>
<h2>12Vなのに、なぜ火災になる？</h2>
<p>ヨットの電気というと、まず思い浮かぶのは12Vや24VのDC電源です。</p>
<p>家庭で使う100Vと比べれば、12Vは低い電圧です。一般に感電による危険性も低くなるため、「12Vならそれほど危険ではない」という印象を持っている人もいるかもしれません。</p>
<p>しかし、感電の危険性と火災の危険性は別の話です。</p>
<p>ヨットに搭載されているバッテリーは12Vであっても、大きな電流を流すことができます。分かりやすいのがエンジンのスターターモーターです。</p>
<p>エンジンを始動するときには、12Vのバッテリーからスターターモーターへ瞬間的に非常に大きな電流が流れます。だからスターターにつながるケーブルは、照明や航海計器の配線とは比較にならないほど太くなっています。</p>
<p>スターター回路以外にも、ウインドラスやバウスラスター、インバーターなども大きな電流を使う機器です。</p>
<p>そして電気が流れるところには、必ず抵抗があります。</p>
<p>正常なケーブルや端子では、この抵抗は非常に小さく抑えられていますが、何らかの理由で抵抗が大きくなると、その部分で電気エネルギーが熱へ変わります。</p>
<p>発生する熱を考えるときに使われるのが、P＝I²Rという式です。Pは発生する電力、Iは電流、Rは抵抗です。この式で重要なのは、発熱する電力が電流の2乗に比例することです。</p>
<p>例えば、100Aの電流が流れている部分に0.01Ωの抵抗があったとします。100 × 100 × 0.01＝100W になります。</p>
<p>0.01Ωという数字だけを見ると、ほとんど抵抗がないように感じます。しかし100Aという大きな電流が流れれば、その小さな部分で100Wもの電力が熱として消費される計算になります。</p>
<p>100Wの白熱電球を思い浮かべると、点灯中は触れないほど熱くなります。つまり、100Wという発熱が決して小さくないことが分かります。</p>
<p>ヨットでは、こうした大電流が流れる回路がバッテリーから艇内各所へ延びています。</p>
<p>12Vという数字は電圧の低さを示しているだけで、バッテリーからどれだけ大きな電流を取り出せるかとは別の話なのです。</p>
<p>実際に英国の船舶事故を調査する公的機関MAIB（Marine Accident Investigation Branch）は、14mのセーリングヨットで発生した火災を調査したところ、バウスラスター用の電源端子に金属製のカバーが接触したことで短絡が起こり、アーク（火花）が発生。近くに収納されていたセイルなどへ燃え移り、船首区画で火災になったとしています。</p>
<p>これは、エンジンを搭載した一般的なセーリングヨットでも、大電流を使うDC電装が実際に火災につながった具体的な事例です。</p>
<p>12Vや24Vという低い電圧でも、そこに大きな電流を供給できるバッテリーがある以上、十分な発熱やアーク（火花）を発生させるエネルギーがあります。</p>
<p>低電圧だから安全なのではなく、どれだけの電流が、どのような状態で流れているのかを知っておく必要があります。</p>
<h2>ショートしなくても火災は起きる</h2>
<p>電気火災というと、配線のプラスとマイナスが接触してショートし、火花が出て燃え始めるというイメージを持つかもしれません。</p>
<p>もちろん、ショートは電気火災を引き起こす原因のひとつです。しかし、実際のヨットでは、ショートしていなくても電気系統から発熱し、火災につながることがあります。</p>
<p>特に注意したいのが、電線と電線、あるいは電線と機器をつないでいる接続部分です。</p>
<p>バッテリー端子、バッテリースイッチ、バスバー、スターターモーター、オルタネーターなど、ヨットの電気系統には多くの接続部分があります。</p>
<p>これらは正しく接続されていれば、電気抵抗は非常に小さくなっています。</p>
<p>ところが、端子が緩んだり、接触面が腐食したり、端子の圧着が不十分だったりすると、接続部分の抵抗が大きくなることがあります。</p>
<p>電流が流れる場所に抵抗があれば熱が発生します。</p>
<p>端子が緩んだり腐食したりして接触抵抗が大きくなると、電気はその接続部分を通過しながら熱を発生させます。接触状態が悪くなるほど、その部分に熱が集中するようになります。</p>
<p>ここで注意したいのは、接触不良になったからといって、必ず電気が流れなくなるわけではないことです。</p>
<p>完全に接続が切れてしまえば機器は動かなくなります。しかし、接触が悪くなっているだけなら、電気は流れ続けます。</p>
<p>例えば、バッテリー端子の接触状態が悪くなっていても、冷蔵庫や航海計器などの機器が普通に動いていることがあります。オーナーから見れば、機器が正常に動いているので電気系統にも問題がないように見えます。</p>
<p>ところが、その間にも接続部分では発熱が続いている可能性があります。「電気が流れない」という故障ではなく、「電気は流れているのに、その途中で熱を持っている」という状態です。</p>
<p>これが、接触不良による電気火災を見つけにくくしている理由のひとつです。</p>
<p>大きな電流が流れる回路では、わずかな接触抵抗でも発熱量が大きくなります。端子やケーブルが熱くなり、その熱で周囲の樹脂部品や電線の被覆が劣化し、さらに状態が悪化することもあります。</p>
<p>BoatUSの保険事故分析でも、緩んだバッテリー接続、擦れて損傷したバッテリーケーブル、老朽化したバッテリースイッチなどが、実際の火災原因として挙げられています。</p>
<p>ヨットでは、振動や船体の動きに加えて、湿気や塩分にもさらされます。一度きちんと施工した電気系統であっても、その状態が何年も変わらないとは限りません。</p>
<p>ショートのように突然大きな異常が起きる場合だけでなく、電気は流れているものの、接続部分の状態が少しずつ悪くなっている場合にも火災につながる可能性があるということです。</p>
<h2>ヒューズがあるのになぜ火災になる？</h2>
<p>ヨットの電気回路には、異常な電流が流れたときに回路を遮断するためのヒューズやブレーカーが取り付けられています。それなら、電気系統に異常が起きても、火災になる前にヒューズが切れたりブレーカーが作動したりするのではないか、と思うかもしれません。</p>
<p>ここで知っておきたいのは、ヒューズやブレーカーが何を検知して回路を遮断しているのかということです。</p>
<p>一般的なヒューズやブレーカーは、配線に許容範囲を超える電流が流れたときに回路を遮断します。</p>
<p>例えば、プラス側の配線が船体側のマイナス配線などに接触して短絡すると、非常に大きな電流が流れます。適切な容量のヒューズが適切な位置に取り付けられていれば、ヒューズが溶断して回路を切り離し、配線が過熱するのを防ぎます。</p>
<p>ところが、前の項目で説明した接触不良による発熱では事情が違います。</p>
<p>端子の緩みや腐食によって接触抵抗が大きくなっても、その先につながっている機器が必要とする電流そのものは、ヒューズの容量を超えていないことがあります。</p>
<p>例えば、15Aのヒューズで保護された回路に10Aの電流が流れているとします。</p>
<p>途中の接続部分に異常な抵抗が生じ、その部分が発熱していたとしても、回路を流れている電流が10Aのままであれば、15Aのヒューズにとっては遮断すべき過電流ではありません。接続部分では危険なほど熱くなっているのに、ヒューズから見れば規定範囲内の電流が流れている。こうした状態が起こり得ます。</p>
<p>ブレーカーについても基本的な考え方は同じです。回路に流れる電流がブレーカーの動作条件に達していなければ、接続部分で局所的な発熱が起きていても、必ず遮断されるとは限りません。</p>
<p>つまり、ヒューズやブレーカーは電気回路に欠かせない重要な保護装置ですが、電気系統で起こるすべての異常を検知できるわけではありません。</p>
<p>ここを理解しておかないと、「ヒューズが入っているから大丈夫」「ブレーカーが落ちていないから電気系統に異常はない」と判断してしまうことがあります。</p>
<p>ヒューズやブレーカーが正常なままでも、端子やコネクターなど特定の場所で発熱が進んでいる可能性はあります。</p>
<p>電気火災を防ぐには、過電流を保護するだけでなく、電気が流れる経路そのものが正常な状態に保たれていることも重要になります。</p>
<h2>最後に…</h2>
<p>ヨットでは、12Vや24Vという比較的低い電圧の電気を使っているため、家庭の100Vに比べれば、それほど危険なものではないという感覚を持っている人も少なくないかもしれません。また、ほとんどの電気回路にはヒューズやブレーカーがあり、何か異常が起これば、それらが電気を遮断してくれると思っている人もいるでしょう。</p>
<p>しかし、今回見てきたように、電気火災は必ずしも大きなショートからだけで始まるとも言えないのです。</p>
