世界中がコロナ禍の中、昨年(2020年)に開催予定年だった第49回 Rolex Fastnet Race がリスケジュールされ、いよいよ明日2021年8月8日午前11時(日本時間19時)にスタートを迎えます。
日本では東京オリンピックがリスケジュールされて現在開催中ですが、このオフショアヨットレース界の超ビッグイベントとも言われるファストネットレースはオリンピックに負けず劣らずの大人気セーリングイベントで、今年は419艇(2021年8月4日現在)のエントリーでレースボートはイングランドのワイト島カウズに集結し始めています。
今回のファストネットレースの見どころは、何と言っても日本艇のエントリーが2艇もあることです。
2017年はCALSS40、2019年はヴァンデグローブでおなじみのIMOCA60で既に2回の参加を果たしている自称おじさんセーラーの北田浩さんの「貴帆」、そしてシングルハンドで大西洋を横断するミニトランザットレース2019をみごと完走し、更にレベルを上げてきた鈴木晶友さんの「Milai」の2艇が CLASS40 の同カテゴリーで参戦します。
そこで今回は、ファストネットレースについて書いてみたいと思います。
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ファストネットレースってどんなヨットレース?
ファストネットレースは1925年に僅か7艇の参加で始まったオフショアヨットレース(外洋ヨットレース)です。当初は毎年実施されていましたが、徐々に規模が大きくなり1931年からは隔年開催に変わり、更に2001年からはスイスの時計メーカーで有名なROLEX社のスポンサードを受けて隔年開催している欧州で最も古くからあると言われる大人気オフショアヨットレースイベントです。
ファストネットレースの名前の起源は、折り返し地点であるアイルランドの南西海岸沖にあるファストネットロック灯台に因んでいます。
レース艇はイギリスのロイヤルオーシャンレーシングクラブ “Royal Ocean Racing Club” が設定している IRCレーティングルールの基にモノハル艇のハンディキャップレースがベースになっています。しかし、巨大イベント化したこのレースは、近年IRCクラス以外に欧州で人気のあるマルチハルクラス(多胴船)やボルボオーシャンレース艇クラス、ヴァンデグローブでおなじみのIMOCA60クラスやCLASS40などのワンデザインクラスにも門戸を開き、チーム参加以外にもダブルハンド(2人操船)での参加艇も増えており、2021年は400艇、3000人を超えるセーラーが集まる巨大レースとなっています。
ファストネットレースのコース
前回まではワイト島のカウズをスタートしてファストネットロック灯台を回り、イングランド南西部にある港湾都市のプリマスでフィニッシュする608マイル(海里)で行われていました。
2021年レースの今回はコースはフィニッシュ地点が変更され、イギリス海峡の対岸フランス北西部に突き出すコタンタン半島の先端にあるシェルブールに変更されました。コースの総距離は695マイル(海里)に大幅に延伸されました。
新コースは、イングランドの南海岸にあるワイト島カウズ沖のスタートラインから始まります。狭いソレント海峡を通り、イギリス海峡を西に下ってイングランドの南海岸線を辿り、イングランド南西部のコーンウォール半島の先端ランズエンドを回ってケルト海に入ります。ケルト海からはアイルランドの南西海岸沖のファストネットロックを目指し、ファストネットロック灯台を回ってレースは後半戦に突入します。シリー諸島の南を通過するとシェルブールに向けて一直線に走りフィニッシュするというコースです。
ファストネットレースのスタート
400艇オーバーのオフショアレース艇が集結する海面でどうやってレースがスタートするのか、それを想像しただけでも凄い様子が思い浮かぶわけですが、明日の8月8日のスタートスケジュールは以下のようになっています。
スタートは7つのグループに分けて15分置きにスタートします。
スタート10分前に警告信号、4分前に準備信号、1分前に1分前信号、そして1分後にスタートです。
ですから、最初のグループのスタートは8月8日午前11:10と言うことになります。
グループ分けは、基本的にスピードの速い艇のグループからということになります。
2019年大会のスタートの様子がYouTube動画にありましたので、ご紹介しておきます。
ファストネットレースのファーストホーム
ファーストホームとは、一番でフィニッシュラインを通過した「一等賞」という意味ですが、このレースの所要時間が大体どのくらいなのかをご紹介してみたいと思います。
先ず、2019年のレースは608マイルのコースで開催され、最も早くフィニッシュラインを通過したのは、オープンマルチハルクラス(多胴艇クラス)の Ultim32/23 というトリマランタイプのレース艇で、記録は1日4時間2分26秒でした。なんと平均速度は21ノットと言うことになります。この Ultim32/23 というクラスは、マキシクラスと呼ばれていてスピードこそ命と言った感じでヨーロッパではとても人気のあるクラスでもあります。
その次に早かったグループがIRC艇で、IRCゼロクラスのVolvo Open 70というタイプの艇です。記録は1日21時間37分7秒。おおよそ2日弱でファストネット灯台を行って帰ってきたわけです。
以下、IMOCA60 の2日1時間32分28秒、CLASS40 の2日11時間13分22秒、MOCRAマルチハルクラスの3日4時間42分9秒などです。
前回の最終ゴール艇はIRC4クラスの ベネト―Oceanis 393 というタイプの艇で8日16時間59分です。
今回の場合、最終ゴールはスタートから10日後あたりになりそうです。
ファストネットレース参戦の日本人スキッパーの2人
冒頭でも書いたように、2021年のこのレースには日本人として2人(2艇)が出走します。
「貴帆」北田浩さん
北田さんは今やこのレースの常連と言っても過言ではないファストネットレースの第一人者で2017年は今年と同じCLASS40で参戦、更に前回大会の2019年にはヴァンデグローブに参戦したアルノ・ボワッシエールとのダブルハンドでIMOCA60のフォイリング艇で参戦しています。
今年は再びCLASS40の「貴帆」での参戦となり、3度目のこのレースでどんなレースを繰り広げるのか楽しみですね。
「MILAI」鈴木晶友さん
2019年の大西洋横断レースであるミニトランザットを完走したのはまだまだ記憶に新しいところですが、そんな彼がレベルアップしてグローブ40世界一周レースに参戦予定で準備を進めていましたが、コロナ禍によりレースは中止となり2022年にリスケジュールされたのをうけて、ファストネットレースのCLASS40クラスで参戦することになりました。
最後に…「スタートの様子がライブ配信されます」
日本時間の8月8日18:30より、ライブストリーミング配信があります。
レースのウェブサイト: https://www.rolexfastnetrace.com/en
RORC YouTube- https://www.youtube.com/rorcracing
RORC Facebook- https://www.facebook.com/RoyalOceanRacingClub/
400艇超えのオフショアレース艇が海上でスタートする姿を見ることが出来ると思います。
また、レースに関する詳細は FASTNET RACE 2021 ホームページから見ることができます。
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