最近は釣りブームの影響もあって、小型船舶免許(ボート免許)を取る人が増えたそうです。また、レンタルボートの事業も好調のようで、天気の良い週末にはレンタル艇が出港する姿を頻繁に目にします。しかし、今の僕にはパワーボートに魅力は殆ど感じません。それは自分のヨットを持っているからということもありますが、仮に釣りをするにもヨットで釣りに出掛けているヨットマンは少なくないし、たまにはスカッと20ノット近くのスピードで海の上を滑走してみたいって思った時にも、それこそレンタルボートを借りて走りに出れば良いからです。
僕と海とのつきあいは、ヨットよりもダイビングの方が何倍も長く、薄給のサラリーマンだったにも関わらずダイビングするために働いていたと言っても過言でない時代もありました。ダイビングしていた頃にちょっとだけボートが欲しいって思ったことがありましたが、その頃にヨットに出会ていたら、僕の海との関り方や行動範囲は物凄く広がっていたかもしれないって考えたりもします。

青海~ブルーウォーターストーリー~
欧米ではヨットはとてもメジャーな乗り物で、多くの人がヨットのことをよく理解しています。しかし、日本ではヨットのことを正しく理解している人は少ないように思います。それは、ヨットという乗り物がどんなもので、その姿が具体的にイメージできないからだと思いますが、それだけでなくヨットの本質を知る機会が非常に稀だからともいえます。

そこで今回は、「ヨット(セーリングボート)がパワーボートより優れている11の理由」と題して、ヨットのことをより理解するためのヒントを書いてみたいと思います。

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1. 「静か」

ヨットに乗って、おそらく誰もが最初に感じるのが「静か」だということだと思います。
勿論、港の出入りには原則としてエンジンを使って走ることになるので、その時にだけはパワーボートと変わりありませんが、港を出て沖に出て帆を開き、風を受けてセーリングし始め、エンジンを止めたとき、船体が水を切って走る音と風の音だけになり、その静かさを感じるわけです。風の力だけで力強く走っているのに動力音が無いことにある意味の感動すら覚えるという経験は、ヨットならではの特殊な体験かもしれません。

そして、そんな静かなセーリングでは、風の音、水を切って走る音だけで、ヨットの上はとても穏やかです。

パワーボートでは、目的の場所に着くまでずっと80dB近くの動力音がします。これは目覚まし時計が枕元で鳴っているのと同じようなもので、目的の場所に着くまでずっと鳴り続いているのと同じことです。煩いからと言ってエンジンを止めれば漂流するしかありません。

2. 「クリーン」

ヨットは「静か」なことに加え、とてもクリーンな(環境に優しい)乗り物です。
エンジンを用いる時間は限定的で、燃料の使用量はパワーボートに比べてかなり少ないです。釣り好きの人がパワーボートに乗って海に出て往復で1時間くらいの場所に出掛けたとして、船の大きさにもよりますが、燃料代は5千円~数万円位は掛かると言われています。しかし、ヨットで同じ場所まで行ったとすると、港の出入りの数十分だけの機走だと、燃料代は数百円です。この燃料の使用量の違いは、そのまま環境負荷に比例するということです。パワーボートはヨットに比べて10倍から100倍以上の環境負荷が掛かります。

