ヨットを始めて徐々にヨットにハマり始めたとき、天気が良くて海のコンディションも良さそう、気象情報を見ると風もいい感じで吹いていそうなセイリング日和の日にオーナーが船を出してくれないときほど残念な日はありません。「こんなにいいヨットを持っているのに、なんでこんなに絶好の日に出港しないんだって!」思ったのは1度や2度どころではありません。しかし、これだけは致し方ないこと、人の船に乗せて貰っている以上これは避けて通ることができない現実です。僕たちはヨットに乗れる機会をもっと増やしたいと思い、他の複数のヨットにもクルーで乗るようにもしましたが、やはり同じように海に出られない日が重なったり、逆に出港する日が重なったりと、なかなか思ったようにうまくはゆきません。そんな中、僕たちは少しでもヨットと関わりたい気持ちから全国各地のマリーナやヨットハーバー巡りを思いつき、いろいろなところを見て回りました。これが後のヨットを持とうと思った時に結構役に立ちました。
そこで今回は、ヨットを実際に探し始める前の段階でやっておいて良かったと思ったことが幾つかあったので、それらについてご紹介をしたいと思います。
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ヨットハーバーやマリーナ巡り
僕たち夫婦は二人の休みが合えば、ちょっとした旅行をしたり、仕事の出張ついでにそのまま現地で小旅行を楽しんだり以前からよくやっていました。ヨットが好きになり始めてからは、行った先にヨットハーバーやマリーナがあれば行くようになりました。最初は割と大きなヨットハーバーなら施設内にも入れるし、レストランやカフェなどもあるので、雰囲気を楽しみに行っていましたが徐々にヨットを細かく見るようになったり、施設全体を見学するようになりました。勿論、旅行ですから自分たちが住んでいるエリアから全く離れた関西方面なども見て回りました。
自分が購入を考え始め、船を置く場所を決めるためにヨットハーバーやマリーナを捜し歩くことは、いずれやらなければならないことです。しかし、船を見つけてから置き場探しと並行してマリーナやヨットハーバーがどんなものなのか情報収集をするのでは冷静な判断もできませんし、自分たちがどんなスタイルのヨットライフを送るのかと言うことも決められずに置き場を探すことになったと思います。僕たちの場合、いろんなヨットハーバーやマリーナを見て回っておいたおかげで、自分たちの中でどういうヨットライフを送りたいかと言うことがある程度明確になったと思います。
ヨットハーバーやマリーナにもタイプがあることを知る
ヨットハーバーやマリーナというと、車で言えば駐車場を探すようなイメージになるかと思います。駐車場にも平置きの駐車場から立体駐車場、個室のシャッターが付いているところといろいろなタイプの駐車があるように、ヨットでも「係留型」「陸置型」などのタイプがあります。また、規模的な違いとして、大きなところでは単に船を保管するだけでなくセンターハウス(クラブハウス)やメンテナンス場、燃料給油バースなどを備えている「マリーナ」や、更にリゾート施設などを併設している「総合マリーナ」などもあります。また逆に小さなところでは、漁協や市町村または団体が運営している船を係留するだけの施設やボート販売業者やメンテナンス業者が自社が売った船を預かるサービスをしている「ヨットハーバー」などもあります。
浮かべておくか、陸に揚げるかを考える
船を置く場所には大きく分けて二通りの形態があります。船を浮かべた状態で保管する『係留型』、船を陸に上げて船台に載せて保管する『陸置型』があります。これらの置き方の形態によって、ヨットの楽しみ方やメンテナンスの頻度などに違いが出てきます。
浮かべておく『係留型』
最も一般的な船の置き方は係留型です。係留型には二通りの係留方法があり「桟橋」と「沖止め」があります。
『桟橋』は船を港に着けるのと同じく「桟橋に着けて保管する」方法です。乗り降りが直ぐにでき、施設によっては桟橋に電源や水道が準備されているところもあります。電気を船に繋いでしまえば家と同じように船で100Vの電気を使うことができます。水道は屋外用の水栓があり、水の補給や水流し作業(船の洗浄)などを容易に行うことができます。
『沖止め』はその字のとおり「沖に係留保管する」方法です。テンダー(渡し舟)を使って自分のヨットに乗り降りします。自分の船に乗り込んだら、テンダーを曳いて桟橋に戻します。帰港時には、その逆で桟橋に先ずは着けてテンダーを曳いて自分の沖止めの場所まで行き、最後はテンダーに乗って陸へ戻ります。沖止めはこういう作業が毎回入るので、ちょっと面倒な面はあります。沖止めと言えども、ただ単に船のアンカーをおろすのではなく水中に固定したロープを船の前後に繋ぐので船が風や波で振れ回る心配はありません。
係留型のメリット&デメリット
メリットはいつでも好きな時に出港、帰港ができる事です。また、自分のヨットに出港しない時でも別荘代わりに泊まったりすることができることでしょうか。海が荒れて出港できなくてもヨットの中で食事をしたり寝泊りしたりと、もう一つの小さな我が家として楽しめることはセーリングクルーザーを持つオーナーとしてはメリットだと言えます。
