ヨットに乗るには船舶免許は必要なさそうに感じますが、実際にはエンジンが付いているヨットの場合には免許は必要になります。日本ではエンジンで走る小型船を操船する場合には免許が必要ということになっています。(但し、全長3メートル未満で2馬力以下のエンジンの場合には免許は不要)
僕の場合には、知人のヨットにクルーとして乗り始めて割と早くに免許を取りました。ヨットクルーとして乗船するだけだから免許の必要性を感じなかったのですが、実際に何度か海に出てみると、海の交通ルールを知っておく必要はあるなって感じたのです。それに、船長がトイレに行って、ちょっと舵もっておいてなんてこともあります。そうした時にも海の交通ルールを知らなければ、どうしてよいかわからないですよね。僕はちょっとだけ経験があったので、そんなに戸惑うことは無かったのですが、東京湾は大型船舶の往来もあるので、これはしっかり知っていないと危ないなって感じたのが最も大きな動機でした。それに、調べてみると、意外に簡単に取れそうだし、費用も昔に比べれば安くなっているとあって、それならいい機会だから取っておこうと1級を取ることにしました。

そこで今回は、小型船舶操縦免許についてお話したいと思います。

小型船舶操縦免許

船舶免許(通称;ボート免許)は、正しくは小型船舶操縦免許と言って国土交通大臣が発行する国家免許です。ボートを操縦するために国家免許がある国は、僕が知っている限り日本だけで諸外国では国家免許制度は聞いたことがありません。(※営業用の船に関して免許が必要な国は一部あるようです)国家免許という事は持っていなくて操縦すると犯罪になるという事ですね。
小型船舶操縦免許は操縦するボートの大きさや場所によって必要な免許が異なります。

1級免許

ボートの重さが20トン未満、全長24メートル未満、世界中どこへでも行ける免許です。機走(エンジンで走る)で100マイル(海里)以上沖に出る場合には機関長(海技士)の同乗が必要ですが、帆走(セーリング)の場合には1人で世界中どこへでも行ける免許です。

2級免許

乗れるボートの大きさの限度は1級と同じですが、平水区域または沿岸から5マイル以内の航行に限られます。沿岸から5マイルと言うと、およそ9キロくらいで、岸が見える範囲で走る場合の免許です。

2級湖川

ボートの重さが5トン未満でエンジン出力が15キロワット未満、湖や川を限定的に走るための免許です。ヨットの場合には、湖で乗る人はいると思います。その場合には、この免許で乗ることが出来ます。

特殊小型免許

この免許はヨットには関係ありませんが、水上バイクに乗るための免許です。水上バイクは水を後方に噴出して走り、向きを変えるのも噴出する向きを変えることで方向転換する特殊な方式なので小型特殊免許ができました。水の噴射なしには方向転換できないので操船方法が従来のボートと大きく異なることから、事故が多発しこの免許が設定されるに至ったと教習所の先生が教えてくれました。

ボート免許は車の免許より簡単に取れる!

沖縄のダイビングショップのインストラクターとして手伝っていた頃「ボート免許の1級を取ってお店の船を操船してよ」と言われたことがあって当時ボート免許のことを調べたことがあったんですが、その頃の小型船舶1級は殆ど海技士免許と同じような内容で簡単に取ることはできせんでした。しかし、プレジャーボートの普及促進と船舶搭載の電子計器の発達により大幅な免許制度の規制緩和が行われ、今ではかなり簡単にボート免許を取ることができるようになりました。僕が最もオススメするボート免許の取り方は、国家試験免除の国交省公認のボートスクール(教習所)に通う方法です。1級でも1週間程度のスクーリングで座学から実技、検定までをワンストップで終えることができます。また、費用的にも昔に比べれば教習日数が大幅に少なくなったこともあり、かなりお安くなりました。

受講及び取得資格

教習所で受講し免許を取得するためには、
年齢:受講資格は、1級で17歳9か月から、それ以下は、15歳9か月からです。取得時には、1級は18歳以上、それ以下は16歳以上でなければ取得することができません。また、2級を18歳未満で取得した場合、18歳になるまでは操縦できるボートの大きさが5トン未満に限定されます。
身体検査:視力が「両眼とも0.5以上(矯正可)。一眼の視力が0.5未満の場合は、他眼の視力が0.5以上であり、かつ、視野が左右150度以上」であること。色覚が「夜間において船舶の灯火の色を識別できる」こと。(灯火の色が識別できない場合は、日出から日没までの間において航路標識の彩色を識別できれば、航行する時間帯が限定された免許が取得できます。) 聴力が「5m以上の距離で話声語(普通の大きさの声音)の弁別ができる」こと。(補聴器可)疾病及び身体機能の障害が「軽症で小型船舶操縦者の業務に支障をきたさないと認められる」こと。などがあります。

