中古ヨットを購入して不具合が出て最も悩ましいのがエンジントラブルです。海上でエンジンが壊れて止まってしまっては、海難事故につながる可能性があることから、やはりエンジンはしっかりメンテナンスしておきたいところです。しかし、エンジントラブルはそう簡単に、それもいきなりやってくるわけでは無く、必ず前兆が何処かに出てくるものです。その前兆を見逃すことなく、対処しておけば不意にエンジントラブルに遭遇する確率を下げることが出来るわけです。

さて、その前兆とは何かと言うと、目で見てわかること、音を聞いてわかること、そして匂いで解ること、温度なんかもあります。その中で、エンジンの排気の色は、いろいろなことを知らせてくれます。まあ、人で言えば、おしっこの色とか便の状態ということです。やはり、体の中からでてくるのですから、最もいろいろな情報がそこには隠されているわけで、エンジンでも同様のことが言えるわけです。

ヨットのエンジンの排気口は後ろ寄りの低い場所に外向けに付いているので、あまり気付かないのですが、排気口からは冷却用の海水と排気が一緒に出てきます。この排気口からの煙の色でいろいろなことを知ることができ、未然にエンジントラブルを防ぐことができるので、是非、エンジンを動かしている時には煙の色を確認するようにすると良いです。

何を隠そう我がMALU号も、エンジンの煙の色に1年以上悩まされ、そのお陰でエンジンをフルオーバーホールするということにまでなってしまいましたが、おかげでエンジンの諸々の問題を見つけることができました。

そこで今回は、エンジンの煙の色からヨットの問題を読み取ると題して、お話をしてみたいと思います。

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エンジンの排気の色

ヨットのエンジンは基本的にインボードエンジン(船内機)の場合には、燃費のとても良いディーゼルエンジンが用いられています。今回の話は、このディーゼルエンジンを前提にお話を進めます。

先ず、本来あるべき姿なのですが、排気口からは海水と排気ガスが出ているわけですが、基本的には排気は無色で海水だけが噴き出しているという状態が正常です。この排気ガスに色が付いていると、何処かで何か不具合が起き始めていると考えても良いわけです。

では、その色ですが、3つあります。
1つ目は「白煙」、2つ目は「黒煙」。3つ目は「青白煙」です。

最もトラブルシューティングが大変な「白煙」

白煙には、実は見た目に白いからと言っても、「水蒸気の白煙(つまり湯気)」が出ている場合と、本当に「エンジンから出る白煙」の2つのケースがあります。この2つの白煙の違いを先ずは判断する必要があります。
その判断方法は、煙の出方です。「水蒸気の白煙」の場合には、出た水蒸気は割と軽い感じで浮遊しながら消えてゆきます。それに比べて「エンジンから出ている白煙」の場合は、割と素面近くに下がってゆくような出方をして、いつまでも消えずに尾を引くような感じの出方をします。「水蒸気の白煙」の場合には、あまり煙たくないのですが、「エンジンからの白煙」の場合には煙たく匂いもきついです。

水蒸気の白煙

この水蒸気の白い白煙ですが、水蒸気だからと言って安心はできません。
水蒸気がエンジンを掛けて暫く出るということは、よくあることです。これは問題ありませんが、水蒸気がエンジンを掛けて時間が経ってくると出てくる場合です。エンジンを回し続けていると出てくる(出続ける)場合には、エンジンの冷却不良です。つまり、オーバーヒートになりそうな位に温度が上がっているということです。
ヨットのディーゼルエンジンは、船底のスルーハルから海水を汲み上げてエンジンを冷却しているので、汲み上げられる量が少なくなると、冷却不良となってしまい、排出される海水温が異常に上がってしまうわけです。水の汲み上げ量が少なる理由は、スルーハルや海水系統の詰まりや不具合、海水ポンプの不良等が考えられます。

エンジン作動中ずっと出る白煙

ここではエンジンからの白煙と書いていますが、これが本来のエンジン不良の白煙と言うことになりますが、エンジンを掛けてからずっと白煙が出るという場合、2つくらい問題点が考えられます。
1. 未燃焼の燃料が熱されて白煙になる。つまり、燃料噴射のタイミングが遅くて燃え切らない燃料が熱で白煙化しています。
2. 燃焼室に水が混入しては白煙になり。つまり、ヘッドガスケットの不良です。

1.の場合には、噴射ポンプの調整で直る場合がありますが、2.3.の場合には、エンジンを開けることになります。(分解整備)エンジンを開けるためには、エンジン本体周囲の補器類(燃料系、冷却系)を外さないと作業できないことから、かなり面倒な作業になってしまいます。

エンジン始動時から暫くの間出る白煙

始動時から暫くの間だけ出る白煙の場合には、グロープラグや余熱ヒーターの不良または故障している場合に白煙が過剰に出て暫く出たりします。エンジンの掛け始めに出て直ぐに消えるのは一般的ですが、掛けて少し継続するとか白煙の量が普段よりもかなり多い場合には疑ってみて良いと思います。

