僕たち夫婦はヨットを始めて3年で自分たちの船を持ちました。ヨットを始めた頃、自分たちがヨットを持つなんてことを想像すらしていませんでしたし、そもそもヨットをやろうなんて気持ちもお誘いを受けるまで全く無かったのですから、今の姿を最初に想像などできませんでした。
しかし、自分たちのヨットが欲しいって思い始めると、様々な悩みや問題が出てきました。それらを僕たちがどのようにして解決してきたかについて今回はご紹介したいと思います。
尚、おそらく最も高いハードルとしてご家族(奥さん)の同意を得るなんてことが男性の趣味の場合には往々にしてあると思います。しかし、その問題解決はヨットに限ったことではないのでココでは割愛させて頂きます。…というかその対処の方法は残念ながら僕たちには解りません。そこのところはご自身で解決をお願いします。
Contents
ヨットが贅沢な持ち物だという虚像
誰がヨットを贅沢品と言い始めたのでしょうか?
ヨットマンの多くが「ヨットをやってます」と人に話すと「優雅な遊びをしてるんですね」とか「ものすごく贅沢な遊びをしているね」なんて皮肉っぽく言われたという話をヨット仲間やヨットブログの記事でよく見聞きします。僕も実際に以前お世話になっていた会社のひとがFacebookで「ヨットに一度乗ってみたい」って書いているのをたまたま見かけたので「乗りに来れば…」ってコメント欄からお誘いしてみたところ「どれだけ稼いでんねん」?的なコメントの返信…以後それ以外にまともな返事も無く。正直なところ少し嫌な気持ちになったことがありました。
この「ヨット」=「贅沢」とか「富裕層」的なイメージはどこからくるのでしょうか?
僕たち夫婦はダブルインカムで稼ぎだって至って普通です。ただ人と違うことと言えば、ヨットや自分たちのやりたいことををライフスタイルの中心に据えているだけなんですが…。
富裕層の人たちが持つ『凄くいいヨット』
世の中のお金の8割以上を2割の富裕層の人たちが持っていると言われているように、ヨットの世界もそれは同じです。超高額で見た目に目立つ凄い船は富裕層の人たちが持っています。僕たち夫婦もヨットを始めた最初の頃には、そういう富裕層と言われる人の『凄くいいヨット』に乗せてもらっていました。しかし、そういう人のヨットばかりかと思いきや、よくよく見ると、そういうヨットはごく少数派です。
大多数が普通の人たちのヨット
僕たちはヨットを始めたことでヨットを通じて様々な人とお会いしました。その中にはヨットにあこがれを持ち続け一生懸命に働き購入資金を貯め高額なヨットを購入した人もいれば、知り合いがヨットをやめてしまうのでタダ同然で譲り受けたという人、安くて程度の良いヨットをあちこち探し回って購入した人など、その所有するまでのプロセスは実に様々でした。しかし、その人たちは別に富裕層というわけではありません。つまり、大多数のヨットは普通の人たちが所有し、ヨットを趣味として楽しんでいるのです。
初心者には船の見分けがつかない
大型のマリーナには様々な船が係留されているのを見ることができます。マリーナの最も目立つ場所には大型の見た目にとても立派な『凄くいいヨットやボート』が並んでいます。しかし、マリーナ側も施設のイメージアップや宣伝を目的に大きく目立つ船を目立つ位置に配置しています。また、マリーナ内には沢山のヨットやボートが係留されていますが、ヨットのことをよく知らない人から見ればどれも立派に見えるものです。僕たちだって、最初の頃は形が少し違う程度でどれも同じに見えていましたが、その中で最新のヨットや超高級なヨット、つまり『凄くいいヨット』は一握りでしかないと言うことに気付いたのは、ヨットのことに徐々に詳しくなって初めて見えてきたことです。つまり、これらのことはヨットを始めてみないとわからないことなのです。
ヨットの値段はピンキリ
ヨットを始めるといろんなことが見えてくるようになります。例えば、マリーナに係留されているヨットの中には全く動いている様子がないヨットがあったり、メンテナンスがされずに可哀想な状態のヨット、新しくマリーナに入ってきたヨット、いつのまにかいなくなってしまったヨット、個人オーナーのヨット、共同オーナーのヨット、クラブ活動のように毎週沢山の人が集まっているヨットもあれば、いつもシングルハンドのヨットなど、実にヨットの様子はさまざまです。
そんな中に、売りに出されているヨットもあります。マリーナの掲示板などに出ていたり、ヨット専門誌やインターネットの売買サイトに出ていたりします。値段を見てみると実に様々な値付けがされていて法則性がないのです。
