今更かと言われてしまいそうですが、我がMALU号についにポタ電(ポータブル電源)を搭載しました。

理由は物凄くシンプルで、マリーナのお隣さんのヨットに乗せて頂いた時に海上で電子レンジを使って簡単なランチを頂いたのですが、海上で温かいものがさっと出せるという、この便利さを実体験してしまったのが大きな契機となって、そこからやっぱりそろそろMALU号にもポタ電導入だって改めて考え始め、そして気付いたらネットで当時最新のポタ電をポチっていました。

...この最後のくだりの当時最新のポタ電というのが、僕には妙に納得できる製品だったので踏み切ることができた最大の理由です。(当時とは2024年5月頃です)

しかし、そこからがポタ電搭載の沼の始まりです。まあ、単純にキャビン内に置いてコンセントから充電し、出航したらポタ電に電気製品を繋いで動かすというだけのことなんですが、単純にそう言うわけにはゆかなかったという意味で「完全に沼にはまってしまった」という書き方をしています。

今回はその沼にはまった様子と顛末をお伝えしたいと思います。

MALU号に搭載したポタ電

先ずは、我がMALU号に搭載したポタ電についてお話します。
ポタ電については、今やホントいろいろな製品が売られており、小さなパソコンやスマホ携帯などの充電に利用できるようなものから、一般家庭で災害時に数日分の電気が賄えると言うほど大容量のものまで、とにかく様々な容量の製品があります。しかし、僕が搭載に踏み切れなかったのは、ポータブル電源の中身がリン酸鉄リチウムイオンバッテーリーセルが入っているということで、水に反応して爆発の危険性があるということが、どうしても引っ掛かっていたのです。しかし、その不安を少しばかり解消してくれる「IP65の防塵・防水性能」があるポタ電がBLUETTIというメーカーから新製品で発売するということ、そしてポタ電で初めてボートへの搭載を前提としてデザインしているということだったので、それなら試しに買ってみるかということで先行販売に申し込んで購入となったわけです。
他にも鋭利な物で突き刺したり、崖から転げ落としたりしても発熱したり爆発することが無いという製品も他社から出てきたりしていて、その安全性にも惹かれましたが、ヨットに搭載となると「IP65の防塵・防水性能」というのは、現状では最も安全性が高いと感じたわけです。(まあ、完全に水に浸かってしまうような場合には、まったく意味有りませんが...)

搭載したポタ電AC240
搭載したポタ電 BLUETTI AC240

購入して最初の沼

いつもならヨットに搭載する物は、マリーナに直送して船に直ぐに積んでしまうのですが、今回は人生初のポタ電購入ということもあり、先ずは家で試運転してみたいと思ったので家に配達してもらいました。来てみてビックリ!メッチャデカい箱に入って配達されてきたのです。サイズは事前にネットで見て知っていたのですが、梱包サイズは玄関がいっぱいになるほどの大きさ。直ぐに開梱して本体を取り出してみると、これまた意外に重たい...。およそ40センチ角で奥行き30センチの本体重量は約33キロ、1536Whなので通常搭載の船の鉛バッテリー的に言うと約128A(12V換算)となるので、同じ容量の鉛バッテリーならもっともっと重たいことになります。しかし、この重たいポタ電をヨットにどうやって一人で積み込もうかと、ちょっと考えてしまいました。
さて、購入して最初の沼は、積み込みの悩みだけでなく、このサイズの物をヨットの何処に置いて使用するかということです。既にキャビン内には冷蔵庫が鎮座していて、床に直接置いて使えるスペースは殆どない状態(通路が無くなっちゃう)、そしてヨットはヒールする乗り物ですから固定をどうやってするか、更に充電するためにはキャビンのコンセントの近くに置かないといけない・・・。そして、ギャレーにある電子レンジや湯沸かしポット、炊飯器なんかをスマートに使えるようにしたいということを考え始めると据え付ける場所と配線という問題で夜も眠れなくなるほど、購入最初の沼にハマってゆきました。

船の電気工事するしかない(第1段階)

