ヨットで快適に眠る

ヨットライフ

ヨットで夜を過ごすことは、ヨットライフの楽しみのひとつです。

夕食を終え、静かな船内で眠りにつく。朝になればハッチから差し込む光や海の音で目を覚ます。そんな船上ならではの時間を楽しみにしているヨット乗りは少なくありません。

何を隠そう我が家はMALU号を水上の別荘として泊まったり、出航できないような海が荒れたり強風のときでも船に行って泊まったりもしてました。そんな時の船内泊は、まるで荒れた海へ出ているかのような感覚の中で眠りについたりで、静かな時とはまた違った雰囲気を楽しむことができます。まあ、あまりに荒れ過ぎてると、いくら係留していても、船が風でヒールしたり、波があたって煩かったり、船が揺れ動いたりと、なかなから眠りにつくことができなかったりもします。まあ、そんな時は飲むに限りますね…。

実際に船中泊をしてみると、思ったように眠れないことがあります。自宅では朝までぐっすり眠れるのに、ヨットでは何度も目が覚めてしまう。十分な時間を寝床で過ごしたはずなのに、翌朝になっても疲れが残っている。そんな経験はないでしょうか。

ヨットには、陸上の寝室とは環境がかとなります。その違いを理解し少し工夫することで、船中泊の快適さはかなり違います。

そこで今回は、マリーナ係留中やアンカリング中の船中泊を中心に、ヨットで快適に眠るための工夫を考えてみます。

何故ヨットでは眠りにくいのか

ヨットの船内には、陸上の寝室とは大きく異なる特徴があります。それは、寝床そのものが常に外部の環境から影響を受けていることです。

マリーナに係留していても、風や波、近くを通る船の引き波によって船体は動きます。アンカリング中なら、風向や波向の変化によって船の揺れ方が変わることもあります。こうした船体の動きは、眠っている身体にも伝わります。大きな揺れでなくても、寝返りを打とうとしたときに身体が動いたり、無意識に姿勢を保とうとしたりすることがあります。

また、ヨットの寝床は、限られた船内空間を利用して設けられています。船体の形状に合わせた三角形や台形のバースも多く、寝返りを打つための空間や、身体を伸ばせる方向が制限されることもあります。

更に、船内の温度や湿度も、陸上の住宅とは条件が異なります。船体やデッキは外気や水温の影響を受け、断熱や換気の状態によっては寝床の周囲に熱や湿気がこもることがあります。また、船体を通じて伝わる音もあります。陸上では気にならない程度の小さな音が、静かな夜の船内では意外に大きく感じられることもあるでしょう。

つまり、ヨットでの眠りにくさは、単に慣れない場所で寝ることだけが原因とは限りません。船体の動き、寝床の構造、船内の環境など、いくつもの条件が関係しています。

寝る場所によって揺れ方は変わる

ヨットの船内には、船首のVバース、船尾のアフトキャビンやクォーターバース、メインキャビンのソファなど、いくつかの就寝が可能な場所があります。普段は決まった場所で眠っている人も多いと思いますが、揺れが気になるときには、寝る場所を変えてみるのもひとつの方法です。

船体の揺れには、船首と船尾が上下するピッチング、左右に傾くローリング、船体全体が上下するヒービングなどがあります。これらの動きは、船内のどこにいても同じように感じられるわけではありません。例えば、ピッチングでは船体が横方向の軸を中心に回転します。この回転軸から前後に離れた場所ほど、上下方向の移動量は大きくなります。船首のVバースで眠っていると、船体中央付近よりも上下の動きを強く感じることがあるのは、このためです。ローリングの場合は、船体が前後方向の軸を中心に回転します。寝床がその回転軸から離れているほど、回転によって生じる移動量は大きくなります。船体中心線から左右に離れた寝床や、高い位置にある寝床では、揺れ方が変わる可能性があります。

ただし、船体中央付近なら必ず快適というわけではありません。実際のヨットは複数の運動が組み合わさって揺れており、船型や波の方向、寝床の高さなどによっても身体が感じる動きは変わります。

寝る向きも重要です。

身体の左右方向に揺れが加わると、寝床の上で身体が転がるように動くことがあります。寝床の幅が広い場合には、クッションや抱き枕などで身体の横に適度な支えを設けると、姿勢を保ちやすくなることがあります。

特にアンカリング中は、風向や波向が変化することで、就寝時には気にならなかった揺れが夜中に大きくなることもあります。そんなとき、船首のVバースからサロンのソファに移るだけで、身体が感じる動きが変わる場合があります。

快適に眠れる場所は、必ずしも普段使っている場所とは限りません。揺れが気になる夜には、船内の別の位置を試してみる価値があるでしょう。

マットレスの寝心地を改善する

マットレスの下に湿気をためない

ヨットで船中泊をしていると、マットレスの裏側や寝床の底板が湿っていることがあります。表面は乾いているのに、マットレスを持ち上げると裏側に水滴が付いていたり、底板が濡れていたりすることもあります。

