このブログでいつかは、僕の憧れる「J-Classヨット」のことについて取り上げたいと考えていたところ、今年の3月、時は正にコロナ禍のロックダウン直前に行われたスーパーヨットの祭典である「スーパヨットチャレンジ アンティグア」”Superyacht Challenge Antigua” に初めてJ-Classシリーズレースとして参加したJ-Classヨットですが、レース初日のスタート直前の1分40秒前、スタート争いをする中で、いよいよスタートラインへ向かおうとしたそのときに衝突事故が起きてしまい、J-Classヨット5艇が参加のうち事故を起こした2艇が早々とリタイアするというハプニングが起きてしまいました。
J-Classヨットと言えば、建造費は1艇あたり1億ドルを下らないと言われるクラッシックデザインのスーパーレーシングヨットですが、そのヨット同士が衝突してしまったわけですから合計2億ドル(日本円にしておよそ200億円超)という驚きの金額の衝突で “J CLASS ASSOCIATION” 発足以来、同レース史上初めての大きなアクシデントとなってしまいました。
…ということで、今回はこのJ-ClassヨットのアクシデントとJ-Class についてお話をしてみたいと思います。
Contents
J-Classヨット、Svea号とTopaz号の衝突
J-Classヨット最新艇 “JS1 Svea”号
Svea号の特徴は、大径の半分はデッキの下に沈み込んだステアリングホイールで、ヘルムスマンは座っていてもテルテールを見ながらヘルムをとることが出来ます。デッキレイアウトはメインセイル、ジェノア、ランニングバックステイが全てヘルムスマンより前でコントロールされる現代的なコックピット配置になっています。
水線長が最長デザイン “J8 Topaz”号
最後に… J-Classヨットについて
今回、衝突した2艇は、現在10艇ある J-Classヨットのうち、最も新しく建造された2艇ですが、J-Classヨットは、レストアされたもの、またはアメリカズカップ艇として計画され建造されたことがあるか、または図面が残っている物のみ再建造できるというルールになっています。(ハルデザインは基本的に変えることができません)
J-Classヨットは、1925年に定められた国際ユニバーサルルールのA~Jのクラスの中で最も大きなヨットです。(A~Hはマルチハル、Iは設定なし、S~Jがモノハル)Jクラスが注目を浴びるようになったのは、1930年のアメリカズカップからユニバーサルルールが初めて採用されるようになったことです。それまでのアメリカズカップでは、防衛艇、挑戦艇の双方合意のもと水線長とセールエリアでハンデキャップのレーティングが設定されました。しかし、防衛側主催のレースは必ずしもイコールコンディションではなく、特に挑戦艇は遠路はるばる自走での回航がルールだったことから、明らかに挑戦艇不利となっていました。そこで、1930年のアメリカズカップからはJクラスを採用し、アメリカズカップ史上初のスクラッチ形式のレースが実現したわけです。そのような歴史のあるJ-Classヨットですが、第二次世界大戦によるアメリカズカップの中断、徴用や解体により姿を消してしまいましたが、リプトン卿の”Shamrock V”号のみが改造されて地中海で使用されていた以外は、”Endeavour”号がワイト島で、”Velsheda”号はサウサンプトン近くで放棄されていたのを1980年代に発見、救出、レストアされ、”Endeavour”号のレストアに触発された”Shamrock V”も往時の姿にレストアされたことで、英国にあった3艇のJ-Classヨットが最初に蘇ったわけです。その後、この3艇が2001年にイギリスのワイト島で開催されたカウズウィークで勢揃いしたことをきっかけに前年に設立されたJ-Class Assosiationの活動が盛んになり、現存3艇に加えレプリカ4艇が建造されJ-Classレガッタがスタートし、現在に至るわけです。
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