今年のメンテナンスは、スムーズに終わる予定がエンジンのオイル漏れ修理から始まり、更に深みにハマってゆきます。
タイミングケースが分解できたと言うことで、船に見に行ったついでに、エンジンのカバーが完全に外れた状態でしっかりエンジンを見る事ができるのもこう言う時しかないので、エンジンを一回りしっかり見ておこうとチェックを開始。
そうして見ていたら、いつもは見えない場所でオイル漏れのような汚れが見つかったのです。
今回は前回の続きです。
ミキシングエルボー
しかし、オイルが漏れるような場所では無いし、汚れをよくよく見てみたらオイル汚れではなさそう、そして汚れの元を追いかけてみたら、ミキシングエルボー下の塗装が剥がれて広範囲に錆が出ており、ミキシングエルボーとエンジン本体の排気口の繋ぎ目のシールから漏れが起きている事がわかりました。

この写真の角度だと、何も問題無さそうな感じですが、下から覗いてみたらこんな感じ ▼

取付部分の塗装が剥がれて錆が出ていました。
更に、隙間から覗いて見てみるとミキシングエルボー自体も腐食して凸凹になっているのも確認できました。

こんな状態では穴が開いて大惨事が起きるのもカウントダウンの状態だったと思います。
直ぐに部品取り寄せをお願いして、他の作業と一緒に交換をお願いしました。
ミキシングエルボーとは?
エンジンの燃焼室から排出される高温の排気とエンジン冷却用に取り込んだ海水を混合して外部に排出するために排気と海水を混合するための部品で、排気と海水を混ぜる=ミキシング(ミックス)、膝のように曲がっている=エルボー という名称になっています。
高温の排気で排気管が高温になるのを防ぐために、エンジンの冷却用に取り込んだ水を排気管の冷却にも使用するために、これで排気と混ぜて排気管に送り出す役目を担っています。
これは、狭いヨットのキャビンの片隅にエンジンを置くスタイルのインボードエンジン(船内設置型のエンジン)ならでは部品でもあります。
また、ミキシングエルボーは消耗品です。高温の排気と海水を混ぜ合わせる場所ですから、金属部品だと内部腐食と並行して排気のカーボンが堆積して排気の流れが悪くなり、更に進行すると腐食のせいで排気の圧力で穴が空いてしまうと言うのが、大惨事になるまでのメカニズムです。カーボンが堆積すると、腐食による漏れが塞がれた状態になりますが、ある日突然それが破れて穴があくのです。しかし、これはミキシングエルボーの宿命でもありますから、穴が開く前に交換するべき部品です。
ミキシングエルボーが破れると大惨事
どんな大惨事になるのかと言うと、先に説明したように、冷却用の海水とエンジンの排気を混ぜて、排気の圧力と冷却水のポンプ圧力を使って外に排出しています。しかし、これに穴が開くと、冷却水が燃焼室側に吸い込まれてしまうことがあり、海水がシリンダー内部に入ってしまうとウォーターハンマー現象でコンロッドを曲げてしまったり、燃焼室内への海水の侵入は、一気にシリンダー内に錆を起こす、塩が結晶化して詰まるなど、兎にも角にも面倒な状態になってしまいます。これらを総称して、エンジンを壊してしまうと巷では言われるわけです。最悪の場合には修理不能、エンジン交換という事もあるほど大惨事になってしまうのが、ミキシングエルボーに起因するトラブルと言えます。
こんな最悪状態にまでならなくても、大量の海水が外に排出されずにエンジンルーム内で海水が飛散し、ビルジは一気に海水で満たされるという事になります。
ミキシングエルボーの交換時期は?
一般的にはエンジンの最高回転数が落ちてくる事で気がつくようです。先に書いたように、部品自体の内部腐食と排気カーボンの堆積で、筒の中が狭くなり流れが悪くなるからです。
しかし、MALU号のように元々古いエンジンだと、エンジンを高回転で回すと壊れてしまいそうで高回域まで回さないという使い方をしている人は少なくないと思います。こう言う使い方だとエンジンの回手数の低下に気付かないこともあると思います。(正直なところ僕自身、いくら開けても2500回転迄と決めてましたから、全く不調は感じてませんでした。)
ミキシングエルボーの寿命は、エンジンの稼働時間にも影響しますが、通常は5年から7年程度で定期交換がメーカー推奨されています。
MALU号を手に入れて既に7年は過ぎてますから、交換時期だったと言うわけです。ほんと、気付いてよかったです。
最後に… エンジンの塗装
今回の整備では、実はエンジンの塗装もお願いしていました。
以前にオイル漏れを起こした時に、エンジンの塗装の落ちが気になっていたのもあって、今回の定期メンテナンスだではやろうと以前から決めていました。
今回もつくづく感じたのですが、エンジンの塗装が落ちるのは、なにかエンジンに不具合があるからです。
オイル漏れ、燃料漏れ、冷却水漏れ、海水漏れ、排気漏れなど、何かしらの漏れがあって初めてエンジンの塗装に影響が出て塗装が落ちるのです。エンジンを使えば、エンジンの温度が上がり、塗装が落ちた部分は酸化しやすくなりますから、錆がどっと発生するわけです。
エンジン塗装の落ちは、エンジンメンテナンスが必要だと言うシグナルとも言えますね。
2026年の定期メンテナンスは、無事に全ての作業を終え、先週港を出て無事に出航試走しました。
その結果は、船底はツルツルでMALU号は滑るように走り、エンジンも絶好調。この船に乗って初めて、2800回転まで回転数を上げて見ましたが、全くストレス無くエンジンは回ってくれました。
(実は、やっぱり怖くて3000回転までは上げられませんでした…)








