僕たち夫婦のヨット歴は、まだまだ初心者と言われてもおかしくない6年目。しかし、我が愛艇MALU号は2003年新規登録の17年選手です。更に、MIRABELL375 がニュージャパンヨットでリリースしたのは1989年とデザイン的には30年選手のヨットです。いろいろと調べてみると我家のMALU号はこの艇種で最後にローンチした艇で、かなりの長期在庫艇だったようです。

なので、登録年よりも古そうな艤装品の数々は、僕のそれまで経験してきたヨットのものよりも確実に古く使いにくいものばかりで、動きは重たく、その物自体も重たいという感じで少し戸惑いました。そんな艤装品、全てを取替えちゃいえばいいって一時は思っていたりもしましたが、37.5フィート艇ということもあり、全てが1サイズどころか2サイズ以上大きなものが付いていたこともあり、交換する新しいものは全ての値段がメチャクチャ高い。大きな艇に乗るということは、こういうことなんだって乗り始めてから思い知ることになったわけです。

しかし、その間にも、以前にこのブログでも少し触れたように、ジブ用ウインチをラッキーな出会いで半額で交換することが出来たり、古いブロック類でも最新の潤滑剤を使うことでかなりスムーズに使えるようになるなど、自分なりにコストを掛けずに工夫してきました。

最近、海外のヨットメンテナンス事情を見ていると、簡単にできそうで簡易的に見えるのに、金属製のものより強度があって安全性なども高いものが出てきています。

そこで今回は、僕が今後やってみたいメンテナンスについてお話をしてみたいと思います。

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鉄より強い化学繊維

繊維と書くと、セイル(帆)のことかと思いがちですが、セイルの交換はコストもかなり掛かり容易ではありません。では、何かと言うとロープ類です。その中でもスチール製のワイヤーを鉄より強いと言われる化学繊維でできたロープに置き換えるわけです。
鉄より強い化学繊維と言えば超高分子量ポリエチレンです。商品名としては、Dyneema(ダイニーマ)、Spectra(スペクトラ)、Vectran(ベクトラン)、ZYLON(ザイロン)と言われるものです。
ダイニーマはオランダのDSM社の製品で一時は日本でも東洋紡がライセンス生産していたことから、かなりヨットの世界でもメジャーな存在です。また、スペクトラはアメリカのHONEYWELL社、ベクトランは日本のクラレ、史上最強の超高分子量ポリエチレンとなったザイロンも日本の東洋紡の製品です。
ヨットの世界で言えば、ヨーロッパメーカーはダイニーマ、アメリカのメーカーはベクトランを使っています。
この繊維、2005年頃から出始めていますが、当初は紫外線に弱いとか、ある程度の強度を超えると伸びるという性質があったのですが、最近の物は既に出荷段階でストレッチ加工を施して伸びないようにしたり、表面にコーティングをして紫外線による劣化を防ぐ処理など、出始めの頃の良くない部分が改善された製品になっています。もう、15年以上の製品ですから、そう言うことになるわけですね。
この超高分子量ポリエチレンを使ったロープの特徴は、超高強度、軽量(水に浮く)、耐摩耗性、低伸縮性、耐衝撃性に加え、耐薬品性、耐紫外線、難燃性の性能を上げたものまで出てきており、とにかくタフな素材なのです。

ヨットの何処に使用するか

日本でダイニーマなどのロープをよく使っている部分と言うと、ハリヤードやシート用のロープには、芯材にダイニーマやスペクトラを使ったダブルブレイドのロープはよく使われています。また、セーリング競技艇では、シングルブレイドもよく使われていますが、セーリングクルーザーでは、シングルブレイドは殆ど使われていません。
しかし、鉄より強い高強度繊維ですから、実はワイヤーロープを使っている部分は、全て置き換えることが可能なのです。
欧米では、スタンディングリギンのワイヤーまで高強度繊維のロープに置き換えられ始めています。しかし、それはちょっとハードルが高いです。そこで手軽に、そして普段なら交換に二の足を踏んでしまう物というと、ライフラインがあります。

ライフラインをダイニーマなどのロープに換える

ヨットのライフラインの材質はJSAFのレース艇の規定では、「ステンレスの撚り線」または「一重縒りの高弾性ポリエチレンロープ(HMPE)」でなければならないとあります。この「一重縒りの高弾性ポリエチレンロープ(HMPE)」と言うのが、「シングルブレイドのダイニーマなどの超高分子量ポリエチレン繊維を使ったロープ」ということになります。
太さの規定もあり、ヨットの全長8.5m以下の場合には3㎜、8.5m以上13m未満の場合には4mm、13m以上の場合には5mmとなっています。

ライフライン
ライフライン
ダイニーマ(SK99)の破断強度は、3㎜で1.2トン、4㎜で2トン、5㎜で2.9トン 程度ありますから、全く心配ありません。
ロープなら加工も交換も容易です。また、レースは関係ないということでしたら、ダブルレイドで芯材がダイニーマの物を使えば、色柄付きで外皮を柔らかい素材のロープにすれば、手触りも良くなります。

ジブシートの接続にソフトシャックルを使う

これはセーリングクルーザーでも使える手段です。ジブシートをもやい結びで2本付けているヨットがありますが、結び目が大きくなってしまいます。ジブシートもできればアイスプライスしてソフトシャックルで2本をひとまとめにして接続すれば、ジブシートを外したい時には簡単に外すこともできます。また、ジブがシバーしている時でもソフトシャックルならスタンディングリギンに当たっても心配いりませんし、バウで作業している時でも怪我の心配もありません。
因みに

ソフトシャックル
ソフトシャックルを選ぶときには、ジブシートと同じ径以上のロープで作られたソフトシャックルを必ず使いましょう。
上の写真は実際にMALU号でやっている写真です。ジブシートは自分でスプライスして、ソフトシャックルでジブに繫いでいます。ソフトシャックルの耐久性が心配だったのですが、付けて1年以上になりますが、全く問題ありません。

ブロック類の接続にダイニーマを使う

ブロックを取付するときにはシャックルを使いますが、シャックルの代わりにダイニーマなどで作った輪で取付することでシャックルが不要になります。また、シャックルが壊れたり、替えが無くても3から5ミリ程度のダイニーマロープを1巻き持っておくことで応急処置にも使えます。その部分の掛かるテンションにより太さを変える代わりに輪を重ねることで高いテンションにも対応できます。

ブロック取付

最後に… 競技艇ではどんどん使われている

ダイニーマなどの超高分子量ポリエチレン繊維のロープは、セーリング競技艇では沢山使われるようになっています。競技艇で使う大きな理由は軽量化ですが、我々のようなクルーザーの場合には、重さを気にすることはありません。しかし、金物は錆てきますし、突然破断したり、ブロックも古くなってくると動きが悪くなります。そう言った交換時期に従来通りの交換をするのではなく、こう言ったものを使ってみるのも面白いと思っています。

また、ライフラインは僕も是非、次のメンテナンスでは採用してみたいと思っています。ワイヤーの錆の心配も無いですし、被服の紫外線劣化や破れなども気にする必要がありません。また、破断強度はワイヤーよりも高く、破断した時にワイヤーのスラントが広がって怪我をする心配もありません。自分でスプライスが出来るようになれば、交換も手軽にできるようになるので、これは面白そうだなって思っています。

 
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