ヨットは風の力を利用して何処までも旅をする事ができる船ですが、そうは言ってもエンジンも使うので自動車と同じく燃料(ガソリンや軽油)を給油するというシーンは必ずやってきます。
ちょっと話はズレますが、学生の頃に運転免許を初めて取って当時流行りの原付スクーターを買い、初めてガソリンスタンドに… 。当時、僕の家は乗り物といえば自転車程度で家に自動車やバイクなんて全く無縁、ガソリンスタンドなんて場所には人生で一度も踏み入れたことがない。原付免許を取る時にガソリンスタンドの利用方法なんて教えてくれるわけもないので、初めてバイク屋で原付を買った時、燃料計はバイクを揺するとちょっと振れているだけで殆ど入っておらず、バイク屋のオヤジさんに「この後、直ぐに燃料入れて下さいね」なんて言われ、バイクを受け取ったその足で人生初のガソリンスタンド体験をしたわけです。まあ、その時は勝手がわからずドキドキものだったのを今でも覚えています。
ヨットの場合、自分の船に乗り始める前に他のオーナーの船で修行させて頂いていた時期もあったので、何度か給油する場面もあったので、MALU号に乗り始めた時には特にドキドキ迷うことなく給油できました。しかし、船が全く初めてだと僕が原付バイクの時に味わったようなドキドキもあれば、何処でどうやって給油すればいいのかもわからないですよね。
そこで今回は、ヨットの燃料は何処で給油するのか をテーマにあれこれ書いてみたいと思います。
1.小型船用のガソリンスタンド
船の世界を知らない人にとっては、船も自動車同様に燃料を入れて走るのでガソリンスタンドが海にあるんだろうと考えますよね。しかし、多くの人が頭に描いているような陸のガソリンスタンドの海バージョン、実際にはなかなか目にすることは無いと思います。
海のガソリンスタンドは全国に4千箇所もある港には必ずあるんじゃないのかと普通は思いますが、実はかなり限られた場所にしかありません。
小型船用のガソリンスタンドは規模の大きいマリーナや漁港、一部の海の駅などにしかありません。
写真はMALU号を係留させて頂いていている、富士山羽衣マリーナの給油設備なんですが、このような小型船用の給油設備は陸のガソリンスタンド設備と異なり、陸に据えられた給油機から給油ホースを船の給油口まで持っていくために、物凄く長いホースリールを備えています。
こう言った正に海のガソリンスタンドは、このような専用給油機だけでなく、専用の桟橋や岸壁を持っていて、安全快適に給油サービスを受ける事ができます。
2.ローリー車に来てもらう
海のガソリンスタンドが全ての港にないと言うことは、設備がないところではどうやって船に給油してるのかと言うことになります。それが、陸のガソリンスタンドから出張サービスで港の岸壁にローリー車で来てもらうです。つまりガソリンスタンドが港の岸壁に来てくれるようなものですね。
漁港などで給油設備が無いところでは、殆どがこの方法で給油します。しかし、このローリー車に来てもらうという方法は何処でも給油出来るわけではありません。
先ず、船舶給油専用のローリー車で無いと船への直接給油はできません。また、給油のできる場所は港湾管理者の許可がある場所である事。漁港の場合には、その漁港を管理している漁協などが給油を許可していることなどです。何処の岸壁でも給油出来るわけではないということです。
これらの条件が整っていない場合、給油はしてもらえません。
3.バンカーパージ
大型船などの働く船は海上を動くガソリンスタンドであるバンカーパージ(給油船)に給油をしてもらいます。このバンカーパージを小型船舶向けに行っている小型バンカーパージを持っている給油会社が稀にあります。まあ、ヨットに対してバンカーパージが来ると言うのは、なかなかありませんが、一部の地域では小型船用のバンカーパージの係留されているところに行って給油サービスを受ける事ができるところがあるようです。
4.携行缶で買ってきて入れる
灯油などをガソリンスタンドで専用のポリタンクに入れて買ってきて家のストーブに灯油を入れるなんてことをしますが、それと同じ方法でガソリンスタンドで燃料を携行缶やポリタンクに入れて買ってくるという方法があります。
セルフのガソリンスタンドでは携行缶に燃料を自分で入れることは安全管理上できませんので、フルサービスのガソリンスタンドのスタッフに入れてもらうと言う形になります。この時注意が必要なのが、消防法における規格適合している携行缶(又はポリタンクなど)でないと売ってもらえませんので注意が必要です。
最後に… ヨットに燃料を入れる
ヨットに燃料を給油するということは、これまで説明したように簡単に給油してもらえるわけでは無いと言う事が何となくイメージできたでしょうか?
自動車のように燃料が減ってきたら近所のガソリンスタンドで気軽に給油できるわけではありません。「1.小型船用のガソリンスタンド」ですら、年中無休の24時間営業ではありませんから、燃料ギリギリで入れられなければ帰れないという状況では、休業日や営業時間外では営業開始まで待つ必要があります。
また、特に長距離の航海をする場合には航海計画の中に燃料補給をどうするのかと言うことも含めてしっかり計画を立てる必要があります。
田舎の小さな漁港などに入港しても、ローリーも来てくれない、町にもガソリンスタンドが無くて隣町まで行かないと無いなんてこともざらにあります。ですから、確実な補給港を予め決めておき、更に給油の予約をしておく必要があるということになります。
僕はこれが面倒なので、非常時以外は手持ちの燃料で何とかなるように計画して、確実に燃料を入れてもらえる場所で一気に補給するという考え方で予備にポリタンクを4つも積んでいるわけです。
そんなにいつも遠出をするわけじゃないし、駿河湾の真ん中辺りで遊んでいるだけの方が圧倒的に多いのですが、備えあればなんとやら… ですね。
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