僕たちは、未だヨット初心者レベルからちょっとだけ抜け出した?程度のヨット乗りではありますが、自分たちのヨットを持つ前の数年間、ヨットクルーとしてベテランオーナーのヨットに乗せて頂いてたこともあり、諸先輩方からいろんな事を教えて頂いたり、その船で起きた様々なことから実践的に学ぶことができたので、MAŁU号に乗り始めてからあまり大きなエラー(失敗)はこれまで経験したことがありません。そのお陰とでも言いますか、古い船を壊すことなく、今まで乗り続けることが出来ています。

しかし、いろんなところから、やっちゃいました…とか、助けに来てもらいました…なんて話をたまに耳にしたり、あーこの船トラブりそうだなって遠目に見て思っていたら案の定やっちゃったんだ…なんてことがあったりします。

おそらく、僕の目から見て僕が経験したり教えられたカタチになってないから、やっぱりそれは起きてしまうんだなって思うのですが、ヨットオーナー同士でこんなこと気をつけた方がいいよって会話をする人は少ないだろうし、そんなことを書いている教本も見たことがありません。…と言って、それってヨットマンの通過儀礼として、誰しも一度はやることだから…と言うのも、MAŁU SAILING的にはなんだか親切で無いような気もします。

そこで今回は、こう言うことは気をつけておいた方がいいよって言う事柄をエラーを例にしてメモしておきたいと思います。

1.ロープをプロペラに巻いてしまった

初心者のエラーで多く見られるのが、ジブシートなどのロープを海に落としてしまい、落ちたロープがプロペラに巻きついてしまうというエラーです。
このエラーの原因は、ロープの管理ができてないからです。
ロープ管理とは、末端からウインチに掛けて留めるまでの間(引き込んで余った部分のロープ)が何処にあるか曖昧な状態と言えます。この時最も重要なことはコックピットの外側に出さないことです。ロープはコックピットの内側に入れる習慣をつけておくこと、どんな時でも絶対に船縁にロープは置かないことです。
このエラーで特に多いのがジブシートですが、シート類だけでなく、ハリヤード類もセイルを上げるとハリヤードが長くコックピットに来るわけですが、必ずコックピットの外側に出ないようにしておくことです。(僕はコンパニオンウエイからキャビンに必ず落とすようにしてます。これが1番確実!)船によっては、ハリヤードはマストサイドにあることも、そんな時にはブレーキングして吊るしておくか、ロープバッグに入れるなど、やはり海に落とさないようにしておく必要があります。
セーリング中は余った部分のロープ類がコックピットな床や座面に散乱している状態になるわけですが、絶対にコックピットの内側から外には出さないようにすることでエラーを防ぐことができます。
コックピット内の足元がロープだらけになって、足の踏み場が無くなるからと言って、ウインチより外側の船縁に束ねて置くなんてことは絶対にしちゃダメです。ポロッと船縁から水面に落ちただけで、一気に海中へロープはさらわれて行きます。こうなったら一巻の終わりです。

それと、ロープの管理という意味では、ブロックなどからロープが抜けてしまわないように、必ず末端をエイトノットなどの団子を作るか、もやい結びでループを作っておく事です。ループを作っておくと端をウインチなどに掛けておくことができるので、端から海に落ちるエラーを防ぐことにも効果があります。仮に端はウインチ にかけてあって、間の部分が海に落ちてしまっても、直ぐに引き込みができると言うメリットもあります。
ロープの管理はしっかり行い、舫を解いて出航したら、ロープを海面に着けないようにすることが大切です。

