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最近流行りの”Yacht Rock”のことをヨット乗りが調べてみた

我が家はセーリングのときはスマホからポータブルスピーカーにBluetoothで繫いで適当に音楽を流してます。いつも妻と二人だから、特に話すことも無く、無音だとヨットが水を切って走る音しか聞こえないので、ここぞとばかりに普段聞かないような最近の最新チャートの曲なんぞを流したりしています。しかし、これも同じ音楽ばかりだと、だんだん飽きてくるというか、またこれ?…なんてことになり、いろいろと面白そうなやつは無いかと探していたら、「Yacht Rock」 なるアルバムがあることを知りました。

このアルバムのジャケットを初めて見た時、「ヨットモチーフの曲ばかりを集めたアルバムなのかな?今どきずいぶん物好きなレーベルがあるもんだ」と思ったりしていたのですが、実はそういうことではないみたいです。なんと以前に見たアルバムのジャケットと同じ絵柄の本まで売っている…これは何じゃ?と思っていたら、どうも今年あたりから日本では流行り始めてるらしく、ヨット乗りとしては、ヨットの文字が入っている以上、捨て置くことはできなくなったので調べてみることにしました。

…という事で、今回はヨットと言えども音楽のお話です。

“Yacht Rock”とは、なんぞや?

いろいろと調べてみると、どうも70年代から80年代あたりにアメリカで流行った AOR(Adult Oriented Rock = アダルト・オリエンテッド・ロック)というジャンル又は “West Coast Sound” と呼ばれる “soft rock” (ソフトロック)のことを指すようです。

ロックと言うと、ハードなイメージでビートの効いたものが主流でしたが、ソフトロックは70年代初頭からアメリカで流行し始めたスムースソウルやジャズの変形であるフュージョン、R&B、ファンクなどのテイストを含んだディスコミュージックなどが代表的で高い音楽性とクリーンなボーカルをメインにキャッチーなメロディーで商業的に大成功を収めた音楽ジャンルです。「Earth, wind and fire」や「アバ(ABBA)」など、この年代を知っている人なら、この説明で「あーこういうのね…」って解っていただけると思います。例に Earth, Wind & Fire – Let’s Groove をあげておきます。
この”soft rock”の流れは更に多様化し、”POPS”(ポップス)と一般的に呼ばれるようになるまでの間に”smooth rock”(スムーズなロック)として西海岸のスタジオで創り出された曲(1975年から1984年くらいまでの間に出てきた曲)を “yacht rock”(ヨットロック)と表現しています。これは音楽業界とは関係ないところからパロディーとして生まれたネット番組が発端で、音楽業界内にはヨットロックというジャンルは実際には存在していないのですが、この番組にリスペクトされたDJや音楽評論家がヨットロックと表現するようになったことから広まったようです。日本でも2015年辺りから徐々に広まり始め、この時代のサウンドが目新しく感じる若い人たちや、この時代をリアルに知っている年代の人たちにとっては懐かしい「青春時代に流行った音楽」として最近再注目されており、日本ではソフトロック全てを「ヨットロック」として、ユルく使われているようです。
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「ヨットロック」と言う言葉の起源

ヨットロックの起源は、アメリカのパロディーネットTVである(channel 101 = チャンネル101)とYouTubeで “Yacht Rock” というタイトルのモキュメンタリー(Mockumentary:架空の出来事を描いた)ドラマ(全12回)が2005年から2010年に掛けてリリースされたものが、そもそものこの言葉の起源です。

このドラマは、1975年から1984年に掛けてリリースされた”smooth music”(ソフトロックのことをこのドラマではスムースミュージックと言っています)をスターミュージシャン達がどのようにして生み出したかというテーマで製作された架空のパロディードラマで、西海岸カリフォルニアのMARINA DEL REYにあるKOKO’S BOATHOUSEというヨットハーバーのボートハウスが舞台という設定になっています。このドラマの中で「ヨットロック」という言葉は、冒頭のエピソードを語るホスト役で ALLMUSIC 常連の自称音楽評論家の”Hollywood”こと Steve Huey が紹介する以外には出てきません。ドラマの中では、”smooth music” と表現されています。

