ヨット(セーリングクルーザー)をやっている人の年代的ボリュームゾーンは、50代後半から60代に掛けてだそうですが、僕たち夫婦の場合には、それよりちょっと早く(うちのとは歳の差がかなりあるので「かなり早く」になるんですが…)にヨット乗りになりました。以前の記事でも書いたように、我がMALU号は30年前のヨット+ちょっと大き目の船ということもあるのでしょうか、僕にとってはまるでフィットネスマシンのように負荷が大きいため、セイルアップや頻繁にタックやジャイブを繰り返すと、もうクタクタになってしまいます。バラストもかなり重たく安定性の高い船だということもあって、20度くらいヒールさせて走らせることは日常的で、風が強くて波があってもセーリングしたい方なので、当然セーリング中はずっと立ちっ放しということもあります。風があればダイナミックな走りを楽しむタイプの乗り方をしている方だと思います。お陰でそんなセーリングをした日には、夕食が日暮れ前には始まって食後にマリーナのシャワーに入ったら、夜更かしなんてすることなくバースに潜り込んで沈没…って感じで眠りに落ちるのが我家の典型的なセーリングしたときのスタイルです。
それだけ疲れるし、運動量も多いから、そういう感じになってしまうんだと思いますが、やはりヨットをやるうえでフィジカルのタフさの必要性を感じるわけです。

ヨットに必要なフィジカル
まあ、こんな走らせ方(※写真はあくまでもイメージです)ばかりしているわけではないですが、それでもセーリングすると結構疲れます。ヨットをやっているコア年代はシニア層、僕もシニアの階段を上り始めているとなると、何もしなければ基礎体力は落ちてきますから、セーリングを永く続けるためには、フィジカルトレーニングが必要になってきます。

そこで今回は、「ヨットをするために必要なフィジカル」についてお話してみたいと思います。

ヨットをやるうえで、どんな動きがあるのか?

まずはフィジカルのことを考えるうえで、ヨット上でどんな動きが多いのかということを考えてみたいと思います。※項目はMALU号で筆者がどんなことで動きがあるかを例示していますので、全てのヨットが同じではありません。

ヨットへの乗り降り

先ずは乗り降りです。30フィートクラスを超えるヨットの場合、桟橋とヨットのデッキ面の高さには、結構な高低差があります。(MALU号の場合には60センチ以上の高低差があります。)また、桟橋にヨットがべったり着いていれば良いのですが、桟橋側からの風があるときには、ヨットは桟橋から若干離れますから、落差だけでなく桟橋とデッキとの間に間隔もあります。それを一息で上がる、下りるという動作があります。

キャビンへの出入り

ヨットのキャビンは基本的にデッキ面より下にあるので、コンパニオンウェイからステップ(階段)を数段降ります。階段と言ってもほぼ真上に上がってゆくような形です。梯子の昇り降りに近い感じです。(MALU号の場合には、スライドハッチの入口の高さからキャビンの床までの高低差は160センチ近くあります。)

スタックカバーのフードを外す、着ける

スタックカバーは、ブームの上にメインセイルを収納するためのカバーですが、マスト部分をカバーするためにフードが付いています。これを出港前には外し、港に戻ってきたらフードを取り付けます。ブームが低い位置にある場合、そんなに大変な作業では無いのですが、ブームが高い位置にある船の場合には、マストに上ってステップの上でカバーを外す、着けるの作業が出てきます。また、この時にメインハリヤードをメインセイルのピークボードの穴に着脱します。

メインセイルを上げる

セイルアップの作業は、メインハリヤードを引き込みます。マストの高さはヨットの長さ以上ありますから、30フィートで9メートル以上のメインシートを引くことになります。また、全長が長いヨットほど、マストも高く、セールも大きく重くなるので、それだけメインハリヤードを引く力は必要になります。
また、メインセイルは完全に上までメインハリヤードを手で引いてあげるのは難しいヨットもありますので、最後はウインチにメインハリヤードを巻き付けて、ウインチを回します。これも、大きなヨットほどウインチとは言え回すのに力が要ります。

ジブセイルを広げる・巻き取るく

最近の殆どのヨットは、ジブセイルはファーリングシステムを使っていると思いますので、そういうヨットはジブシートを引きます。通常に上げ下げするヨットは、ジブハリヤードを引き、ジブセイルを上げてから、ジブシート引きます。
また、ジブセイルの開きを調整するために、メインウインチにジブシートを巻き付けて巻き上げ作業をします。
ジブセイルで最もたいへんなのが、ファーリングジブの巻き取りです。つまり、セイルを閉じる作業ですが、ジブセイルと閉じるにはジブファーラーロープを20メートル近く引き込む必要があります。シバーしているジブセイルを素早く巻き取るためには、ロープをコックピットで全身の力を使って延々引き続けるのです。これは結構大変な作業です。