<p>端子の緩みや腐食によって接触抵抗が大きくなれば、電気を流しながら、その部分だけが発熱することがあります。しかも、回路を流れる電流がヒューズやブレーカーの作動する範囲に達していなければ、発熱していても電気は流れ続けます。</p>
<p>ここが、ヨットの電気火災を考えるうえで重要なところです。</p>
<p>冷蔵庫が動いている。航海計器も正常に表示されている。エンジンもいつも通り始動する。</p>
<p>それだけでは、電気系統のすべてが正常な状態にあるとは言い切れません。</p>
<p>ヨットは振動や船体の動きがあり、電気系統は湿気や塩分にもさらされます。取り付けたときには正常だった端子や配線も、長い年月の間に状態が変わる可能性があります。</p>
<p>「電気が使えているから大丈夫」ではなく、「電気が安全な状態で流れているか」。ヨットの電気火災を考えるときには、この違いを知っておくことが大切です。</p>
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		<title>ヨットのプロペラ「マッチング編」</title>
		<link>https://malu-sailing.com/archives/8886</link>
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		<dc:creator><![CDATA[malusailing]]></dc:creator>
		<pubDate>Tue, 22 Sep 2026 22:00:20 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[ヨット雑学•雑記]]></category>
		<category><![CDATA[アンダープロップ]]></category>
		<category><![CDATA[エンジン負荷]]></category>
		<category><![CDATA[オーバープロップ]]></category>
		<category><![CDATA[セイルドライブ]]></category>
		<category><![CDATA[プロペラ]]></category>
		<category><![CDATA[マリンギア]]></category>
		<category><![CDATA[リダクション・レシオ]]></category>
		<category><![CDATA[減速比]]></category>
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					<description><![CDATA[前回の「基礎知識編」では、プロペラそのものについて書いてきました。 では、自分のヨットに付いているプロペラは、なぜそのダイヤメーターとピッチなのでしょうか。同じくらいの大きさのヨットを見ても、付いているプロペラが同じとは [&#8230;]]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>前回の「基礎知識編」では、プロペラそのものについて書いてきました。</p>
<p>では、自分のヨットに付いているプロペラは、なぜそのダイヤメーターとピッチなのでしょうか。同じくらいの大きさのヨットを見ても、付いているプロペラが同じとは限りません。船が大きければ大きなプロペラ、エンジンの馬力が大きければ大きなプロペラ。そんな単純な決まり方でもないようです。</p>
<p>中古艇なら、さらに気になることがあります。現在付いているプロペラが、新艇時から付いていたものなのかも分かりません。以前のオーナーが交換しているかもしれませんし、エンジンを載せ替えたときにプロペラも変更されているかもしれません。</p>
<p>実際に機走してみると、「もう少し力があってもよさそうなのに」「このエンジンなら、もっと速く走れそうなのに」「どうしてこのサイズのプロペラなんだろう」と感じることもあります。</p>
<p>では、エンジンに対して、このプロペラが「合っている」とは、どのような状態なのでしょうか。</p>
<p>そして、自分のヨットに付いているプロペラが適切なのか、オーナー自身が確認する方法はあるのでしょうか。</p>
<p>今回は、プロペラ単体ではなく、エンジンとプロペラのマッチング（組み合わせ）という視点から考えてみたいと思います。</p>
<p><img decoding="async" class="aligncenter size-full wp-image-8888" src="https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0425.png" alt="" width="300" height="300" srcset="https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0425.png 300w, https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0425-150x150.png 150w" sizes="(max-width: 300px) 100vw, 300px" /></p>

<h2>エンジンとプロペラはセットで考えるもの</h2>
<p>ヨットのエンジンとプロペラの間には、いくつかの機械が介在しています。</p>
<p>シャフト船なら、一般的にはエンジンの後ろにマリンギア（Marine Gear／減速逆転機）があり、そこからプロペラシャフトを介してプロペラを回します。</p>
<p>セイルドライブ船では、エンジンから伝えられた回転をセイルドライブ内部のギアを介してプロペラへ伝えます。</p>
<p>大まかな力の流れは、エンジン → 減速機 → プロペラ となります。</p>
<p>ここで知っておきたいのは、<strong>エンジンの回転数とプロペラの回転数は同じではない</strong>ということです。例えば、エンジンが3,000rpmで回っていても、プロペラが3,000rpmで回っているとは限りません。プロペラへ伝わるまでに、減速機によって回転数が変わるからです。</p>
<p>さらに、エンジンが発生できる出力、つまり馬力だけでプロペラが決まるわけでもありません。同じ30馬力のエンジンでも、組み合わされている減速機が違えば、プロペラ側の回転数は変わります。</p>
<p>同じエンジン、同じ減速機でも、船体の大きさや重量、船型が違えば、船を走らせるために必要な力も変わります。</p>
<p>つまり、「このエンジンは30馬力だから、このプロペラ」という単純な関係ではありません。エンジン、減速機、プロペラ、船体まで含めた組み合わせで考える必要があります。</p>
<p>これは、中古ヨットでは特に確認しておきたいところです。</p>
<p>エンジンを載せ替えている船では、以前と同じプロペラが使われていることがあります。プロペラだけをフォールディングやフェザリングタイプへ交換している船もあります。</p>
<p>現在付いているプロペラが、現在のエンジンや減速機との組み合わせを考えて選ばれたものなのかは、外観を見ただけでは分かりません。</p>
<p>自艇のプロペラを考えるには、プロペラのダイヤメーターやピッチだけではなく、エンジンの型式と出力、減速機の型式と減速比も一緒に確認しておく必要があります。</p>
<h2>減速比とは何なのか</h2>
<p>エンジンの回転は、そのままプロペラに伝わっているわけではありません。途中にある減速機によって回転数を落としてから、プロペラを回しています。ここで出てくるのが 減速比（Reduction Ratio／リダクション・レシオ）です。</p>
<p>例えば、減速比が2：1なら、エンジンが2回転する間にプロペラは1回転します。<br />
エンジンが3,000rpmなら、3,000 ÷ 2 ＝ 1,500rpm プロペラは毎分約1,500回転することになります。<br />
減速比が2.5：1なら、3,000 ÷ 2.5 ＝ 1,200rpm プロペラは毎分約1,200回転です。<br />
同じ3,000rpmでエンジンを回していても、減速比が違えばプロペラの回転数はこれだけ変わります。</p>
<h3>なぜ、わざわざ回転数を落とすのか</h3>
<p>「エンジンが3,000rpmで回るなら、プロペラも3,000rpmで回したほうが速そうだ」数字だけを見ると、そんな気もします。しかし、プロペラは速く回せば回すほどよいというわけではありません。</p>
<p>減速機で回転数を落とすと、機械的な損失を無視すれば、プロペラ軸側ではその減速比に応じて大きなトルク（Torque／回す力）を得ることができます。自転車で坂道を上るときに、軽いギアへ変えることを考えるとイメージしやすいでしょう。ペダルを何回も回す代わりに、車輪はゆっくり回ります。しかし、車輪を回す力は大きくできます。舶用エンジンの減速機にも、これと似た役割があります。</p>
<h3>同じエンジンでも減速比が違うことがある</h3>
<p>同じ型式のエンジンでも、組み合わせるマリンギアやセイルドライブによって、減速比が異なる場合があります。</p>