教習所に入るために必要なもの

受講申込書、本籍地記載の住民票(1年以内もの)、証明写真(パスポートサイズで4枚)、身体検査証明書(医師による記入及び捺印が必要)、委任状2通(受験用と免許用)

教習期間は何日かかるのか

教習期間ですが、僕が通った教習所の場合、最短で1級が5日間、2級が3日間です。時間は朝9時スタートで夕方17時修了でした。内容は、学科講習の後に修了審査、実技講習の後に修了審査という具合になっています。1級の場合には、学科講習と修了審査が2回あって、1回目の修了審査で2級、2回目の修了審査で1級と言う具合になっていますので、途中で終えた場合には、実技の修了審査が終わっていれば2級をとりあえず貰うということもできるとのことでした。

講習の内容は何をするのか

講習の内容に特に難解なものはなく、船に乗るために必要な知識や交通ルールです。真面目に受講して教官の話をきちんと聞き、テキストの大切な部分を押さえておけば、修了試験は必ず通過できます。内容的には、1)小型船舶操縦車の心得及び遵守事項、2)交通の方法、3)運航 の3つは1級、2級共通の学科です。1級はこれに加えて、4)上級運航 と言うのが追加されます。この1級と2級の違いは、ズバリ「海図」です。上級運航と言うのは、海図を使って航海計画を立てる技術を習得します。
実技は1級、2級共に同じ内容で、出港前点検~解らん~離岸~直進~停止~後進~方位測定~避航操作~蛇行~人命救助~着岸~係留~結索 です。

費用はいくら?

簡単に取れるようになった小型船舶操縦免許、費用はどのくらいになったのかというと、1級で大体13万円前後、2級で10万円前後です。僕が取ったスクールでは1級は12万円弱、2級は9万5千円くらいでした。

試験に合格しても免許ができるまでに時間が掛かる

修了検定に全て合格して教習所を卒業しても、免許証の発行までには少し時間を要します。これはスクールによって違いがあるようですが、大体3日後から1週間後くらいを目安にしておくとよいでしょう。

最後に ~ヨットに乗るなら1級を取ろう!~

1級と2級の見かけの違いは、コストで数万円、日数で2日違うだけです。しかし、1級は世界中を航行できるのに比べ、2級は海岸線から5海里(9キロ)以内の範囲しか航行できません。世界を巡るということは稀かもしれませんが、海岸線から5海里は、ちょっと風が吹けば5ノットで帆走できますから、たった1時間のセーリングで簡単に超えることになります。そして、教習所で受講する内容の違いと言えば、「海図」の有無だけです。

GPSなどの発達で海上でもカーナビのように電子海図を参照しながら航行するため、実際に海図を見る機会は最近は少なくなってきています。しかし、海図を見たり航海計画を立てるなどの段階で、海図の授業を受けているのと、受けていないでは大きく異なります。特にヨットの場合には尚更です。それは、ヨットはエンジンの出力が補助的なものということで非常に小さいのが特徴です。大きなエンジンを積んでいるヨットもありますが、多くのヨットが必要最低限の出力(馬力)のものが多いです。そうすると、潮流や風の影響をかなり大きく受けます。海図の授業では、潮流が何ノットあったとき目的地までどれだけの時間が掛かるかなどの課題も練習します。こういった知識の有無で大きく航海計画に関する考え方が違ってきます。

つまり、海図の知識はヨット楽しむ上で、とても必要な知識です。非力なエンジンと風という自然を相手に航海する遊びですから、航海を予測すること、計画することは、楽しむためにとても大切なことなのです。ヨットの操船は教習所では習えませんが、海図の技術は教習所できちんと習うことができるのですから、習っておけるものなら習っておくべきです。

最後に、ヨットは燃料が尽きても風の力でどこまでも行くことができる”FREEDOM”な乗り物です、免許も制限なしを持っておくことは、ヨットを楽しむためには必要なものだと思います。

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