デメリットは、何といっても海に浮かべておくとフジツボや海藻類が船底につくことです。これにより船の走りが悪くなりますし、スルーハル(船体を貫通している給排水口)が詰まってくるので、マメに船底やスルーハルを掃除する必要があります。また、フジツボや海藻類が付きにくくする船底塗料がありますが、これは走ることで塗料ごと付いた生物を落とすという機能なので、大体1年に一度は塗り替える必要があります。
まあ、これらを別荘を持った管理費だと考えれば良いことなのですが、1年というのは割とアッと言う間に来るものなんですよね…。
陸に揚げる『陸置型』
陸置型はまさに自動車の平置きの駐車場と同じような感じで陸上に船を車輪付きの船台に載せて保管する方法です。出港時にはリフトのある場所までマリーナの牽引車で船台ごと船を引き出し、船をリフトで持ち上げて海に出し入れします。船のリフトまでの移動や海への上げ下げはヨットハーバーやマリーナ側にやってもらう必要があります。
陸置型のメリット&デメリット
陸置きの最大のメリットは係留のデメリットが無いことです。海で遊んで港に戻って陸揚げしてしまえば、船底まで水をかけて洗うことができますし、乗らない間は陸に揚げているのでフジツボや海藻類が付く心配は一切ありません。また、陸揚げしないとできないような船のメンテナンス作業をいつでもすることができるのも陸置きのメリットです。また、陸置きは係留に比べて保管料が比較的安いので、これはある意味メリットと言えるかもしれません。
デメリットはいろいろとあったりします。なんと言っても上げ下げ作業を予約しなくてはならないことや上げ下げ毎に費用が掛かるところもあります。出港したいと思ったその時に出港できないのが最大のデメリットかもしれません。また、陸置きの場合にはヨット本体以外に船台も購入する必要があります。そして係留型で書いたようなヨットを別荘代わりにすることはできません。
(※一部のヨットハーバーやマリーナは船台から下ろして桟橋に船をつけて船泊まり可能なところもあったります。)
マリーナかヨットハーバーか?
マリーナとヨットハーバーの定義がはっきりとはありませんので、ここではマリーナは大規模な施設として、ヨットハーバーは小規模な保管施設として話を進めることにします。
マリーナは船を保管する、修理メンテナンスする、給油するの最低3つが整った施設です。つまり、マリーナに船を預けておけば、この3つはワンストップでサービスを受けることができます。また、置いている船の管理もある程度はマリーナ側で面倒をみてくれたり、マリーナに船の様々な悩み事や困りごとも相談することができます。また、クラブハウスやセンターハウスと呼ばれる管理棟の施設内にはミーティングルームやトイレ、シャワールームなどを備えているところが一般的です。マリーナにはリゾート施設や商業施設などと一緒になった統合型のマリーナなどもあり、外来艇の一時係留を受付たりもしていて、船の総合サービス拠点と言うような位置付けにあります。
ヨットハーバーは、主に船を置くことだけの施設です。車に例えると月極め駐車場と言った感じです。運営母体は様々なパターンがあり、地域の漁協や沿岸の使用権者、市区町村、ボートやヨットの販売業者や造船所、ヨットクラブなど様々です。基本的に自分の船の面倒は自分でみるのが原則と考えておけば間違いありません。
係留、陸置きの両方のヨットに乗ってみる
僕たちの場合、いろいろなオーナーの船にクルーとして乗り込むことで、係留型、陸置型の両方を実際に経験することができました。それによって、オーナーがどういうヨットライフを送っているかも見ることができましたし、オーナーから話を聞いたり、実際にクルーとして体験することでメリット&デメリットも実際に感じることができました。
残念ながら沖止めされているオーナーさんの船は乗る機会がありませんでしたが、沖止めされている船のオーナーさんからお話をうかがうことはできたので、とても参考になりました。
どんなヨットライフを送りたいかを考えておく
単にヨットを購入して持つことでセーリングを楽しむのは当然のことです。僕たちの場合には、実際の経験を通して自分たちはどんなヨットライフを送りたいかと言うことが割とハッキリと見えました。ヨットでグランピングのカテゴリーでご紹介しているように、僕たちの場合にはヨットを小さいながらも別荘代わりに使いたいっていう希望がありました。マリーナの中に係留していても海を常に感じることができるし、波音や風の音を聞きながら船内で過ごすのは普段都会の狭い部屋で暮らす僕たちにとっては絶好の気分転換になると思ったのです。
最後に
いきなり「ヨットの置き場について考えろか…」と思われた方もいらっしゃるかと思います。しかし、僕たちがヨットを持てると確信したのはこの置き場の事が見えてきたからなのです。それ程、ヨットを持とうと考え始めた時に大きな障壁となるのが置き場の問題なのです。また、置き場はヨットライフに大きな影響があります。それは上に書いたようなメリット、デメリット以外にも、家から置き場までの移動や時間のこと、置き場周辺の環境のこと、すでに入っている船の利用者のこと、置き場の設備や周囲のお店事情などなど。
置き場と言えど、それはヨットを楽しむためにとても重要なアイテムの1つなのです。
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