<p>例えば、同じエンジンを搭載した2艇が、どちらも3,000rpmで機走していたとしても、減速比が違えばプロペラの回転数は同じではありません。プロペラの回転数が違えば、適したダイヤメーターやピッチも同じとは限りません。</p>
<p>「同じエンジンを積んでいるヨットだから、同じプロペラでよい」とは考えられない理由のひとつが、減速比の違いです。</p>
<p>自艇の減速比は、マリンギアやセイルドライブの銘板、取扱説明書、メーカーの仕様書などで確認できます。プロペラについて考えるときには、エンジンの回転数だけでなく、減速比も確認しておきたい数字です。</p>
<h2>プロペラはエンジンにとって負荷になる</h2>
<p>エンジンから見ると、プロペラは回転させる相手であり、同時に 負荷（Load／ロード）でもあります。</p>
<p>水の中にあるプロペラを回そうとすると、水から抵抗を受けます。この抵抗に打ち勝ってプロペラを回しているのがエンジンです。</p>
<p>分かりやすい例が、ニュートラルでエンジンを回したときと、ギアを前進に入れて実際に機走したときの違いです。ニュートラルではプロペラを駆動していないので、スロットルを開ければエンジンの回転数は比較的簡単に上がります。前進に入れるとプロペラが水中で仕事を始めます。エンジンはプロペラを回しながら回転数を上げなければならないので、ニュートラルのときとは負荷条件がまったく違います。</p>
<h2>プロペラによって負荷は変わる</h2>
<p>同じエンジンに取り付けるプロペラでも、どんなプロペラを使うかによって負荷は変わります。</p>
<p>例えば、ダイヤメーター（直径）の大きなプロペラと小さなプロペラでは、水に作用する範囲が違います。ピッチを変えても負荷は変わります。さらに、ブレードの枚数や面積、形状も関係します。</p>
<p>プロペラは単にエンジンの回転を水へ伝えているだけの部品ではありません。どんなプロペラを取り付けるかによって、エンジンが受ける負荷も変わります。</p>
<h3>自転車のギアに似ている</h3>
<p>感覚的には、自転車のギアを思い浮かべると分かりやすいでしょう。</p>
<p>重いギアにすると、ペダルを1回転させたときに大きく進めますが、ペダルを踏む力も必要になります。軽いギアなら、ペダルは楽に回せますが、同じ速度を出すには多く回さなければなりません。</p>
<p>プロペラにも、エンジンにとって「重すぎる」状態と「軽すぎる」状態があります。</p>
<p>大きなプロペラを付けたり、ピッチを大きくしたりすれば、必ず船が速くなるわけではありません。</p>
<p>エンジンが回し切れないほど負荷が大きくなれば、スロットルを開けても本来の回転数まで上がらなくなります。逆に負荷が小さすぎれば、エンジンの回転数は上がっても、その出力を十分な推進力として使えていない可能性があります。</p>
<p>プロペラには、エンジンが無理なく回せて、持っている出力を適切に使える範囲があるということです。</p>
<h3>ダイヤメーターとピッチが変わると負荷も変わる</h3>
<p>プロペラのダイヤメーターやピッチを変えると、エンジンにかかる負荷も変わります。</p>
<p>例えば、「もう少し船速を上げたいから、ピッチを大きくすればいい」と考えたくなります。ピッチを大きくすれば、プロペラが1回転したときに理論上進む距離は大きくなります。ただ、それだけでは船速が上がるとは限りません。</p>
<p>ピッチを大きくすると、プロペラを回すためにエンジンへ要求されるトルクも大きくなります。エンジンがその負荷に対して十分な回転数を上げられなくなれば、ピッチを大きくしたのに、期待したほど船速が上がらないこともあります。場合によっては、変更前より最高回転数が低くなります。</p>
<h3>ダイヤメーターを大きくした場合</h3>
<p>ダイヤメーターを大きくすると、プロペラはより広い範囲の水に作用できるようになります。</p>
<p>これも、「大きなプロペラのほうが力がありそうだ」と考えがちなところです。</p>
<p>しかし、他の条件が同じであれば、ダイヤメーターを大きくすることでプロペラ負荷も大きくなります。ヨットでは、取り付けられるダイヤメーターに物理的な限界もあります。</p>
<p>プロペラの先端と船体との距離が小さくなり過ぎると、水流や振動、騒音などの問題につながることがあります。</p>
<p>セイルドライブでは、使用できるプロペラについてドライブメーカー側の条件も確認する必要があります。</p>
<h3>「大きくすればよい」では決められない</h3>
<p>ダイヤメーターとピッチは、それぞれ単独で決めるものではありません。</p>
<p>直径を変えずにピッチを変更する場合もあれば、直径とピッチの両方を変更する場合もあります。ブレードの枚数や面積、形状が変われば、同じ直径とピッチでもプロペラがエンジンへ与える負荷が同じとは限りません。</p>
<p>プロペラを交換するときに、「今より大きくすれば力が出る」「ピッチを増やせば速くなる」と安易に判断できないのは、こうした条件が互いに関係しているからです。</p>
<p>見るべきなのは、プロペラ単体の大きさではなく、そのプロペラを取り付けた状態で、エンジンが想定された回転域で働けるかどうかです。</p>
<h2>オーバープロップとアンダープロップ</h2>
<p>エンジンに対してプロペラの負荷が大きすぎる状態を、オーバープロップ（Over-propped）と呼びます。</p>
<p>簡単にいえば、エンジンに対してプロペラが「重すぎる（負荷が大きすぎる）」状態です。例えば、ピッチが大きすぎたり、ダイヤメーターが大きすぎたりすると、エンジンはプロペラを回すために大きな力を必要とします。</p>
<p>スロットルをいっぱいまで開けても、エンジンが本来到達するはずの回転域まで上がらない。こうした状態は、オーバープロップを疑う手掛かりのひとつになります。この状態を、現場では「ピッチがきつい」と表現することがあります。これは、プロペラのピッチが大きく、エンジンにかかる負荷が重いという意味です。</p>
<h3>アンダープロップとは</h3>
<p>反対に、エンジンに対してプロペラの負荷が小さすぎる状態が、アンダープロップ（Under-propped）です。プロペラが「軽すぎる（負荷が小さすぎる）」と考えると分かりやすいでしょう。</p>
<p>ダイヤメーターやピッチなどの組み合わせによってプロペラ負荷が小さすぎると、エンジンは比較的簡単に回転数を上げられます。スロットルを開けると回転数は上がるのに、それに見合う推進力を得られない場合もあります。</p>
<p>プロペラの選定によっては、メーカーが想定する負荷時の回転域を超えやすくなることもあります。</p>
<p>オーバープロップやアンダープロップを船速だけで判断することはできません。</p>
<p>例えば、船速が出ないからといって、必ずプロペラが軽すぎるとは限りません。船底の汚れ、プロペラへの付着物、積載重量、海況などでも船速は変わります。エンジン自体が本来の出力を発生していない可能性もあります。</p>
<p>プロペラとエンジンの組み合わせを見るときには、実際に負荷をかけた状態で、エンジンがどの回転数まで到達できるのかが重要な手掛かりになります。</p>
<h2>適正かどうかは回転数が手掛かりになる</h2>
<p>自艇のプロペラがエンジンに合っているかを確認するとき、重要な手掛かりになるのが実際に機走したときのエンジン回転数です。</p>
<p>ここで見るのは、ニュートラルで空ぶかししたときの回転数ではありません。プロペラを回して船を走らせ、エンジンに実際の負荷がかかっている状態での回転数です。</p>
<h3>まずエンジンの仕様を確認する</h3>
<p>舶用ディーゼルエンジンには、メーカーが定めた定格回転数、最高出力時の回転数、無負荷最高回転数などがあります。</p>
<p>例えば、取扱説明書や仕様書に「最高出力○○kW／3,600rpm」などと記載されていれば、3,600rpmは最高出力が示されている回転数です。</p>
<p>ここで注意したいのが、定格回転数、最高出力時回転数、無負荷最高回転数などを混同しないことです。呼び方や示される数値は、メーカーやエンジン型式によって異なります。</p>
<p>自艇のエンジンについて確認するときは、別のエンジンの数字を参考にするのではなく、型式を確認して、そのエンジンの取扱説明書やメーカー資料を見る必要があります。</p>
<h3>実際に何回転まで上がるのか</h3>
<p>船底やプロペラがきれいで、通常の積載状態にある船を機走させたとき、スロットルを開けてエンジンがどの回転数まで上がるのか。</p>
<p>これは自艇について知っておきたい数字です。</p>
<p>例えば、以前は3,500rpmまで上がっていた船が、現在は3,000rpmまでしか上がらないのであれば、何らかの条件が変化した可能性があります。</p>
<p>プロペラを交換した直後から以前より簡単に回転数が上がるようになった場合も、交換前後でプロペラ負荷が変わった可能性を考える材料になります。</p>
