僕の老後の妄想は、欧米によく居る船に住んでいる老人…。(妄想ですよ、あくまでも。)
ヨットのデッキにロッキングチェアーなんかを置いて、ぼんやり港の様子なんかを見て
あるときは使い古しのロープをつかって何か作ったり、ふらっと海に出てみたり、気侭にあちこち周遊したり…。

でも、これを実際にやろうとするといろいろと問題が多い。
似たような暮らしをヨットハーバに係留している人で見たりしますが、まるでそこに住んでいるようなオールドソルトでも、多くの人が「父さん元気で留守がいい…」的な感じで、ちゃんとご自宅もあって、ご家族もいらっしゃったりします。言い換えると、結構な資産家だったり事業家だったりして、悠々自適ってやつです。何かあるときには家に帰って、ヨットが住まいというわけではありません。
まあ欧米でも、しっかりしたヨットハーバーにそうして住んでいる方は、ちょっと変り者の偏屈爺さんって人が多くて、しかし実際には凄い会社のオーナーだったり、なんて人が少なくない、いわゆる別荘的な感覚だけど、本気で住もうを思えば住めちゃう…完璧な水上生活者では無いってことです。やっぱり妄想でしかないかな…。

でも、現役を終えて、まだまだ体力もある元気なうちに自分のヨットで日程を気にせず、先ずは日本を周遊したいなって言う気持ちはあります。適当な港に無計画で漁師さんたちの迷惑にならない場所ひっそり何日も停泊し、あちこちの港を周航してみたいですね。


しかし、周航している間の家はヨットですから、できれば自分の家なんて必要ないし、生活の本拠を船にしたいって思いますよね。妄想ですが…。

そこで、真剣にそんな生活が可能なのかということを今回は考えてみたいと思います。でも、今回はあまり真面目な内容では無く、楽な感じで読んでやってください。

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船に引っ越して暮らすことが出来るのか?

単純に引っ越して暮らそうと思えば、様々な不便はあるものの、できなくもないとは思います。しかし、そこには様々な不便があることは覚悟しなくてはいけないですね。ここでは、私のヨット経験上で考えられる不具合を挙げてみたいと思います。

住宅設備関連

ヨットを家にするということは、住宅設備としてどうなのかということを冷静に評価する必要があります。
因みに、僕たち夫婦のMALU号の場合には、ホームポートのマリーナに係留している分には、マリーナの施設を使って何とか生活できるレベルではありますが、漁港だといきなり不便になってしまいます…。

風呂問題

日本の冬は寒いです。そして、ヨットにお風呂はありません。自宅なら寒い日にはお風呂にお湯をためて直ぐに入ることはできますが、残念ながらお風呂をヨットに準備するのは物凄く大変なことです。以前に一度だけ2つあるトイレのうち1つに極小サイズの湯舟を積んでいるヨットを見たことがあります。お湯はどうするんですか?って聞いたら、エンジン回している時の熱を使ってお湯を張るんだって仰っていましたが、水を沢山積んでいないとできない話で、結構大型のクルーザーでないとこれは難しそうです。
では、日本周航した場合には、これは港の近くにある銭湯や温泉に行くしかありません。大抵の漁師町なら、お風呂に入れるところはあるものですが、人里離れた過疎のひなびた漁港なんかだと、お風呂に入れるところが無かったりします。
(おっと、お風呂を何故最初に持ってきたかって言うと、自分が単に風呂好きだからです。それ以上に意味はありません。)

トイレ問題

ヨットにトイレはありますから、トイレに困ることは無いって思うかもしれません。しかし、それは外海だけの話です。港に係留している間はヨットのトイレは使えません。日本のヨットには、便器が付いていても殆どのヨットにはホールディングタンクは付いていません。ですから、港では屎尿を船から放出できないので、トイレは港の近くのトイレを借りる必要があります。仮に誰もいなくても、自分の出したものが自分のヨットの周囲にプカプカ…ってことになります。ヨットハーバーでこんなことしたら、周囲の人に怒られちゃいます。
ホールディングタンク
ヨットに住むためには、ヨットに屎尿を貯めておくことができるホールディングタンクを積んでおき、沖に出たら放出するということをしなければなりません。

