我が家のMALU号には、船検の法定備品で必要なラジオとしてカーステレオが付いています。カーステレオですから、スピーカーが別途必要でキャビンのバウ側の壁に古く大きくて不格好なカーステレオ用のスピーカーが吊ってありました。しかし、MALU号を引き受けた時には、このスピーカーのコーンは経年劣化と湿気でボロボロでまともに音が出ない状態でした。回航を終えてホームポートのバースに入ったMALU号、先ず最初に手直ししようと考えたのがこの音のまともに出ないスピーカーでした。音が出ないだけでなく不格好で不必要に存在感があって、とにかく早くこれは外したかったのです。そして、とにかく音がまともに出せる状態にしようと思い、直ぐに小型のスピーカーを準備して壁に取り付けました。しかし…折角交換したスピーカーですが、これで音を出すことはありませんでした。…と言うのも、セーリングしている時にコックピットで何か音楽聴きたいね言って、わざわざキャビンに下りてカーステレオの電源を入れるなんてことをしない自分たちに気付いたのです。スマホから直接音を出せば音楽を手元で操作して聴くことができるし、そもそもキャビン内で音を出してもコックピットでは十分に聞こえないのです。そこで、ネットで2000円くらいの値段で小さなアウトドア用のポータブルスピーカーがあったので、値段が安かったこともあってついついポチっと衝動買いしてしまったのです。水しぶきが掛かっても大丈夫、3時間で満充電24時間連続使用可能、そして出力は10Wってですから、試しに買ってみようって思ったのです。
実際に使ってみて気に入らなかったらメルカリか何かで売ってしまえばいいやって安易に思っていたのですが、手元に届いて実際に使ってみたら、音もそこそこいい感じ、小さくて邪魔にならないし、スライドハッチの上に置いてコックピットの方向に向けて音を出してみると…これで充分問題ないねってことになってしまったのです。
これまでならコックピットで音楽を流すというと、防水スピーカーをわざわざコックピットの何処かに取り付けて配線して…と言う感じで、MALU号に乗り始める前までの修業期間中に乗せて頂いていたヨットはコックピットに防水スピーカーが付けてあって、音楽を聴くにはいちいちキャビンに入ってステレオの電源を入れ、ipodを操作したり、ボリューム調整したりと、その都度キャビンに下りて行ってとにかく面倒このうえ無かったのですが、これなら面倒も無く手軽に音楽を楽しめるとあって、我が家の場合には今後もこれでいいなって思いました。
そこで今回は、「セーリングしながらヨットのコックピットで音楽を楽しむ」ということについてお話してみたいと思います。
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音源はスマホの時代
ヨットにカーステレオを取り付けている艇は非常に多いと思います。しかし、もうこれは時代遅れです。船検で中波か短波のラジオ放送が受信可能なラジオが必要ですが、これは小さなラジオが1個積んであれば良いだけのことです。では音楽聴きたいときにはどうするの?と言うと、今や音楽はスマホ(音楽をスマホにダウンロードしてスマホで聞く)という時代ですから、スマホに入っているものをどのようなかたちで聴くかということになります。昔のようにCDやカセットテープのような媒体音源があって、それをプレイヤーで再生するという時代は、今やもう過去の話です。
スマホはパーソナルな物なのでイヤホンやヘッドホンで音楽を聴きますが、部屋で音を流したいと思ったら、直接スマホのスピーカーから音を出すか、もっといい音で聴きたいと思ったらポータブルスピーカーやミニステレオなどに スマホからワイヤレス接続して音楽を飛ばして流す という時代になってしまいました。ポータブルスピーカーならヨットにそのまま持ち込めば良いだけと超手軽です。
ポータブルスピーカーは長時間プレイ&防水の時代
今は空前のアウトドアブームですからキャンプサイトや山の上、ビーチなどで音楽を楽しみたいということで、アウトドア用のポータブルスピーカーがいろいろと発売されています。屋外で求められる機能といえば、落としても壊れないことや、防水性、更に簡単には充電できませんから、長時間の使用が可能かどうかという事が重要です。また、気軽にアウトドアに持ち出すには、小型軽量でそこそこ音質が良いという事が求められる基本性能では無いかと思います。
音質や性能重視の人には数万円の有名メーカー物から、そこそこちゃんと聞くことが出来ればメーカーには拘らないという人であれば数千円で手軽にポータブルスピーカーが手に入ります。
最近では驚きの水の中に完全に落としても全く問題ないという製品まで出てきていますから、ヨットのコックピットに置いても全く問題無さそうですね。
ポータブルスピーカー選択のポイント
選ぶ際のポイントはいろいろとありますが、ヨットのコックピットで使う場合には、大きさや防水性能、そして連続プレイ時間などがまず気になる部分ですね。
ボディーサイズ
ボディーサイズ(本体の大きさ)は音質に大きな影響があります。最近流行りの重低音はどうしてもボディーサイズが大きい方がより重低音が再現され易くなります。しかし、ボディーサイズが大きくなると、ヨットのコックピットにはちょっと邪魔かもしれません。自分の艇のコックピットの何処に置いて使うかを考えながら大きさを選択すると良いでしょう。