<p>大切なのは、自艇が正常な状態だったときの数字を知っていることです。</p>
<h3>回転数だけで決めつけない</h3>
<p>実際の回転数がメーカー資料に記載された数字と違っていたとしても、それだけでプロペラが間違っているとは断定できません。</p>
<p>船底やプロペラの汚れ、積載量、海況などによっても結果は変わります。エンジン側に問題があり、本来の出力を発生できていない場合もあります。タコメーターそのものに誤差がある可能性も考えなければなりません。</p>
<p>プロペラの適否を見るとき、回転数は非常に有効な手掛かりですが、ひとつの数字だけで結論を出すものではありません。</p>
<p>エンジンの型式と出力、メーカーが示す回転数、減速比、現在のプロペラのダイヤメーターとピッチ、実際に機走したときの回転数。</p>
<p>これらを一緒に確認することで、自艇のエンジンとプロペラがどのような組み合わせになっているのかが見えてきます。</p>
<h3>最後に…</h3>
<p>プロペラについて考えようとすると、どうしてもダイヤメーターやピッチ、ブレードの枚数など、プロペラそのものに目が向きます。</p>
<p>しかし、プロペラだけを見ても、そのプロペラが自艇にマッチしているかどうかは分かりません。</p>
<p>プロペラは、大きくすれば力が出る、ピッチを大きくすれば速くなる、というような単純なものではありません。</p>
<p>エンジンの出力と回転数、減速比、プロペラのダイヤメーターやピッチ、そして船体。これらが組み合わされて、ひとつの推進システムとして働いています。</p>
<p>プロペラを考えるということは、このマッチング（組み合わせ）を考えることでもあるのです。</p>
<p>もうひとつ知っておきたいのが、新艇時に取り付けられていたプロペラです。新艇時のプロペラは、ヨットメーカーやエンジンメーカーなどが想定した船体、エンジン、減速比などの条件を基に選定されています。</p>
<p>中古艇では、エンジンやプロペラが交換されていることもあります。</p>
<p>新艇時の仕様が分かるのであれば、現在の組み合わせを考えるうえで重要な基準になります。</p>
<p>「もう少し速くしたいからピッチを大きくする」「もっと力が欲しいから大きなプロペラに交換する」こうした変更は、プロペラだけの問題ではありません。</p>
<p>組み合わせを考えずにプロペラを変更すれば、エンジンを本来想定されている回転域で使えなくなったり、エンジンや駆動系に余計な負担を与えたりする可能性があります。</p>
<p>プロペラを交換したりピッチを変更したりするときは、現在付いているプロペラの数字だけを見るのではなく、エンジン、減速比、プロペラ、船体をひとつの組み合わせとして考えることが大切です。</p>
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		<title>4. プリンスのためのヤハト（ヨット）</title>
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		<dc:creator><![CDATA[malusailing]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 21 Sep 2026 22:00:58 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[ヨットはどう変わってきた]]></category>
		<category><![CDATA[Prinsenjacht]]></category>
		<category><![CDATA[スプリットセイル]]></category>
		<category><![CDATA[パビリオン]]></category>
		<category><![CDATA[プリンセンヤハト]]></category>
		<category><![CDATA[ヤハト]]></category>
		<category><![CDATA[リーボード]]></category>
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					<description><![CDATA[これまでの3話では、ヨット（yacht）の語源となったオランダ語の「ヤハト（jacht）」から始まり、オランダで生まれたヤハトの文化にチャールズが触れ、やがて英国へ帰るまでを辿ってきました。 その中で、ヤハトが速さや機動 [&#8230;]]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>これまでの3話では、ヨット（yacht）の語源となったオランダ語の「ヤハト（jacht）」から始まり、オランダで生まれたヤハトの文化にチャールズが触れ、やがて英国へ帰るまでを辿ってきました。</p>
<p>その中で、ヤハトが速さや機動性を求められた実用的な船であったことや、17世紀のオランダでは、身分の高い人たちの移動にも使われ、さらに仕事や公務だけではなく、船に乗ることそのものを楽しむためにも使われるようになっていたことを見てきました。</p>
<p>そしてチャールズは、英国への帰国の途中にもヤハトに乗り、その船を「便利で快適」と評価し、英国へ帰ったらテムズ川でも同じような船を使いたい、という趣旨の言葉を残します。</p>
<p>ここまで、ヤハトがどのように使われ、その文化がどのようにオランダから英国へ渡ろうとしていたのかを追ってきました。では、チャールズが「便利で快適」と評価した当時のオランダのヤハトとは、実際にはどのような船だったのでしょうか。</p>
<p>その姿を知るために、1660年にチャールズが英国へ帰る際に乗った「Prinsenjacht（プリンセンヤハト）」です。</p>
<p>今回は歴史を追う足を止めて、「ヤハトという船」そのものに目を向けてみたいと思います。</p>
<p>チャールズが乗った 、Prinsenjacht を通して17世紀半ばのオランダのヤハトとは、どのくらいの大きさで、どのような姿をした船だったのかを詳しく調べてみたいと思います。</p>
<p><img decoding="async" class="aligncenter size-full wp-image-8861" src="https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0399.png" alt="" width="300" height="300" srcset="https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0399.png 300w, https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0399-150x150.png 150w" sizes="(max-width: 300px) 100vw, 300px" /></p>

<h2>プリンセンヤハトとは？</h2>
<p>チャールズが1660年に英国へ帰る際に乗った船は、当時の記録では「Prinsenjacht（プリンセンヤハト）」と呼ばれています。</p>
<p>ここで最初に整理しておきたいのが、Prinsenjacht という言葉です。</p>
<p>これは、現在のヨットのように一隻の船につけられた固有の船名というより、「プリンスのためのヤハト」という意味で使われた呼び方です。<br />
では、この「プリンス」とは誰だったのでしょうか。</p>
<p>このヤハトは、オラニエ公ウィレム2世（Willem II van Oranje）のために、ロッテルダム海軍本部によって1646年に発注され、1647年に完成した船でした。</p>
<p>ここで少し分かりにくいのが、ウィレム2世は、ホラント、ゼーラント、ユトレヒトなど複数の州の総督を務めていましたが、プリンスだったのか？という疑問です。</p>
<p>当時のオランダは未だ王政ではなく、複数の州から成るネーデルラント連邦共和国、いわゆるオランダ共和国でした。総督は国王のような主権者ではないのですが、彼は総督でありながら軍事面を中心に大きな力を持ち、共和国の中でも非常に重要な存在でした。</p>
<p>一方で、ウィレム2世は「オラニエ公（Prince of Orange）」という別の称号を持っていたため、ウィレム2世は国王ではありませんが「Prince」であり、その彼のために造られたヤハトだから「Prinsenjacht」と呼ばれたわけです。</p>
<p>そして、このヤハトが完成した1647年からわずか3年後の1650年、ウィレム2世は天然痘により24歳という若さで亡くなり、主人を失った船となったことから、ロッテルダム海軍本部の所有となりました。</p>
<p>つまり、チャールズが1660年に乗った時には、すでにウィレム2世は亡くなって10年が経ち、船もオラニエ公個人のために使われるヤハトではなくなっていましたが、それでも当時の記録では、この船を識別する際に、かつてウィレム2世のために造られた「Prinsenjacht」として登場します。</p>
