夏が来た。
夏と言えばマリンレジャー本番ともいえる時期なんだけど、今年の夏は例年以上に気温が高く日差しも危ないほどに強い、東京でも気温はついに40度超えの日が出るほどだから休日と言えどもマリーナに人影はまばら。まあ、こんな猛暑の中で熱中症にでもならないかと心配し船を出すのはやめておこうと考える人が増えるのも頷けます。
そんな中、我が家は暑くても気象情報とにらめっこで、東京よりも少しばかり気温の低い清水港へ行き、風さえあれば何とかなるだろうからと、とりあえずMALU号を出航させてます。
当然、暑さ対策は万全を期して、船の冷蔵庫は常時稼働できるようにして、ドジャーにオーニングで日陰は必須、そして最近流行りのネッククーラーや帽子の中にも防止専用の保冷剤なんかも準備して出航するわけです。そして、海上に風が吹いていれば、何とか猛暑は回避できるというわけで、風が無ければマリーナに戻って陸電繋いでエアコン掛けて船で昼寝と言った具合です。
しかし、今年は流石に暑過ぎて危ないだろう、こないだのレースでも熱中症の人が何人も出たなんて話を聞いたりすると、今年は出航するの危ないかもとネガティブな気持ちになったりしてましたが、マリーナのお隣さんがアンカリングで海水浴にご一緒してくださいって夏前から言われていたのもあって、なんとか重くなりかけた腰をあげて、今年も海水浴にヨットで出かけてきました。
そうです。
夏のヨットの楽しみ方と言うと、セーリングよりもクルーザーとしての機能を最大限に活かして、海水浴に出かけるという楽しみがあるのです。海水浴と言えば、車などで海水浴場に出かけるということを一般的にイメージしますが、ヨット乗りにとっては、綺麗な泳げる海面さえあれば、そこでアンカリングしてボチャンと海に入るだけで海水浴が楽しめるわけです。
そして、夏と言えば、もう一つの楽しみが、夏の風物詩ともいえる花火見物です。
ヨットから見る花火は、陸から見るそれとは大きく違います。我家の場合、マリーナが清水港の奥にあるので、毎年行われる清水港の「みなとまつり」のフィナーレとして清水港の海上ど真ん中から打ち上げられる花火を船を出して打ち上げ場所の至近距離から見物するというわけです。
元々、ヨットに誘われて乗り始めたときから、毎年の花火見物は恒例行事となっていて、ヨットから見る花火の素晴らしさと快適さ、これもヨットの醍醐味だよなって思っていました。ヨットに乗り始める前までは花火見物と言えば普通に花火会場までわざわざ出かけて行っていたわけです。花火大会というと交通機関から会場までどこも大混雑、行き帰りだけで汗だく、くたくたになってしまう。 花火を観るより人を見に行っているようなもので一体なにをしに行ってるのかわからなくなる程。それでいて、そんなに間近で花火を見れるわけでもない。だからヨットで初めて花火を見に連れて行ってもらったとき、とにかく間近に上がる花火の迫力と素晴らしさに大感動、これもあったからヨットを本格的に始めようと思ったと言っても過言ではありません。
この、夏の楽しみの海水浴と花火見物ですが、実は共通点があります。
それは、アンカリングです。
ボートの人、特に船釣りの人はアンカリングは頻繁にされるようですが、ヨットでアンカリングを何度も経験しているというヨット乗りの人は意外に少ないようです。
シングルハンドの人でデイセーラーだったりすると、更にアンカリングには縁遠いという人も少なくないようです。我家もそんなに頻繁にアンカリングするわけではありませんが、アンカーが打ちたいがために、元々付いていたアンカーが容量不足だったので、アンカーを買い替え、チェーンも40メートルにしてウインドラスまでわざわざ付けました。別にウインドラスなんか無くても、アンカーに5メートルくらいのチェーンをつけ、あとはロープでもアンカリングは十分にできますが、我がMALU号の場合には大きさの割に7トンもあるし、カミさんとのダブルハンドと言うこともあってメカ&パワーに頼る設定にしました。そう、ヨットで海水浴に行きたいから、花火を見に行きたいからの装備です。
アンカーを打つのは意外に簡単
船を持っていてアンカーを打ったことが無いという人が意外に多いということをMALU号に乗り始めてから知りました。確かにアンカリングって面倒そうで、失敗したら事故になりそうですもんね。しかし、そんなに難しいものではありません。難しいのは、錨泊するときです。アンカーを打って、その場で眠ってしまおうというのですから走錨しては一大事です。気が付いたら座礁していたとか嫌ですもんね。しかし、海水浴や花火見物程度であれば、直ぐにエンジンを掛けてリカバリーもできます。ですから、先ずは練習ポイントを探して、打つ練習をしに出掛けると良いです。最初は周囲に船が居ない場所で、それもあまり深過ぎない場所が良いです。5メートル前後の場所が良いと思います。
アンカリングは準備が重要
アンカリングを実際にやってみると気付くのですが、水深は船の水深計でデジタル表示されるので、それを見ればわかりますが、アンカーを落として、どれだけチェーンやロープを出したかは、準備をしておかないとわかりません。ですから、必ず5メートルおきなどにチェーンやロープに目印をつけておくようにしましょう。それも、同じ色の目印では解らなくなってしまうので、目印は色を変えるなどして工夫すると分かり易いです。
振れ回りを考慮してアンカーを打つ
アンカーを打つときは、必ず船首を風上に向けてアンカーを打ちます。しかし、風向きが変わるとアンカーを中心に船が振れ回ります。船が回ったときには、概ねアンカーを中心に引き出したロープやチェーン分振れるので、振れ回ったときに浅場に座礁したり、周囲に何か障害物がある場合には、その円周上には何も障害が無いような位置にアンカーを打ちます。周囲に同じようにアンカーを打っている船が居る時には、同じように他船も振れ回り同じ向きに船首を向けます。
アンカーを打つ練習をする
アンカリングはセーリングと同じく打つ練習ををして、アンカーを打つ手順や打った感覚などを知っておく必要があります。いつもヨットを出して走らせていると、他のヨットがアンカリングしているなんて場所を事前に目星をつけておいて、そこで何度か打つ練習をしてみましょう。風が無く穏やか場所で先ずは打ってみると良いと思います。
最後に…
アンカリングできるようになると、夏の楽しみ方がグッと広がります。海水浴でも花火見物でも、普段との圧倒的な違いは、人混みを避けられる、場所取りしたりしんどい思いをして目的地まで行って、行くだけ、帰るだけでグッタリと言うことが無くなるということです。当然、自分のヨットで移動して行くわけですから一般の人が来ることのできない場所で楽しむことができます。海水浴ならヨットでしか行けないポイントで水質や水中が綺麗な場所で楽しむことだってできます。花火なら打ち上げ場所から近い場所で場所取りもせずにヨットのデッキに寝そべって大迫力の打ち上げ花火を見ることもできます。
当然、それらの場所を他のヨット乗りやボート乗りの人たちもよく知っていますから、そのポイントで船が少し混みあうことはあるかと思います。しかし、それは陸上の花火見物の会場や海水浴場のビーチの人込みに比べれば全く大したことではありません。ヨットハーバーやマリーナに、こんなに一杯船が係留してあるのに、海水浴ポイントや花火の時に集まってくる船の数は意外に多くないのです。だからこそ、のんびり海上で過ごすチャンスです。 夏こそ、海にちょっと浸かってみる、夏の花火大会を目一杯ヨットで楽しんでみるなど、夏場のヨットの楽しみを広げてみては如何でしょうか。