これは、船内の湿った空気が冷たい面に触れることで発生する結露が、原因のひとつと考えられます。

人は眠っている間も、呼吸や皮膚から水分を放出しています。こうして船内に供給された水蒸気は、換気が十分でなければ室内の湿度を高める要因になります。また、ヨットの船体は外気や海水の温度に影響されます。寝床の底板が冷え、その表面温度が周囲の空気の露点温度を下回ると、結露が発生する条件が整います。特に、マットレスが底板に直接置かれている場合は注意が必要です。マットレスと底板の間は空気が動きにくく、湿気が抜けにくい空間になりやすいためです。

こうした湿気への対策として、まず実践したいのが、マットレスを定期的に持ち上げて乾燥させることです。船中泊を終えた後は、マットレスを立てかけるなどして裏側にも空気が触れるようにします。底板が湿っていれば水分を拭き取り、十分に乾燥させてから元に戻します。特別な道具を使わずにできる、基本的な対策です。

寝床の底板が取り外せる構造なら、その下の収納スペースも確認してみましょう。収納区画に湿気がこもっていると、底板の裏側も乾きにくくなります。収納物を詰め込みすぎず、空気が動く余地を残すことも考えられます。

また、マットレスと底板の間に通気のための隙間を設ける方法もあります。例えば、すのこなどを利用すれば、マットレスが底板に直接密着する状態を避けられます。木製のすのこであれば、寝床の形に合わせて加工がし易いですが、船体の揺れでずれないこと、厚みが増えることで寝床が高くなり、頭上の空間が狭くなる点には注意が必要です。

もちろん、隙間を設けるだけで結露がなくなるわけではありません。船内の湿度が高ければ、底板が冷えたときに結露が発生する可能性があります。通気の確保とあわせて、船内全体の換気や湿度管理を行うことが重要です。

マットレスの下は、普段ほとんど目に入らない場所です。しかし、湿った状態が長く続けば、カビの発生や寝具の劣化につながることがあります。

船中泊の後にマットレスを持ち上げ、裏側と底板の状態を確認する。そんな簡単な習慣が、寝具を清潔に保ち、快適な寝床を維持することにつながります。

暑さ・寒さ・湿度をコントロールする

ヨットの船内で快適に眠るためには、適切な温度管理が欠かせません。特に近年の夏は、エアコン無しには船中泊はできなくなりました。船内が高温になる状況では、無理に船中泊を続けないことも大切です。

では、エアコンやヒーターでキャビンを適切な温度に保てば、十分に快適な睡眠が得られるのかと言うと、そうではありません。キャビン内の温度が適切でも、寝床の位置や寝具によって暑さや寒さを感じることがあります。

例えば、ヨットの船首や船尾にあるキャビンは、メインキャビンから仕切られていることが多く、空調設備からの冷気や暖気が十分に届かない場合があります。そんなときには、サーキュレーターを補助的に使用し、空調された空気を寝床まで循環させる工夫が必要になる場合があります。

こうした送風機器は、エアコンの冷気を行き渡らせたり、身体の周囲の空気を動かしたりするための補助的な設備として考えると良いと思います。

また、寝具の中にこもる熱や湿気も、寝心地に影響します。

夏場は、吸湿性や速乾性のあるシーツや冷感敷きパッドを選ぶことで、汗によるべたつきや蒸れ、寝苦しさを軽減でき、綿や麻、吸湿速乾性を持つ化学繊維など、素材によって肌触りや乾きやすさが異なるため、自分に合ったものを選びたいところです。特にヨットでは、寝床の幅が限られ、寝返りがしにくく、同じ姿勢で眠る時間が長くなることがあります。背中や腰の部分に熱や湿気がこもりやすいと感じる場合には、マットレスの上に敷くパッドを変えてみるのもひとつの方法です。

冬場は、キャビンの空気が暖まっていても、船体に近い場所では寒さを感じることがあります。これは、船体の内側など周囲の表面温度が低いと、身体から放射によって熱が失われるためです。船側に接するような寝床では、身体と冷たい面の間にクッションを置くだけでも、直接触れることによる冷えを和らげられます。また、冬用の敷きパッドや保温性の高い寝具を使用することも効果的です。掛け布団だけを厚くするのではなく、身体の下側から熱が逃げるのを抑えることも考えたいところです。

また、快適な睡眠には、寝具の中の湿気にも気を配りたいところです。

エアコンで船内の温度や湿度を調整していても、眠っている間には汗をかきます。特に身体とマットレスが接する部分は空気が動きにくく、熱や湿気がこもることがあります。こうした蒸れを軽減するには、シーツや敷きパッドの素材を見直す方法があります。吸湿性のある綿や麻、汗を吸い上げて乾きやすい機能性繊維など、それぞれの特徴を考えて選ぶとよいでしょう。