<p>では、1647年にオラニエ公のために特別に造られたこのヤハトは、普通のヤハトと何が違っていたのでしょうか。</p>
<p>次は、この船が造られた当時の記録から、その姿をもう少し詳しく見てみます。</p>
<h2>オラニエ公のために造られたヤハト</h2>
<p>このヤハトが造られたのは1647年です。</p>
<p>この船は、オラニエ公ウィレム2世が使用するための船として、ロッテルダム海軍本部によって建造されました。そして、この船について残されている記録を調べていくと、単に移動するためだけの船ではなかったことが分かります。</p>
<p>建造に関する会計記録には、船体を造った費用だけではなく、船を飾るために画家や彫刻家へ支払った費用まで残されています。なかでも興味深いのが、画家ヤコブス・デ・フィレールス（Jacobus de Vileers）に依頼された仕事です。記録によれば、彼は新しく造られたオラニエ公のヤハトにある2つの船室を風景画で装飾し、その仕事に対して1,500ギルダーが支払われています。</p>
<p>さらに彫刻家にも仕事が依頼され、船尾を中心にさまざまな装飾が施されました。</p>
<p>船尾にはウィレム2世のものと考えられるオラニエ公の紋章が掲げられ、その周囲には人物像をはじめとする豪華な彫刻が施されていました。</p>
<p>これほど詳しい装飾の記録が残っている一方で、この船の全長、幅、喫水などをまとめた建造時の図面や仕様書などは、現在確認できる限りの資料からは残念ながら見つけることができませんでした。</p>
<p>しかし、チャールズが乗った Prinsenjacht は、実際にはどのくらいの大きさだったのか、正確な数字が見つけられなくても、大体のサイズ感や船の仕様などの見当をつけることはできるのでは無いかと、更に追いかけてみると、その手掛かりになるのが、1660年にチャールズを英国へ送り出すために集められた13隻の大型ヤハトです。</p>
<p>その中で Prinsenjacht がどのような位置付けにあったのかを見ていくと、この船の大きさが少しずつ見えてきます。</p>
<h2>プリンスのためのヤハトの大きさ</h2>
<p>1660年、チャールズが英国へ帰るためにブレダを出発した際、その一行のために13隻の大型ヤハトが集められました。</p>
<p>この13隻のヤハトは、現代の量産船とは異なり、同じ形の船を揃えた船団ではありません。</p>
<p>オラニエ家が使用していたヤハトをはじめ、ホラント州、国家評議会、海軍本部、都市、有力者などが所有・使用するヤハトが集められ、チャールズやヨーク公、グロスター公をはじめとする一行が、それぞれの船に分乗していました。</p>
<p>その中でチャールズが乗ったのが、かつてウィレム2世のために造られた Prinsenjacht でした。しかも、当時の記録によると、この船は集まった13隻の中で最も大きなヤハトだったとされています。ここは、この船の大きさを考えるうえで重要な手掛かりになります。</p>
<p>つまり、同じ時代に造られた大型ヤハトには、寸法が残されている船があります。</p>
<p>たとえば1656年、オランダの全国議会にあたるスターテン・ヘネラール（Staten-Generaal）のために建造された大型ヤハトには、長さ58ロッテルダム・フィート、幅16ロッテルダム・フィートという記録が残っています。現在の単位にすると、長さ約16.5m、幅約4.5mとなります。この当時の記録による長さは、全長ではなくキールの長さだという説もあり、実際の長さはその15%ほど長いとの見解もあることから、全長はおよそ19m程度と考えられます。</p>
<p>そして、もう一つ非常に重要な手掛かりがあり、チャールズが Prinsenjacht に乗っている時、その船を気に入ったことを知ったアムステルダム側から、これとほぼ同じ大きさのヤハトがアムステルダムにあるという話が持ちかけられています。</p>
<p>この船については後に詳しく触れますが、詳しい現代の数値で記録が残っており、全長66フィート（約20.1m）、幅18フィート（約5.5m）、積載量100トンという大型ヤハトでした。</p>
<p>これらの記録を重ねていくと、Prinsenjachtの正確な寸法を断定することはできないものの、全長20m前後の大型ヤハトだった可能性が高いと考えることができます。</p>
<h2>オランダ独特の船体</h2>
<p>Prinsenjacht の大きさが見えてきたところで、次に船体の形を見てみましょう。</p>
<p>当時のオランダのヤハトを描いた絵を見ると、現代のセーリングヨットとはかなり違った姿をしています。</p>
<p>最も大きな特徴は、幅の広い船体と、浅い船底です。これは単なる当時の流行ではなく、オランダという土地の水路事情と深く関係しています。</p>
<p>オランダには河川や運河が縦横に張り巡らされ、当時の重要な都市の多くが水路によって結ばれていました。一方、その水域には水深が浅い場所も多くあります。Prinsenjachtも外洋だけを航海するための船ではなく、実際にチャールズを乗せた1660年の旅でも、モールダイクからドルドレヒト、ロッテルダム、デルフスハーフェン、オーフェルスヒーを経てデルフトへと、河川や水路を使って移動しています。</p>
<p>こうした場所を自由に航行するには、船底から深く伸びるキールを持つ船より、喫水を浅くした船の方が都合がよかったわけです。しかし、帆船の船底を浅くすると、帆に横から風を受けたとき、船が風下へ流されやすくなります。現在のヨットでは、水面下に深く伸びるキールが抵抗となって横流れを抑えますが、浅い水域を走るオランダの船では、そのような深いキールを持つことができないため、船体の左右にはリーボード（leeboard／オランダ語ではzwaard）というものが取り付けられています。</p>
<p>Prinsenjacht を描いた当時の絵でも、船体側面に大きな板状のリーボードを見ることができます。</p>
<p>帆走するときには、基本的に風下側のリーボードを水中へ下ろします。すると水中に入った板が、現在のヨットのキールやセンターボードのように横流れを抑える働きをします。反対側のリーボードは引き上げておくことができます。</p>
<p>つまり、浅い水域を走るために船底を浅くする。<br />
その代わりに、必要なときだけリーボードを水中へ下ろして横流れを抑える。非常に合理的な仕組みです。</p>
<p>全長20m前後と考えられる幅広い木造船。その船体は浅い水域を航行できるように造られ、左右には大きなリーボードを備えていました。</p>
<h2>どんな帆で走っていたのか</h2>
<p>17世紀半ばのオランダのヤハトは、基本的に1本マストを中心とした帆装でした。</p>
<p>そして、Prinsenjacht が造られた1647年からチャールズが乗った1660年という時期は、オランダのヤハトの帆装が変わろうとしていた時代でもあったようです。</p>
<p>初期の大型ヤハトでは、スプリットセイル（sprietzeil）と呼ばれる帆が使われていました。</p>
<p>これは四角形に近い帆を、マストから斜め上方へ伸ばした長い棒「スプリット（spriet）」で張る帆装です。現在のヨットでよく見るブームとガフで上下から帆を支える方式とは異なり、帆を斜めに横切るようにスプリットが伸びています。</p>
<p>ところが17世紀半ばになると、この帆装が変化していきます。</p>
<p>Fries Scheepvaart Museumの船舶資料によると、1660年頃からスタンディング・ガフ帆装（staand gaffeltuig）へ置き換わっていったと記されています。それに伴い、スプリット帆装で使われていた比較的短いマストも、トップマストを備えた、より長いものへ変わっていきました。</p>
<p>つまり、チャールズが Prinsenjacht に乗った1660年は、まさにその転換期にあたります。</p>
<p>では、チャールズが乗った Prinsenjacht そのものは、どちらの帆装だったのでしょうか。</p>
<p>Prinsenjacht は1647年建造ですから、建造年代だけを見ればスプリット帆装だった可能性があります。</p>
<p>幸い、この船についてはウィレム・ファン・デ・フェルデが1660年の姿を描いた図像が残されています。Rijksmuseumにも、PrinsenjachtとStatenjachtがモールダイクにいる場面や、そこから出航する場面が所蔵されています。</p>
<p>いろいろな絵を確認してみると、どうやらスプリット帆装だったようです。</p>
<h2>「便利で快適」だった船内</h2>
<p>この船にはもう一つ大きな特徴があります。それが、船の中に、きちんと造られた居住空間があったことです。</p>
<p>Prinsenjacht の建造記録には、船内について非常に興味深い記録が残っています。</p>
