ヨットと言えば、パワーボートと見比べて見た目にハッキリ違うのが高いマストと縦横無尽に引かれたロープ類です。ロープ類と言っても太さも固さも様々で、動くもの、支えるもの、引き上げるもの、操作するもの、縛るもの、などなど… 使われ方によってロープにつけられる名前は全て異なるのはこれまでの記事にも書いてきましたが、まあとにかくややこしいわけです。ヨットで使われている名称の多くは古く帆船から来ているわけで、一昔前はヨットと言えども1人では操船するのが困難な造りだったわけですから、複数の人で操船していたわけです。そうするとキャプテンのオーダー(指示)を間違いなくクルーに伝達して動いてもらうためには、聞き間違いがあっては一大事、そんな間違いが出ないようにするために全て細かく呼び分けているわけです。

ライン
でもまあ、そんな細かな用語を知らなくてもヨットを走らせることは意外に簡単に出来るのですが、ヨットを本格的に始めると、いろんな機会に「これってなんて呼べば良かったんだろう?」という場面が出てきます。自分の船をメンテナンスの際にロープ交換をしようと買い物するときにも、この場所に使いたいということを説明してチャンドラー(船具屋のこと)の店員さんに適切なアドバイスをしてもらおうと思えば、スムーズな会話をするためには細かな用語の使い分けは出来た方がスムーズになります。また、最近ではネットで何でも買い物できるようになったので、検索するときなども、知っていた方が早いですね。

今回初めて MALU SAILING に辿り着いたという方には、これまでの関連記事をお読みいただいてからの方が良くわかると思います。以下を是非、ご一読ください。

ロープのことを知ればヨットが楽しくなる

ヨット用語に戸惑う ~ハリヤード&シート編~



さて、今回はロープ関係のヨット用語続編として、「ライン」と「ラ二ヤード」というヨット用語について書いておきたいと思います。

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ロープとラインの違いとは?

沢山のロープが使われているヨットですが、ある人はライン “line” と呼び、ある人はロープ “rope” と呼びます。「そのロープ引っ張って」とか「そのラインを出して」なんて、船によって、オーナーによって、クルーによっても様々な呼び方をしているのが実態かもしれません。
しかし、ヨットの世界ではロープとラインには明確な違いがあって、本来は呼び分けされています。

ヨット上では、何らかの役割を持って使われているロープのことを「ライン」と呼びます。つまり、船にセット済みだったり、取り付けて使用するロープは「ライン」と呼ぶわけです。
そして、ヨット上で「ロープ」という場合には、用途は決まっていないけれど束ねて(コイルされて)置いてあるものを「ロープ」と言います。

つまり、使っていないロープを係留時に使用すると、ムアリングラインとかドックライン(日本語では係留索)というわけです。しかし、それをリリースして片付けてしまったら、ロープ(日本語では縄とか綱)と呼ぶわけです。
また、ムアリングライン持ってきてとは言いません。あくまでも船に取り付けて引っ張られた瞬間にムアリングラインになるのであって、それまでは「ムアリングに使うロープ持ってきて」と言うわけです。まあ、これって英語表現を日本語にして説明するとこうなるということです。

特別な名前が与えられている場合

役割を持っているロープをラインと呼ぶわけですが、ジブについているロープはジブラインとは呼びません。同様にメインセイルを引き上げるロープもメインラインとは呼びません。
既にご存知のように、ジブをコントロールするためのロープはジブシートですね。
「シート」とは、セイルをコントロールするためのロープのことを指す特別な名前です。
同様に、メインセイルのトップから出ているロープはメインハリヤードです。
「ハリヤード」とは、セイルを上げ下げするためのロープのことを指す特別な名前です。
「シート」と「ハリヤード」は他とは完全に違いをつけているのは、大荒れの海の上で操船するうえで絶対に聞き間違われては困るものだからこそ、特別な名前を与えられているわけです。そして、この2つの名前は、それ以外の用途では絶対に呼ばれることがありません。
例えば、ワンポイントリーフシートとは言いません。正しくは「ワンポイントリーフライン」です。ワンポイントリーフラインは、セイルコントロールをするものではなく、セイルを縮小するためのロープだからです。ヘッドセイルファーラーシートとも言いません。正しくは「ヘッドセイルファーラーライン」です。これも、セイルを巻き取ったり、展開したりするためのロープであり、セイルコントロールしているわけではないのでシートではないわけです。

