ヨットに初めて乗せて貰った時、まず目に入るのがたくさんのロープが張り巡らさせていること。これを見て多くの人たちは、ヨットって面倒くさそうに思うのかもしれない。(確かにパワーボートなら、コックピットには丸いハンドルとスロットルレバーくらいで、車と同じでエンジン掛けれはパッと出港ですもんね)

しかし、自然を相手に風の力だけで走ることができるヨットにとって様々なロープ類は、ローテクの極みで面倒くさい物に見えるかもしれないけれど、それらを使いこなせるようになっていくことがヨット遊びの醍醐味の最たるものとも言えます。

ヨットにとってロープは基本中の基本です。ロープのことを知ればヨットがより楽しく解るようになります。
そこで、今回はヨットのロープの様々な使われ方について触れたいと思います。

ヨットでのロープの使われ方の種類

ヨットは帆船なので、帆船特有のロープの使われ方をしています。

ヨットのロープ類は、

・スタンディングリギン(standing rigging:静索)
・ランニングリギン(running rigging:動索)
・ムアリングライン(mooring line:係留策)
・コーディッジ(cordage:雑索)

の4つに分類することができます。

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マスト(ヨットの柱)を固定するスタンディングリギン

マストは船体に刺さっているだけでは風の力を受けたセイル(帆)の力を支えることができないため、強固なワイヤーロープ(鋼線で造られたロープ)でマストを支えます。これを”standing rigging” スタンディングリギン(静索)と呼びます。呼んで字のごとく、マストを立てるため(スタンディング)のロープ(リギン)です。

セイルをコントロールするランニングリギン

ヨットはセイル(帆)に風を受けて走ります。帆を広げたり、縮めたり、風向きや風の強さなどによってセイルのサイズや風に対する角度、帆の弧の形(セイルカーブ)を調整することでヨットを走らせます。これを”running rigging” ランニングリギン(動索)と呼びます。セイルをコントロール(操作)するために、ロープを引いたり緩めて出したり動かすのでランニングのロープ(リギン)と呼ばれます。
ラニングリグンには、セセイルを上げ下げするハリヤード、セイルの開きを調整するシートがあります。

船を繫ぎ留めるムアリングライン

ヨットを港の岸壁や桟橋にムアリング(mooring:係留)するために使うロープのことを”mooring line” ムアリングライン(係留索)と呼びます。日本語では「舫い綱」のことで、船を岸や杭に繫ぎ留めることを「舫う(もやう)」ための「綱」ですね。日本語の「もやう」と英語の「moor(ムーア)」は似ているので覚えやすいですね。

その他いろんなところに使う雑索(コーディッジ)

コーディッジ(cordage:雑索)という英語の言葉は日本では使いません。日本ではもっぱら日本語の「雑策(ざっさく)」とうい言い方をします。雑策は、物をまとめたり、縛ったり、と雑事に使うロープのことを言います。作業の時に「なにか雑策ない?」なんてよく言います。

これら以外によく使うロープ関係の言葉

ムアリングラインに対して、アンカリングする場合に使うロープを「アンカーロープ」と言います。アンカーはチェーン(鎖)が付いているものもありますが、アンカリングで長くラインを出すときにはロープを足して使ったりします。
また、帆を縮めた時や下ろした時に仮に帆に風が入って広がらないようにするために帆を縛っておくために使う帯状のロープを「セイルタイ」と呼びます。
それ以外にも、ブームをコントロールするブームバング、メインセイルのセイルカーブを調整するアウトホール、その他にもスピンやジェネカーなどの追風専用セイルで用いるロープ類など、様々なところで各種のコントロールをロープで行っています。

最後に

上の写真は海洋冒険家の白石康次郎さんのレース艇、Sprite of Yukoh 号のコックピットの中央にあるコントロールロープが集約されたコントロールステーションです。彼がチャレンジする単独無寄港無補給世界一周ヨットレース『VENDEE GLOBE』では、たった一人で大型ヨットを操り、どこの港にも寄らず補給も無しでおよそ80日間かけて世界を一周します。非常に過酷な状況の中、たった一人でヨットを操縦するために、このように全てのコントロールロープがステーションに集約されています。
沢山のロープが見えますが、普通のヨットでもコントロールロープ類の数はあまり変わりありません。しかし、全てのロープを細かく使い分けて走れるようになるには、かなりの熟練が必要になります。しかし、この奥深さがヨットの楽しみでもありますが、難しく考える必要はありません。細かな調整ができなくても、基本的なことを知っていればセイルを広げ風をうければヨットは風で簡単に走らせることができます。あとは徐々にセイリングをしながら覚えて行けばよいのです。

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