防水性能
やはり船上で使うということは、最も気になる部分は防水性能ですね。
防水性能は、IPX5以上(水の侵入に対する保護等級で、あらゆる方向からの噴流水による有害な影響がない「防噴流型」)であれば、セーリング中のスプレーが掛かっても問題ありません。外洋レースのようにデッキ面を波が洗うような状態ならば、更にその上の等級を選べば良いわけですが、そんな海で音楽を聴こうなんてことはないですよね…。
IPXは0~8までの等級がありますが5以上で言えば、IPX6「耐水型」(強い噴流水でも有害な影響がない)、IPX7「防侵型」(水没しても水が浸入してこない)、IPX8「水中型」(水中での使用を想定している)ですので、ヨット上で使うならIPX5以上あればほぼ問題ないと言えます。心配な人は、より上級のものを使えば心配ないという事です。
出力性能(音量)
出力性能は音量に関わる数値ですが、W(ワット)で表現します。家庭用や静かな場所で使用する場合には10W以下の製品でも充分ですが、ヨットのコックピットで、それも今回のテーマはセーリング中に音楽を聴きたいというテーマに沿って考えると、最低でも10WW以上ある物でないと音量的に十分とは言えません。
しかし、出力が必要以上に大きなものは、それだけ電気の消費量も大きくなります。つまり、あまり大きな出力のもだと連続使用時間が短くなってしまうので注意が必要です。
接続方法
スマホとの接続は、ワイヤレス接続(Bluetooth)が今や標準です。ヨットで使う場合にはワイヤレスは欠かせません。手元のスマホから音を飛ばしてスピーカーで聴くという方法が最も便利です。これなら手元のスマホ操作だけで簡単に音楽を再生できますし、音量調節もスマホのボリューム調整でスピーカー音量を変えることもできます。
連続使用時間
朝から夜まで四六時中音楽を流しっ放しという事は、あまり無いかもしれませんが、多くの製品が12時間近くは連続使用できるようになってきました。様々な機能や出力が大きかったりすると、それだけ電池の消耗量が大きくなるので、連続使用時間は短くなりますが、最低でも12時間以上は使える機種を選んでおくと便利です。
オススメのポータブルスピーカー
実際に使っているからこそ、これならヨットのコックピットでいいんじゃないのかなって思うオススメ・ポータブルスピーカーを幾つかご紹介します。
JBL Flip 4 【JBL HARMAN】
電話のスピーカーフォン機能あり、音声アシスタント対応(Siri,Google Now)、カラーは6色から選択可能
音質に定評のあるスピーカーブランドJBLの製品です。パワフルな低音サウンドを再現するために、両端にパッシブ・ラジエターを搭載。防水性能はIPX7で水の中に落としても大丈夫、3000mA/hのリチウムイオンバッテリー搭載で最大12時間の再生が可能です。8Wのダブルスピーカー搭載ですので、音量は実質最大で16W相当です。
この製品はどんどん進化していて、バージョン4まできていますので、気が付いたら5、6と進んでいると思いますが、JBLサウンドを1万円ちょうどのプライス帯で楽しめるのは、かなりいいと思います。現在、セールで8000円台+TAXで買えるので更にお買い得になっています。
JBL Charge 4 【JBL HARMAN】
電話のスピーカーフォン機能あり、大容量バッテリーでスマホ充電可能、カラーは6色から選択可能
これもJBLの製品で先にご紹介したFlipの大容量バージョンの最新型です。更にパワフルなパッシブラジエター搭載の重低音再生やIPX7の防水性能は同じです。一回り大きなだけで電池容量は7500mA/hとFlipの2倍以上あり、スマホやタブレットの充電まで可能です。ソーシャルモードにより最大2台のスマホやタブレットと同時ワイヤレス接続可能で交互切り替えも可能と大変便利です。色も6色展開で非常にお洒落なモデルです。
X5 Pro Bluetooth Speaker【Vanzon】
電話のスピーカーフォン機能あり、カラーは2色から選択可能
何とか格安製品で条件をクリアするものが無いか探したのですが、私が買ったような爆安でそれでいて割といい製品はもう流通していないようです。その中で最も低価格で機能が充実しているのが、この製品です。バッテリー容量は3300mAhで24時間もの長時間連続使用が可能です。
最後に…
ヨットにカーステレオはもう要らないなって言うのが、正直な今の感覚です。キャビンの中でもポータブルスピーカーを使って音楽を聴けばいいし、狭いキャビンの中では余程音へのこだわりが無ければ、これで十分だからです。しかし、ポータブルスピーカーで一つだけ考えておかなければいけないことがあります。それは、充電の方法を確保しておくことです。以前の製品はACアダプターが必ず製品に付属していましたが、今ではUSBケーブルだけが付いているという製品が多いのです。パソコンと接続して充電したりですが、ヨットの場合には、AC100Vをヨットのバッテリーからわざわざ作って充電するなんて効率が悪過ぎます。ですから、直接ハウスバッテリーの12VからUSBで充電できる準備をしておくと、ロングクルーズではとても重宝すると思います。
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