僕たち夫婦がヨットに初めて乗ったエリアは東京湾でした。東京湾は日本一の船の往来が多いエリアで、超大型の石油タンカーや様々な貨物船や客船、カーフェリー、自衛隊や米国海軍の艦艇など、もう見れない種類の船舶は無いくらいにいつも多くの船が往来していました。往来が多いだけでなく、漁業もおこなわれているので、漁網や仕掛けなどがあったり、本船航路もあることから、幾らクルーでも東京湾でヨットに乗るなら小型船舶免許を持って海の交通ルールをきちんと理解していないと危ないなって最初に感じました。海の交通が複雑だという事は、様々な浮標(海上の標識)や灯台などがあちこちにあり、昼間と夜では全く違う様子になり夜間航行する際にはそれらの情報を予習しておいてもわからなくなる、見える風景ではなかなか判断できないこともあります。最近は電子海図などの発達でヨットにナビゲーションシステムを積んで、大きな画面で電子海図を見ながら航行する船もありますが、そういう船ばかりではありません。
我が家のMALU号はGPS搭載の簡単な電子海図が入ったナビゲーション機を使っていますが、詳細な情報を得ることまではできません。そこで、何か便利なスマホなどでも使える情報源は無いのかという事で探してみると、さすが日本です。海上保安庁が「海の安全情報」と言うサイトを運営していることがわかりました。更に、スマートフォン専用サイトまで準備されていて、GPS内蔵のスマートフォンだと、自分の位置の周辺情報を地図上に表示してくれます。
そこで今回は、この非常に便利な「海の安全情報(沿岸域情報提供システム)」についてご紹介してみたいと思います。
海の安全情報とは
このサイトは、沿岸域情報提供システムとも言い、海上保安庁がプレジャーボートや遊漁船などの船舶運航者やマリンレジャー愛好者に向けた各種の海上沿岸域の安全情報をリアルタイム発信しているサービスです。
また、スマートフォン用サイトでは、GPS機能を使って現地周辺の安全情報を地図上に表示できます。(パソコン用サイトの場合には、自船位置ではなく任意の位置表示)
また、サイトだけではなくメール配信形式での「緊急情報配信サービス」も提供しています。
このサイト1つで日本全国の情報を網羅しています。
「海の安全情報」で提供される情報
このサイトのメインは地図上に表示されたアイコンがグラフィック情報ですが、その他にも、船舶で航海するうえで必要な各種情報がリンクや書き物として集約されています。
メインの地図表示情報
地図上に31種類のアイコンや塗りつぶし箇所などで表示され、其々をクリックすると詳細情報が表示される仕組みになっています。
気象現況:風向風速を5段階でアイコン表示(11m/s以上、6-10m/s、2-5m/s、風弱く、観測不能)
気象庁発表情報の表示:気象警報・注意報等をアイコンで4種類表示(気象特別警報、気象警報、気象注意報、竜巻注意情報)、地方海上警報ををアイコンで5種類表示(台風警報、防風警報、強風警報、風警報、うねり・着氷・濃霧警報)
海域情報の表示(地図上で塗りつぶされている海域)
海上安全情報の表示:漁礁の設置等、海上での工事等、海上での訓練等、船舶交通の制限等、灯台等の事故等、航路障害物、その他
各種海洋情報データの表示:区画漁業権の区域、定置漁業権の区域、灯台等の場所(灯台、灯浮標、灯標、その他)、海上交通安全法の航路、港則法の航路、海水浴場の場所、潮干狩りの場所、潮汐の情報(推算値)、マリーナの情報(係留施設、クレーン、スロープ、現地事務所)
上のキャプチャーは、東京湾の横浜周辺を表示していますが、たくさんのアイコンが表示されています。
これらのアイコンやグラフィックで塗りつぶしや枠線などで囲まれている場所をクリックすると情報ウインドウが表示されて、このウインドウの中もスクロールして見ることができます。
上のキャプチャーでは物凄く沢山表示されていますが、表示倍率を上げて表示することで、更に細かくエリアの情報が表示されます。
地図上の表示情報の設定
地図上にはとてもたくさんの情報を表示できますが、緊急情報と気象現況以外の情報は、必要な物だけを選択することが出来ます。(キャプチャーしている内容は全表示させています。)
一番上のメニューバーに設定のアイコンがありますので、それを押すことで設定ウインドウが現れます。ウインドウ内はスクロールし、各種のアイコンの表示・非表示を項目ごとに設定できます。アイコンやグラフィック表示の説明もここで見ることが出来ます。
アイコンやグラフィック表示の意味も同時にここで見ることが出来ます。
その他の情報
メインの地図上に表示される情報がかなり充実していますが、その他の情報も安全航海するうえで必要な各種情報がワンストップでここに集約されています。その他の情報は地図画面上の右上にあるメニューをクリックすると表示されます。
各メニューの中に更に細かく項目が設定されています。どの情報も非常に役に立ちそうなものばかりです。暇な時に目を通しておくと役立つ情報満載です。
この中に「緊急時のトラブル対策」という項目がありますが、ディーゼル機関、船外機、PWCの3つに分けて、ケース別にトラブルシューティングできるようになっています。海上で故障すると冷静に判断が出来なくなってしまいがちですが、これを見ながら確認することで解決できるかもしれません。これはとても役に立ちそうです。
ここでは「海の安全情報 緊急情報メール配信サービスの登録」と言う項目がありますが、これは是非やっておくと良いと思います。毎日、何か起きるとどんどんメールで通知されてくるようになりオススメです。
ホーム画面へ追加しよう
折角の便利なサイトですから、いちいち検索したり、ブラウザーのお気に入りに入れるより、スマートフォンならホーム画面上でワンタッチで使えるようにしておきましょう。
iPhoneの場合:Safariを開いて検索バーに「海の安全情報」と入力すると、検索結果に「海の安全情報(沿岸域情報提供システム)スマートフォンサイト」というのはありますので、それをクリックし表示されたら、画面下のメニューバーの真ん中の「共有アイコン」を押し、表示された中から「ホーム画面に追加」を押せば追加されます。
Androidの場合:機種によってやり方が違うようですので、其々個別に確認してください。
※参考:スマホ(iPhone,Android)のホーム画面にWEBページのアイコンを追加する
最後に…
時代はなんでもスマホという感じになってきていますが、海上で小さなスマホ画面を凝視していると船酔いになってしまいそうですね。私は船酔いは無いんですが、その代わりに小さな文字が見にくくなってきたので、スマホの大きさを買い替えのタイミングでサイズアップしました。おかげで画面表示を大きくなって、以前よりは見易くなったのですが、その代わりに重たくなるし、手のひらに収まらなくなって片手で使っていたのが両手使いになってしまいました。便利になったようで、ちょっとそういった面では不便にもなりました。
しかし、このサイトはこれまでの海上保安庁のサイトに比べて、格段に良くなって使い易く便利になりました。是非、うまく活用して安全にヨットを更に楽しみたいですね。
タグ : スマートフォン, セイリング, セーリングクルーザー, プレジャーボート, ヨット, ヨットが好きな人とつながりたい, ヨットのある暮らし, ヨットの楽しみ方, ヨットを楽しむ, 情報サイト, 沿岸域情報提供システム, 海の安全情報, 海上保安庁