僕たち夫婦がMALU号を手に入れて2回目の冬を越え、丸2年目を迎えようとしています。暖かくなる春には海に出たいので、気温が最も下がる2月が定期メンテナンスをするには最も良い時期と考え、僕たちは毎年2月中旬にはMALU号を上架し(陸に上げ)船底のメンテナンスをすることにしています。陸置きの艇ならば、セーリング毎に船底を洗えばメンテナンスは殆ど不要ですが、桟橋に係留している僕たちの艇はどうしても海に浸かったままです。船底にはどんどんフジツボや海藻類、隙間などには貝類が住み着いてしまいます。更に、船底を見ることは余程の事が起きない限りありませんが、問題が無いと思っていても上げてみたら問題が起きていたなんてこともあります。また、陸に上げないとできない修理や作業なども、この機会に一気にやるようにしています。

船底のメンテナンスはMALU号を手に入れてから2度目になりますが、前回のメンテナンスから丸1年で船底の様子がどのようになっているかも確認してみたかったこともあり、今年は前回の船底メンテナンスからちょうど丸1年後となる前年同時期に上架してみることにしました。

そこで、今回は上架メンテナンス全般について、2018年と2019年の過去2回行った作業とコスト関係をレポートしたいと思います。

(下の写真は、今年のメンテナンス完了時の写真です。風景が写り込むほどピカピカ。)

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1. 上下架作業

先ずは陸揚げ作業です。MALU号を係留しているマリーナには上架設備が無いので、大型クレーン車をマリーナがレンタルして吊り上げ作業をします。MALU号は37.5フィート(約12メートル)、7トンなので、かなり大型のクレーン車で吊り上げます。同時期に他の艇も上げ下ろしすることでクレーン代は他の船と割り勘です。単独だと15万円くらいかかるようですが、他の船と同じタイミングで上げ下ろしの2度を作業費込みでおおよそ5万円弱でした。

前回メンテナンスから1年経過して上げてみた感想は、意外に綺麗だっていうことです。薄く藻が付いてはいますが、フジツボがあちこち一杯付着しているという事ははありませんでした。月に10回も出港しませんが、うちの場合にはほぼ隔週末の土日には妻とセーリングに出掛けます。当然、連休などの時には数日滞在してセーリングしますから、年間の出港回数は50回くらいはあるかと思います。大体それくらいのペースで艇を出して走らせていれば船底がフジツボだらけになるという事は無さそうです。2018年は海水温が高く船底にかなり生物が付いてたという話も聞きましたが、全くそんなことはありませんでした。

2. 船底掃除洗浄

フジツボなどの貝類や海藻類の除去(カキコケ落とし)をして、最終的には高圧洗浄します。
費用は塗装の下地処理まで含めて4万円くらいでした。
下地処理は以前の塗料を落として塗装面をサンディングして綺麗に均します。
高圧洗浄すると船底防汚塗料は剥がれてしまいます。つまり、カキコケ落とし、高圧洗浄すると見た目は綺麗になるのですが、船底防汚塗装が殆ど落ちてしまい、再塗装は必須です。

前の項目で意外に綺麗だったと書きましたが、実はこれは2年続けて同じ感想でした。吊り上げた時には一見割と綺麗と言うのが感想でした。自分の艇を手に入れる前までは、他人の艇にクルーとして乗せて頂いてましたので船底メンテナンスもやったことがあったのですが、その時には結構一杯フジツボが付いているなって感じでカキコケ落としの作業が結構ハードでした。おそらく、自分の艇になってからはヨットに乗る回数が2倍以上になりましたから、出港回数が多い程、船底は綺麗だという事が言えると思います。

FRPの癌「オズモシス」

2018年のメンテナンスの際にバラストキールの部分にオズモシスを発見しました。オズモシスは、FRPの癌とも言われますが、見た目は塗装が浮いたような水疱で表面が凸凹になっていることでわかります。簡単に言うとFRPが溶けて穴が開き水疱状態になります。これを放置しておくと中が更に水溶化して大きくなるので放置しておくことはできません。見つけたら水疱を破って中の液体を出し十分に乾燥させてから補修をします。
オズモシスは古い艇に多くみられますが、全く出ない艇もあれば、ぽつぽつとあちこちに出る艇もあるので、見つけたら必ず補修するしかありません。補修費用はバラストキールの1/3くらいの範囲で5万円くらいでした。

3. 船底塗装

掃除、洗浄、下地作業が終われば、ついに船底塗装です。
塗装は2段階あります。防汚塗料を塗る前にプライマーという防汚塗料塗るための下地塗料を塗ってから防汚塗料を塗ります。防汚塗料は、表面にフジツボや海藻類が付くと船を走らせることで剥離させる機能があります。1年間かけて徐々に防汚塗料はフジツボや海藻類と共に落ちて減ってゆきます。防汚塗料の層を厚塗りしておくと、ある程度は長持ちします。メーカーの推奨では半年に1度塗ることを推奨していますが、2度塗りで1年持たせることができると感じました。
塗料はseajetというものを使い、塗料と施工代含めて9万円弱でした。

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4. プロペラ廻りのメンテナンス

MALU号のプロペラ廻りはセイルドライブと言うシャフトが無いタイプのプロペラです。長いシャフトが出ていない代わりに、ギアボックスが船底から突き出しています。このギアボックスとプロペラは金属製なので、船底防汚塗料を塗ることが出来ず、専用のプロペラ防汚塗料をギアボックスの部分を含めた全体に塗ります。以前の汚れやフジツボなどと以前の塗装を完全に落としてからプライマー~防汚塗料の順に塗布します。