小型のポタ電であれば、ギャレーやテーブルの上に家電品のようにポンとおいて、そこに調理家電やスマホ、パソコンを繋いで使うということも手軽にできたと思います。しかし残念ながら我が家に来たポタ電はデカくて重たいので、そういう使い方はできません。そして、ちゃんと据え付け固定して、そこから電気を引き出すしかないので、どうせなら船内にある既存のコンセントにつなぐだけでポタ電の電気が使えるようにしてやろうという結論になりました。そうすることで、マリーナに陸電を繋いで係留しているときと同じ状態で電気製品が使えるのを、出航しても同じ形のままで使えるようにするというものです。
やった工事は以下の通りです。
1.陸電用の分電盤の1回路をポタ電への充電専用にして、ブレーカーの下にポタ電に付属している電源ケーブルが刺さるようにコンセントを取付。(抜け防止型のコンセントを取付)
2.ギャレーについているコンセント回路を新規に取り直して、ポタ電のAC出力に繋ぎ込み。船内全部のコンセントをポタ電に繋ぐこともできますが、取り急ぎギャレーでの電子レンジや湯沸かしポット、そして冷蔵庫が出航して海上で動いてくれれば良いので、先ずは1回路だけ繋ぎました。

ギャレーのポタ電からの専用コンセント
ギャレーのポタ電からの専用コンセント

船の電気工事するしかない(第2段階)

ヨットのサブバッテリーの不安で最も大きいのが、計器類やオートパイロットなどをセーリング中に長時間使うことによるバッテリー上がりです。MALU号はiPadでnew pec smartのアプリをプロッター代わりに使ってもいるのでポタ電から給電したいと思っていました。折角、大容量のポタ電を搭載するのですから、直流12V機器にも給電できるようにしたい。そして、我が家のポタ電は最大30アンペアまで船やキャンピングカーに出力できるポートが付いているので、次の段階は12V系の接続に取り掛かりました。
12V系は既存のサブバッテリーとポタ電を切り替えて使えるようにすることが最大のテーマで、あくまでも既存のサブバッテリーも使えることでポタ電の充電が無くなっても12V系が使えるようにしました。(サブバッテリーの予備とでもいうのでしょうか)
そうしておくことで、エンジンを掛ければ既存のサブバッテリーも充電が可能ですし、そもそもサブバッテリーは消費されず温存されているのでバックアップがあるのは気分的にも安心です。
しかし、この第2段階は第1段階に比べ、作業にかなり手こずり、期間も掛かりました。
やった工事は以下の通りです。
1.キャビンにサブバッテリーとポタ電からのDC12Vの切り替えスイッチの取付
2.ポタ電とサブバッテリーからのそれぞれの配線
文章にするとたった2つだけなのですが、これがやってみると超大変でした。

AC配線とDC配線の大きな違い

コンセント配線(AC配線)と 12V系配線(DC配線)の最も大きな違いは、AC配線は2本の並列線を引き回すだけの単純工事なのが、DC配線はプラス側とマイナス側の配線がバラバラなことです。船内の12V配電盤の後ろを開けると、もう配線がごちゃごちゃ、配電盤は基本的にプラス配線になっていて送り出すだけ、マイナスは別にひとまとめになっていて繋ぐ場所が無いのです。自動車の配線などもそうですが、マイナスは基本的にボディーアースでプラス側だけを配線して負荷となる器具に送って、マイナスは近くのボディーにアースするという感じですが、船の場合にはボディーアースができないため、全ての負荷器具へプラス線とマイナス線が送られています。そして、負荷容量によって線の太さもまちまちで、もう配電盤裏はカオス状態でした。そして、12Vと電圧が低いと電気を供給するポタ電との間は太い線を使って接続をする必要があるので、その線に取り付ける端子も太くて厚い部品になります。そうすると簡単には線の加工や端子の取付ができず、手持ちの道工具では手に負えなくなり道工具を買い足すことからスタートです。そして、困ったのがマイナス側の接続が簡単にできる場所が無かったのです。プラスは端子台があって、これに接続できるようになっていたのですが、マイナスには端子台が無い、これには困ってしまいました。

配電盤裏のDCプラスとマイナス
配電盤裏のDCプラスとマイナス

AC配線は、コンセント1回路につき最大20アンペアですから、使う電線は決まってきます。しかし、DC配線は負荷の容量によって電線の太さが異なるのです。ポタ電から供給するだけなのですが、最大容量をクリアできる線の太さが必要で、太い線を引き回すとなると取り回しも大変なため、細めの線を複数本使用する配線方法も検討しなくてはならないのです。

