「ヨットは夜間にどのようにして走っているんだろう?」と考えたことがある人はあまりいないと思います。でも、これを考えるようになったら、あなたもヨットにハマり始めているということです。まあ、そんなことはどうでもいいことですが、ヨットは夜間にどうやって走るのかというと、先ず最初に言えることは「ヨットを夜にはあまり走らせない」ということです。道の無い海上を夜間に走るということは、実はとても大変なことです。たとえ陸に沿って走れば何か見えるから安心だろうと思っていても、実は全く何も見えない場所が意外に多いのです。また、あまり陸に近寄り過ぎると浅瀬や見えない岩などが多くなるので、陸からある程度の距離をとらざるを得ないのです。更に、知った場所でも昼間と夜の眺めは全く異なります、そうすると慣れている筈の場所でも自分の位置を見失うことも少なくありません。ですから、多くのヨット乗りは夜間は危ないのであまり走りたがらないという事です。「君子危うきに近寄らず」と言ったところでしょうか。

乗り物なんだから夜走る(航行する)ことはできるんでしょ?と言われれば、それは勿論、走る(航行する)ことはできます。でも、自動車のようにヘッドライトで前を照らして走るわけではありませんし、海には街灯もありません。真っ暗な中を海図(最近ではGPS式の電子海図)や灯台などを頼りに確実に安全な針路を考えながら、しっかり周囲をワッチし航行します。都会の海のように目標物や光の多い場所ならば、ある程度は安心して夜でも走ることが出来ますが、それでもセーリングしようという気にはなれません。

灯火

しかしこういうケースは少なくありません。例えば、セーリングに出掛けて港に着く前に日没を迎えてしまったとか、目的地まで時間が掛かるので日の出前に出航するなんて言う事はわりと頻繁にあります。ですから、それも夜間に入れるとすれば、夜間航行が無いわけではありません。

さて、そんな夜間には、法律で灯火を点灯しなければならないというように定められています。これは陸の乗り物でも同じことで、夕方になればスモールランプを点ければ、車の灯火類が点灯します。自動車などの場合には、点灯させるだけでOKですが、ヨットの場合にはちょっと異なり、これが意外とヨット乗りの中でも曖昧だったり、あまり夜間に航行しない人は忘れてしまったりと、点灯させるだけという単純でないことがちょっと問題です。

そこで今回は、あまり使わないけど覚えておかなきゃいけないこととして、「夜間におけるヨットの灯火と昼間の形象物について」おさらいをしておきたいと思います。

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灯火の点灯について

先ずは全ての船における灯火のルールからおさらいです。

灯火はいつ点灯させるのか

船舶は法で定める灯火(法定灯火)を、日没から日出までの間、または視界の良くないときには点灯させます。

ヨットで使用する主な灯火の種類

マスト灯:白色で船首側に向け225度(正面から両舷112.5度)の範囲を照らし、マストに装置します。

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舷灯:緑色及び赤色でそれぞれ正面から112.5度の範囲を照らし、緑灯を右舷、赤灯を左舷に装置します。
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両色灯:1つの筐体で左を赤色、右を緑色でそれぞれ正面から112.5度の範囲を照らし、船の中心線上に装置します。
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船尾灯:白色で船尾より後方向け135度(船尾より両舷67.5度)の範囲を照らし、船の中心線上装置します。
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全周灯:白色で360度全周を照らし、船の中心線上に装置します。
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三色灯:両色灯と船尾灯が一体化したもので、船マスト最上部又はその付近の最も見えやすい場所に装置します。

ヨットは点灯のさせ方が走らせ方により異なる

冒頭に夜間の航海は真っ暗だと書きました。つまり、これは相手がいた場合に真っ暗でこちらの様子がよく見えないということでもあります。そこで、船では、その大きさによって灯火の設置位置が異なります。更に、ヨット(帆船)の場合には、一般の船のように動力で走っているとき(機走)と、セーリング(帆走)している時では、灯火の点灯のさせ方が異なります。これも、相手方がどういう船がどういう走らせ方をしているかを認識させるためです。何故、相手に走らせ方を知らせる必要があるかと言うと、危険回避の際の相手のとるべき操船が異なってくるからです。(原則、小型船舶同士の場合、動力船は帆船を避航する)また、ヨットのサイズによっても点灯のさせ方が異なります。

エンジンで航行している機走時(動力船)

