ヨットにもいろんな種類がありますが、僕たちが夫婦が最初に乗せて頂いたのは34フィートの中型セーリングクルーザーでした。キャビンの中には長時間の航海にも対応できるようにギャレー(コンロ、オーブン、冷蔵庫、シンク)やトイレ(シャワーまである)、前後に船室(ベッドルーム)がコンパクトな船内に配置されいて、サイズ的にはマイクロバスサイズのキャンピングカーと同じような感じでした。こんな船なら宿泊先を探すことなく日本中の海を旅することができるなぁと思いを巡らせたりしていました。

僕が最もヨットで長時間の航海をしたのは、MALU号を岡山県から静岡県の清水港まで回航した時です。MALU号は中型と大型のちょうど間くらいの37.5フィートのクルーザーで、その時は先輩のセイラーと3人で船中泊しながら幾つかの漁港に停泊させてもらい、その港の近くでお風呂に入り、食事を買い、というような海の旅を楽しみました。最初に乗った船とMALU号ではわずか4フィートほどしか大きさの違いはありませんが僕のセーリングした感想は、やはりサイズが大きい方が沖に出ても安定感や安心感がかなり違うと思いました。しかし、昔はわずか20フィート前後の艇で太平洋を渡りアメリカまで行ったり、世界一周を成し遂げた人までいます。そう考えると、大きさに関わらずヨットは凄い乗り物なんだと改めて思うのです。

さて、今回はヨットの大きさの違いによる呼び方(クラス分け)を小さなものもから大きなものまでのサイズ感がわかっていただけるようにお話してみたいと思います。

ヨットは小さなボートから大型帆船のようなものまである

ヨットの大きさはさまざまで、子供が操船できるような小さなものから、航海士がいないと動かせないような大型船までとても幅広くあります。それらをクラス分けしてご説明したいと思います。尚、各クラスの中でも細かくいろいろな艇種がありますが、今回はサイズ感を知って頂くことを中心にお話しします。

セーリングボート “Sailing Boat”

セーリングディンギー

ディンギー “dinghy” はキャビン(船室)を持たない小舟で、1~2人乗りのエンジンを持たないヨットのことを言います。大きさは大体5メートル未満で、小さなものは2メートル未満の1人乗りでセイル1枚のものから競技用の5メートル弱でセイルが2枚の2人乗りまであります。
最も小さなものは子供でも操船でき転倒しにくい構造のものから、学生等のスポーツ競技用の艇まで、様々な艇種があります。

デイセーラー

デイセーラーはその名の通り日帰りセーリング用のヨットです。1~5人乗り程度で小さなキャビンと小型エンジンが付いています。大きさは最も大きなものでおよそ10メートル前後(30フィート)くらいまでのサイズが殆どです。

※日本では長さが3メートル以上、エンジン2馬力以上の場合には小型船舶操縦免許が必要になります。

セーリングクルーザー(小型クラス)

クルーザー “Cruiser” は外洋の長時間航海に出られるものを指します。長時間航海するためにはトイレやギャレー、ベッドなどがキャビン内にあります。サイズはおおよそ5~8メートル未満(15~25フィートくらい)のものが小型クラスになります。日本では最も普及しているサイズです。大体2人から6人乗りで船内に1~3人位くらいは就寝が可能です。小型と言えども、このサイズで太平洋を渡りアメリカや世界一周を果たしたセイラーもいます。

セーリングクルーザー(中型クラス)

大きさはおよそ8~10メートル程度(25~35フィート前後)です。大体6人~12人乗りで、船内で4人程度は就寝が可能です。(サイズ感的にはマイクロバスタイプのキャンピングカーと同じような感じです。)

セーリングクルーザー(大型クラス)

大きさは12~14メートル未満(36~45フィート未満)です。大体12人乗りくらいで、船内に6人は充分に就寝可能です。基本的な生活設備の他に船室が2つから3つ、トイレやシャワーも2箇所という艇もあります。(サイズ感的には観光バスクラスの車両をキャンピングカーにしたような感じです。)

※欧米では、このクラスまでのクルーザーをセイルボートと呼びます。

セーリングビッグボート

15~25メートル未満(45~80フィート前後)の大型ヨットのことを言います。日本の1級小型船舶操縦免許では、このクラス(※24メートル未満)までが操縦可能です。

ビッグボートは欧米での呼び方(特にアメリカで使われる呼び方)です。

※欧米で「ヨット」”yacht”(ラグジュアリー艇)と言えば、このクラス以上のものを指します。
※近年のセーリングクルーザーは全体的に船の幅(ビーム)が広くなってきている傾向ですので、60フィートのサイズでも昔の80フィートクラスの船体容積を持てるようになったことから、60フィート程度のビッグボートもヨットと呼ぶようなメーカーも出てきています。

セーリングヨット “Sailing Yacht”

本来の「ヨット」と言われるものは、このクラス以上のラグジュアリー艇のことを指します。

セーリングヨット

25~50メートル未満(80~160フィート前後)の艇のことを言います。
※このクラスになると日本では海技免状が必要(小型船舶操縦士免許では操船できません)となります。海外でも複数の専門クルーを乗船させて航海します。

スーパーセーリングヨット

50~70メートル未満(160フィート以上 230フィート未満)の大型ヨットのことを言います。スーパーセーリングヨットのスーパーは大きさはもとより豪華さの面でも超豪華であることから言われる言葉でもあるので、セーリングヨット全般をスーパーセーリングヨットと言われる場合もあります。

サイズ感としては、ジャンボジェット旅客機が全長75メートルくらいですから、小型から中型の旅客機くらいまで範囲だと考えてもらえばわかり易いかもしれません。建造費だけでも数億円から数十億円です。

メガスーパーヨット、ギガスーパーヨット

スーパーヨットの世界も100m級を目指す船が増えてきたことから、メガヨットなどと表現したりする記事が一時期ありました。また、更に、100mを大きく超えて150mを超えるスーパーヨットも出現し、これらをギガヨットと表現するようなときもあるようです。
しかし、これらは明確な定義があるわけではありません。
スーパーセーリングヨットの世界では、あまりメガやギガとは表現されませんが、それはまだまだ数が少ないことからだと考えられます。

大型ヨットの世界にもレース艇はあります

クルーザーからスーパーヨットのクラスにはレーサー(競技用)も存在します。日本ではクルーザークラスと同サイズのレース艇が多いですが、世界ではスーパーヨットクラスのレースも地中海方面では開催されており、非常に人気が高いです。(レース艇については、また別の機会に説明したいと思います。)

最後に…

ヨットが小さなものから超大型なものまでこんなにも差があり、超大型のサイズ感に驚かれたかと思います。私もヨットを本格的に始めるまでは、こんなに呼び分けされていることを知りませんでした。(まあ、完全に自分に関係ない世界の話ですもんね…)

風の力を使って旅することはローテクで今や時代遅れのようにも感じます。しかし、大型船の世界でもエンジンを使うことによる排気ガスの規制が先進国周辺の海域では厳しくなり、使用する燃料も日本では一般的な重油が使えなくなり、コストの掛かる軽油を使用しなければならないエリアも出始めています。そこで、再び風の利用が検討され始めています。
長距離の航海では燃料の消費を大幅に抑えることがき、自然環境にもやさしく、エコツーリズムの観点からも非常に時代の流れに合っている乗り物でもあります。世界の富豪が建造するスーパーセーリングヨットやメガセーリングヨットの技術が働く船の世界にも採用されつつもあり、徐々に海の世界にセイリングが再び見直されつつあります。
日本にも大型のセーリングヨットが来航して欲しいものですね。

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