僕はクラッシックな雰囲気のあるヨットが好きで、今のMALU号に出会うまでは割と変わったヨットばかりを物色していました。妻を連れて関西までヨットを見に遠征した時にも、船のディーラーの人に「お若いのにこういう船を見に来るのは珍しいですね…」なんて言われてしまいます。
その時に見に行ったヨットはフィッシャーというヨットで、コックピットは船尾ではなく凸型のパイロットハウスの中でします。名前の通り北欧の漁船のような風貌が僕はとても気に入っていたのですが、残念ながら妻からはOKが出ず、別の船を更に探し続けることとなったのですが、やっぱり今でもこういう形のヨットを見ると憧れてしまいます。
今回は、こういうモーターセーラーという、ちょっと変わったヨットについてお話したいと思います。
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モーターセーラー(機帆船)というジャンル
モーターセーラーは、その呼び名の通り、モーターボートにセイル用のマストが立っていて、帆を広げて走ることができるヨットのことを言い、機帆船なんて呼んだりもします。
一般的なセーリングクルーザーでセーリングしながらエンジンを補助動力として走ることを機帆走と言いますが、それと機帆船とはちょっと意味が違います。メインの動力が風なのか、それともエンジンなのかという違いで、風がメインの動力としているものがセーリングクルーザーで、エンジンがメインの動力であるのがモーターセーラーと言うことになります。
モーターセーラーのデザイン上の違い
モーターセーラーは機走時に重きを置いていることから、セーリングクルーザーに比べるとデッキ上の建物が大きい傾向にあります。何故、大きくなるかと言うと、その分、船底が浅めであることが最も大きな理由です。それは機走性能をあげるためには、水面下の体積を下げた方が水の抵抗が少なく走ることが出来るからです。これは燃費や速度にも影響するため、各メーカーによって味付けが異なる部分ですが、多くのモーターセーラーはそういう傾向にあります。
また、基本的にはモーターボートのように機走するわけですが、操船をキャビン内で行うことが出来るようになっています。つまり、キャビンからの操船時の視認性をよくする必要があることから、キャビンの背が高くなっているわけです。
モーターセーラーの良いところ
モーターボート(クルーザー)とセーリングクルーザーの良いところを併せ持ったのが、モーターセーラーです。帆走性能に重きを置いたモーターセーラーの場合には、セーリングクルーザーと似たセーリングの良さを味わうことが出来ます。風がそこそこあれば、エンジン無しでもセーリングが可能なものもあります。つまり、エンジンの出力を絞って機帆走状態で航続距離を伸ばすことが出来、逆説的に言えば燃費はモーターボートよりもかなり良いと言えます。また、船内で操船することができるため、悪天候時に濡れることなく、冬の航海も快適にすることができます。
つまり、モーターセーラーは、長距離、長時間の航海に向いているということが言えます。
モーターセーラーの良くないところ
良くないというのは適切な言葉では無いかもしれませんが、船の重量が同じサイズのセーリングクルーザーに比べると重たい傾向にあります。また、価格面でも高めなものになります。これらは、装備が充実しているからともいえますし、モーターボートとセーリングクルーザーのいいとこ取りをしているわけですから、そうなるのは仕方ないとも言えます。
モーターセーラーの具体例
幾つか代表的なモーターセーラーをご紹介します。
NAUTICAT
北欧フィンランドのモーターセーラーです。
上の写真は純粋なモーターセーラータイプですが、下の写真はパイロットハウス・セーリングヨットタイプで、帆走せ能も高いです。しかし、水面からデッキ面までの高さは一般的なセーリングクルーザーに比べると高く、その分、船内が広く圧迫感が無いデザインになっています。
ISLAND PACKET SP CRUISER
アメリカのクルーザー(トローラー)とヨットをかけ合わせたようなモーターセーラーです。
ALBATROSSER
26フィートと小さいながらも充実装備の和製モーターセーラーです。
NORDIC DACK
冒頭でご紹介したフィッシャーは、既に生産中止になっており、そのデザインを踏襲したのが MT37 NORDIC DACK です。このヨットはオールアルミ製で、クラッシックなデザインながらも木造船ではないところが現代的でもあります。
OKAZAKI DeckSaloon
このヨットをモーターセーラーと言って良いかは意見が分かれるところで、パイロットハウス・セーリングクルーザーと表現した方が正しいかもしれません。
最後に…
パワフルな機走力と満足できるセイリング。
悪天候から家族をまもる強力なパイロットハウス。
デイセイリングからロングクルージングまで、
あなたのYacht Life に合わせてお楽しみ下さい。
…と岡崎造船のDeckSaloonの紹介ページには書いてあります。モーターセーラーは、モーターボートのような速さは期待できませんが、パワフルな機走は魅力で、荒天状態でセイルを上げずに安定した航行もできることから、おいしいとこ取りでセーリングとクルージングが楽しめるヨットです。いつかはモーターセーラー、やっぱり憧れますね。
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