<p>1646年12月21日、ロッテルダム海軍本部は画家ヤコブス・デ・フィレールス（Jacobus de Vileers）に、新しく建造中だったオラニエ公のヤハトの装飾を依頼し、まず250ギルダーを支払っています。そして翌1647年6月24日には、さらに1,250ギルダーが支払われました。その理由として記録されているのが、船内にある2つの部屋を風景画で装飾する仕事が完成したことでした。</p>
<p>つまり、この船には少なくとも2つの独立した船室があり、その壁面にはわざわざ画家を雇って風景画が描かれていたことになります。</p>
<p>もともとヤハトは、速さや機動性を生かして人や情報を運ぶ実用的な船として発達してきた船です。しかし Prinsenjacht では、単に「雨風をしのげる船室を設ける」というところから、さらに先へ進んで、船内で過ごす時間そのものを、快適で格式のあるものにしようとしていたことがこのことから分かります。</p>
<p>更に、船尾を見ると、その理由も想像しやすくなります。</p>
<p>Prinsenjacht には、船尾にパビリオン（paviljoen）と呼ばれる、船室を収めた屋根付きの上部構造が設けられていました。当時のファン・デ・フェルデの絵や素描を見ると、船尾には窓が並び、その上や周囲にはオラニエ公を示す紋章や人物像などの豪華な彫刻も施されています。</p>
<p>外から見ても、このパビリオン部分に設けられた2つの船室が単なる作業スペースではなく、この船の中でも特別な場所だったことが分かります。</p>
<p>各船室の正確な広さや用途、どちらに寝台があったのか、テーブルや椅子がどのように配置されていたのかなどについては、確認できる資料はありませんでした。なお、一般的な Statenjacht では、乗客用空間、寝台、船長室、などかなり明確な区画が存在していたので、Prinsenjacht にもそのような区画も存在したと想像できます。</p>
<p>それでも、チャールズがこの船に実際に乗ったとき、“convenient and comfortable”「便利で快適」と感じた理由の一端は、ここにあったのかもしれません。</p>
<p>浅い水路を軽快に移動できる帆船でありながら、その船内には複数の船室があり、そこには風景画まで描かれている。</p>
<p>Prinsenjachtは、単に豪華な装飾を外から見せるための船ではありませんでした。「移動するための船」に、「船の中で快適に過ごす」という考え方が加わったヤハトだったのです。</p>
<p>そして、その考え方は船内だけではありません。</p>
<p>Prinsenjacht の外側には、オラニエ公が乗る船であることを示すために、さらに驚くほど豪華な装飾が施されていました。この装飾は、オラニエ公の Prinsenjacht としての権威を象徴しているわけです。</p>
<p>当時の Prinsenjacht が、当時最大で、しかも非常に豪華に造られた特別なヤハトだったことは間違いなさそうです。</p>
<h2>最後に…</h2>
<p>今回、Prinsenjacht という一隻を追いかけてみて一番興味深く感じたのは、この船が「豪華だった」ということではありません。</p>
<p>1647年という時代に、すでにヤハトという船に<strong>「快適に過ごす」という価値が持ち込まれていた</strong>ことです。</p>
<p>ヤハトの始まりを辿ると、そこにあったのは速さや機動性でした。必要な人や情報を素早く運ぶ。そのために使われていた実用的な船です。</p>
<p>ところが Prinsenjacht まで来ると、それだけでは説明できないものが船の中に現れています。船室を設けるだけなら実用性の範囲です。しかし、その部屋をわざわざ画家に依頼して風景画で飾るとなると、話は違ってきます。</p>
<p>それは、船内を単なる移動中の待機場所ではなく、人がそこで時間を過ごす空間として考えていたということではないでしょうか。</p>
<p>ここまで来ると、ヤハトを見る視点も少し変わってきます。</p>
<p>「最初のヨットはいつ、どこで造られたのか」という一本の境界線を探すよりも、実用のために生まれた船に、少しずつ別の価値が加わっていく過程を見る方が面白いのかもしれません。</p>
<p>速く移動できること。人を乗せること。快適に過ごせること。そして、船に乗ることそのものに価値を見いだすこと。</p>
<p>その一つひとつが重なって、私たちが現在「ヨット」という言葉から感じるものに、少しずつ近づいていったのでしょう。</p>
<p>Prinsenjacht は「最初のヨット」ではありません。</p>
<p>しかし、この一隻を詳しく見てみると、17世紀半ばにはすでに、実用のためのヤハトの中に、後のヨット文化につながるものが確かに育ち始めていたことが見えてきます。</p>
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		<title>ヨットのプロペラ「基礎知識編」</title>
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		<dc:creator><![CDATA[malusailing]]></dc:creator>
		<pubDate>Sun, 20 Sep 2026 22:00:10 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[ヨット雑学•雑記]]></category>
		<category><![CDATA[スラスト]]></category>
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					<description><![CDATA[ヨットに乗っていて、プロペラについて考えることはどのくらいあるでしょうか。 上架したときに状態を確認したり、貝などが付着していないかを見たりすることはあっても、普段からプロペラについて考える機会は、あまり多くないかもしれ [&#8230;]]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>ヨットに乗っていて、プロペラについて考えることはどのくらいあるでしょうか。</p>
<p>上架したときに状態を確認したり、貝などが付着していないかを見たりすることはあっても、普段からプロペラについて考える機会は、あまり多くないかもしれません。</p>
<p>けれども、機走していて「以前より力がない気がする」「エンジンの回転が思うように上がらない」「回転を上げても船速があまり伸びない」「以前より振動が大きくなった」と感じたことはないでしょうか。</p>
<p>こうしたとき、どうしてもエンジンに目が向きがちです。もちろん、エンジンを疑うことは間違いではありません。しかし、ヨットがエンジンの力で走るとき、その先には必ずプロペラがあります。</p>
<p>ところが、自分の船にどんなプロペラが付いているのかと聞かれると、意外に知らないことが多いものです。「この船のプロペラの回転はどっちですか？」「ピッチは幾つですか？」と聞かれたらどうでしょう。</p>
<p>自分の船なのに答えられない。これは決して珍しいことではありません。</p>
<p>プロペラは水中にあり、普段は見えません。エンジンのように音を聞いたり、計器で状態を確認したりすることもありません。だからこそ、何となく「船を進めるために回っているもの」として扱われがちです。</p>
<p>エンジンなら、何処のメーカーのどう言う型式で何馬力って答えられる人は多いのにプロペラのことになるとわからない…、ヨットオーナーであれば、知っておいてもよい部品だと思います。</p>
<p>と言うことで、今回はプロペラの基礎的なことについて見ていきたいと思います。</p>

<h2>プロペラは何をしているのか</h2>
<p>プロペラについて考える前に、まず押さえておきたいことがあります。プロペラは、エンジンの回転を使って水に力を加え、その反作用によって船を進めるためのものです。</p>
<p>見た目は「扇風機の羽根のようなもの」なんですが、プロペラのブレード（プロペラの羽のことをブレードと呼びます）は、単なる平らな板ではありません。</p>
<p><img decoding="async" class="aligncenter size-full wp-image-8877" src="https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0417.png" alt="" width="300" height="300" srcset="https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0417.png 300w, https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0417-150x150.png 150w" sizes="(max-width: 300px) 100vw, 300px" /></p>
<p>水中で回転することで、ブレードには水を動かす力が生まれます。その水に与えた力の反作用が、船を前へ進める推力（スラスト / Thrust）になります。</p>