2.電動ウインチで船を壊した

電動ウインチや電動ウインチハンドルは、自身の力を使わずにいろいろな作業が楽にできるツールです。しかし、40フィート以下のヨットならセイルアップもファーラーもジブシートなどの引き込みも、ウインチ にかけて手引き、またはハンドル巻き上げで本来は十分動作させることができます。
この、電動ウインチや電動ウインチハンドルですが、ヨットの経験が浅い時に使ってしまうと船を壊してしまうのをよく見かけます。最も多いのが、セイルを破ってしまうというエラー、他にもファーラーを壊したり、ブロックやデッキオーガナイザーなどを壊すなどなど、とにかく慣れていないと船を壊してしまいます。
普通に手引きして、ウインチ ハンドルを回して巻き上げを充分に経験してる人なら、手の感覚で今日はいつもと違って重たいなとか、動きが悪いなって感じ取って、何処かでキンクしてるんじゃ無いかとか、何処かに引っ掛かって動かなくなってるじゃ無いかと、壊してしまう前に気付くのですが、これを電動でやってしまうと、手応えが無いのでフルパワー力が掛かってしまい、気付けば船が壊れてたなんてことになります。
なので、先ずは手引き、手回しで十分な経験を積んで、セイルアップの時にどんな時に引っ掛かって上がらなくなるかとか、どんな時に何処でキンクを起こすかなどが分かっていれば、パワー機器がちょっとでも動きが落ちるとボタンを離すことができ、動きを止めることができますが、初心者だと壊してしまうまで一気に動かしてしまうと言うわけです。
パワー機器をつかう時には、慎重にそして用心しながら機器の異変に気を配り使用するようにするべきです。

3.帽子を飛ばしてしまう

いつも風が穏やかで波の無い海なら良いのですが、ヨットは風で走らせるものですから、風が多少吹いて波があってもセーリングします。そんな経験を初めてする時に、大体の人が帽子を飛ばしたり、サングラスを海に落としてしまうことが多いです。
まあ、海への捧げ物しちゃった… なんて言ったりしますが、出来れば無くさないに越したことはありません。
実は僕は帽子を無くすのが嫌で、今でもサーフキャップやサーフハットしか船では被りません。サーフィン用だと波に乗ったあとは海に入るわけですから、その時に帽子が取れてしまわないように、ワンタッチ式の顎紐(ベルト)がついてます。これをしっかり締めておけば、サングラスだって落ちません。強風でセーリングする時には、セーリングに集中したいですから、帽子のことなんて構ってられません。そんな時にしっかり被れるサーフキャップやサーフハットは、要らぬエラーを防ぐことができるのです。

4.キャビン水浸し

あー今日はいいセーリングできたな…って思って港に戻ってキャビンに降りてみると、キャビンの中がら水浸しになってたと言うことがあります。そうです。ハッチやポートライトハッチを閉め忘れたために、潮を被った時に中にも入ってきてしまったわけです。出航時には穏やかな海だったから、ついついハッチなどを開けたままだったけど、そのうち風が上がってきて… という話です。コンパニオンウエイのハッチを開けっ放し、差し板を入れないでセーリングしても、潮が被ってしまうことは少ないですが、バウ側のハッチや側面のポートライトハッチを開けたままでは、ちょっと風が上がって波があったりすると、キャビンの中に入った来てしまいます。

最後に… 番外編 陸電外し忘れ

これはMALU号に乗り始めてから、僕たちがやっちゃったことなんですが、出航準備も整って、全ての舫を外し、さあ出発だ!とスロットルを後進を入れたら、なんだか船が動こうとしない… あれ?って思いつつも、後進のスロットルを強めに入れた瞬間に気付いたのが、陸電ケーブルの外し忘れでした。(舫を1本外し忘れたようなものです)その瞬間は全く気が付かなかったんですね。ケーブルは引っ張られて中で断線してしまったようで、それも10メートルと長いケーブルだったので痛い出費となってしまいました。
エラーの多くは、往々にして痛い出費になってしまいます。
まあ、痛い目にあって、その経験で慎重に考えて行動するようになるのですが、ヨットの場合のエラーは結構大きな痛手になってしまうことが多いので、やっぱりエラーは無い方がいいですね。
ビギナーレベルのうちは、冷静さが欠けがちです。落ちついて平常心でヨットを動かせるようになれば、こう言ったエラーも事前に頭に描きつつ、エラーを未然に防ぐことができるのですが… そこで、事前にエラーが起きそうなことを知識として知っていれば、それを少しでも防ぐことができると思って今回は書いてみました。

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