ヨットも時々エンジンを使いますが、それはかなり限定的です。嫌な臭いや騒音無しに海をクルージングできるのは、とて素晴らしいことです。

3. 「安い」

「安い」と言うのは、海に遊びに出た時のコストのことです。
パワーボートを走らせると言うことは、より早く目的地向かう(枕元で鳴る目覚音の時間を少しでも少なくする)ために、殆どの場合、全力で疾走します。また、そうしなければパワーボートの醍醐味は半減してしまうとも言えます。また、エンジンを止めて目的地に向かうことは、パワーボートにはできません。つまり、移動するためには常に燃料を消費します。これは、普通の動力の付いている乗り物であれば当然のことですが、パワーボートの燃費の悪さは自動車など比較にならない程、驚くほどの悪さです。ヨットでもエンジンを動かして機走すれば、1時間あたりにおおよそ3リットルから4リットルの燃料を消費します。パワーボートの場合にも、ヨットのように静々とゆっくり走れば、同じ燃費で走ることが出来ますが、海の水面の波の影響などを大きく受けてしまうことから、やはりゆっくり走るのは苦手です。そして、水面を滑走するように走らせるためには、その何倍もの燃料を消費して高回転でエンジンを回す必要があります。イメージとしては、海に100円玉をじゃらじゃらとばら撒きながら走っているような感じでパワーボートの場合にはお金が掛かります。燃費が悪いことから、燃料代の安いディーゼルエンジンを選ぶ人も居ますが、それでも100円玉が50円玉になる程の節約にはなりません。

ヨットの場合には、何度も書きますが、最も節約できたとすると港の出入りにだけエンジンを使い、それ以外の何時間もの航海では風さえあれば燃料を使うということが無い時すらあります。一度の出港でどれだけの違いがあるかは、それだけでも想像は容易だと思います。

4. 「優先権がある」

ヨットは帆船ですからセーリング状態にあるとき、パワーボートに対して優先権があります。

但し、ヨットでもエンジンを使って走っている時にはパワーボートと同じですから、注意が必要です。

5. 「安全性が高い」

これは無理やりっぽく感じますが、実際に、ヨット(セーリングボート)はパワーボートに比べると、セーリングするために必要な特性から、はるかに安全度が高い船なのです。

  • ヨットはパワーボートに比べると非常に重たく、安定性の高い船です。
  • 多くのヨットはセンターボードかキールを持っており、転覆する可能性が非常に低いです。
  • ヨットに使用される船体の素材はパワーボートに比べて強靭な場合が多いです。

ヨットは大型船のように水にしっかり沈んで船底に重りを積んでいることから水上で常に安定した状態を保つようになっています。しかし、パワーボートは早く走るために軽く造られていて、船体が水面を滑走するように走ります。滑走するということは、船体の半分近くが水上にあり、それによって水の抵抗を減らすということで、強風時や大きな波、荒天時には転倒する可能性があります。逆に滑走状態ではないときは、水の抵抗を大きく受け、軽いことから波の影響を受けて非常に不安定になります。

6. 「信頼性が高い」

ヨットは安全性が高いばかりか、信頼性も非常に高いです。
ヨットは燃料が無くなっても風があれば移動することができます。しかし、パワーボートの場合には、燃料がなくなれば、それはすなわち遭難した言うことになります。
これはよくある話ですが、ヨットはエンジントラブルになってもセーリングで港まで戻って来れたという話は沢山あります。しかし、ボートの場合には、エンジントラブルで遭難し、更に風によって岸に押しやられて座礁したり、防波堤に衝突したり、船体が軽く風の影響を受けやすいことから、どんどんと風に押されて沖に流され遭難の度合いが高くなります。

7. 「エキサイティング」

ヨットは移動中のセーリング自体が楽しみですが、パワーボートは目的地に行く単なる手段でしかありません。
何処か目的地に移動する手段としてだけならば、パワーボートはより早く快適な手段です。しかし、ヨットによるセーリングは、単なる移動手段だけではありません。
セーリングは、コースを計画し、風を使って目的地にたどり着く方法を考えながらヨットを操縦するということは、それ自体がとてもエキサイティングなことです。風に合わせてセイルを操作するには、多少の体力も必要になりスポーツをしているような要素もあります。自分の手で自然の力を利用してヨットを走らせることは、冒険でもあります。

8. 「自分自身を成長させることができる」

ヨットによるセーリングは、自分を成長させる1つの方法だと思います。
悪天候に直面して対処する度に自信が付きます。コース取りを上手く計画したり、海を渡ったり、セイルの正しいポイントを見つけたりするたびに上達することが出来ます。それらは常に自分を成長させることができるわけです。
日々異なる風や波、潮を読み、ヨットの動きを感じ、課題を1つ1つ克服することで改善し学びます。
失敗するたびに学びがあります。セーリングについてだけでなくヨット上で自分自身の性格を知るということもあります。
セーリングが上手になることは、とても遣り甲斐のあるプロセスですが、時間が掛かり時にはイラつくこともあります。
しかし、それらを乗り越え、そして得ることができるものは非常に大きいです。