また、船中泊の後には寝具を広げて乾燥させ、湿気を残さないようにすることも大切です。

夜の騒音と光を減らす

ヨットで眠っていると、昼間は気にならなかった小さな音が、夜になると耳につくことがあります。

マリーナに係留している場合、代表的なのがハリヤードがマストに当たる音です。風でハリヤードが揺れ、アルミ製のマストに繰り返し当たると、その振動が船内にも伝わってきます。

こうした音を防ぐには、就寝前にハリヤードの状態を確認しておくとよいでしょう。ハリヤードをマストから少し離れた位置に引いて固定したり、適切に張りを調整したりすることで、打音を減らせる場合があります。

また、フェンダーのきしみも、係留中によく聞こえる音のひとつです。

船体が揺れるたびにフェンダーが船側や桟橋と擦れ、ゴムがこすれるような音が発生することがあります。特に、船体と桟橋の間でフェンダーに大きな荷重がかかっている場合には、音が繰り返し発生することがあります。

フェンダーの高さや位置を調整し、船体や桟橋との接触状態を確認することで、きしみが軽減される場合があります。フェンダーカバーを使用する方法もありますが、素材や接触面の状態によって効果は異なります。

係留ロープから音が発生することもあります。風や波で船体が動くと、ロープがクリートやフェアリードに接触する部分で擦れたり、張力が変化するたびにきしんだりする場合があります。こうした音は、ロープの取り回しや接触箇所を確認することで原因を見つけられることがあります。更に、古く固くなったロープは軋み音が出やすいので、柔らかくしなやかな物に交換するとよいでしょう。

アンカリング中には、これらとは異なる音が気になる場合があります。例えば、風でデッキ上のロープやカバーがばたつく音、波が船体に当たる音などです。ロープやカバーのように固定方法を見直せるものは、就寝前に整理しておくとよいでしょう。

また、船内から発生する音にも目を向けたいところです。収納スペースに入れた食器や調理器具、工具などが船体の揺れで動くと、思いがけない音が発生することがあります。食器の間に滑り止めシートを挟んだり、収納物が動かないように整理したりするだけでも、こうした音を減らせます。

光についても、少し工夫することで寝床の環境を変えられます。マリーナでは桟橋の照明や近くの船の明かりがハッチやポートライトから入り込むことがあります。また、夏場は日の出が早く、朝日によって予定より早く目が覚めることもあるでしょう。

こうした光が気になる場合には、ハッチ用の遮光カバーやカーテンを使用する方法があります。専用品でなくても、取り外しやすい遮光布などを利用すれば、寝床に入る光を減らすことができます。ただし、ハッチを開けて換気している場合には、遮光カバーで空気の流れを妨げないようにする必要があります。

ヨットでは、すべての音や光をなくすことはできません。波の音や船体が動く音も、船中泊ならではの環境の一部です。それでも、自艇から発生している音や、寝床に直接入り込む光には、工夫によって減らせるものがあります。眠る前に船内外をひと回りして、気になる音や光の原因を確認しておくとよいでしょう。

最後に…

僕たち夫婦は、MALU号に来て日帰りで帰ると言うのは、東京に住んでいた頃は殆どなく、必ず船に泊まっていたこともあり、寝床については、かなりいろんな試行錯誤がありました。

一番苦労したのは、朝起きたら腰が痛くなっていることです。僕たちは船尾側のクォーターバースがダブルベッドの広さがあるので、夫婦で並んで寝てますが、このバース内に敷かれているマットレスがベット用のマットレスではないので、腰が沈み込んでしまうのです。そこで、マットレスの上にベット用高反発マットを追加して、腰が沈み込まないようにしました。これは効果覿面でした。

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更に良いのは、エアウィーブだと思います。エアウィーブは、湿気がこもりにくく、体はきっちり保持されるのでヨットには理想的なマットだと思います。マットの中身は樹脂系素材でカットもできるので、バースの形に合わせるのも容易です。

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掛け布団は、夏場はマリンエアコンかけっぱなしなので、タオルケットを掛けて寝てます。冬場は、キャビン内の暖房はオイルヒーター(デロンギ)を使ってキャビン内を温めて、布団は羽毛布団を掛けてます。

寝具だけでなく、デッキ上のロープ類やブーム、ブロック類など、風や揺れで音が出ないようにしておくことが大切で、夜中に天候が変わって風が吹き始めたりするとガチャガチャ言い始めては、目覚めてしまうので、引っ張りすぎないことや、あたらないようにしておくことが結果として快適に眠れることになります。

そして、最終手段は寝酒を飲んで眠りを深く深めると言うのが一番かもしれません。

 

 

 

 

 

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