自分たちのヨットを持ちたいと考え始めた時に、実はどんな形のヨットが欲しいという具体的なイメージは僕たちにはまだありませんでした。…と言うのも、当然のことながら新艇を買う程の予算は無いので希望のメーカーの好きな艇を選ぶことなんてできないなって…。裏返して言うと、中古艇として出てくるものの中から予算と自分たちのセイリングライフに合ったものから選ぶしかないって考えたからです。実際に艇を探し始めると、いろいろな形やメーカーの艇が中古マーケットには出回っていて、その中から消去法で、予算、大きさの範囲、スタイル、装備などから絞り込みをして、徐々に自分たちが持つべき艇の像を絞り込んで行ったという感じでした。
あとは、僕自身が変わり物が好きということもあって、ある意味売れ線の沢山流通している船は好きじゃないと言うもこともあって、徐々に絞り込まれてゆく中で何か特徴やその艇が好きになれるエピソードなどがあるものを探しつつ、最終的に今のMALU号に絞り込まれてゆきました。
そこで今回は、そんな流れで船探しをする中でセーリングクルーザーにも幾つかのスタイルがあります。その特徴やメリット&デメリットなど、具体例を交えてご紹介してゆきたいと思います。
ヨットのスタイル
ヨット(セーリングクルーザー)と一口に言っても、ヨットの楽しみ方によって幾つかの種類があります。
この楽しみ方が「スタイル」です。
基本的にセーリングクルーザーだと、船に泊まってクルージング(巡航)できることが前提になるので、純粋なレース艇やディンギーは含みませんが、それでもいろいろなスタイルのセーリングクルーザーがあります。
大きく分けて以下の4つに分類されます。
純粋な「セーリングクルーザー」、エンジンが大きくて機走でも速く走ることができる「モーターセイラー」、スポーツセイリング(レース)を意識した「レーシングクルーザー」、古い木造の「クラッシックセーリングクルーザー」
では、それぞれについて説明してゆきたいと思います。
一般的なセーリングクルーザー
セーリングクルーザーは、以前にも説明していますが、一般的にセーリングが主体でセーリングを補助するためにエンジンが付いています。基本的にセーリングクルーザーに付いているエンジンは必要最小限度の出力が前提とした考え方になっています。しかし、セーリングクルーザーでも、潮流の厳しいところを風が無い時にも機走で走りたいという要望などから、必要最小限よりも少し大きめの馬力のあるエンジンを積んでいるセーリングクルーザーもあります。同じ艇でもエンジンの馬力にバリエーションがあると考えておけばわかり易いと思います。
※瀬戸内海などの潮流が日常的にある地域では、大き目の馬力のあるエンジンが搭載されているセーリングクルーザーが多く用いられる傾向にあります。
モーターセーリングクルーザー(モーターセーラー)
モーターセーラーは、基本的にはセイリングしますが、エンジンで走ることにも主眼が置かれているセーリングクルーザーのことを言います。特徴としては、コックピットがデッキ上だけでなくキャビン内にもあります。燃料には限界がありますが、速く目的地に向かいたい、エンジンで走る際にも速く走りたいというニーズに応えるものです。
メリットは、エンジンが大きく馬力があるので、セイリングでなくても速く走ることができること、帆走の補助エンジンとして使った時にも普通のセーリングクルーザーに比べて速く走ることが出来ることがメリットです。しかし、デメリットとしては、エンジンが大きくなるので、どうしても大型化してしまうこと、その分、コストも高くなります。また、船体が重たいので、セーリングだけの時に遅い傾向にあり、微風では殆ど進むことができません。どうしても、セーリングクルーザーには帆走性能は劣る面があります。
※帆走性能が一般のセーリングクルーザー並みのモーターセイラ―も存在しますが、両方を両立しているという事は、それだけ高コストになることは避けられません。
レーシングセーリングクルーザー(レーサークルーザー)
名前の通り、レース(スポーツ帆走)を意識したデザインになっているセーリングクルーザーです。メーカによってはスポーツセーリングクルーザーとか、スポーツセイラ―なんて呼び方もしています。
特徴はなんと言っても、クルーザーレース指向なので、エンジンは本当に必要最小限でその分セイリング性能をできるだけ高くしたデザインになっています。レーサーの特徴は、コックピットが一般のセーリングクルーザーに比べて大き目でコックピットで複数のクルーが動きやすいレイアウトになっています。
最近のセーリングクルーザーはイージーセイリング指向でシングルハンドでも操船し易いデザインになっていますが、レーシングクルーザーの場合は、ヨットレース向きになっているのでレーサーに近い艤装やレイアウトになっています。しかし、レーサーと言えども、セーリングクルーザーなので、キャビン内はレーサーのような飾り気の無いシンプルで必要最小限の設備ではなく、一般のセーリングクルーザー並みの豪華でしっかり設備も装備されています。
※エンジンを換装して、一般のセーリングクルーザー並みの馬力のエンジンを装着しているレーシングクルーザーも存在します。このあたりは、オーナーの好みです。
※最近の最新艇は、帆走性能が非常に高くなってきているので、艤装を変えたり、内装や設備面を軽減することでレース指向にできるクルーザーもあり、徐々にこのスタイルの船がメーカーで売り分けされなくなる傾向になってきています。
クラシックセーリングクルーザー
木造のセーリングクルーザーやハルはFRPでも見た目木造のクルーザーの容姿を持っているものを言います。木造艇のファンも根強く居ることから、本当に古い艇では無くても、クラシックなスタイルの物もあります。昔の帆船をイメージするウッドのバウスプリットを持ち、マストやブームも木製でデッキやドッグハウスも木造や外装がウッド貼りの物などで、船体はロングキールデザインのクラシックスタイルのせ-リングクルーザーです。クラッシックスタイルだけあって、帆走性能は一般的なセーリングクルーザーに比べやや落ちます。また、ロングキール艇は小回りが利きにくいので、狭いところでの操船には慣れが必要です。また、ウッドの手入れを適正に行う必要があるので、ウッド補修やメンテナンスをマメにできる人向きです。
最後に…
最近の最新艇は、一般的なセーリングクルーザーとレーサークルーザーの垣根が殆ど無くなって、レースでも早く走ることができるクルーザーやクルーザーでも速い艇として、それをメーカーのイメージとして売っている艇もあり、実はレーサークルーザーと一般のクルーザーの違いが明確でなくなってきています。また、メーカー出荷段階でセミオーダーでレースで使い勝手の良い艤装にするなどもあるからです。
しかし、本来はレースよりもクルージングを快適にするのが、セーリングクルーザーですから、居住性の良さと言う点にフォーカスしている艇は一般的なセーリングクルーザーだっていう考え方が正しいのかもしれません、
また、モーターセーラーは、欧米ではかなり本格的なエンジンルームに強力なエンジンを搭載している、パワーボートにセイルの艤装がある艇というのが欧米式ですが、日本ではキャビン内にもコックピットがある艇を指す言葉だったりします。
このあたりの分岐点は曖昧ではありますが、ご自身がどんな海域で主に乗るのか、どんなことを楽しみたいのか、どんなヨットライフを送りたいのかを考えながら、艇選びも楽しんで頂きたいと思います。
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