9. 「より多くの場所に行くことができる」

セーリングクルーザー(ヨット)なら世界一周もできるという言葉は嘘ではありません。パワーボートで世界を周遊するためには、膨大な燃料を積むスペースが必要ですが、ヨットの場合には風があれば世界中何処にでも行くことが理論的には出来ます。勿論、そうするためには膨大な準備と計画が必要ではありますが、不可能ではありません。
また、ヨットは荒れる海でも航行することが出来ます。つまり、よい多くの気象条件の中でも航行が可能です。

パワーボートを所有しているとしたときに、12ノットの風が吹けば出港することを諦めることでしょう。しかし、ヨットの場合には、12ノットの風に興奮し、セーリングに最適の風だと、喜んで出港することでしょう。時には20ノット近い突風が吹いたとしても、ヨット乗りとしてベテランになってくれば、うまく対応することもできるようになるでしょう。ヨットは荒波にも向かってゆけるようにつくられていますから、経験を積めば多少の荒天でも旅を続けることが出来ます。

10. 「暮らすこともできる」

セーリングクルーザー(ヨット)には、キャビンがあり、ギャレーがあり、バースがあります。小さな25フィート前後のヨットでも、旅をしながらヨットで暮らすこともできます。

11. 「海を渡ることができる」

ほぼ、殆どのセーリングクルーザー(ヨット)は海を渡って太平洋や大西洋を渡り、外国に行くことができます。それに比べてパワーボートは外洋向きではありません。
これまでに世界中を周遊した最小のヨットは、21フィート(6.4メートル)です。そんな小さなヨットですら、海を渡って外国に行くことが出来ます。勿論、充分な準備と計画は欠かせません。

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最後に… 「ヨットは冒険に向いている」

冒険と言うとちょっと大袈裟かもしれませんが、ヨット乗りは皆、ある意味で冒険家とも言えます。例えそれが外国に向けて海を渡ろうというような大それたことでなくても、自然を利用して船を走らせることは冒険以外の何者でもありません。
冒険することは、自分を向上させ、自分を振り返らせ、自分の限界を知ることでもあります。そして挑戦し、学び、向上するというプロセスをヨットをとおして必ず経験することになります。それは年齢が何歳であっても、社会経験がいくらあっても、自然の中ではそれらは全く関係なく、誰もが同じプロセスを経験し冒険するのです。
冒険には危険がつきものと言われますが、ヨットは安全性が高く、信頼性も高い。失敗しても何とかリカバリーが可能でもあります。
私もMALU号に乗り始めて、夫婦で怖い思いをしたことは幾度かあります。突然の悪天候、強風や大きな波でヨットが横倒しになりそうなったこともあります。エンジンが掛からなくなったこともあります。荒れる海で雨の中を何時間も操船し続けたこともあります。しかし、それら1つ1つの経験や、それらに対処してゆくことで、事前に予測し対応する能力もついてきます。多少の悪天候でも焦らず冷静に操船することができるようにもなります。天気を読めるようにもなってきます。多少の波や風でも海に出て行けるようにもなり、危険を察知することも出来るようになり、自分自身が自信をもって出て行けるようにもなり、セーリングできる限界を考えながらセーリングするようになります。
ヨットという乗り物は、単なる移動の道具ではなく、それ自体でプレイするという楽しみもあります。

そして、日本では少ないですが、海外では世界中を安くで渡り歩く手段としてヨットが使われています。それは、燃料代があまり掛からないこと、ヨット自体に宿泊できることなど、移動費用と宿泊費を抑えることが出来るからです。そして、風があれば移動できます。その代わりに、スケジュール通りには行きません。移動できるかどうかは天気次第、風次第ということになります。
まさにこれは冒険ですね。
冒険は幾つになってもできます。そして、決して無謀な冒険ではなく、1つ1つの課題を乗り越え、経験を積み上げながら着実に向上し冒険することが出来るのがヨットという乗り物だとも言えるわけです。

 
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