燃料の不完全燃焼である「黒煙」

エンジンが始動して黒煙が出る、回転を上げると黒煙が出始めるなどの場合には、燃料が正しく燃えていない、または過供給になっているなど、不完全燃焼している場合、黒っぽい排気の煙が出てきます。
燃料が正しく燃えない、または過供給になる理由を探れば、問題が解決できるわけですが、これはエンジン側に起因する場合とエンジン以外に問題がある場合があります。

エンジン側の問題での黒煙

エンジン側の問題として考えられるのは、インジェクターの不良です。インジェクターは、燃焼室内に燃料を噴霧するためのノズルのことで、このノズルの先端は網目状になっており、これが経年で汚れて目詰まりを起こしたりすると、綺麗な霧状のガスを作ることが出来ずに水滴状になってしまい不完全燃焼してしまうわけです。
また、インジェクターに燃料を送る圧力が低い場合にも、適正な霧状のガスとして燃焼室内に送り込めなくなり、回転があがらないので、スリットル開き気味にしてしまうので、燃料が多く送り込まれて黒煙になってしまいます。
こういう場合には、インジェクタの先端の洗浄、又はインジェクターの手前の燃料ラインに不純物が詰まっているなど、いろいろなケースが考えられるので、この辺りの洗浄となります。また、燃料フィルターを適切にメンテナンスしていない場合にも、黒煙が出ることがあります。
また、燃焼室内のカーボン堆積量が多くなると燃焼不良が起こり黒煙が出ます。カーボンの堆積とは、フライパンの焦げ付きのようなもので、適正な燃焼が得られないと、燃え残りが不純物として焦げ付いてカーボンとなり体積します。普段から、排気が綺麗でない場合にが、カーボン除去剤などを燃料に添加するなどで効果が出てくる場合がありますが、カーボンによりシール類の劣化による漏れを防いでいる場合もあり、その場合にはカーボンが除去されることで次に「白煙」が出始めるということもありますので、極端に古く酷使されたようなエンジンは気を付ける必要があります。

エンジン以外の問題での黒煙

エンジン以外の理由で黒煙が出るのは、主にプロペラに負荷が掛かって正常な回転が得られないときです。つまり、プロペラにフジツボなどが沢山ついてしまっているとか、何か巻き付いて正常に回転できない場合、エンジンに負荷が掛かってしまい正常に動くことができないことから黒煙が出ます。
これに似たケースでは、空気がスムーズにエンジンに取り込めない場合やエアフィルターが湿っている時なども同様の症状が出ることがあります。

ターボ付きエンジンの場合の黒煙

ターボ付きエンジンの場合には、タービンが不良の場合も黒煙が出ます。タービン不良により加給できなくなるので空気不足と同じ状態となることから黒煙が出るわけです。タービン不良の場合には、タービン音が低くなる、またはタービン音がしなくなる傾向にあります。

理由がややこしい「青白煙」

青白煙は、白煙より青っぽく見える煙のことです。青白煙の場合には、理由はエンジン内部にあります。
これは、燃焼室内でエンジンオイルが入った時に青白煙が出ます。これは俗に言う、オイル下がり又は上がりです。オイル下がりの場合には、バルブステムのオイルシールの不良、オイル上がりの場合には、ピストンリングの摩耗によるものです。実は、オイル上がり、下がりどちらも、量が多い場合には、青白煙と言うよりは、殆ど白煙が出ます。青白煙の段階と言うのは、オイルが燃焼室内に入っている量が少なく、燃焼室内で炭化して堆積し、その堆積物が燃えた時に「青白煙」が出ます。

燃焼室内のカーボン体積の話は黒煙の部分でも出ましたが、実は古いエンジンの場合、「青白煙」だったのが「白煙」が多くなり、最後は「黒煙」になって完全にダメなるというわけです。

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最後に… 「エンジンの調子が悪いとセーリングに出るのが憂鬱になる」

これはあくまでも僕の経験ですが、エンジンは快調に回っているのに、白煙がずっと無くならないということがありました。ずっと無くならないと言うのは、エンジンのオーバーホールまでしたのに夏場に白煙が出始めたのです。いろんな人に相談したにも関わらず、決定的な理由が見つからず、挙句の果てには「湯気なら問題ありませんよ…」と言われ始める始末。
しかし、ディーゼルエンジンは完全燃焼すると、水と二酸化炭素と若干の煤(スス)しか出ない筈なのです。つまり、目視では排気管からは勢いよく温まった海水だけが出てくるはずなのです。ヨットの排気管は、排気と冷却用の海水が混合されて出てくるので、煤は見えなくなるのです。なのに白煙が排気管から出てくるのですから、僕としては全く納得がゆかないわけです。

ヨットのエグゾースト

しかし、ある人の一言で、この問題は解決するに至ったのです。

それは、MALU号と同じミラベルを整備したことがあるメカニックさんの話でした。「それ、冷却水が足らないんですよ」
そうです、このブログで以前にも書いたのですが、ボルボペンタのセイルドライブ(S-DRIVE) 特有の症状だそうで、冷却水の吸い上げ不足で白煙(水蒸気)が出るという話、もう目からウロコでした。それで、次の上架メンテナンスの時に、新たに海水取り込み用のスルーハルを増設することで解決したわけです。

もう、それまでの間はセーリングに出るのが憂鬱でならなかったです。…という話でした。

 
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