ヨットロックはある意味、比喩的な表現として、「”yuppie”(ヤッピー : “Young Urban Professional” から出てきた造語で第二次大戦後のアメリカでベビーブーム期に生まれた世代で、都会やその近郊に住んで知的職業に就いているエリート青年のこと)たちが所有するヨットでセーリングするときに好んで聞いた”smooth music”(スムースミュージック)」のことをヨットロックと表現したのです。つまり、「ヨット乗りのヤッピーたちがヨットで好んで聞いていたような音楽という、これまた架空の設定」を皮肉っぽく「ヨットロック」と表現したという訳です。ヨットが滑るようにスムーズに海を走る様が、西海岸のスムースミュージック(スムース&メロウな雰囲気)のイメージと重なったということもあると思います。

ヨットロックで取り上げられたエピソード曲

ドラマ ヨットロックは5分程度のショートストーリですが、毎回のエピソードは実際の楽曲をテーマにパロディーっぽく作られています。一部、これは違うでしょ…と言いたくなるような楽曲や作者が血迷ってワケの解らないエピソードもありますが、ヨットロックってこういうテイストの曲なんだという事は、この12のエピソードから伺い知ることができます。

エピソード名のところをクリックすると番組のYouTubeにリンクしています。面白いので是非ご覧ください。”エピソード名”にリンクしているのはオリジナル版で後に画質の良いHD版もリリースされていますので、[HD]ににリンクしてあります。

1. “What a Fool Believes” [HD] Doobie Brothers https://youtu.be/dJe1iUuAW4M
2. “Keep the Fire” [HD]  Kenny Loggins https://youtu.be/R08Rm9T2NWw
3. “I’m Alright” [HD]  Neil Zaza https://youtu.be/QadSVWXF_ks
4. “Rosanna” [HD]  TOTO https://youtu.be/qmOLtTGvsbM
5. “Believe in It” [HD] Michael McDonald https://youtu.be/iMr8PbXjew8
6. “The Seed Drill” [HD] (タイトルに関連する曲はありません。)
7. “I Keep Forgettin'” [HD] Michael McDonald https://youtu.be/cjqOsYRQI0o
8. “Gino (the Manager)” [HD] Daryl Hall & John Oates https://youtu.be/Pd4yxIGdB1c
9. “Runnin’ with the Devil” [HD] Van Halen https://youtu.be/Bl4dEAtxo0M
10. “FM” [HD] Steely Dan https://youtu.be/HV3zWSawJiw
11. “Footloose” [HD] Kenny Loggins https://youtu.be/kK2hpeqkYjA
12. “Danger Zone” [HD] Kenny Loggins https://youtu.be/siwpn14IE7E

ヨットロック アルバムいろいろ

今やヨットロックでいろいろなアルバムが発売されていますので、その中で幾つかご紹介しておきます。

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最後に…

今回、ヨットロックについて調べてみましたが、書いている時に感じたのは、日本でもバブルからバブル終焉までの間に流行った音楽が、まさにヨットロックとダブるわけです。その頃にビジネス絶好調で一流企業に勤めていたような人たちが日本でもヨット界の中心的な層では無かったかと思いますが、彼らがこういう音楽を好んでヨットで聞いていたのかは定かではありません。しかし、当時のディスコではこの手の音楽が頻繁に掛かっていたことを考えると、日本でも大流行していたわけですから、ヨットで聴きながらセーリングしていた可能性は大ですね。

僕が子供の頃の音楽ですが、TOTOなどは当時好きでよく聞いていました。懐かしさもありますが、聞き慣れた曲がたくさんあってなかなか面白そうなので、我が家もセーリングの時に流してみようと思います。スムーズミュージックでヨットもスムーズに走れば、アメリカ西海岸気分に少しは浸れるかな?

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