冷暖房問題

日本の冬は寒く、夏はめちゃくちゃ暑い…。今や家に居ても夏場は熱中症になるなんて人も居ます。冬は厚着と分厚い布団やシュラフで乗り越えられたとしても、夏の暑さは乗り越え難い問題です。
仮にヨットにエアコンがあったとしても、小さなヨットでは電源を準備できません。…かと言って、発電機を陸に置いて回しっ放しにするわけにゆきません。陸電に繫げることが出来る船なら、電気あるところであればマリンエアコン回せます。でも、漁港などで電気を貰うのは難しいかな?
カリブ海なんかを周航しているヨッティー達は、入江にアンカリングしてハッチを開けて風を通したりしているようですが、日本の夏場の漁港でハッチ開けたままで寝たら、蚊が凄いことになって、眠ることできません…。まあ、最近は凄い蚊取りもありますが、それ以外の虫もどんどん船内に入ってきます…。

テレビ問題

航行中にテレビを観ようなんてヨットマンは居ないと思いますが、ヨットを家にするならば、テレビはやっぱり観たくなりますよね。でも、地デジ化されたお陰で、実はテレビ、大体何処の港でもデジタル放送用のアンテナを積んでいれば観れるようになりました。NHKなら…。民放は地域によって異なりますからね…。その他はCS放送なら、CSアンテナを付けて港でアンテナの方位を調整すれば見ることが出来ます。

IT関係

今やITは日常生活に無くてはならないものです。昔はパソコンが必需品って時期もありましたが、今やスマホがあれば何でもできるという時代になりました。つまり、いつでもスマホを使えるということが必要です。今やスマホが使えないエリアは地上では無くなりました。しかし、海上では話は別です。何故なら、スマホ用の電波が陸に向けてしか電波を発信していないからです。(アンテナの向きが陸にしか向かっていない)しかし、最近になって内航船などもスマホの電波を欲しがるようになったことから、NTTドコモなどは海に向けたスマホ用電波の発信を徐々に始めています。しかし、電話が繋がるだけではダメです。今やWifiが繋がらないと、大容量のデータ通信ができません。しかし、これもスマホの世界では今や使えないのは大問題です。しかし、それも徐々に解決されつつあり、殆どの港では確実にスマホも使えます。ITについての不安や不満は徐々に少なくなりつつある状況です。でも、繋がらない場所はあるので、あくまでも生活する港の中ではというように考えてください。

各種手続き関連

ヨット暮らしになると、いろんなことが気になります。例えば、郵便は届くのか?、銀行やクレジットカードは使えるのか?、住所はどうなるのか?、年を取ってれば年金は受け取ることができるのか?、健康保険は使えるのか?、いろいろと気になることがいっぱいです。