古いヨットだからと言って決して安くない船があれば、比較的小綺麗で買ってそのまま乗り出せそうなのに物凄く安い船もあり驚かされることもあります。
値付けはオーナーの事情が優先される
中古ヨットの値付けは、自動車のように流通量が多くはないため相場感と言うものがあまり存在しません。また、売り主の意向や事情が値付けに大きく反映されます。例えば、とにかく早く処分したいと考えているオーナーの場合には、かなり安くで売りに出ていたりしますし、納得のゆく金額で買う人が出てくるまでは売らないというようなオーナーもいます。ヨットは自動車のように販売者が仕入れて手入れをして在庫として売買するケースが極めて少なく、売りたいオーナーと買いたい人との仲介が主です。
ヨットの船齢の話を知って驚いた
船齢とは、船の年齢のことです。僕のヨットは平成15年新規登録のヨットですから今年で船齢15年と言うことになります。15年と言うと物凄く古いヨットに乗っているなあって思われるかもしれませんが、ヨットの世界は実はそうではありません。
ヨットは船齢が高い船が多い
実はヨットはボートに比べて船齢の高い船(齢とった船)がとても多いです。その最大の理由はヨットはボートに比べて趣味性が高く、オーナー自身がマメにメンテナンスをして何十年も乗られているからです。
ヨットの船齢が更に長くなったキッカケ
更にヨットの船齢を延ばすキッカケになったのが、ハル(船体)の素材が木造からFRP造に変わったことです。実は今や小型船の世界は、その殆どが木造からFRPのハルに切り替わりました。つまり、木造だと腐ってしまうところが、FRPだと腐ることがなくなったので、とても丈夫で長持ちするようになったのです。それによってヨットオーナーのメンテナンスの手間は大幅に少なくなったにも関わらず、ヨットは更に長持ちするようになったのです。ハルについてはボートも同じことですが、ヨットとボートの最大の違いはエンジンです。
ヨットのエンジン稼働時間はとても少ない
ボートは走るためにはずっとエンジンを使用する必要があるのでエンジンの稼働時間は非常に長いです。当然、エンジンを止めると移動することは一切できない乗り物ですからエンジンがそのボートの価値の多くを占めています。また、ボートのエンジンは高速で航行するために非常に強力でサイズも大きく、もしエンジンを交換するということになればボートを買えるほどに大変な費用を要します。つまりエンジンの老朽化はボートの価値を大幅に下げ、その多くが廃船になります。しかし、ヨットは港を出入りするときや風が無い時以外は主にセーリング(帆走)し、それがヨットの最大の楽しみ方でもあるのでエンジンは何十年経ってもボートに比べればそんなに使われてない場合が多いのです。また、ボートに比べるとかなり小型のエンジンが使われているので燃料代やメンテナンスに掛かる費用や手間もボートに比べかなり少なくて済むのです。つまり、ボートの世界は自動車と非常に似ていて、車で言うところの多走行車や古いものは人気が無く、どんどん新しいボートに入れ替わってゆきます。しかし、ヨットの世界はたとえ日本一周したヨットでも長く大切に愛用され次のオーナーに引き継がれていく傾向にあるのです。そこが趣味性が高いということにも繋がっています。
ヨットの意外な価値尺度
ヨットの世界では『5年や10年落ちの船はまだまだ新しい部類に入り、15年や20年は人間でいうと働き盛り、25年や30年経っても中年のオジサンから初老』と言われています。ヨットは人間ととても似ていますね。自動車の世界ではこんなことは考えられませんが、ヨットの世界では船齢が高くてもメンテナンスさえきちんとされていれば、全くセーリングを楽しむには問題がないのです。また、型は古くてもフルオーバーホールやレストアされるヨットも少なくありません。それがヨットの魅力でもあり、古いヨットが多く存在する理由でもあります。
古いけど『いいヨット』なら持てる
つまり、僕たち夫婦がヨット始めて気付いたことは、以前に富裕層の持っていた古いけれど『いいヨット』なら自分たちでも持つことができるのではないかと言うことです。
※富裕層が持つ巨大なヨットは幾ら古くても僕たちにはちょっと無理ですが…。
今回の最後に
ヨットを持とうと考えたときに、どうしても気になる2つの事に関して、今回は書いてみました。
1つは、ヨットは贅沢品だから自分には持つのが無理ではないかという疑問。
もう1つは、中古艇に対するヨットの世界の考え方に関する問題を書きました。
もっとストレートの表現した方が良かったのかもしれませんが、僕たちが理解したプロセスに沿って説明を進めてみました。
次回以降、更に突っ込んだお話をしてゆきたいと思います。