ヨットのダウンウィンドセイル

ヨットギア

先日、何年ぶりかでヨットレースにクルーとして参加した。
MALU号ではこれまでレースに出たことはなく、ヨットはもっぱら、のんびりセーリングを楽しむと決め込んでいたので、もう自分がレースに出ることはないと思っていた。

そんな中、マリーナのお隣さんから「ポイントレースに出てみたいので手伝ってもらえませんか?」と声をかけていただいた。さらに、その艇は新調したばかりのバリバリのNEWセイルを装備しており、最新のクルージング用セイル性能を体感してみたいという興味もあって、「お手伝いなら」と夫婦で乗り込むことになった。

レース当日は微風のコンディション。スタート直後からちょっと走ったらその後は我慢大会のような展開となったが、それでも何とか風も少し戻ってきて完走、無事にゴールすることができた。

しかしそのレースで、シングルハンドで乗っている自分たちよりも小さな艇が、ダウンウィンドで追い風用のセイルを使いながらじわじわと追い上げてきた。そして最後には、ついに追い抜かれてしまった。これが実はとても悔しくて、「やっぱりレースではダウンウィンドセイルがないとダメだな…」と。続きは、後書きで。
 

ということで今回は、ダウンウィンドセイル(追い風用セイル)について、少し書いておきたいと思います。

 

ダウンウィンドセイルとは?

ヨットには基本的にメインセイルとヘッドセイル(ジブ)の2枚の帆が装備されています。これらのセイルの角度やトリムを調整することで、風上(アップウィンド)にも風下(ダウンウィンド)にも帆走することができます。

しかし、アップウィンドでは比較的安定して推進力を得られる(帆走し易い)のに対し、ダウンウィンドでは単純に風に押される力が主体となるため、特に微風時には推進力が不足し船速が伸びにくくなります。

この弱点を補うために開発されたのが、ダウンウィンド専用のセイルです。

通常のクルージングにおいては、必需品というわけではありませんが、追い風で効率よく走らせたい場合には非常に有効な装備です。また、ヨットレースにおいては、より速く走る、そして勝つための必須のアイテムです。

何故、特別なセイルが必要なのか?

① 見かけの風(アパレントウインド)が弱くなる
アップウィンド(上りの風)では、船が進むことで風は前方から強く当たるようになります。一方、ダウンウィンド(下りの風)では風と船が同じ方向に進むため、見かけの風は弱くなります。
つまり、同じ風速でも「上りでは強く感じ、下りでは弱く感じる」という現象が起こります。
このため、微風時のダウンウィンドでは極端に推進力が不足します。

② 揚力主体から抗力主体へ変わる
アップウィンドでは、セイルは翼のように機能し「揚力」によって前進する力を生み出します。
一方、ダウンウィンドでは、「風を受けて押される力(抗力)」が主体となります。
この違いにより、通常使用するジブやメインセイルでは効率が著しく低下します。

③ セイル設計思想の違い
アップウィンド用のセイルは、風がセイルの表面を「流す」ために「懐が浅く平らな設定」になっているのに対して、
ダウンウィンドで必要となるセイルの性能は、風を「出来るだけたくさん受け止める」ために「大きく深く膨らむ形状設定」が求められます。

つまり、1枚のセイルでこの両方を最適化することかできない、という根本的な理由があります。
そこで登場したのが追い風専用の帆であり、追い風で効率よく走るために、大きなセイルエリア(セイルの面積)と深いカーブ(ドラフト)を併せ持ったものが開発されました。

ただし、このような形状のセイルは強風時には過大な力を受けて危険な状態になるため、主に軽風〜中風域で使用する専用セイルとして発展してきました。

このような追い風専用セイル(ダウンウィンドセイル)には、大きく分けて「スピネーカー」「ジェネカー」と呼ばれる2種類のセイルがあります。

スピネーカー

スピネーカーは左右対称の形状を持つダウンウィンド専用セイルで、特に真後ろからの風(ランニング)において最大の効率を発揮することができるセイルです。
見た目にはスピンポールを使用して船の正面に大きく展開します。

【特徴】
 * 最大のセイルエリアを得ることができる
 * 風を最大限に受け止めることができる
 * 幅広いダウンウィンド角度に対応可能(約120°〜180°)
 * スピネーカーポールの操作が必要
 * セッティングが複雑
 * クルーワークの負担が大きい

ジェネカー

ジェネカー(非対称スピネーカー)は、複雑な操作が必要なスピネーカーを扱い易くしたセイルです。
見た目にはジブと同じように、船の片側に大きく展開します。

【特徴】
 * 左右非対称の形状で大きなセイルエリア
 * ダウンウィンドからアビーム近くの風まで対応
  (約90°〜160°)
 * 真後ろの風では効率が若干落ちる
 * ジブと同様に左右どちらかに展開
 * ポール不要(船首にタック固定で使用)
 * ファーリングでの運用が可能
 * スピネーカーほどの最大出力は出ない

共通した特徴

ダウンウィンドセイルは、大きなセイルエリアでより多くの風を掴む目的で設計されていることから、セイル自体の生地は非常に薄く軽いパラシュートのような素材で作られています。
またセイルは船体より外に展開され、セイルを飛ばすなんて言う表現をしたりします。
セイルは常に風の角度に合わせて出来るだけ多くの風を掴めるように展開します。

 

最後に…

普段のセーリングでは、微風時のダウンウィンドだと船が走らなくなり、更に気温が高いと船上では体感的に無風となって暑いので、直ぐにエンジンを掛けて機帆走で走らせてしまいます。
ダウンウィンドでのセーリングをするのは風がそこそこ吹いている時だけなんですが、微風でも風を掴んでスルスル船が走ってセーリングできたら楽しいだろうなって、この間のレースの時に改めて思ったのです。
実はMALUに乗り始めて9年目ですが、僕が尊敬していたヨットの先輩がMALUに遊びに来てくださったとき、次回はジェネカーを上げましょうって約束していました。その先輩から、ビギナーの頃にヨットレースのこと、ジェネカーのセッティングの方法など、ヨットスキルの殆どを教えて頂きました。しかし、その約束は果たされる事なく病気でお亡くなりなられたということもあり、ジェネカーをそれ以来、船底の奥底に封印していました。
しかし、先日のレースでダウンウィンドセイルをMALUで改めて上げてみたいと思ったのです。

先日、ひさしぶりに取り出して8年ぶりにバッグを開けセイルを取り出しハリヤードで上げてみました。ちょうど良い微風が後ろ側から吹いていたのでソックスを上げて開いてみたら、思いのほかいい感じで展開できたので、今度は走らせてみようかなと思いました。

バッグの底から腹巻きのような物が出てきて、これなんだろう?って思っていたら、たまたま来ていた近所の先輩ヨット乗りの方が「それタッカーだよ」って教えてくださいました。

ん?! タッカー?

実はMALU号にはタックを取り付ける適当な場所が無くどうしたものかと思っていたのですが、これでタック固定の問題は解決です。次は実際に走らせてみようかな…。

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