<p>ここで重要なのは、エンジンが直接船を前へ押しているわけではない、ということです。エンジンが作っているのは回転する力です。</p>
<p>その回転を減速機やセイルドライブなどを通してプロペラへ伝え、最後にプロペラが水へ力を加えることで、ようやく船を進める力になります。</p>
<p>つまり、機走するときには、エンジン → 駆動系 → プロペラ → 水 → 船 という流れで力が伝わっています。</p>
<p>ここまでは、ごく当たり前の話に思えるかもしれません。けれども、この関係を理解しておくことはとても大切です。</p>
<p>エンジンが正常に回っていても、最後に水へ力を伝える部分に問題があれば、船は期待したようには走りません。逆に、エンジンの回転が思うように上がらないときも、必ずしもエンジンだけを見ればよいとは限りません。</p>
<p>機走の調子を考えるときには、エンジンからプロペラ、そして水へと続く一連の流れを見る必要があるのです。</p>
<h2>プロペラ各部の名称</h2>
<p>プロペラを見ると、中心部分から何枚かの羽根が伸びています。この羽根を <strong>ブレード（Blade）</strong>、ブレードを支えている中心部分を <strong>ハブ（Hub</strong>）と呼びます。</p>
<p>ブレードには、回転するときに先に水が入っていく側と、後から通過する側があります。先に水が入っていく側が <strong>リーディングエッジ（Leading Edge／前縁）</strong>、後から水が通過する側を <strong>トレーリングエッジ（Trailing Edge／後縁）</strong>と呼びます。</p>
<p>ブレードの最も外側にある先端は <strong>チップ（Tip／翼端）</strong>と呼ばれます。</p>
<p>少し分かりにくいのが、ブレードの「表」と「裏」です。プロペラが前進方向の推力を発生しているとき、船尾側を向いているブレード面を <strong>フェイス（Face）</strong>、船首側を向いている面を <strong>バック（Back）</strong>と呼ぶのが一般的です。ここは日常的な「表面」「裏面」という感覚とは一致しないことがあるので注意が必要です。</p>
<p>プロペラの大きさを表すときに基準になるのがプロペラの直径である <strong>ダイヤメーター （Diameter）</strong>です。直径とは、プロペラが1回転したときにブレードの先端が描く円の直径です。例えば「16インチのプロペラ」といった場合、基本的にはこの直径を指しています。</p>
<p>プロペラには、もう一つ重要な寸法があります。それが <strong>ピッチ（Pitch）</strong>です。プロペラには「16×11」「17×12」のような数字が表示されることがあります。一般的には最初の数字が直径、次の数字がピッチを表し、16×11なら、直径16インチ・ピッチ11インチという意味になります。</p>
<p>ピッチは単純なブレードの角度を表す数字ではありません。プロペラが柔らかい物質ではなく、滑りのない固体の中をねじのように1回転したと仮定したとき、理論上どれだけ前へ進むかを距離で表したものです。つまり、11インチピッチなら、理論上は1回転で11インチ進む形状ということになります。尚、実際のプロペラは水中で回転するので、1回転してもピッチと同じ距離だけ船が進むというわけではありません。<br />
この差には水の流れや船体抵抗などが関係し、<strong>プロペラスリップ（Propeller Slip）</strong>と呼ばれる考え方につながります。</p>
<p>プロペラを見るときは、単に「羽根が何枚付いているか」だけを見るのではなく、ハブ、ブレード、リーディングエッジ、トレーディングエッジ、チップ、ダイヤメーター、ピッチといった部分を区別して見ると、プロペラの形が持つ意味が少しずつ読み取れるようになります。</p>
<h2>ダイヤメーターとピッチ</h2>
<p>プロペラの仕様を見ると、「16×11」「17×12」など、2つの数字で表されている場合がほとんどです。基本的には、ダイヤメーター（Diameter／直径）× ピッチ（Pitch）を表しています。</p>
<p>ダイヤメーターは、2枚羽根でも3枚羽根でも、プロペラそのものの端から端を適当に測るのではなく、回転したときにチップが描く円が基準になります。</p>
<p>直径が大きくなるほど、プロペラはより広い範囲の水に作用できます。ただし、大きければ大きいほどよいわけではありません。</p>
<p>プロペラを大きくすると、回転させるために必要なトルクも大きくなります。また、船底や舵との間には十分なクリアランスが必要なので、取り付けられる直径には船体側からの制約もあります。</p>
<p>ヨットでは、エンジン出力だけを見て直径を決めることはできません。</p>
<p>ピッチは、ブレードの角度そのものを表した数字ではありません。プロペラを「水の中を進むネジ」と考えると分かりやすくなります。例えば、ピッチが11インチなら、プロペラが1回転したとき、理論上11インチ前へ進む形状になっているという意味です。</p>
<h3>「ピッチがきつい」とは？</h3>
<p>ヨットやボートでは、「このプロペラはピッチがきつい」「もう少しピッチを落としたほうがいい」という言い方をすることがあります。</p>
<p>ここでいう「きつい」は、一般にピッチが大きく、プロペラを回すための負荷が大きい状態を指しています。</p>
<p>例えると、自転車で考えると、重いギアではペダルを1回転させたときに大きく進めますが、その分だけペダルを回す力が必要です。軽いギアならペダルは回しやすくなりますが、1回転あたりに進む距離は小さくなります。</p>
<p>プロペラも似た関係を持っており、ピッチがきつければ負荷は大きく、ピッチが浅ければ負荷は小さいです。ただし、実際にエンジンへどの程度の負荷がかかるかは、ピッチだけでは決まりません。ダイヤメーター、ブレードの枚数や面積、形状、エンジン出力、減速比、船体など、複数の条件が関係します。</p>
<p>「ピッチが大きいから速い」「直径が大きいから力が強い」と単純には考えられないところが、プロペラを理解するうえで重要なポイントです。</p>
<h2>ブレードの枚数で何が変わる？</h2>
<p>ヨット用のプロペラには、2枚羽根、3枚羽根、4枚羽根などがあります。「ブレードが多いほど、たくさん水をかくから推進力が強い」そんなイメージを持つかもしれません。</p>
<p>実際には、そう単純な話ではありません。</p>
<p>ブレードの枚数を増やす大きな理由のひとつは、限られたプロペラ直径の中で、より大きなブレード面積を確保できることです。同じような条件なら、より多くのブレードを使うことで、プロペラが受け持つ負荷を複数のブレードへ分散できます。</p>
<p>特にエンジン出力が大きい船や、直径の大きなプロペラを取り付けにくい船では、ブレード枚数を増やすことが選択肢になります。</p>
<h3>2枚羽根</h3>
<p>セーリングヨットでは、2枚羽根のプロペラが古くから多く使われてきました。固定式の場合、3枚羽根に比べてブレードの総面積を小さくしやすく、セーリング中の水中抵抗を抑えやすいという利点があるからです。</p>
<p>機走時には、1枚のブレードが受け持つ負荷が比較的大きくなります。また、船体やシャフトの配置などによっては、プロペラが回転する位置による水流の違いが振動として現れやすくなることがあります。</p>
<h3>3枚羽根</h3>
<p>現在のクルージングヨットでよく見られるのが3枚羽根です。</p>
<p>2枚羽根よりブレード面積を確保しやすく、推力を比較的滑らかに発生させられます。</p>
<p>前進だけではなく、離着岸などで後進を使う場面でも、扱いやすさを重視するクルージングヨットでは採用しやすい構成です。</p>
<p>ただし固定式であれば、水中に残るブレード面積も増えるので、セーリング中の抵抗との兼ね合いを考慮する必要があります。</p>
<h3>4枚羽根</h3>
<p>4枚羽根になると、同じ直径の中でもさらにブレード面積を確保しやすくなります。</p>
<p>限られた直径で大きな力を水へ伝えたい場合や、振動を抑えて滑らかな推進を得たい場合などに使われます。</p>
<p>ヨットでも採用例はありますが、2枚羽根や3枚羽根ほど一般的ではなく、大型ヨットに使われる傾向にありますが、セーリング中の水中抵抗は最も大きくなります。</p>
<h3>枚数だけでは比較できない</h3>
<p>2枚羽根より3枚羽根、3枚羽根より4枚羽根のほうが優れている、という順位ではありません。プロペラには、ブレードの枚数だけではなく、直径、ピッチ、ブレードの幅や形状など、多くの要素があります。</p>
<p>例えば、幅の広い2枚羽根と細い3枚羽根では、単純に枚数だけを比べても、実際に水へ作用するブレード面積の違いは判断できません。</p>
<p>ここで使われるのが <strong>ブレード面積比（Blade Area Ratio）</strong>という考え方です。</p>