繊維からロープになるまで

ロープはご存知のとおり、繊維を紡いだものを糸にして、その糸を撚り合わせたものが紐となり、紐を更に編んで造った物がロープとなります。ヨットの世界では、これらにも全て名前が付いています。
繊維は英語でfiberですが、糸のことはヤーン “yarn” と呼びます。そして糸を撚ったものをストランド “strand” と言い、このストランドを編んだものをロープ “rope” と呼びます。ロープにもストランドを3本で編んだ3ストランドロープ(日本語では3つ打ちロープ)やヨットのハリヤードやシートでは24ストランド、36ストランドなど、強度が高くなるにつれて打ち数の多い物を使用します。※最近では繊維自体の強度が上がっており、太さやストランド数が従来と同じでも何倍もの強度の高強度ロープが主流です)
また、打ち数とは関係なく、細いロープのことをヨットの世界ではコード “code” と呼んだりします。
ファイバー➡ヤーン➡ストランド➡コード⇒ロープ と言った具合です。

引っ張るための引手「ラ二ヤード」

ラ二ヤードという言葉を聞いたことがある人は、かなりヨットに深くハマっているか、別のマリン関係の趣味を持っている人だろうと思います。
現代のヨットでラ二ヤードと言うと、ライフラインを張るときに端を引っ張っている部分のことを指します。ワイヤーロープを使っている場合には、ターンバックルを使って引っ張りますが、金物を使わない場合にラ二ヤードで引っ張ります。
これは元々、大航海時代の帆船のマストを立てるためのスタンディングリギンの張り具合を調節するために、洋服のボタンのような大きな丸い木に穴が開いている器具にロープを通して引き締めることでスタンディングリギンの張力を調整していました。(現代で言うところのターンバックルの役目をする部分のこと)

ライフライン ラ二ヤード
lanyard

つまり、ラ二ヤードとは引っ張るための引手(ひきて)の部分と言う意味で、これまで書いたラインではありません。
この引っ張る部分ということから、ラ二ヤードは現代ではストラップと言い換えられたりするようになっています。ヨットだとディンギーのセンターボードのセーフティーピンにストラップを付けますが、これもセンターボードピンラ二ヤードと言ったりします。その他にも、クイックリリース式のシャックルのリリースピンを引っ張るために付けるストラップもラ二ヤードと言います。

Ronstan Snap Shackle Lanyard

最後に…

ラ二ヤードは引手(ひきて)、つまり「取っ手」であって、手で引っ張るアクションが無い物はラ二ヤードとは言えません。
ディンギーのセンターボートピンラ二ヤードもシャックルとピンを繫ぐ紐のことをラ二ヤードと言っていると思われがちですが、実際にはピンを引っ張るという役割が本来の目的でシャックルを繫いでいる部分はオプションというわけです。

ラ二ヤードが現代のヨットで最も活躍する部分としては、クイックリリースシャックルのリリースピンを引っ張る部分にラ二ヤードを取り付けることです。僕自身もヨットの乗り降りする部分のライフラインがペリカンタイプのクイックリリースシャックルが付いているのでラ二ヤードをパラコードで編んで取り付けています。パラコードは紫外線に弱いので、ラ二ヤード用のコードがチャンドラー(ヨット用品店)で売られているので、それを使うと長持ちします。パラコードを一巻き別の目的で持っているので、それを消費するためにどんどん新しいラ二ヤードを作っては交換していますが、数か月でボロボロになっています。

船乗りとロープは切っても切れない関係です。特にヨットマンにとって様々なロープワークはヨットをやっている限り続きます。スプライスだけでなく、ラ二ヤード編んだり、要らなくなったロープでマットを作ってみたり、セーリング以外にもロープでいろいろと細工するという楽しみもあったりします。長雨などで出航できない時には、ヨットのキャビンで時間潰しに楽しんでみてはどうでしょう。

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