僕たち夫婦がヨット遊びを始めて10年が経ちました。
ヨットを始めた頃は、こんなに長く続くとは考えてもみなかったし、生活的、経済的にもヨットなんて続けられるのかどうかなんて当時の僕たちには想像もつきませんでした。そして、自分たちのヨットを持つなんてことは出来無いって思ってましたから、当時の僕たちが今の自分たちの姿を見たら驚くことでしょう。

しかし、何故ここまで続けることができたのか、そしてこれからもヨットを降りる気など全く無いことを考えると、ヨット遊びには他の娯楽には代え難い何かがあるのだと思います。我が家の場合、MALU号は住んでいる東京から高速を使っても2時間半も掛かる遥か離れた港に係留してあり、週末の交通渋滞を考えるとヨットに乗りに行くための行き帰りを考えただけも面倒な気持ちになり、それが面倒で行く気が萎えしまうことも正直少なくありません。更にヨット遊びは天気や海の状況に大きく左右されるアウトドアスポーツの一面もありますから、海が荒れたり天候が良くないときには敢えてマリーナに行くなんてこともしません。船に不具合が出てしまえば修理やメンテナンスで出航できません。まあ、とにかく色んな意味でレジャーなのに面倒くさい遊びなのです。しかし、それでも何故かヨットをやめよう、ヨットを降りようとなんて考えたことはこの10年間一度もありません。それは何故なんだろう?って最近少し考えるようになりました。

そして最近、周囲のご高齢のヨット乗りの方がヨットを降りて船を処分してしまうという場面に遭遇することが増えてきました。理由を聞いてみると、高齢で体もそろそろ言うことを利かなくなってきたから…ということのようです。しかし、そんなご高齢になるまでヨットを続けるってことは単なるヨット好きと言うだけで無く、何者に代え難い何かがあったからではないか考えるようになったのです。単に海が好きだけなら、他にも海と関われる手段はいくらでもあります。しかし、ヨットを長く保有し続けるのは、それに見合ったそれ以上の何かメリットや情熱が無いとなかなかできないことのように思います。

私自身もこれまでいろんな遊びをやってきましたが、ヨットにおいてはそこが何となく不思議ではあったのです。仕事がごちゃごちゃしているときでも、なんだかいろんなことがうまくゆかないときでも、何故かヨットに乗りに行ってしまう。マリーナに着いて自艇の鍵を開け、キャビンに乗り込んで船でボーっとするだけでも、なんだか気が紛れる。そして、舫いを解いて船を海に出し、ちょっとだけセイルを上げてヨットを帆走らせるだけでも、「あー来てよかった」って気持ちに不思議となるのです。そう、週末の高速の交通渋滞を乗り越えてまで行き来しても不思議にリフレッシュして東京へ戻ることができるのは何故なんだろうって漠然と思っていました。

そんなことを漠然と思っていたところに、その答えになるような文章を海外のセーラーの書いたブログに見つけたので読んでみると、なるほど…という感じだったので、そこに書かれていたことをベースに MALU SAILING流に「ヨット遊びにより得ることのできる心と体の健康」について書いてみたいと思います。
ご興味のある方は読み進めて頂ければ幸いです。

ヨット遊びはストレスを軽減する

ヨットの穏やかな揺れや水を切って軽やかに走る音、そして港を出ればそこに広がる大きな海。絵に描いたような綺麗な景色も心を癒しますが、ヨットに乗ること自体が自然なストレス解消法でもあります。
その理由はと言うと、どうやら海の青にあるようです。科学的にも証明されている水の青色は心を落ち着かせる効果があり、それによって体はリラクゼーションと幸福感を促すエンドロフィンをいう物質を放出するのだそうです。そして、この感覚的な刺激に、青い水平線、ヨットの穏やかな揺れが組み合わされることでストレスが大きく軽減され、リラックス効果が促進されるそうです。これは単に心理的なトリックではなく生理学的な反応で、セーリングするとき自然の中にいるという感覚と静けさにより、ストレスに関連するコルチゾールという物質のレベルを下げる効果があり、波を切ってヨットを操船することで日常の心配事が消えてゆき陸上では再現が難しい静寂の状態を得ることができるのが最も大きな理由だそうです。
確かに、機走で港を出て、セイルを上げて風を入れてエンジンを止め、ヨットが水を切って帆走リ始めると、そこにはヨットが水を切って走る音しかありません。それが何物にも代え難い瞬間であることをヨット乗りは知っていますもんね。

ヨットで帆走することは集中力を向上させる

ヨットで帆走することをセーリングと言いますが、セーリングは「集中力」と「フォーカス」が求められます。集中力とは、一つの物事に注意を向け続けることを指し、フォーカスとは、特定の対象に意識を絞り込むことです。海をヨットで航行する際には、瞬間に完全に集中する必要があります。それは、風向きの判断から帆の調整、針路、周囲の状況、一緒に乗っている人の安全に至るまで、全ての決定が揺るぎなく、そして注意を必要とするからです。このレベルの注意力は瞑想に似たマインドフルネスを生み出します。セーリングすることで日常の多くの気を散らすものから離れ、集中力を鍛え、精神の明瞭さを促します。これは、精神的なトレーニングでもあり、このスキルはセーリング以外の様々日常の場面でも役立ちます。