住居登録

船を家として登録することは、日本ではできない仕組みになっています。つまり、住民票を船に置くということもできません。現在、市区町村の役場では、住民登録(転入)を受け入れる際には、住居登録されている建物が無いところには転入を受け付けない仕組になっています。住居登録は、建物を建てた時に市区町村に対して建物の所有者が登録申請すると、既存の地域名称の当該場所に割り当てられた番地(住居表示番号)を建物につけてくれます。この住居登録がなされた時に市区町村は登録済みの建物がある住所に入居するということであれば、スムーズに転入を受け入れるという形になっています。住居として登録されていない建物であっても、建物があれば一応受付はしてくれますが、許可が下りるかは地区町村の判断となり、結局は建物の所有者に確認するということ、つまり建物所有者に居住可能であるかの確認を取ってからということになるわけです。
では、船はどうかというと、建物(住居)では無いので、住居登録がそもそもできないのと、地上にある建物では無いので、住所を割り当てることができないのです。以前、キャンピングカーで住所登録が可能かという話もあったのですが、地上にあっても建物ではないということで、これも許可されませんでした。しかし、キャンピングカーが移動式ではなく、基礎の上に建っている建物としての住居の要件を満たしている場合には、住居表示の割り当てをしてくれるようになったので、現在では住民登録も可能になっています。でも、移動式の駐車場に置いたキャンピングカーは依然NGなのは変わりありません。そして、現在の日本では水上生活は許されていない(実質的に住所のある水上生活者は居ない)ので、船を住所とすることが出来ないわけです。
昔、ヨットハーバーの宿直室などを、ヨットハーバーの許可を得て住民登録に使わせていたことがあったようですが、現在は住居の定義が建築基準法で定められており、住居としての要件を満たして登録がなされていない場合には、仮にヨットハーバー側が許可したとしても市区町村で住居と判断できない(住居としての登録がない)ので認めないと言うのが原則となってるわけです。
つまり、ヨットに住所を割り当てることも出来なければ、住民登録もできないということです。ですから、仮にでも何処かの住居用建物で住所を持っていないと、公共サービスの全てを受けることができないということになります。これには、健康保険や年金なども全て受けることができないということになります。また、問題はそれだけではありません。現在の住所から転出して転入届を行わなかった場合、「住民基本台帳法(昭和42年 法律第81号)」により「5万円以下の過料に処する」という罰則規定まであります。それでも現在、日本には50万人ほどの住所不定者がいるとされていて、転出は出したが転入がなされていないということは、既に住民基本台帳制度下で判明しているそうです。(余談でした…)

郵便・宅配

郵便や宅配は、基本的には何処か住所のある場所なら配達することが出来ます。例えば、行き先が解っていれば、漁協来付けとか、何処かのお店にということは出来ます。しかし、そこに送られてくることを事前に了承を取っておかないと、いきなり届いては、こんなの知らないよってことになってしまいますね。ヨットハーバーやマリーナなどは、事務所宛にしておけば取り次いではくれますが、そのヨットハーバーやマリーナと係留等の契約をしていないと、先の話と同じでゲスト入港するのであれば、その旨が郵便の表書きに書かれているか、荷物や郵便が届くことを事前に伝えておかないと、やはり送り返さたりしてしまう可能性は大ですね。

銀行・各種金融サービス

これらは、全て住所を持っていないと原則使えないサービスです。ヨット生活を始める前に、銀行なら口座開設、クレジットカードならカードの取得、キャッシュレスサービスなども使い始めていれば、先ずはしばらく問題なく使うことは出来ると思います。しかし、実際にはどの金融サービスも、現住所を登録しなくてはならない約款になっていますから、何かあった時に問題になるということです。絶対大丈夫とは言いきれないですね。

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最後に…「結論」

もう、結論は見えましたね。
ヨットに住もうと思えば、住むと言うこと自体はできます。しかし、日本には四季があり、気候は一定でないし、全国のヨットハーバーやマリーナの長期係留には費用が掛かるし、漁港などには停泊できても不便は大きいと言わざるを得ないです。キャンプ生活のような暮らしで、様々な生活の工夫を出来る人なら、頑張れると思いますが、ワンルームマンションやアパートに住むような感覚では難しいと言わざるを得ません。賃貸マンションなどの代わりに、設備の整ったマリーナやヨットハーバーに係留しているなら、何とか住めるのではないかと思います。しかし、台風の時などは船の中には居れないので、クラブハウスなどに避難ということになるでしょう。
しかし、今の家を引き払って、船に生活の本拠を移すということは、今の日本では難しいということが言えます。親兄弟親戚や友人の家でも良いので、住民登録できる家が何処かに必要というわけです。それさえあれば、実際に住んでいるかどうかは関係ありませんから、ずっと出張に出ているようなものとして、いろいろな公共サービスを受けることが出来るようになりますね。ですから、住所は別のところに持っておければ、ひとまず安心ということです。あとは旅立つだけです。

 
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