自動車の運転免許を取ったのは、高校を卒業してすぐのことで、免許を取って直ぐに知り合いが車を買い替えるという事で、古い車を貰って乗り始めました。子供の頃は家が都会で駅から近かったこともあり、車不要の生活だったことと、両親も車は必要ない生活だったので、家族の中で初めての車が、僕が貰ってきた古い車でした。その車には貰ってきた時からJAF(自動車の会員制救援サービス団体)のステッカーが貼ってあり、僕も何の躊躇もなくJAFにすぐに入会し、毎年数回はJAFのお世話になりました。鍵の閉じこみ、オーバーヒート、昔は多かったどぶ(側溝)への脱輪救助など、昔は年会費を上回る程の救援依頼をして、とても役に立っていました。最近は、鍵はポケットに入れたままでもドアは開くし、エンジンも掛けられるようになり、鍵の閉じこみは無いし、車も故障しなくなったし、道路の側溝もなくなってしまい、会員でありながらJAFへの救援依頼はここ10年近く全くしなくなりましたが、何故が退会する気になれないのは、もしも何かあったら無料で助けて貰える(燃料や部品代は実費)という安心感があるからでしょうか? どうしようもない時のJAF頼みという感じで、最後の手段を残しておきたいという気持ちの表れですね。
ヨットにもJAFと同じような救援サービスが存在します。海上でトラブルになって動けなくなり、波や風で漂流なんて状態は、陸上での車の故障で動けなくなるのとは格段に恐怖感も違います。そんな時に救援依頼をすれば、概ね1時間以内に全力で救援に来てくれるというこのサービスについて、今回はご紹介してみたいとおもいます。
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ボートアシスタンスネットワーク(BAN)とは
BAN(Boat Asistance Network)は、プレジャーボートを対象に「自分の安全は自分で守ろう」をコンセプトに、官民一体となり1992年7月にJMRA(一般財団法人日本海洋レジャー安全・振興協会)の救助事業部門として設立された会員制の救助組織です。事業内容は、マリーナをはじめとする民間の海のプロフェッショナルで構成されたBANネットワークによる「24時間365日の曳航無料サービス」を主な業務としており、それ以外にも会報を通じて会員に対する各種情報提供や安全サポートなども行っています。
BAN ウェブサイト http://www.kairekyo.gr.jp/ban/
BANの救助サービスについて
BANの救助サービスは、➀24時間365日の曳航無料サービス、➁行方府営の際の捜索の2つがあります。
曳航無料サービス
自艇が航行不能、または航行困難になった場合、最寄りの港まで無料で曳航するものです。
また、事故や故障はしたものの航行はなんとかできる場合、その航行に不安があるときには伴走も行ってくれます。
サービス 費用は原則無料 です。但し、1事案につき5トン未満艇の場合は100万円、5トン以上艇の場合は200万円を超える費用となったときには、その超過分については自己負担となります。
BANが対応する事案
1. 通常の事故、故障等の軽微な事案は、BAN対応となります。但し、荒天時等は、その状況に応じて、管区海上保安本部に救助要請をします。
2. 火災、爆発、衝突、転覆、座礁、定置網への絡網等の緊急対応事案、人命に関わる事案では、早急に管区海上保安本部に救助要請をします。但し、それらの事案でもBANの対応が可能なもの(例えば、離礁・解網等により、船体の安全が確認された後における人命救助のための曳航等)についてはBANとしても対応をします。
3. 非会員からの救助要請があった場合には、会員艇の救助に支障がない範囲で救助費の支払い承諾を確認した上で対応します。
捜索サービス
乗組員が行方不明になった場合など、捜索、救助活動にあたります。
費用は実費負担となります。
(ヨット・モーターボート保険に捜索救助費用特約をつけている場合には、保険から支払うことができます。もしもの時のために保険には必ず入っておいた方がよいですね。)
BANのサービス範囲
サービスの範囲は2019年8月現在、東京湾から瀬戸内海及び九州北部までの沿岸と日本海の若狭湾沿岸となっています。
サービス海域は、距岸10海里で、かつ携帯電話しか通信手段がない艇については携帯電話の到達距離内となります。
救助サービス事例と費用
曳航無料サービスですが、費用の上限を超えると自己負担になると言うのは、誰しも気になるところだと思います。
そこで、救助事例とそれにかかった費用についてご紹介したいと思います。
【伴走】デスマスト(マスト折損)
救援開始までの所要時間:39分
12:36 デスマストしたため機走にてマリーナに向け航行中だが折れたマストが障害となるため航行に不安があるので、救援要請
13:15 救助船到着(状況確認)
13:20 伴走開始
14:30 係留地到着、救援終了
(救援料;61,560円 会員につき無料)
【曳航】巻き網漁船の漁網に絡網
救援開始までの所要時間:61分
18:42 操業中の巻き網漁船の漁網に絡網し救援要請
19:43 救助船到着(網元漁船の解網作業中につき付近警戒)
20:30 解網したが自力航行不能につき曳航開始
21:30 マリーナ到着、救援終了
(救援料;93,690円 会員につき無料)
【曳航】機関故障
救援開始までの所要時間:132分
15:14 機関故障にて航行不能につき救援要請
17:28 救助船到着(機関点検指導開始)
17:48 機関復旧せず曳航開始
22:08 係留地到着、救援終了
(救援料;274,590円 会員につき無料)
その他の救援事例
その他の救援事例は下記のリンクよりご参照ください。
https://www.kairekyo.gr.jp/ban/intro/pdf/kaihoshi01/kaihoshi02.pdf
https://www.kairekyo.gr.jp/ban/intro/pdf/kaihoshi04/kaihoshi02.pdf
最後に…(曳航サービスで限度額を超えるケースは殆どない)
これまでの実績データをBANの公式発表で見ても、曳航サービスで限度額を超えるようなことは殆ど無いようです。
対象件数2028件中、5万円未満が全体の46%と約半数を占め、次いで5万円以上10万円以下が29%、10万円以上30万円以下が24%で30万円を超えるは1%と非常に少ないという事が言えます。
また、全案件のうちヨットは21.8%と少ないことが言えます。やはり、パワーボートに比べて機関故障や燃料切れなどで航行が不能となっても、セーリングで港付近までは自力で帰って来れることから、費用も安く、件数も少ないのだと考えられます。
しかし、事例にもあるように海上でデスマストしてしまったというようなこともあり得ることです。そうした時にも周囲を警戒しながら伴走してくれると言うのは非常に有り難い事だと思います。
また、海上での緊急事態には緊急ダイヤル「118」番(海上保安庁)に掛けてしまいがちですが、海上保安庁に救助してもらう事になると、その後に事情聴取等があったり事務所に何度も足を運ぶことになります。
こういう事も総合的に勘案すると、BANの会員として救援サービスを受けることができるという事は非常に価値があると考えます。
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