前回はタモリカップの変遷についてお話をしました。…と言うか変遷をまとめるだけで終わってしまいましたが、今回から数回に分けてタモリカップの凄さである特徴についてお話をしてゆきたいと思います。
特徴をご紹介する前に、タモリさんがどうしてタモリカップをやり始めたのかということを知ると、よりタモリカップを理解して頂けると思いますので、先ずはそこからお話を始めます。

タモリさんがタモリカップを企画した理由

タモリカップが始まって10年、今やヨットの一大祭典となったタモリカップですが、タモリさんが自分を冠にしたヨットレースを企画した理由について、あるインタビューでこう語っています。

「ヨットを愛する人の数が年々減ってきているんです。このままじゃいかん、なんとか盛り上げようとタモリカップを発足しました。」(引用:月刊LOGOS

単なるヨット好きが単にレースを主催するのではなく、ヨット人口の減少に歯止めをかけるため、ヨットって楽しいんだ、是非出てみたい、こんなに楽しそうだったらヨットをやってみたいという気持ちを起こさせるものをやってやろうという従来型の日本のヨットレースやヨットイベントの概念を大きく超えたタモリさんのアイデアや気概をタモリカップの随所に見ることができます。

海上パレード

ヨットレースのエントリーは事前申し込みのうえ、レース当日に出艇申告を大会本部受付で行うのが通常です。しかし、タモリカップはこの段階で既に一味も二味も違います。帆走指示書にはこう書かれています。

『出艇申告は、海上のタモリ艇とレース・コミッティー・ボートの『G 旗』 を掲揚しているポールの間をポートタックで 9 月 1日 9:30~10:50 の間に通過する事で完了される。』(引用:タモリカップ横浜大会2018 帆走指示書)

つまり、タモリさんが乗るフラッグシップの前をレースに出走するヨットはタモリさんを左に見て指定時間帯に通過することで出艇申告が完了するというのです。またそれだけではありません。

様々な大爆笑パフォーマンスが繰り広げられるのがタモリカップの恒例行事”海上パレード”。スタートラインに向かう皆さんを森田大会名誉会長が激励する。言わばタモリカップの出陣式。「タモリカップの観艦式みたいなものです」(森田大会名誉会長)(引用:タモリカップ横浜大会2018 パンフレット)


この出艇申告でタモリさんの前を通過するとき出走艇は其々に趣向を凝らしたパフォーマンスを行い、大会の目玉である「ベストパフォーマンス賞」を目指して競うのです。審査はタモリさん1人の独断と偏見で決まるそうです。また、総合司会を務める元フジテレビアナウンサーの内田恭子さんが選ぶ「ウッチー賞」もあります。レースだけでなく、こういう部分で参加して楽しんで欲しいというタモリさん独特の仕掛けとも言えます。

速くなくても楽しめればいいという精神

ヨットレースと言うと、やはり速さを競うものです。船の性能や操船のレベルが高くなければ早く走ることはできません。ハンデキャップはありますが、やっぱりレースで優勝するのは百戦錬磨のチームだったりします。レース何て興味無いよ、自分の船は速くないし…という人も居ます。しかし、タモリカップはレースに参加する全てのチームに楽しんでもらいたいという精神が貫かれています。タモリさんが来るなら、生タモリを見に行ってみるかと言うだけでもいいわけです。本気でタモリさんの前でバカな仮装をすることで表彰式の壇上に登りタモリさんと記念写真を撮ることを夢見てパフォーマンスで頑張るヨットレースがあったっていいんじゃないっていう、タモリさん独特の目線での考え方ですね。しかし、これはやってる人も周囲で見ている人もやっぱり楽しいものです。

2018年のパンフレットにタモリさんの言葉があります。
「回を重ねるごとにレベルアップしていく各チームのパフォーマンスに、毎年、腹を抱えて笑いながら感心している。さすがはヨットマン! そのセンスとパワーは、誰にもまけていない。大いに笑われてくれることを願う。いい歳こいてナニやってんだと。そこに価値を見出せない人間が不幸だ。いい歳こいてるからできるのだ。 大会名誉会長 森田一義」 (引用;タモリカップ横浜2018パンフレット)

少し余談になりますが…

僕たち夫婦が乗ったチーム艇が2017年の横浜大会でこのベストパフォーマンス賞に選ばれました。レース後のパーティーで表彰式があり、自分たちは全く関係ないと思っていたところにチーム名が呼ばれステージにチーム全員で行きタモリさんと握手させて頂きました。他のチームが趣向を凝らした華やかな仮装をする中、僕たちのチームはサラリーマンチームということでダークスーツにネクタイ姿、タモリさんのトレードマークであるサングラスを掛け大会参加景品として配られるキャップ(2015年は黒)を被り、まさに全身黒ずくめでタモリさんの方を全員向いて帽子を手に持ちご挨拶しながら前を通過しました。
シュールな感じがタモリさんにウケたのかな?なんてチームメンバーとは話ていますが、選出理由は今や謎です。

(日本一楽しいヨットレース「タモリカップ」の特徴、次回につづく)

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