オリジナルの配線は触りたくない

船内の電気配線で新規に機器の追加などの場合には配線を追加するだけ済みます。しかし、今回の場合には、どうしてもオリジナル配線を繋ぎ変える必要があります。できれば、既存の状態をできるだけ触りたくない、何故ならオリジナルを触って何か不具合が起きたら、そこからのトラブルシューティングが物凄く大変なるんじゃないかという気持ちからです。また、ポタ電から接続場所が遠くなるほど電線の太さが太くなる。しかし、ポタ電側のコネクターに付いているケーブルの太さは既に決まっているなどの問題で悩みに悩みました。特に我が家のポタ電AC240はIP65の性能を出すために特殊な防水型コネクターを使用しているので、DC出力するためには専用コネクターを取り寄せ、配線を製作してスイッチ等に繋ぎこむ必要がありました。BLUETTIにコネクターの規格形状を確認してコネクターを検索すると、日本国内では流通していないことが判明し、海外からコネクター部品を取り寄せる事態になってしまいました。先行販売で購入したこともあって、メーカーオプションのケーブル類の準備が遅れていたのです。待つこと半月でやっとコネクターが海を渡って届き、接続用の配線を製作、そして切り替えスイッチ回路盤も製作して、あとは船に持って行って組付け接続作業をするだけという段階で、配電盤の後ろ側にマイナスがしっかりとれる端子が無いことに気付いたのです。そして、悩みに悩んで結局やったのが、マイナス線が束ねてある部分をあけることにしたのです。もう、パンドラの箱状態です。
何十年前につくられた配線の絶縁ですから、自己融着テープはガチガチ、ビニールテープはベタベタ、これを開けるの嫌だなって思いながらも、やるしかないとカッターで切り込みを入れて開けてみると、太いスリーブで何本ものマイナス線が圧着してありました。それが3束と最後に開けた1束だけは絶縁被覆の下からボルトで端子が圧着してありました。つまり、これが端子台の代わりで、大きな電流の負荷機器を付ける場合には、ここでマイナスを取れるようにしてありました。結果としては、開けてみて良かったし、ここが最も確実な接続点だったわけです。

最後に...大容量ポタ電設置の利点

ここまでの作業をやるんだったら、既存のサブバッテリー(ハウスバッテリー)をリチウム化した方が早かったのではないかと思うくらいに手間が掛かってしまいました。
しかし、手軽に100V電源が使えて、家電製品が繋ぐだけで使えるようになるのはポタ電の最大の利点だと感じました。何故なら、本来のハウスバッテリーの役目は、生活環境で使用する電気ですから、航海系とハウス系は電源を分けたいところです。なので電源はエンジン始動系、航海系、ハウス系の3系統に分けるのがベストだと今回のこれをやって感じました。そして、簡単に電子レンジや生活家電を船で使いたいという場合には、最も手軽で簡単にできるのがポタ電導入だということもわかりました。長時間使用でない限り、電子レンジや湯沸かしポットの稼働時間は数分のことですし、冷蔵庫は一旦温度が下がってしまえば消費電流はかなり低いですから、そんなに大型なポタ電でなくてもデイセーリング程度なら十分使えます。そんなこと、今更ここで言うまでもないくらいに、ポタ電のアウトドアでの使用はメジャーになっていますから、ヨットにポタ電を持ち込むというのは、キャンプやグランピングと同じ程度の考え方で手軽にできると思います。

切り替えスイッチの配線
切り替えスイッチの配線

そして、次のテーマは出航後のポタ電への充電ということになります。
実は、フレキシブルソーラーパネルを1枚だけ買って既に船に積んであるので、アンカリングしたときなどは出先でソーラーチャージは可能です。あとは、ソーラー以外に機走時の走行充電を組んだらソーラーと走行充電で長時間使用もできるようになるかなと思っています。
しかし、ポタ電には走行充電という考え方が無く、今のところシガーソケットからの充電というものしかありません。シガーソケットは送り出せる量が少なく満充電までの時間が途方に掛かるのであまり実用的ではありません。そんなことを考え始めた矢先にポタ電界大手のEcoFlow社が自社のポタ電専用の走行充電器を発売、最大800Wで数時間車を走らせるだけでポタ電が満充電になるとあって、それなら我が家もEcoFlowにしておけばよかったと少し思ったり…。でも、我が家のポタ電は鉛バッテリーからの充電もできるDCコネクターがあるので、普通に走行充電器を取付れば充電可能だというところまでは検討が進んでいます。あとは、走行充電器を何処に取り付けるか、ソーラーパネルの配線をどのように外に出すかなどが決まり次第、そちらの方も順次、手を付けてみようかと思っています。ホントはソーラーパネルも固定でつけたいところではありますが、そうなるとまたまた大工事になってしまうので、先ずは走行充電システムを年内には完成させたいなって思っています。

しかしポタ電設置してからは、出航後も冷蔵庫は動き続けて冷え冷えだし、電子レンジも気兼ねなく使えるとあって、やっぱりポタ電は便利! を実感しています。ヨットへの搭載、おススメです! ということで、今回は終わりにしたいと思います。

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