ヒールしたデッキ上で踏ん張る

セーリング中にせん船体がヒールすると、滑らないように踏ん張る必要があります。座って操船する場合でも、足は踏ん張る形になります。

セイルトリムする

セイルトリムするということは、セイルにつながるロープ類を出し入れしてセイルを調節するので、ウインチにロープを巻きつけてから徐々に緩めたり、ウインチで回して引き込んだりします。
タックやジャイブの時には、ジブシートを左右付け替えて巻き上げたりと、ロープをウインチで巻き上げる、ロープを引っ張るという作業があります。

セイルをリーフする

セイルトリムよりも重労働は、セイルをリーフするときです。風が上がってきそうな気配を察知して事前にやる時には、のんびりやれば良いですが、風が上がってきて海も波立ち始めた時のリーフ作業は足腰がしっかりしていないとできません。

フェンダーの上げ下げ

出港時、入港時にはフェンダーの付け外しがあります。MALU号の場合には、少し大きめのフェンダーが付いていることから、女性では重たくて苦労するようです。

桟橋上で係留ロープを引く

港に入った時には、係留ロープを引いたりします。ヨットの位置を調整するためにロープを引いたり、船体を押したりします。

引く、回す、上る降りる、踏ん張る

上に挙げた様々な作業を見ると、この5つの動きがヨットにおける主な動きとなります。
『引く』『回す』は、主に腕の力が必要なことが解ります。腕を使う時には、腕につながる肩や胸などの上半身も適度に鍛えられている必要があります。
『上る降りる』『踏ん張る』は、足腰の強さが必要なことが解ります。特に脚力の衰えは、ヨットに上がることもできなり、ヨットの楽しみの1つでもあるヒール帆走でも踏ん張りが効かなくなるので、脚力の適切な強化はヨットにおいては必要です。

ヨット上、桟橋上では、不安定なことが多いので、体幹が弱いと姿勢を長時間保つことが難しくなることから、体幹の強化も必要です。

体の何処を鍛えておくと良いか

上の項目で書いたようなことを考えると、ヨットが優雅な乗り物というイメージは全くないことが解ります。しかし、だからと言って決してムキムキの筋肉質になるまでトレーニングしていないと乗れないというわけでもありません。言い換えれば、若さがあれば乗れる程度のものですが、徐々に年を取るごとに体力が落ち、筋力も下がってきます。ですから、長くヨットに乗り続けるためには老化を防止するトレーニングが必要になるということです。

50代以上になってくると、体のあちこちが緩んできます。それにより、腰痛や膝、肩の痛みなどが出てきます。そういう症状がある人にとってセーリングは辛いものにしかならず、好きなヨットに乗るのが億劫になってしまいます。
ですから、体幹、足腰、腕(上半身)などを適度に鍛え、基礎体力を維持しておく必要があるわけです。最も解り易いのは、痛みの出ない軽快な体を維持することがヨットを楽しむためには必要だということが言えます。

最後に… どんなトレーニングをするか

これを書いている2020年4月末現在、新型コロナウイルス感染症対策のために、僕たち夫婦は “Stay Home” で、不要不急の外出を極力避けて、自宅にいる生活をしています。好きなヨットにも、もちろんのこと乗れないし、他県に係留しているので、愛艇に会いに行くこともできません。仕事もこういう事態になると、外出は出来るだけ避けて電話やメール、妻は完全にテレワークしています。そこで僕たち夫婦が運動不足解消とヨットを再開できた時のためにやっているのが、毎日の自宅周囲のウォーキング(1時間~2時間程度)とネットのエクササイズ動画を見ながら毎日最低30分はトレーニングしています。


やり始めるキッカケになったのは、15年前くらいにヒットした「ビリーズブートキャンプ」の令和版というのをここで配信し始めたというので、冷やかし半分で見てみたところ無料体験できるということだったので、とりあえず試しに1週間続けてやってみたら、このエクササイズ1日30分がちょうどいい感じで、やり過ぎってことなく、それでいて短すぎず、そして1週間を終える頃には体に効き始めているのが体感できるようになってきたので、今も継続しています。

正直なところ、追いつかない部分もあったり、妻の方は適当に休みながらやったりしていますが、この画面に映っている人たちのようにヘッチャラでできるようになったら、これはかなりヨットでも楽になるなって感じました。そして、あの空前のヒットから15年経った64歳のビリー隊長が叱咤激励してくれるお陰で、外出自粛が言われ始めておよそ3週間、毎日夫婦で楽しく継続できています。
毎日の日課として楽しくエクササイズできるような構成になっていて、やる内容は日替わりなので、飽きることもありません。
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