ヨット遊びは心の健康を支え体力を高める

ヨット遊びすることは、体力の増強と精神的な健康を同時に得ることできることで健康や幸福を総合的に提供します。セーリングすることは、精神的のみならず肉体的なエクササイズでもあります。
揺れ動いているヨットの上での活動は常にバランスを取ろうと体が自然にすることから体幹の筋肉を知らず知らずのうちに鍛えると同時に柔軟性をも促進します。ヨット上で座っていても陸上とは比べ物にならないくらいに体はバランスを取ろうとして自然に体を使っています。また、セイルを操るときには、体力だけでなく体のバランスを取る感覚が必要となり、この動作自体が総合的な体のトレーニングにもなります。また、セーリング中にはこのような運動をすることでエンドロフィンが分泌されます。これによりストレスが軽減され、感情の幸福に関連する重要な神経伝達物質であるセトロニンとドーパミンのレベルが高まることで気分が高まります。また、セーリングでは心肺機能も要求されるため体力と持久力も向上します。
定期的にセーリングを続けることで体は徐々に鍛えられてゆき、ヨット乗りとしての体になってゆきます。そして、このことが身体のエネルギーレベルの向上と全体的な幸福感をもたらします。
このようなセーリングにおける肉体的及び精神的なつながりは、他の遊びではは殆ど得ることができない独特のものを産み出します。そのため、健康と幸福をバランスよく求める人々にとってセーリングは他では得ることのできない特別な遊びの選択肢ということが言えるのだそうです。

ヨット遊びは解放感を与えてくれる

海の上で水平線が続くような場所にいると、セーリングは深い自由と解放感をもたらします。出航すると、町の喧騒や仕事、日常のルーティーンから離れることができ、鳴り響く電話やメールの通知、交通渋滞もありません。代わりに、風と水の心地よい音に包まれ、世界は無限の青のキャンバスとなります。この現実世界からの離脱は、単なる精神的な逃避ではなく、実際に感じる自由の感覚です。
ヨットを岸から遠ざけるにつれて日常生活の重荷やストレスを徐々に開放します。陸上ではすべてを圧倒していた心配事も、広大な海の背景に対しては重要ではなくなってゆきます。
また、セーリングをして水上に居る時、自然と調和し自然のリズムとつながる原始的な状態に人を戻すという独特の機会を提供します。
航海するには、風、波、天候に対する鋭敏な感覚が必要であり、この要素と共生関係の中で目的と方向性をを見つけることができます。セーリングが与える解放感は、爽快でありながらも浮足立ったものでは無く、地に足がついたものです。そう言ったことが、精神を再生し、人生の課題を異なる視点から見ることを可能にします。それは、世界の広大さと日常生活の枠を超えた無限の可能性を思い出させてくれます。

ヨットで航海することは達成感と支配感を得られる

ヨット操り航海することは、大きな達成感と コントロール感 を得ることができます。セーリングは単純な水上レジャーではなく、自然の力を操り、困難を乗り越えることです。海の予測不可能性を征服することは レジリエンス を高め、達成感とコントロール感を得ることができます。風に向かってタックすることを学んだり、悪天候を乗り切ったり、遠くの目的地に到達したりするこれらの成功体験は、個人の成長を促しセーラーの自尊心を高めます。
セーリングにおける達成感は、新しい操縦を習得したり、特定の目標に到達することをに限らず日々の決断や責任にも及びます。航路を計画することから風のパターンを読むことまで、それぞれの行動がコンロール感と達成感の向上に寄与します。この エンパワーメント は日常生活にも持ち越され、水上で学んだスキルが他の取り組みにおいてより大きな自信と効果をもたらすのです。

ちょっと普段使わないような言葉が多いので語句の説明を入れておきます。
 コントロール感 :自分の行動や状況に対して自分で決定し、影響を与えることができるという感覚を指します。これは、物事が自分の手の中にあり、思い通りに動かせるという自信や安心感でもあります。
 レジリエンス :困難やストレスに直面したときに、それを乗り越えたり回復したりする力や適応能力を指します。柔軟性や精神的な強さとも言われ、逆境や変化に対して適応し、前向きに対処する能力を意味します。
 エンパワーメント :個人やグループが自らの力を発揮し、意思決定を行い、自分の生活や状況を改善するための力を持つことを指します。自立や自己効力感を高めることで、自分の目標を達成し、自己実現を図るためのサポートやプロセスを意味します。

最後に… ヨット遊びは心と体と精神に作用する

さて、どうだったでしょうか。最後の方は、なんだかビジネス書や自己啓発書に書かれているような難しい文章になってしまいましたが、ヨットに乗りに行き海に出ると、全て自分で考え自分で決定し自分で行動する必要があります。そして、海上ではヨットの操船に集中していると、日常の様々な面倒を忘れることもできます。そして、少し沖に出て海の青が濃くなり、適度な風と波の穏やかな海面を滑るように帆走っているときの爽快感は他のレジャーでは感じることのない感覚を得ることができます。
気付けばいつも船の上で、「あ~今日来て良かったね」と妻に話している自分が居ます。普段の生活で起きる悩み事や頭の整理がつかないときなどにヨットに乗って少し体を動かし、駿河湾の真ん中あたりでボーっとしているだけで、なんだか心の整理ができてくるような気がします。
こういった感覚を言葉にすると上の5つのような文章になるんだろうと思います。
当然、ヨット遊びも良いことばかりではありません。終わりの来ることが無い船のメンテナンス、お金もそれなりに掛かかります、そしてヨットにまつわる事柄いろんなことが思い通りになりません。人によってはそれがストレスに感じます。しかし、それらの犠牲を払っても余りあるほどヨット遊びは心と体と精神に作用しメリットがあるのだと改めて再認識できました。

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