プロペラ廻りは走らせていないとフジツボが付きやすい場所です。プロペラにフジツボが付くと、プロペラの水を掻く能力が低くなり推進力が大きく落ちます。ひどい場合だとプロペラは回っていても、全く推進力が無いということも起きますので、プロペラへの防汚塗料の塗布は塗りムラなどが出ないようにしっかり施工する必要があります。
プロペラ廻りにはペラクリンという専用防汚塗料を使います。塗料と施工代含めて1万円ちょっとでした。

ジンクの交換

プロペラ廻りのメンテナンスには、もう一つ大切なものがあります。それがジンク(防蝕亜鉛)の交換です。ジンクは水中にあるプロペラなどの金属が電蝕(腐食)することを防ぐためのものです。ジンクは徐々に減ってきますので、定期的に交換する必要があります。
(ジンクは上の写真でプロペラとギアボックスの間に黄色い塗料を塗っていない部分です。)

プロペラの修理

2019年のメンテナンスの際にマリーナの担当者から電話がありました。話を聞いてみると、プロペラに何か当たった跡がありプロペラのブレードが若干曲がっているので更に確認をしてみたら、芯がズレているのでプロペラを交換する必要があるとのこと。確かに去年の年末前にプロペラが何か引っ掛けたような感触があったのを思い出しました。その時にはプロペラよりも舵の方がおかしく感じたのですが、その時にプロペラに何か引っ掛けてしまったようです。機走中は水面を見ていつも気を付けているのですが、半沈したようなものは水中で中性浮力で留まっていて水面に顔を出していないものは気を付けていてもどうしようもありません。
プロペラの交換と聞いて、そういう事なら仕方ないなと思っていたのですが、プロペラのボスの中にラバーブッシュが入っており、それの打替えと補修で何とかなりそうだと、そのあと更に連絡が入りました。
プロペラの専門業者に依頼すれば、ブッシュの打替えやブレードの補修はある程度可能なようで、うちの艇のプロペラは何とか修復可能なレベルだったようです。修理代は3万円くらい掛かってしまいましたが、なんとか修理で一件落着。
年末の接触以前から、ノイズはあったのでボスの摩耗のせいだったようです。今回、ボスの摩耗補修も含めてやってもらえたので修理後は効果覿面、ノイズが静かになりスムーズにプロペラは回っているようです。こころなしかスピードも速くなり、力強く走るようになったような気がします。

セールドライブの樹脂製カバーの脱落

2018年のメンテナンスでセールドライブがハルを貫通している部分からの漏水を防ぐための水密リングを押さえるブレードが錆てボロボロになり、実質無くなってしまっていたので、上架した際にセールドライブを外して新しいものを取り付けることにしました。エンジンからセールドライブのギアボックスを外すなどの大工事になりましたが、あるべきものが無いのは問題なので完全修復しました。その際に船底側のカバーも新しいものを取り付けてもらいました。2019年の上架時に船底を見てみると、カバーが外れてしまい貝の養殖場のようにぎっしり詰まっていました。ネットで調べてみると、このカバーの脱落が多くみられるようで、接着方法に問題があるらしいのです。確かに船底防汚塗料を塗った後では接着しても防汚塗料ごと落ちてしまうのは簡単に想像できることです。まあ、そんな杜撰な作業だったのではないかと思いますが、昨年作業した業者に修復してもらいました。次回の上架でその答えは出ると思います…。

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5. その他の上架しないとできない作業

2019年の作業では、これまで懸案となっていたエンジンの冷却海水取り込み口の増設を行いました。新たに船底にスルーハルを取り付けてダイレクトに海水を取り込むようにしました。セールドライブは冷却用の海水をセールドライブのギアボックスの横にある小さな穴から取り込んでいます。(VOLVOエンジンの場合)しかし、この穴はとても小さくて詰まり易く、冷却水の取り込み量が少なくなり、オーバーヒート気味になってしまうのです。
スルーハル(船底に穴を)開けるのですから、これは上架した時しか作業できません。船底に穴開けしてバルブを取り付けるのは割と簡単な作業だそうで、冷却水ルートのバイパス加工なども含めて4万円ちょっとの費用で取付加工完了でした。

最後に…

定期船底メンテナンスですが、防汚塗装は1年サイクルで行うのがベスト、できれば1年半サイクルに伸ばすことが出来ればいいなって思いますが、1年半サイクルという事はシーズン真っ最中に上架することになってしまうので、おそらくMALU号はこれからも1年サイクルで作業してゆくと思います。
2019年の作業では、更に船体のバフ掛け(船体磨き)も業者にやってもらいました。流石にプロの作業は違います。ピカピカになりました。錆が垂れて染みになっていた部分も綺麗になり、排気口もピカピカ仕上げになり、MALU号はかなり若返った感じになりました。

メンテナンスは費用は掛かりますが、きちんとやっておけば気持ちよくセーリングできます。また、トラブルを未然に防ぐことになるので安心感が増します。古い艇だからこそメンテナンスはとても大切です。セーリングを楽しむためにも是非定期メンテナンスは欠かさないようにしたいものです。

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