<p>プロペラが回転するときに描く円の面積に対して、ブレードがどの程度の面積を占めているかを見るものです。</p>
<p>ヨットでは、さらに別の条件が加わります。エンジンで走るときには十分な推進力が欲しい。セーリングするときには、できるだけプロペラの抵抗を減らしたい。この二つを同じプロペラで成立させなければなりません。</p>
<p>セーリングヨットでは、エンジンで走るときの性能だけでプロペラを考えることはできません。機走では十分な推進力が欲しい反面、セーリング中はプロペラによる水の抵抗をできるだけ小さくしたいという、ヨット特有の事情があります。ブレードの枚数も、この両方を考えて決める必要があります。</p>
<p>単純に「枚数が多いほうがよい」のではなく、機走性能とセーリング性能のどちらをどの程度重視するかによって、適したブレードの枚数も変わってきます。</p>
<h2>プロペラの回転方向</h2>
<p>プロペラの回転方向には、右回り（Right-hand Propeller）と左回り（Left-hand Propeller）があります。</p>
<p>ここで混乱しやすいのが、「どこから見て右回りまたはひだりまわりなのか」ということです。</p>
<p>船舶用プロペラでは、一般に船尾側から船首方向にプロペラを見て、前進時に時計回りに回転するものを右回り、反時計回りに回転するものを左回りと呼びます。</p>
<p>プロペラの回転方向は、実は船によって異なります。同じメーカーで船種が同じでも、エンジンやギア、ドライブなどの違いにより回転方向が異なる場合があるので、個々の船で判断する必要があります。</p>
<p>船を上架した時など、プロペラが止まっていてもブレードの向き（傾き）を見れば右回りか左回りかを判断できます。</p>
<p>ブレードには、回転するときに先に水が入ってくるリーディングエッジ（Leading Edge／前縁）と、後から通過するトレーリングエッジ（Trailing Edge／後縁）があるので、リーディングエッジが船首側の右にある時は右回り、左にある時は左回りになります。</p>
<p>実物を見て判断するときには、以下の図のような見方で判断します。</p>
<p><img decoding="async" class="aligncenter size-full wp-image-8873" src="https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0412.png" alt="" width="300" height="300" srcset="https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0412.png 300w, https://malu-sailing.com/wp-content/uploads/2026/09/IMG_0412-150x150.png 150w" sizes="(max-width: 300px) 100vw, 300px" /></p>
<p>基本的にプロペラの回転方向は、船が前進する時にプロペラをどちらに回すと後ろ側に水が押し出されるれ、船が前進するかで判断するします。</p>
<p>プロペラは平ではなくブレードには船の前後方向に角度がつけられ、水を船首側から取り入れて後ろに押し出すようになっています。このブレード端が最も船首側にある（傾いている）のがブレードの右端だと右回転、左側だと左回転になります。</p>
<h2>プロペラの種類</h2>
<p>セーリングヨットに使われるプロペラは、大きく分けると固定式、フォールディング、フェザリングの3種類があります。</p>
<p>どれもエンジンの力で船を走らせるという役割は同じですが、セーリング中のプロペラの状態には大きな違いがあります。</p>
<h3>固定式プロペラ</h3>
<p>固定式プロペラ（Fixed Propeller）は、ブレードがハブに固定されている最もベーシックなタイプです。</p>
<p>エンジンを停止してもブレードの形や角度は変わりません。</p>
<p>構造が単純で丈夫なことが大きな特徴で、可動部分がないため、整備する箇所も少なく、クルージングヨットでは最も広く使われています。弱点は、エンジンを止めてセーリング中もブレードが水流を受け続け抵抗となることです。特に3枚羽根などブレード面積の大きな固定式では、この抵抗を無視できません。</p>
<h3>フォールディングプロペラ</h3>
<p>フォールディングプロペラ（Folding Propeller）は、エンジンを使用していないときにブレードを折り畳めるタイプです。</p>
<p>エンジンを回すと遠心力などによってブレードが開き、通常のプロペラとして働きます。エンジンを停止するとブレードが閉じ、水流に対して細い形になります。</p>
<p>最大の目的は、セーリング中の抵抗を減らすことです。レース艇だけでなく、帆走性能を重視するクルージングヨットでも使われてす。</p>
<p>ただし、ブレードを開閉する機構があるので、固定式より構造は複雑で、可動部への海洋生物の付着、摩耗、ギアやピンなどの点検も必要になり、メンテナンスは固定式に比べると手間が掛かります。</p>
<p><a href="https://www.flexofold.com/folding-propellers/saildrive-propellers/2-blade-saildrive-folding-propeller?utm_source=chatgpt.com">フォールディングプロペラの実際の画像などは、ここから見ることができます。</a></p>
<h3>フェザリングプロペラ</h3>
<p>フェザリングプロペラ（Feathering Propeller）は、ブレードを折り畳むのではなく、ブレードそのものの角度を変えるタイプです。</p>
<p>エンジンを停止すると、ブレードが水流に対して薄い面を向ける位置まで回転します。鳥が羽根の角度を変えて空気抵抗を小さくすることを「フェザリング」と呼びますが、このプロペラも同じ考え方です。</p>
<p>セーリング中の抵抗を小さくできることに加え、前進と後進でブレードの向きを変えられる構造を持つ製品もあります。</p>
<p>ヨットでは後進性能を重視してフェザリングプロペラを選ぶケースもあります。</p>
<p>構造は3種類の中では最も複雑で、内部にギアなどの可動部を持つものが多く、定期的な清掃、給脂、摩耗状態の確認などが必要で、分解整備が定期的に必要となります。</p>
<p><a href="https://commons.wikimedia.org/wiki/File%3AFeathering_Propeller_-_Rival_34.jpg?utm_source=chatgpt.com">フェザリングプロペラの画像はこちらから見ることができます。</a></p>
<h3>ヨットでは帆走時にも重要</h3>
<p>モーターボートなら、プロペラは船を走らせるための装置として考えることが中心になります。しかし、セーリングヨットでは少し事情が違います。</p>
<p>エンジンを使っている時間より、帆だけで走っている時間のほうが長い船もあります。このときプロペラは推進装置ではなく、船体の水中にある抵抗物になります。</p>
<p>固定式は構造が単純で丈夫。フォールディングはブレードを畳んで抵抗を減らす。フェザリングはブレードの角度を変えて抵抗を減らす。と言った特徴がありますが、セーリングヨットでは、エンジンを使ったときにどう走るかだけではなく、帆走時にエンジンを止めたときにプロペラがどうなるのかも、選ぶうえでのポイントになります。</p>
<h2>最後に…</h2>
<p>プロペラは、普段は水の中に隠れているので、自分のヨットにどんなものが付いているのか、意外と知らないものです。</p>
<p>上架したときも、船底塗装やジンクの交換に気を取られ、プロペラは「汚れていないか」「傷がないか」を確認する程度で終わってしまうこともあります。</p>
<p>次に上架する機会があったら、少しだけじっくりプロペラを見てみるといいと思います。</p>
<p>ダイヤメーターとピッチ、右回り、左回り、メーカー名や型式、数字などが刻印されていないか。</p>
<p>できれば写真も撮っておくと、何かあった時に役立ちます。</p>
<p>実は、以前にMALU号では、中性浮力で沈んでいる布団にプロペラが接触して、ブレードが曲がってしまったことがあります。もう、プロペラを交換するしかないので、ダイヤメーターやピッチがわかりますか？って聞かれたのですが、どうやらプロペラ本体に刻印されているのが磨き過ぎて見えなくなってしまっていたそうです。</p>
<p>結果はどうなったかと言うと、曲がったプロペラを修正しくれるプロペラ専門の工場を見つけて、そこに外したプロペラを送り、修正してもらいました。</p>
<p>プロペラについて知っておいたらいいことは、まだあります。それはまた別の機会でお話ししたいと思います。</p>
<p>今回は基礎知識編としてここまでとします。</p>
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