➀ 長さ50メートル以上の場合:マスト灯2個(前側1個、後側1個を前より高い位置)、舷灯、船尾灯
➁ 長さ12メートル以上50メートル未満の場合:マスト灯(マストが複数ある場合には前側)、舷灯(20メートル未満は両色灯でも可)、船尾灯
➂ 長さ12メートル未満:マストトップに全周灯、舷灯(または両色灯)
➃ 長さ7メートル未満で最大速力7ノット以下の場合:全周灯のみでも可能

セーリングで航行している帆走時(帆船)

➀ 長さ7メートル以上(7メートル以上の全ての帆船)の場合:舷灯(但し、20メートル未満は両色灯でも可)、船尾灯
➁ 長さ7メートル未満の場合:できるだけ7メートル以上と同じにする、又は白色携帯電灯等(国際法上はトーチライトで帆を照らす)
➂ 長さ20メートル未満の場合:舷灯と船尾灯に代えて三色灯でも可能

ポイント!「マスト灯または全周灯が点灯していない状態で舷灯(または両色灯)を点灯し航行しているのは、ヨット(帆船)がセーリング(帆走)しているという意味」

アンカリング(錨泊)中のとき

夜間または視界不良時などにアンカリングで停泊(錨泊)する場合にも、定められた灯火を点灯する必要があります。
➀ 50メートル以上の場合:全周灯2個(前側1個、後側1個を前より高い位置)
➁ 50メートル未満の場合:全周灯(マストが複数ある場合には前側)
➂ 7メートル未満は一部水域を除き、表示しなくてよい(携帯電灯や白色に光るランタンなどを点灯し吊るしておいた方が安全です)

結構忘れがちな形象物

形象物とは、昼間において通常に航行していないとき、または航行に問題や特殊な状態にあるときには、マストより前側の見通しの良い場所に形象物を掲げる必要があります。
ヨット(小型帆船)には必ず黒球(黒色球形形象物)が3個、黒円すい(黒色円すい形形象物)が1個積まれていなければなりません。

黒球(黒色球形形象物)

黒球が3個あるのは、1個だけ、2個つなげて、3個つなげて、と言う具合に、この3通りでそれぞれ意味があります。
1個:アンカリング(錨泊)時には黒球1個を掲示します。
2個:運転不自由船の場合には黒球2個をつなげて掲示します。運転不自由船とは、エンジンや舵の故障で船のコントロールが効かずに潮や流れに乗って走っている状態という事です。
3個:乗り上げている時、つまり座礁した時に掲示します。

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黒円すい(黒色円錘形形象物)

黒円すいを使うのは、ヨット(小型帆船)ならではです。ヨットはエンジンだけ走る(機走)と、帆だけで走る(帆走)がありますが、帆走しながらエンジンも補助動力として使って走る(機帆走)があります。機走時には、セイル(帆)が完全に下りている状態で走るので、他船から見た時には動力船状態であることは一目でわかります。また、その反対に帆走時には、セイルが上がっていれば帆走していると他船からは判断できます。しかし、ここでエンジンの補助を使って走っている場合には、見分けがつきません。そこで、機帆走時には、この黒円すいの頂点を下向きにして掲示します。
機帆走時の形象物
機帆走している状態は、動力船状態ではあるけれど風の影響を受ける特殊な状態であると他船に示しているわけです。また、完全に帆船の状態である場合には、風を逃がしてしまうと失速してしまいますが、機帆走時には風を逃がしてしまっても動力で走り続けることが出来るという意味でも特殊な帆船状態であるということから特殊状態にあるという意味で「下向きの黒円錐」を掲示しているわけです。他船から見れば、帆船とするか、それとも動力船とするかで避航行動の判断に違いが生じますから、それを判断し易くしているわけです。また、海難審判の際には、この形象物の有無が審判上の判断要素にもなります。形象物の掲示が無い状態で他船との衝突事故が起きた場合、形象物の不掲示により起きた事故と判断されることもあるという事です。これは、ヨット側である私たち気を付けなくてはいけないですね。
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最後に…

灯火や形象物は、今回書いた以外にもありますが、今回は普段使う可能性が高いものに限ってお話をしてみました。
我が家のMALU号は、実測全長は12メートル以上ありますが、船検上の長さは12メートル以下と、ちょっと微妙な感じの大きさで、僕もそれでイマイチよくわからなかった部分があったのですが、今回これを書いたことで頭の中が整理出来ました。形象物も使うことがなかなか無いので、結構忘れがち、更に何処かの奥の方に置きがちで、直ぐには取り出せないなんてことになっていることもあるかと思います。必要時に直ぐに取り出して掲示できるように準備しておいた方がいいですね。

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